「はい? テレビに出てみないかって?」
飲み終わった紙パックのジュースを握りつぶし、スバルは首をかしげた。
「なに、それ?」
「今、撮影してる映画にスバル君を使いたいって言いたいんだ! それで、どうしても……をやってほしいんらしいんだ」
「え、今、なんっていったの?」
「い、行けばわかるよ……明日、撮影だから、絶対に来てね!」
「……」
紙パックをゴミ箱に捨てるとスバルは怪しい顔をした。
「……アソコにいるおじさん達はなにしてるの?」
冷たい目を向けるスバルにミソラはバツが悪そうに口笛を吹いた。
「ま、まぁ……その大事なことだよ!」
「大事なことねぇ~~……?」
地面になにかを埋めているスタッフのおじさん達にスバルは嫌な予感がした。
「スバル君……私、信じてるから!」
「なにを信じてるの?」
遠くで現場指揮をしていた監督がメガホンで大声を上げた。
『星河くん! 指定の場所に立ってくれ!』
「あ、はい……!」
慌てて指定された場所に立つとスバルは思い出したように叫んだ。
「ところで、ボクはなにをすればいいんですか!?」
また、メガホンが帰ってきた。
「一歩、足を進めてくれ、それと同時に撮影を開始する」
「一歩進む?」
言われたとおり、足を一歩、前に進めてみた。
それが悲劇の始まりだった。
ピカァァァァァァ……!
「え……?」
ドッカァァァァァァァァァン!
「ウッヒャァァァァァァ!?」
足元が大爆発しスバルの細い身体が激しく宙に吹き飛ばされた。
その姿をミソラは申し訳なさそうに頭を下げて、合掌した。
「うわちっ!?」
奇跡的に地面に足で着地すると今度は背中からミサイルが飛んできた。
「バ、バトルカード、レーダーミサイル!?」
雨のように飛んでくるミサイルの荒らしにスバルは慌てて逃げ出した。
「人を殺す気か!?」
カチッ……
「ほへ……まさか、これはバトルカード……?」
真っ青になって、足元が大爆発した。
「アトミックマイ~~~~ン……!?」
スバルの身体が星の彼方へと消えていった。
無様に吹き飛ばされたスバルを見送り、監督は笑顔で撮影をカットした。
「うぅ……ミソラちゃん、絶対にわかって誘ったでしょう?」
黒焦げになり、ミソラの膝枕で寝ていたスバルは恨みがましく涙目になった。
「わ、私はただ、殺しても死なないほどの悪運の持ち主を知ってるって言っただけだもん……」
「死ぬよ! 爆死しかけたよ! 十年間生きて、人間に殺されかけたのは生まれて初めてだよ!」
「宇宙人にはよく殺されかけるけどね」
「笑顔で怖いこというな!」
ドッと起き上がるとまた身体が痛んだのか、ミソラの膝枕に寝転がった。
「ああ……身体が痛くって、起き上がることもできない」
「でも、おかげで撮影は大成功だったよ! 今度もスタントを頼むかもって、言ってたよ?」
「二度とやるか!」
「まぁ、そういわず、リカバリー300よりもいい回復アイテムがあげるから、それで許してよ!」
「……わかったよ」
真っ赤になりながら目を瞑った。
「じゃあ、バトルカード、ミソラキッス!」
チュッと唇にキスをし、スバルは彼女に対する理不尽な怒りが晴れていった。