流星のメモリアル   作:スーサン

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身体が入れ替わったら?

「ああ……身体が重い」

 目を覚ますとミソラは妙に重い身体を起こした。

「アレ? 私、こんなパジャマ着てたっけ?」

 着ているパジャマを見て、あくびをかみ殺した。

「それに、ここ、スバルくんの家だ」

 なぜ、自分がスバルの家にいるか考え、また、あくびをした。

「まぁ、いいや。今日は久々のオフ日だし、スバル君をデートに誘って」

≪スバル、お前、今日、気持ち悪いぞ≫

「あ、ロックくん。おはよう」

≪ロ、ロックくん!? お、お前、頭でも打ったのか、スバル!?≫

「さっきから、なに言ってるの、ロックくん? 私は……」

 机に置いておいた鏡で髪をチェックすると真っ青になった。

「ミソラちゃん、ここにいる!?」

 部屋に入ってきた自分自身を見て、絶句した。

 

 

 天地研究所の研究室で天地と宇田海は土下座していた。

「私たちのせいです」

「だと思ったよ!」

 ミソラとスバルは怖い顔で怒鳴った。

「なんで、ボクとミソラちゃんの身体が入れ替わってるの!?」

「事情を説明して、事情を!」

 血相を変えるスバルとミソラに天地と宇田海はお互いの顔を確認し、答えた。

「新しいバトルカードの研究で心を別のものに入れ替えるという研究をしていてね……」

「君達、二人は昨日、研究所に遊びに来てたから、恐らくその時、偶然していた実験の影響を受けたかと」

「影響じゃない! 被害だ!」

「ひぃぃぃ!」

 情けなく悲鳴を上げる大人二人に身体の入れ替わったスバルとミソラは鼻を鳴らした、。

「まったく!」

 スバルになったミソラはストレッチをするように身体を動かした。

「さっきから、身体がうまく動かないんだけど、これはどういう意味?」

「それはきっと、本来の身体じゃないから、身体の動きが心の動きと違って、精神的誤差が出きてるんだと思います」

「精神的誤差って……」

 呆れ返るスバルになったミソラにミソラになったスバルが声をかけた。

「あの、ちょっといい?」

「なに、スバル君?」

 自分の顔を見て、スバルになったミソラは首をかしげた。

「ボク、朝から、トイレにいってなくって、行っていい?」

「そ、そんなのダメに決まってるよ! 絶対にダメ!」

「で、でも、もうそろそろ、漏れそうで……」

 内股になるミソラになったスバルにスバルになったミソラは真っ青になった。

「い、今すぐにも出したいの?」

「も、もう、限界……」

「……」

 ミソラになったスバルの顔を見てスバルになったミソラは真っ青で考えた。

 漏らした自分の姿。

 恥と外聞。

 アイドルとしての終わり。

 スバルと結婚。

 色々考えた結果、顔を真っ赤にして答えた。

「め、目を瞑ってよね?」

「りょ、りょうかい……」

 慌てて、廊下に出ようとすると足を止めた。

「じょ、女子トイレに行ったほうがいいかな?」

「……お願い」

 また、走り出すミソラになったスバルにスバルになったミソラは恥ずかしさに天地と宇田海を睨んだ。

「覚えておいてよ」

「ごめんなさい」

 また、土下座した。

 五分後、ミソラになったスバルが戻ってきた。

 彼(彼女?)の顔が赤かった。

 スバルになったミソラの顔が真っ青になった。

「ス、スバル君……なんで、顔が赤いの?」

「お、女の子の身体って不思議だ……」

「バカ~~~!」

 スバルになったミソラの怒声が響いた。

「だ、だって、目を瞑って感じる部分は感じるんだもん!」

「バカ、変態! 信じてたのに!」

 大声で泣き出すスバルになったミソラだが、すぐに泣き止んだ。

「ミソラちゃん?」

 顔を覗くとスバルになったミソラの身体が振るえた。

「ス、スバル君……私もトイレに行ってきていい?」

「ミ、ミソラちゃんも……う、うん」

 慌ててスバルになったミソラは廊下に出た。

 五分後、スバルになったミソラも戻ってきた。

 その顔はエクスタシーに入っていた。

 スバルになったミソラはミソラになったスバルの肩を掴んだ。

「いいものもってたね!」

「ミソラちゃん!」

 

 

 事情が事情なので今日はスバルになったミソラはスバルの家に泊まることになった。

「へぇ~~……ってことはこの可愛いミソラちゃんがスバルで、こっちの寝ぼけた顔がミソラちゃん?」

「母さん、人の息子の顔を捕まえて寝ぼけたって……」

「キャ~~♪ ミソラちゃんが私をお母さんって、可愛い♪」

「か、母さん、ボクはスバルだよ!」

 強く抱きしめられ、ミソラになったスバルは窒息しそうになった。

「あ、そっか、今はミソラちゃんがスバルだっけ?」

 腕を放され、ミソラになったスバルはため息を吐いた。

 あかねの顔が複雑なった。

「まぁ、いいわ……二人とも夕食はまだでしょう、食べなさい!」

「はぁい!」

 すでに用意された二つの食事を見て、あかねは慌ててキッチンに向かった。

「ミソラちゃんの分はすぐ、用意するわね!」

「あ、お構いなく」

「スバルの分じゃないわよ」

「母さん、今はミソラちゃんがボク」

「うぅ~~ん……ややっこしいわね?」

 

