流星のメモリアル   作:スーサン

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ロックマンディボリューションその1

「兄ちゃ~~ん……ひもじいよ~~!」

「皮肉か、それは……?」

「このスリムボディーがますます、まな板になっちゃうよ~~……お兄様~~……」

「だまれ……」

「ああ~~……マトモな食事が食べたいよ~~……!」

「黙れといってるんだ~~~~~~!」

 上にのしかかった妹をふっ飛ばし、少年はビシッと指差した。

「ちゃんと、朝食は食っただろう!? それをさも、食ってないように言いやがって!?」

「食べてないのは事実でしょう!? たくあん一個が食事といえるの!?」

「ウチじゃそれが朝食だと何度言えばわかる!?」

「そもそも、兄ちゃんがいい加減な仕事してるから、うちの探偵社はいつまで経っても貧乏なんだよ! この前の猫探しだって、経費を無駄遣いして! おかげで今月は赤字だよ! 今度の家賃、どうやって払う気!?」

「ウッ……そ、それは」

「しかも、契約上から外れた行動を取って、お客さんを怒らせるし!」

「あ、あれはあっちが悪いんだろう」

「お客様は神様だ! たとえ、あっちに非があっても契約で定められていれば、お客様が正しいの! 越権行為は重罰!」

「で、でも、依頼はいつも早期解決してるし……」

「早期解決と確かな利益。そして、そこに繋がる信頼! これが揃って初めて探偵社は探偵社といえるの! 見てよ!」

 会計表を開いた。

「この真っ赤な字、信じられる!? 黒字のほうが少なくって逆に目立ってるよ!」

「うわぁ~~……黒字を目立たせるなんて、斬新な会計表だな?」

「ウチの経済は圧迫してるの! 兄ちゃんは事務所の所長の自覚が薄すぎる!」

「が、頑張ってるんだけどな……」

「頑張るのは当たり前だ! それを威張るな!」

「それくらいで許してあげなよ、カヨウちゃん。ショウ君も努力してるんだから、そこは認めてあげなきゃ?」

 事務所の扉から入ってきた温和な笑みを浮かべる女性にカヨウと呼ばれた処女は避けない声を出した。

「そういう問題じゃないんです。喚(かん)さん……」

 昼食の佃煮をおすそ分けに来た事務所の大家の娘にカヨウは厳しい顔をした。

「アナタが兄を甘やかすから、こんな金に無頓着なダメ社会人が生まれたんですよ!」

「ダ、ダメ……社会人?」

 ぶわぁと泣き崩れる兄に、ふんっと鼻を鳴らした。

「悔しかったら、稼いだらどうなの!? 冗談抜きで私はお腹が空いてるの!」

「だから、佃煮食べなよ。ご飯も持ってきてあげるから?」

「そういう問題じゃないの!」

 涙目になるカヨウに喚は不思議そうな顔をした。

「そういえば、前に君達が解決した組織の親分さん、脱獄したらしいわよ」

「脱獄って、もしかしてドクターパーレルのこと?」

「そう。そのドクターパーレル。また、人に迷惑かけてるらしいわよ」

「あの人は残念な天才だからな……なんで、自分の頭を世界の役に立てようとしないんだろう?」

「あの人が脱獄したってことは、また、あの人が事件を起こして、私達に依頼が来るってことだよね! パーレル博士、早く事件をプリーズ♪」

 不謹慎に喜ぶカヨウに兄と幼馴染はため息を吐いた。

(いつか刺されないといいけど)

 トントン!

「あれ? お客さんだ」

「私が出るよ」

 佃煮をショウに渡し、ノックされたドアを開けた。

「いらっしゃいませ~~……え?」

「どうも」

 全身黒尽くめの男に喚は怯えた顔で黒尽くめの男を部屋にいれた。

「ど、どうぞ……」

 黒尽くめの男を部屋に入れると喚は逃げるように隅っこに移動した。

(この男?)

