流星のメモリアル   作:スーサン

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ひな祭りで無病息災

 ピンポ~~ン♪

「は~~い♪」

 ガチャンとドアが開いた。

「お邪魔します、ミソラちゃん!」

「いらっしゃい、スバル君! さぁ、入って入って!」

 スバルの手を握るとミソラは早足で彼を家の中へと案内し、走った。

「ちょ、ミソラちゃん……」

 引っ張られるまま、部屋に入り、居間につくとミソラは手を離した。

「ジャア~~~~ン♪」

 両手を広げミソラはニパァと笑った。

「ザ・ひな壇!」

「立派だね?」

 雄々しくたたずむ巨大なひな壇にスバルは感嘆とした。

「本やテレビでは見たことあるけど、これは壮観だね?」

「えへへ~~♪ 仕事で知り合ったひな壇の職人さんに特別に作ってもらったんだ!」

「また、顔を広げたんだね?」

「仕事でも人脈を広げるのは大切なことだよ!」

 敷いてある座布団にスバルを座らせると、ミソラは慌ててキッチンへと向かった。

「じゃあ、ひな祭りを始めよう! といっても、食べるだけだけど……」

 甘酒と三色団子を持ってくると、ひな祭りの歌を流しだした。

「うん、この歌を聴くとひな祭りって気分になるね?」

「甘酒、ついであげる!」

「これはどうも……」

 コップに甘酒を注いでもらうと、グビッと飲み始めた。

「お、これ、うまいね?」

「でしょでしょ! この前、撮影で回ったお酒屋さんから特別に譲ってもらったんだ!」

「どこまで、顔を広げてるの……」

 コネだけで生きていけるんじゃないかとスバルは半ば恐ろしくなった。

「あ、でも、三色団子は私が作ったから、食べてみて!」

「どれどれ?」

 串に刺さった三色の団子を口に含むとスバルは顔を赤くし微笑んだ。

「これは甘酒とあって、とっても美味だね!」

「ほんと!」

 自分が作った団子を褒められて、ミソラも嬉しくなったのか上機嫌で団子を食べた。

 顔が青くなった。

「どうしたの、ミソラちゃん? 人生の酸いも甘いも知り尽くした顔をしてるけど?」

「私のお団子、食べる? 私、味見しすぎて、お腹いっぱいになっちゃったみたい……」

「アハハ♪ 味見のしすぎはよくないよ、ミソラちゃん!」

 そういい、スバルは遠慮なくミソラのお団子を食べ、満面の笑顔を浮かべた。

「うんまい♪」

(将来はスバル君ためだけに料理をふるおう……私のために)

 

 

「ふぃ~~……食った飲んだ♪」

 ぽっこり膨らんだお腹をさすり、スバルは満足そうに微笑んだ。

「ひな祭りは豪勢にすごせる日が来るなんて思わなかったよ」

「そういってくれるとありがたいよ!」

 嬉しそうにミソラは食い終わった食器を片付け始めた。

「実はこの後、スバル君に一緒に作って欲しいものがあるんだ」

「作って欲しいもの? なに?」

「これ!」

 バンッとスバルの前に一枚の折り紙を見せた。

「鶴でも折るの?」

「折るのはこれ!」

 折り紙の折り方の描いてある印刷紙を見せた。

「雛人形?」

 

 

「誰も見てないね?」

 コソコソと河川敷までやってくるとミソラはホッとした顔で胸をなでおろした。

「毎年、これだけはハラハラするよ!」

「なんで、河川敷まで来たの? 雛人形の折り紙なんかも折って?」

 自分用の雛人形の折り紙を見てスバルは訳のわからない顔をした。

「スバル君、雛人形の語源は知ってる?」

「語源? お、女の子を祝福する日とか?」

「ペケ!」

 可愛く指でバッテンを作った。

「雛人形は元々は病気や妖怪から女の子を守るため、女の子の形をした折り紙を川に流して病魔を追い返そうとする行事だったんだよ」

「へぇ~~……?」

 川の流れを見て、ミソラは懐かしむように目を細めた。

「昔はママと一緒にこうやって、川に折り紙の雛人形を流したな~~……ママ、身体弱かったから、余計に私の身体が心配だったみたい」

「ミソラちゃん……」

「だから!」

 勢い良く立ち上がり、スバルを見た。

「今日はスバル君がママの代わりに……うぅん」

 頬を赤くして、訂正した。

「私と一緒に無病息災を願って、雛人形を流そう!」

「うん、わかった! 一緒に流そうか!」

「わぁ~~い!」

 大喜びでジャンプするミソラにスバルはふふっと笑った。

「ところでなんでさっきから回りを気にしてるの?」

「そんなの、川にゴミ流したら怒られるからに決まってるからじゃない!」

「……」

 複雑な気がしたがあえて突っ込まないことにした。

「じゃあ、流すよ!」

「はい!」

 川に向かって腰をかがめるとミソラは折り紙の雛人形を水につけた。

「発進!」

「発進って……」

 パッと折り紙の雛人形が川に流れるとミソラはパンパンと手を叩いた。

「私たちの災厄を全部、持っていってください」

「ミソラちゃん、それなんか違うって!?」

 一瞬、川に流れる雛人形の上を黒い霧が追いかけ、スバルは目を擦った。

「どうしたのスバル君?」

「いや……疲れてるんだと思う、ボク」

「……?」

 不思議そうな顔をし、首をかしげた。

「まぁ、いっか! じゃあ、帰ってテレビでも見よう! 最近、ハマッてる少女アニメがあるんだ!」

「ああ、それなら、ボクも見てるかも……」

「えへへ♪ それなら、話は早いね?」

 ギュッと手を握った。

「じゃあ、行こう!」

「あ、ミソラちゃん、急に走ったら危ないよ!?」

「大丈夫だって! あ!?」

「って!?」

 石につまづきそうになるミソラを無理やり、胸に抱き寄せ、スバルは呆れた顔で目を細めた。

「ほら、言わんこっちゃ無い!」

「ア、アハハ……あ、ありがとう!」

 改めて、手を握りなおすと、ゆっくり歩き出した。

「じゃあ、残りのひな祭りの時間はアニメでゆっくり過ごそう!」

「そうだね?」

「ウルトラハッピー!」

「ウルトラハッピーって……」

 呆れた顔でスバルはため息をついた。

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