流星のメモリアル   作:スーサン

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ミソラとペア運動会!

「一般者参加型アイドル運動会?」

 読んでいた雑誌をベッドに置き、スバルは首をかしげた。

「なに、それ?」

「えへへ……これはね?」

 持ってきた企画書を見せ微笑んだ。

「今度出るテレビの企画で、アイドルと一般の人とをペアを組ませて運動会を開くスポーツ大会なんだ!」

「ペア……ね?」

 なんとなく、言いたいことがわかり、言葉を待った。

「一緒に参加しよう♪」

「いうと思ったよ」

 ニコッと笑い、頭をなでた。

「やるからには勝つ! いいね?」

「もちろん!」

 飛び跳ねるように喜ぶミソラにスバルはベッドに背もたれ、天井を見上げた。

(ミソラちゃんと運動会か? 違う学校だから、貴重な運動会イベントだな?)

 

 

 

 運動会当日……

『は~~~い! 今日的にやってきた一般者参加型アイドル運動会的なイベントが始まるよ!』

 マイクのスピーカーがなんとも気の抜けた声を響かせた。

『大会的に一般的な人ががアイドル的な女の子や男の子と切磋琢磨して優勝的なものを目指す感じなんだけど……かくいう僕もコダマタウンで一般人的なカードショップ的な感じのお店を開いている『BIG WAVE』の店主、南国ケンがなぜか、司会担当みたいな感じのものをしてお送りします!』

「なんで、南国さんがテレビ司会を? それに意外とテレビの前なのに饒舌だな……」

 テレビの前ですらマイペースに独特な喋り方をする南国にスバルは呆れを通り越し、感心した。

「あれ、スバル君も参加?」

「え……?」

 振り返ってビックリした。

「アイちゃん!?」

「久しぶり! といっても、最近、会ったばっかりだね?」

 キョロキョロ辺りを伺い、耳打ちした。

「ミ、ミソラちゃんは一緒じゃないの?」

「う、うん……これからペアを作るからその打ち合わせじゃないかな?」

 ミソラ以外の女の子に間近に迫られ、スバルはちょっとだけ、恥ずかしくなった。

 考えてみれば、ミソラとはよくキスするため、身体を寄せ合うが他の女の子にこんなに近づかれたのは白金ルナで三人目だ。

「そっか! じゃあ、ちょっとだけ、お話しよう? 私はゲストとして参加だから、ちょっとだけ暇なんだ」

「う、うん、いいよ……って!? いたたたたたたた!?」

 いきなり耳を引っ張られた。

「ミ、ミソラちゃん……!?」

「はいはい……打ち合わせも終わったから、さっさと、テレビの前に行くよ?」

「ちょ、わかったから……耳、離して!?」

「……」

 容赦なく耳を引っ張られ引きずられていくスバルにアイは厳しい目でアゴに手を突いた。

「意外とガードが固いわね?」

 

 

 休憩テントで、ようやく耳を開放されるとすごい目で睨まれた。

「浮気は許さないよ!」

「い、いや、アレくらいを浮気と言ったら……ヒィッ!?」

 殺したろうかオーラを全身に受け、スバルは小鹿のように怯えてしまった。

「まぁ、今回は初犯だし許してあげる」

「浮気してないのに……」

 ポロリと涙を流すスバルにミソラはピラッと一枚の紙を手渡した。

「これ、スバル君が参加する競技ね?」

「あ、どれどれ?」

 紙を受け取り、競技内容を見た。

「百メートル走、玉入れ、パン食い競争、借り物競争、二人三脚……二人三脚?」

 ミソラを見た。

「ここだけは絶対参加だからね? 怪我したら容赦しないから!」

「……はいはい」

 包み隠さず、自分のやりたいことを伝えるミソラにスバルは愛おしさを感じ、頭をなでた。

「えへへ……」

 撫でられた頭が気持ちよかったのかミソラはテレた顔で笑顔を浮かべた。

『え~~~……準備的なものは出来た感じだから、みんな、コースに集まって?』

 スピーカーから響いた。

「あ、競技に行かないと!? じゃあ、先に行ってるから!?」

「うん! たっぷり、サービスするから、頑張って!」

「サービス?」

 言ってる意味がわからず、スバルはコースに向かって走った。

 

 

 スバルを始め、複数の一般参加者が百メートル走のコースのスタートラインに立った。

『みんな、準備的なものが出来た感じだね? この百メートル走は一般参加者から走る的な感じだよ? なんと、一般参加からはペアのアイドルからの嬉しい応援的なものが貰えるから頑張って!』

「応援?」

 コースの横に立つ少女たちにスバルは仰天した。

「ゴー・ゴー・レッツゴー・レッツゴー・ス・バ・ル♪ レッツゴー・レッツゴー・ス・バ・ル♪」

 スカート中が見えてしまうのではないかと思えるくらいの派手にジャンプをするミソラにスバルは真っ赤になった。

 その姿は可愛らしいチアリーティングのスカート短めコスチュームであった。

 いや、スバルだけでなく、周りにいた男子全員が真っ赤になった。

 と同時にスバルに対する敵対心が強くなった。

(俺のミソラちゃんの応援を独り占めしやがって許さん……滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅)