 ショウとカヨウの目が鋭くなった。

「アナタはあの時の?」

「パーレルが脱走したことは?」

「たった今、話しておりました! 汚い事務所ですが、どうか、おかけになってください!」

 兄との態度を三次元レベルまで変え、妹はゴマをするように黒尽くめの男に愛想笑いを浮かべた。

「ただいま、お茶をご用意します! 所長、黙ってないでこのお方をソファーに座らせて! 本当に気の利かない上司ですみません」

 急いで高級茶を探そうとする妹に涙し、黒尽くめの男をソファーに座らせた。

(本当に金を持ってる人には弱いんだから)

 初めての依頼で一億ゼニーを払ったこの男にショウは軽い不信感を覚えた。

(本当に何者なんだ、この男?)

「で、ご用件は?」

「パーレルをまた捕まえて欲しい。もちろん、君にとっても奴を捕まえることは責務だろう?」

「責務……」

 両手の皮手袋を見た。

「今となっては関係ありませんよ」

「なら、直接、関係のある話をしよう」

 持ってたトランクを机を上に置いて、開けた。

「パーレルはまた、過去の君のご先祖様を消そうとしている。それを阻止して欲しい。報酬は前金で五百万ゼニー。成功報酬でもう五百万ゼニーを払おう」

「なんで、俺達に関係のある事態をアンタが依頼する……だっ!?」

 ショウの身体が壁に殴り飛ばされた。

「もちろん、受けます!」

「じどい……」

 鼻血を出し、床に倒れた。

「いや~~……兄が礼儀知らずですみません! ウチは仕事を選り好みしないのが主義でして!」

 ペシッとどこから取り出したのかセンスを頭にぶつけ、カヨウは恵比須顔を浮かべた。

「お前……そんなに金が大切……ぶぎゃぁ!?」

 倒れてた兄の横腹を蹴り飛ばした。

「ああ~~……ショウ君!?」

 慌ててショウの身体を抱き、愛おしそうに頭を撫でた。

 そんな兄と幼馴染を無視し、カヨウは燃える瞳で黒尽くめの男の手をギュッと握りしめた。

「アナタ(の依頼報酬)のためなら、たとえ(兄の)命(や人生)の一つや二つなんて(私にとっては)安いものです!」

「ところどころ、本音を隠しやがって……」

 また、兄を蹴飛ばした。

「それでは、依頼成立といいことで」

「もちろんです! 誠心誠意(兄が命を捨てて)働きますので、どうか、お任せください!」

 握った手をぶんぶん振った。

「それじゃあ、頼むよ」

「お任せください! 全ては(お金を持っている)依頼者様のために!」

「それじゃあ……」

 事務所を出て行く男に深々と頭を下げた。

「こら、バカ兄貴! なに、ノンキに寝てるの! このごく潰しの役立たず! 依頼が来たんだから、お金のために誠心誠意、働け! この万年金欠の甲斐性なし!」

「妹さん、ますます、口が悪くなってるわね?」

「本当に赤字がつづいてるからね、最近」

 鼻に流れる血を拭い、立ち上がった。

「まぁ、いいや。じゃあ、過去に行くぞ?」

 ポケットからバトルカードを取り出した。

「バトルカード! タイムワープ!」

 

 