 

 食事を終えるとミソラになったスバルは居間を出ようとした。

「ちょっと待って、スバル君!」

「なに、ミソラちゃん?」

 スバルになったミソラに肩をつかまれ振り返った。

「どこに行くの?」

「お風呂だけど……あ!?」

 思い出したように自分の胸をサワサワ触った。

「意外と大きい」

「スバル君!」

 顔を真っ赤にするスバルになったミソラにミソラになったスバルは困った顔をした。

「で、でも、お風呂、入らないと不潔だよ?」

「でも~~……」

「宇田海さんの話だと、一日で元に戻るらしいし……まぁ、目を瞑れば」

「絶対にダメ! トイレの件でもう信じない!」

「それはボクも同じだよ!」

「お~~……スバルがミソラちゃんを睨むシーンなんて、レアね?」

 

 

 寝る時間になるとミソラになったスバルは自分の部屋のベッドを見て悩んでいた。

(今はボクがミソラちゃんだけど、こういう時は、ボクになったミソラちゃんをベッドに寝かせるべきか? それとも、身体はミソラちゃんのボクがベッドに)

「ス~~バルくん!」

 スバルになったミソラが背中から抱きついてきた。

「な、なに、ミソラちゃん……ちょっと気持ち悪いんだけど?」

「うん。私もちょっと今のは気持ち悪かった。自分に頬擦りするのって、意外と気分がよくないね?」

 マンガでいうほど、甘い感覚はなかった。

 むしろ自分の顔がアップで映し出され、なんとも気持ち悪い光景であった。

「それよりも、今、スバル君はどっちがどっちに寝るかで悩んでるんだよね?」

「うん。よくわかるね?」

「私も同じこと考えてたから」

 スバルになったミソラの言葉にミソラになったスバルは心の中で感動した。

(身体は入れ替わっても心は同じことを考えてられるんだね)

 いまさら恋人としての自分たちの距離の近さにスバルは嬉しくなった。

「いい考えがあるんだけど、聞きたい?」

「なに?」

 ニコッと笑った。

「一緒のベッドに寝ればいいんだよ! そうすれば、お互いの悩みは解決!」

「……」

 複雑な顔をした。

 一緒のベッドに寝るのはすでに慣れているが、それは相手がミソラの身体だからだ。

 今は自分がミソラ自身なのだ。

 自分と抱き合って寝ろなんて、どこの腐漫画だよ。

 といいたかったが、今の状況じゃ、どの選択肢を選んでも、ろくな答えにたどり着けそうになかった。

 ため息を吐いた。

「じゃあ、寝ようか?」

「スバル君。私の身体、臭くない?」

「それはボクの本来の身体が匂うの? それとも、こっちの身体が匂うの?」

「あ~~……」

 言う言葉を悩んだ。

 ごまかすようにベッドにもぐりこんだ。

「おやすみなさい!」

「はいはい、おやすみ、ミソラちゃん」

 ミソラになったスバルもベッドにもぐりこみ、自分の身体を抱いた。

(あ、意外といい匂い)

 今は自分がミソラなのだから、自分の身体にいい匂いに感じても不思議はなかったが変な気持ちだった。

(はぁ~~……早く、元の身体に戻りたい)

 

 

 朝が来るとミソラはベッドから起き上がり、自分の身体を見た。

「元の身体に戻ってる!」

 隣で寝ているスバルを確認し、起こさないようベッドから出た。

 朝が弱いので、気を使わなくっても起きないが、そこは彼女の気遣い。

 身体の匂いを確認し、部屋から出た。

「あら、スバル……じゃなく、ミソラちゃん?」

「はい、お義母さん! おはようございます!」

「おはよう、ミソラちゃん! お風呂沸いてるから、入っちゃって♪ 昨日は入れなかったんでしょう?」

「ありがとうございます、お義母さん!」

「もっと、言って~~♪」

 嬉しそうに身体をくねらすあかねにミソラも嬉しくなり、お風呂場にむかった。

 

 

 お風呂に入るとミソラは昨日までの自分を思い出し、ふふっと笑った。

「ちょっとくらい、私の身体でお風呂、入れさせてあげればよかったかな?」

 自分自身の身体を見て、鼻血を出すスバルを想像し、赤くなった。

「さて! 今日は仕事があるし、お肌を丁寧に洗って……」

「昨日はお風呂、入れなかったけど、朝風呂も悪くない……な?」

 二人の目が湯気で曇ったお風呂場であった。

「……」

「……」

 二人は顔を真っ赤にした。

 フリーズした状態で、ミソラは浴槽から立ち上がった。

「え、えっと……」

 ミソラは浴槽から出て、スバルを座らせた。

「せ、背中流すよ」

「お、お願いします」

 昨日の今日の異常な状況が続いたため、二人は自分たちの行動がおかしいと気付くまで、お風呂場から出るまで気付かなかった。

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