 ゾワッと背筋が冷たくなるのを感じ、身震いを起こした。

 審判がスタートラインに立つと、スバル達はクラッチングポーズを取った。

「一について……」

 夏の陽気とは打って変わった静寂が生まれた。

「よ~~い……」

 ドンッとピストルが撃たれた。

「ッ!」

 バッと駆けるスバルにチアコスチュームのミソラもスカートの中が見えるのもお構いなく全力で応援した。

「イケイケゴーゴーレッツゴース・バ・ル♪」

 他の選手の追随をを許さない走りでミソラの横を通り過ぎるとスバルは持ち前の俊足でゴールテープを切った。

「やった~~~~~~~~~♪」

 手に持ったボンボンを捨て、ミソラは走り出した。

「やったね、スバル君♪」

「おわぁ!? ミ、ミソラちゃん!?」

 いきなり抱きつかれ、スバルは真っ赤になった。

『一位的なナイスな走りに勝利の女神的のミソラちゃんの熱い抱擁……正直、羨ましい感じだよ!』

「わ~~いわ~~い♪ やったね、スバル君! まずは先取点だ!」

「ミ、ミソラちゃん……あまりくっつかないで……」

 膨らみかけてきたミソラの女の子の部分にスバルは理性が保てなくなってきていた。

 

 

 それからも、競技は順調に続いた。

 玉入れでは玉を入れる係りとしてスバルが玉を入れ、玉を拾う係りとしてミソラが孤軍奮闘し二位の座を取り。

 パン食い競争ではなぜかどういうルートで参加したのかゴン太が持ち前の食い意地で一位を取り、スバルは三位になり。

 借り物競争は『あの日なくしたも』と訳のわからない借り物課題を出され戸惑っているうちにビリになり。

 そして、ついに最後の競技にたどり着いた。

「ついに二人三脚だね?」

 軽く身体をほぐすようにくの字にストレッチをするミソラにスバルも足に巻いた赤い布をギュッと蝶結びした。

「どう、キツクない?」

「うん! ちょうどいい具合……」

 念のため、もう一度、軽く二、三回緩みがないかチェックをし、立ち上がるとミソラの顔を確認した。

「どう、調子は?」

「二人三脚はいいよね? 堂々とスバル君とくっつけるんだもん!」

 返答に答えず、素直に二人三脚を喜ぶミソラにスバルは優しくうなづいた。

 ギュッとミソラの肩を抱き、隙間がないくらいしっかりとくっついた。

「これが泣いても笑っても最後の競技!」

「なんだかんだで最初以外は一位を取れなかったし、ここで一位を取って一気に優勝だよ?」

「よし!」

 スタートラインにたち、スバルとミソラは同じタイミングで布を結んでいない左足と右足を前に出した。

「まずは真ん中の脚から出すからね?」

「了解、スバル君!」

 ギュッとお互いの肩を力強く抱くと二人は競技とは別のドキドキ感に心を躍らせた。

(やっぱり、ミソラちゃんと一緒だと楽しいな)

(スバル君と一緒だとどんな不利な状況も楽しく感じるな)

「一について……」

 審判がピストルを空中に構え、大声を出した。

「よ~~~い……」

 ドンッとピストルが撃たれ、ミソラとスバルは息の合った動きでスタートダッシュを切った。

「いっち、に、いっち、に!」

 阿吽の呼吸というべきか、スタートを切ったミソラとスバルの息はピッタリであった。

 スバルが右足を出せば、ミソラも自然に左足を前に出し、ミソラが右足を出せば、スバルが同時に左足を前に出す。

 まさに息の取れた見事なチームワークであった。

 そんな完璧なチームワークに二人は圧倒的差をつけ、見事、一位をもぎ取った。

「やった~~~~~♪」

「ようやく一番だ!」

 足元に絡みついた白いテープもお構いなしに二人は喜びに抱き付き合った。

 

 

『え~~~……集計的なものが終わった感じかな!』

 マイクを握る南国にスバルとミソラはみんなにバレないよう、そっと手を握った。

『第一回一般者参加型アイドル運動会優勝者は……』

 ドキドキと胸が高鳴り、二人はほぼ同時に固唾を呑んだ。

『響ミソラ&星河スバルチームになった的な感じ!』

「ッ!?」

「スバル君!?」

 お互い見つめあい、スバルとミソラは固まった。

「や……」

「やった~~~~♪」

 ギュッと抱き合い、二人は大きく跳ね上がった。

 パチパチと溢れんばかりの拍手が降りた。

『それでは優勝者的な二人には壇上に上がって、トロフィー的なものをもらってね?』

 一度離れ、スバルはミソラの手を引っ張った。

「行こう、ミソラちゃん! 僕たち二人の勝利だよ!」

「う、うん! 運動会って楽しいね?」

「まったくだよ!」

 壇上に上がり、二人は南国からトロフィーを受け取り天高く持ち上げた。

「オォォォオォォォオォオオオォォォ!」

 さっきまで敵同士だった選手からの溢れんばかりの喝采に二人は満面の笑みを浮かべた。

 

 

 片づけを始めた運動会の会場でミソラは誰にもバレないよう、会場裏にスバルを呼んでいた。

「じゃあ、私、関係者の人たちに挨拶してくるから、先に帰ってていいよ?」

「うぅん……待ってるよ。今日はまだ、興奮が収まらないんだ」

「興奮が?」

「ミソラちゃんもそうでしょう?」

 そっと、自然な感じで左胸に手を添えるスバルにミソラも触れられた自分の胸を見てえへへと嬉しそうに笑った。

「じゃあ、少し一人にするお詫びね?」

 チュッとキスをした。

「え、えへへ……」

 唇を離すとミソラはテレたように離れた。

「ちょっと塩辛いかな?」

「汗かいたからね……唇にも汗がついたかな?」

「じゃあ、私の唇も塩辛かった?」

「すごく、やわらかかったよ……」

「えへへ……じゃあ、待っててね?」

 手を振り、会場関係者のもとへ走っていくミソラにスバルは関係者の邪魔にならないよう、会場の外へと向かった。

「また、こんな企画始まらないかな?」

 テレたようにスバルは人差し指で右頬を掻いた。

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