「時間旅行物の映画か?」

「結構、面白かったね? 自分の子孫がご先祖様を守るために過去に飛んでヒーローになるなんて、格好よかったな~~!」

「そうだね。壮大な話だったけど、ヒーローといえば……あの娘、どうしてるだろう?」

「あの娘?」

 顔を覗き込んだ。

「久しぶりのデートに他の女の子のこと考えてるの?」

「ち、違うよ! ほら、前に変な敵から僕たちを助けてくれた女の子がいたでしょう? あの娘、何者なのだったのかなって!」

「私、あの娘に「お婆ちゃん」って言われたんだよ! 正直、感じよくないよ」

「そうかな? むしろ、親しみを込めて「お婆ちゃん」と言った気がしたんだけど」

「なに、あの娘の味方をする気? 君の彼女は誰? 名前も知らないあの娘? それとも目の前の戦うアーティスト? ハッキリ言ったらどうなの!?」

「そ、そんなのミソラちゃんに決まっ……」

「だったら、今、考えていい事と、悪いことくらいわかるでしょう!」

「わかった! ボクが悪かった! だから、そんなに怒らないで! 人が見てるから!」

「ふん! 女の子に弱いのがスバル君の悪いところだね!」

「別に女の子に弱いわけじゃ……」

 睨まれた。

「ボクが悪かったよ……」

「スバル君の浮気者!」

「だから~~……まったく」

 手を握った。

「喫茶店に行こう? 話したいこと、たくさんあるんでしょう?」

「うん!」

 ニコッと笑った。

「仕事の愚痴を零せる相手なんて、スバル君だけだよ!」

「愚痴を零せるほど、お互い進展したってことかな?」

「そうだね!」

 手を離し、スバルの腕に抱きついた。

「ふふっ……アレ?」

「どうしたの、ミソラちゃん?」

「スバル君……なんだか、みんなの様子が変だよ?」

「みんなの様子……?」

 周りを見た。

「どうしたんだろう、みんな……まるで、ビデオの映像をストップしたように動かなくなってるけど?」

 ビュンッと風が流れる音がした。

「ッ……ミソラちゃん、あぶない!」

「え……キャッ!?」

 スバルに突き飛ばされ、尻餅をついた。

「酷いよ、スバル君……んっ!?」

 前髪に鋭いカマイタチが過ぎ、チリチリと髪が二、三本、散った。

「これって?」

 映画の入り口から胸に扇風機のような武器を装備したロボットが現れた。

「お前は前に戦った、ダークカットマンと同じ!?」

「我が名はダークエアーマン。ロースペック……お前達を排除する!」

「ミソラちゃん!」

「うん!」

 ハンターVGを取り出し、ウォーロックとハープが現れた。

「電波変換!」

 爆風が飛び散った。

 煙からロックマンとハープ・ノートが現れ、左手のロックバスターと胸のギターを構えた。

「ロックバスター!」

「ショック・ノート!」

「ふんっ!」

 ロックバスターとショック・ノートを片手で弾き返した。

「なに!?」

「そんな!?」

「ロースペックが! その程度の攻撃で俺が倒せるか!」

 地面に着地し、ハープ・ノートはギターを構えた。

「ロックマン、こいつ、前のダークカットマンよりも強いよ!」

「ハープ・ノートは下がって!」

 ロックマンの身体にノイズが走った。

「ノイズチェンジ! オックスノイズ!」

 真っ赤な牛のような姿に変わったロックマンにダークエアーマンは鼻を鳴らした。

「ロースペックの一つ……ノイズチェンジか?」

 クイクイと手を振った。

「いいぞ! お前の最大必殺技でこい」

「お望みどおり!」

 手にひらに真っ赤な炎を作り、撃ち放った。

「アトミック・ブレイザー!」

「……ふん!」

 胸の扇風機が突風を起こし、ロックマンの必殺技の炎をかき消した。

「バカな!?」

 ロックマンの姿が元の青に戻った。

「なら、取って置きだ!」

 ロックマンの身体が真っ赤なノイズの波に飲み込まれた。

「ファイナライズ!」

 ノイズが飛び散った。

「レッドジョーカー!」

 最強形態に変身したロックマンにダークエアーマンは鼻を鳴らした。

「ロースペック……レッドジョーカー……ディメイションエナジー値二十パーセント。勝率二パーセント」

「アイツ、なにを一人でぶつぶつと?」

 ロックマンは胸の前に高圧縮のノイズを作り上げた。

「レッドガイアイレイザー!」

 高圧縮のノイズを撃ち放った。

「レッドガイアイレイザー……ディメイションエナジー修正値:六十パーセント」

 高圧縮のノイズに飲み込まれ、ダークエアーマンの姿が消えた。

 ロックマンレッドジョーカーの姿が元のロックマンに戻った。

「どうだ! クリムゾン・ドラゴンすら倒したこの必殺技は!?」

「……ロースペックにしてはたいしたものだな?」

「なに!?」

 無傷で立っているダークエアーマンにロックマンは信じられない顔をした。

「クッ……」

 変身が解けロックマンの姿が元のスバルに戻った。

 糸が切れたようにスバルの身体が倒れた。

「スバル君!?」

 慌ててスバルの身体を抱きしめた。

「このバケモノめ!」

 ダークエアーマンを睨み、ハープ・ノートの身を構えた。

(か、勝てる気がしない……でも)

