「星河さぁ~~~ん、宅配便で~~~す!」
「あ、はぁ~~~い!」
慌てて玄関の扉を開けるとスバルは満面の笑顔で宅配便のお兄さんに挨拶した。
「ハンコください!」
「はいはい、ハンコ、ハンコ~~~♪」
踊るようにハンコをを押した。
「またのご贔屓を!」
スバルに負けず劣らずの満面の笑顔で去っていく宅配便のお兄さんにスバルは軽快な足取りで届けられた荷物を庭まで運んだ。
≪おい、スバル、それなんだ?≫
ハンターVGから現れたウォーロックにスバルは得意げに鼻を鳴らした。
「とってもいいものだよ。ほら!」
≪……≫
開けられた箱の中を見てウォーロックはつまらなそうにそっぽを向いた。
≪ただの望遠鏡のパーツじゃねーか?≫
「わかってないな、ロックは?」
チッチッチッとムカつくような指の揺らし方をし、スバルはバッと天空を指差した。
「この電波望遠鏡は最新式で、なんと冥王星まで、軽々と見ることが出来て、もしかしたら、太陽系の外も……」
≪はいはい、わかったわかった……俺は帰るぞ?≫
「あ、ちょっとロック……チェッ」
ハンターVGに戻ったウォーロックに舌打ちし、スバルは早速、部屋から工具を取りに行った。
「スバル君、遊びに来たんだけど……いない?」
電波変換を解くと目の前の望遠鏡を認め、首をかしげた。
「なんだろう、これ?」
≪あまり、不要にさわると怒られるわよ?≫
「大丈夫だよ、壊さないから」
チョンチョンッと指で小突くと目をパチパチさせた。
「男の子って、なんで、こういうの好きなんだろう?」
≪ミソラ、危ない!≫
「え……!?」
ドンッとハンターVGから飛び出したハープに突き飛ばされ、尻餅をついた。
「いたた……ハープ、酷いじゃない」
ガシャンッ!
「あ……?」
ミソラの顔が真っ青になった。
「ヤベ、物を壊しちまった!?」
塀から顔を出す野球帽を被った少年達にミソラは慌てて立ち上がった。
「こらぁ……」
「あぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「え……?」
振り向くと工具箱を落とし、愕然とするスバルがいた。
「ミ、ミソラちゃん……」
「あ!?」
塀を見て誰もいないことを知るとミソラは慌てて弁明した。
「ご、誤解だよ、これは……」
「……ミソラちゃん」
顔も合わせず、ミソラの隣を通り過ぎた。
「これ、どれだけ、大切なものかわかってる?」
粉々になった電波望遠鏡のパーツにスバルは膝を突き、震えた。
「悪いけど、帰ってくれないかな?」
「ス、スバル君……」
「帰れ!」
「……」
怒鳴られ、ミソラは泣き出しそうな顔で電波変換した。
「……」
スバルも目から溢れる涙をグシッとぬぐった。
部屋に帰るとミソラは部屋の隅で膝を丸め暗くなっていた。
「……」
≪気にすることないわよ。ちょっとした誤解でしょう? すぐに仲直りできるわよ≫
「……」
言葉を発しないミソラにハープも悲しそうな顔をし、ハンターVGに戻った。
その夜。
「……」
スバルは暗くなった庭の上を懐中電灯を使って這っていた。
「あ……」
野球ボールを見つけた。
「これって……」
野球ボールを握り、見上げた。
「やっぱり、ミソラちゃんがやったわけじゃなかったんだ……」
野球ボールを塀の壁にぶつけた。
「それなのに勝手に勘違いしてミソラちゃんに当たって……格好悪いな」
芝生の上で膝を抱えと、スバルは自責の念にとらわれた。
「どうやって、ミソラちゃんと仲直りしよう? 許してくれるわけないよね……話も聞かず、一方的に帰しちゃったし?」
≪また、ウジウジ病か?≫
「ロック……」
ハンターVGから出てきたウォーロックにスバルは顔も合わせず、答えた。
「だって、悪いのは僕のほうだよ……どの面下げて」
≪その面下げて、いったん、引っ叩かれろ。それでも溝がなくならないなら、その程度の仲だったんだろう?≫
「ロック……」
ウォーロックも少し、ドヤ顔で親指を立てた。
「ハンターVGに戻ってくれる」
≪ああ……いいぜ≫
「電波変換、星河スバル、オン・エア!」
「……」
暗い部屋の中、ミソラは電気もつけず、ベッドの上で転がっていた。
≪……≫
その姿をハープもなにも言わず、見守っていた。
ミソラの傷つきようは相当のものだった。
それはそうだ。
好きな人に誤解とはいえ、嫌われたのだ。
落ち込まなければ、逆に仲を疑う。
ハープも一度、スバルに合って事情を話そうか考えているとピキンッと軽い衝撃を感じた。
≪これって?≫
電波の受信を感じ、ハープは天井を眺めた。
バシュンッ!
「お邪魔します……」
「え……スバル君?」
部屋に入ってきたロックマンに電波変換したスバルにミソラは慌ててベッドから起き上がり、目を何度もしばたかせた。
「ミソラちゃん……」
電波変換を解き、スバルはゆっくり、床に膝を突き、手を着いた。
「ごめん……僕の勘違いだった!」
「え……?」
「あの後、調べたら、野球のボールがあったんだ。ミソラちゃんはなにも悪く無かったって、わかったんだ! それなのに、一方的にミソラちゃんを悪者にして……勝手だとわかってるけど、許して欲しくって」
「……」
必死に許しを請うスバルにミソラも溢れる涙をこらえ、不機嫌そうにそっぽを向いた。
「許して欲しかったら、それなりの態度があるんじゃないの?」
「ごめんなさい……」
また、土下座するスバルに今度はハープが不機嫌な顔をし、無理やり立たせた。
≪そうじゃないでしょう! こういう時は、こう!≫
「おわ!?」
無理やりベッドに放り込まれ、スバルの身体を抱きしめた。
「ッ……!?」
いきなりキスをされ、スバルは仰天した。
口の中に舌を入れ、さらに口の周りも嘗め回すようにキスをするとミソラの目がトロンッと潤んだ。
「ぷはぁ……」
涎の糸が仰向けになっていたミソラの服にかかり、えへへと笑った。
「今回はこれで許してあげる♪」
「ミソラちゃん……」
スバルも火照った心でもう一度、ミソラの唇にキスをした。
「うぅん……もう!」
スバルの身体を抱きしめ返し、ミソラも二度目のキスを楽しんだ。
キスを終え、二人はスッカリ、酔いが覚めた顔で頬を染めていた。
「ごめんね、これからはちゃんとミソラちゃんの言うことも聞くから」
「うん、これからはちゃんと私のいうことも聞いてから怒ってね?」
「うん……」
所在なさげに辺りをうかがった。
「今日は泊まっていっていいかな? なんだか、今日は一緒にいたい気分なんだ?」
「一緒にいないと不安な気持ち?」
「うん、格好悪いけど?」
「いいよ」
ニッコリ笑いベッドの掛け布団に一緒に包まった。
「ちょ、ミソラちゃん!?」
一緒の布団に入るミソラにスバルは真っ赤な顔で狼狽した。
「泊まるなら、一緒の布団の中がいいでしょう?」
「ミソラちゃん……」
スバルも諦めた顔で目を瞑った。
ミソラも嬉しそうに笑い、スバルの身体を抱きしめた。
「大好きだよ、スバル君」
「うん、僕も」
人目もはばからずイチャつく二人にハープははき捨てるようにそっぽを向いた。
≪爆発しろ、リア充!≫