 スバルの身体を抱きしめた。

「スバル君は私が守る!」

「ロースペック、ハープ・ノート……ディメイションエナジー値35パーセント。ロックマンより15パーセント高い。だが、勝率は一パーセント未満」

「さっきから、なにを言ってるの!? 戦うなら、相手になるわよ!?」

 スバルを抱えたまま、ギターを構えた。

「私だって、戦えるんだから!」

「無駄な努力を」

 ダークエアーマンの胸の扇風機の羽が回った。

「ハイトルネード・ハリケーン!」

 扇風機からカマイタチのハリケーンが襲い掛かりハープ・ノートは目を瞑った。

(ゴメンね……守れなくって)

 涙がスバルの頬に落ちた。

「ディメイションウェポン・バリア!」

 ダークエアーマンのカマイタチのハリケーンがバリアによって跳ね返された。

「え……!?」

 自分達を守ったバリアにミソラは目を疑った。

「大丈夫……おば、じゃなくって、ミソラさん!?」

「ロックマンディメイション!?」

 自分たちの前に現れた、新たなロックマンにハープ・ノートはビックリした顔をした。

「出たか偽者!」

「ッ……!?」

 ディメイションの目が動揺し、奥歯をかみ締めた。

「お前になにがわかる!?」

 ロックマンディメイションは左手の専用アイテムにカードを通した。

「ロックマンチェンジ! ロックマン!」

≪ロックマン!≫

 ディメイションの姿がシンプルなコンバットスーツに変わり、左腕のロックバスターを構えた。

「チャージショット!」

「ふん!」

 撃ち放ったチャージショットを片手で軽々と打ち返した。

「なら、これだ!」

 ディメイションは新たなカードを取り出した。

「ロックマンチェンジ! ゼロ!」

≪ロックマンゼロ!≫

 ディメイションの姿が真っ赤な鋭利なコンバットスーツに変わった。

「いくぞ!」

 ゼットセイバーを振り上げた。

「三段斬り!」

「遅い!」

 斬りかかるゼットセイバーを全て跳ね返し、ダークエアーマンはディメイションの横腹を蹴り飛ばした。

「キャッ……!?」

 身体が壁に激突し、めり込んだ。

「くはぁ……」

 口から血を吐き出し、ディメイションの真っ赤なボディーが元の青いデフォルトモードに戻った。

「つよい……」

「偽者にディメイションエナジーを使いこなせるわけがない。素直に死ね」

 胸の扇風機が回転した。

「ハイトルネード……」

 ディメイションの目が悔しそうに泣いた。

「ごめん、兄ちゃん……結局、私、役立たず……」

「ハリケー……」

「バトルDNA! ビームソード&ブレイクネイル!」

 ダークエアーマンの胸の扇風機の羽が破壊され、宙に舞った。

「なにっ……!?」

 破壊された扇風機の羽がハープ・ノート達の前の床に突き刺さり脆くも崩れた。

「もう一人のロックマン!?」

 野生美溢れる獣のようなロックマンにハープ・ノートは目を疑った。

「ロックマンがもう一人!?」

「兄ちゃん……?」

 壁にめり込んだディメイションの身体が元の少女の姿に戻り、床に倒れた。

「よく耐えた……出来れば、変身したくなかったが仕方ない!」

「ディボリューション計画の最高傑作……エボリューション」

「エボリューション? それが彼の名前? ロックマンエボリューション?」

 ダークエアーマンと対峙するエボリューションにミソラはどこか懐かしさを感じた。

(なんだろう、この気持ち? まるでスバル君を見てるみたい)

「クッ……胸の武器を破壊されたら、もう戦えないか。ここは引かせてもうぞ!」

「逃がしはしない」

 逃げようとするダークエアーマンにエボリューションは両手の手のひらからDNA構造をイメージした光があふれ出した。

「バトルDNA!」

 二つの光が胸のクリスタルに吸収された。

「ゼノゲノム! パワーフィンガー&ビームレーザー!」

 エボリューションの両手の指に光のレーザーが生まれ、撃ち放たれた。

「フィンガービーム!」

「ギャッ……!?」

 十本の指から放たれたレーザーがダークエアーマンの身体を蜂の巣にした。

 ダークエアーマンの身体が爆散した。

 爆炎から背を向け、倒れている少女の身体を抱いた。

「大丈夫か、カノン?」

「う、うん……これで一千万ゼニーが手に入ったね……えへへ♪」

 涎をすする少女にハープ・ノートはちょっとだけ、引いた。

「ハープ・ノート、身体を離して……」

「え……スバル君?」

 ハープ・ノートから離れ、スバルは今にも倒れそうな足取りでエボリューションに近づいた。

「君達は一体? 君達は何者なんだ?」

「……俺達は」

 少し言い辛そうに顔を背けた。

「アナタ達に迷惑をかけるつもりはなかった……だが、許してくれ」

 胸のクリスタルからトランサーが現れた。

「それって?」

 自分達が使っていたトランサーよりも遥かにコンパクトになったトランサーにエボリューションはカードを通した。

「バトルカード! タイムワープ!」

「タイムワープ!?」

 光とともに消えたエボリューションにスバルは混乱した。

「タイムワープのバトルカードはまだ、研究途中じゃなかったのか?」

 訳のわからない顔をするスバルに元の姿に戻ったミソラは今にも泣き出しそうな顔で肩を近づけた。

「帰ろう、スバル君……今日はもうなにも考えたくないよ」

 グスッと涙を拭った。

「スバル君が無事なだけで私、もうなにもいらないから、なにも考えないで!」

「……うん、ごめん」

 肩から伝わる彼女の震えにスバルは優しく抱きしめた。

 今は考えることを止め、彼女の不安を取り除くことが大切だと理解した。

(でも、いったい、なにが起きてるんだ?)

 

 

 五十年後。

「これはどうもどうも! まさか、この貧乏探偵社にワザワザ、危険手当までつけていただけるなんて、もう、私ども、感謝で言葉もございません!」

 全身包帯まみれになりながらも必死に揉み手を握るカノンに帰りを待っていた喚は呆れた声を出した。

「怪我をしてもお金の前だと全快するんだね?」

「昔はもっとピュア(純粋)だったんだがな……」

「お任せください! 私ども、正義(はどうでもよく、お金)のために誠心誠意(成功報酬のため)、努力させていただく所存でございます!」

 ひらにひらにと頭を下げるカノンに黒尽くめの男は新しいトランクを取り出した。

「私の正式な依頼はドクターパーレルの阻止することだが、そのための経費は惜しまない。これは新たな手付け金としよう」

「これは!?」

 開いたトランクにカノンの目が輝いた。

「パーレルロボット一体倒すごとに百万ゼニー。成功報酬はさらに増額を考えよう。もちろん、君達の努力しだいではさらにゼニーは上乗せすることを約束する」

「お任せてください! 世の(お金の)ため! 人(の中の私の)ため! 例え、私(の兄)が傷ついても、依頼は達成して見せます!」

「心強いよ!」

 ギュッと手を握りカノンは今にも踊りだしそうな顔で目の前のお金を見た。

「これが私達のものに……うへへ♪」

 カヨウのあまりの姿に喚は涙目になった。

 ショウも涙目で耳打ちした。

「駆け落ちしないか?」

「殺されるわよ、カノンちゃんに」

「俺の命って、金よりも軽いんだな?」

 ダァ~~と落涙した。

 自分の命は妹にとって、瑣末なものだと思い知らされ、ショウはお金の存在を心から憎んだ。

 今日も時祭探偵事務所は赤字だった。

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