流星のメモリアル   作:スーサン

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クイズ大会でワクワク

「え? 風邪?」

≪そ、そうなのよ……≫

 顔を真っ赤(青いけど)にして堰をするハープにミソラは怪訝な顔をした。

「電波が風邪をひくの?」

≪たちの悪い、電波風邪みたい。もう、立ってるだけでも辛い≫

 足ないじゃんと突っ込みたかった。

 堰をする、ハープを自分のベッドに寝かせた。

「困ったな~~……今日はハープが主役の「ウィザードクイズ大会」の日なのに。しかも、生放送……」

≪ごめんなさい……ちゃ、ちゃんと≫

 また堰をするハープを起こさないよう押さえた。

「いいから寝てなさい! 代役を立てるから!」

≪代役?≫

 

 

 花火が鳴る会場で少年は真っ青になっていた。

「なんで、こうなったの?」

 マイクのスピーカーから男性の声が漏れた。

『始まりました、ウィザードクイズ大会!』

 パチパチと拍手が降りるとマイクを持つ司会者はミソラの隣の少年を指差した。

『今回は風邪で欠席したハープさんの代わりに特別ゲスト! 世界を三度も救ったヒーロー、ロックマンが来てます!』

 歓声が沸き起こった。

 ミソラの隣に立つロックマンは真っ青にな顔で聞いた。

「ねぇ、ミソラちゃん、なんで、ボクがここにいるの?」

「仕方ないでしょう?」

 ムスッとした顔で答えた。

「ハープが風邪をひいてテレビに出れないから、代役を立てないといけなくなったの! それとも、ス……ごほんごほん」

 出かけた言葉を飲み込んだ。

「ロックマンしか、頼れる人がいなかったの!」

「ボクしか……?」

 ミソラの言葉にロックマンは満更でもない顔をした。

「ま、まぁ、それなら、仕方ないね」

「理解が早くって助かるよ」

 ニコッと笑うミソラにロックマンは複雑な顔をした。

(なんか、騙されてる気もするけど、ミソラちゃんが幸せなら、いいか?)

「それでは、早速、問題を出したいと思います」

 バンッとクイズ番組でよくある溜めの効果音が流れ、問題文が読まれた。

『江戸時代、オランダを通じて日本に入ってきたヨーロッパの学術・文化・技術の総称で、現在は「洋学」と呼ばれる時代劇とかでよく使われる学問をなんという?』

 ピンポ~~ンと鳴った。

 ミソラの隣の女の子が可愛い笑顔で答えた。

「勉強!」

「残念!」

 ブ~~と腹の立つ不正解音がなった。

 女の子は納得のいかない顔で不満を漏らした。

「え~~~~! だって、勉強でしょう? 学術って、勉強だって、教わったよ!」

『勉強が答えだと、すべに学術の部分で答えをいってることになってます』

「そっか!」

 女の子は納得した。

 ロックマンが回答ボタンを押した。

「蘭学」

『正解!』

 隣の女の子が不思議そうにロックマンを見た。

 ロックマンはニコッと笑った。

 女の子の顔が真っ赤になった。

 ミソラの指がロックマンのお尻を抓った。

(い、痛い……)

 ロックマンの苦悶など気付かず、司会者はさらに問題を続けた。

『人は前を向きながら後ろを見ることは出来るか? もし、出来るなら、その方法も答えてください!』

 また、ロックマンがボタンを押した。

「鏡を見れば、前を向きながら、後ろを見ることが出来るよ」

『正解!』

 拍手がおり、ロックマンはちょっと、得意そうに鼻を摩った。

 ミソラは感心したようにロックマンを見た。

「すごいね! さすがロックマン!」

「い、いや……これくらい」

『それでは次……』

 問題は続いた。

 次々と出てくる「歴史問題」、「とんち問題」、「数学問題」、「雑学問題」と時には正解し、時にははずれ、ミソラとロックマンは順調に点数を稼いでいった。

 そして、最後。

『さぁ、現在のトップはぶっちりぎり一位のミソラ&ロックマンチームとなってます』

 すでに優勝が決まったロックマンとミソラに観客がキャ~~キャ~~と騒いだ。

 ミソラもロックマンも得意そうに手を振った。

「この企画、楽しいね?」

「ロックマン、この問題を勝って錦を飾ろうよ!」

「うん!」

 他の参加者も一糸報いようとロックマンとミソラを見て、問題を待った。

 司会者もいい傾向だと頷き、問題を見た。

 絶句した。

『これって……?』

 一度、カメラの前のディレクターを見た。

 ディレクターは読めと目で合図した。

 司会者は困った顔で問題文を読んだ。

『現在、トップアイドルの道を走ってる響ミソラさんには恋人疑惑が常々、浮上してます。さて、この疑惑は本当か否か、もしいるとしたら、その男性の名前も答えてください」

「え……!?」

 ミソラとロックマンだけじゃなく、一糸報いたいと考えている参加者まで目を丸めた。

 今まで騒いでいた観客も一瞬、言葉を詰まらせ、どう反応していいのか困った。

 ディレクターはいい傾向だと頷いた。

 明らかに場の空気を読んでいなかった。

 ミソラは震える手で問題の回答をするかしないか迷った。

 これは誰が答えても、ミソラが答えなければならない問題だった。

 自分たちの関係は隠すような、やましいものじゃないという自信があった。

 でも、言えば自分の仕事の立場も悪くない。

 スバルも大事だが仕事も大事だった。

 ミソラはどうすればいいのかわからず、思考を迷わせた。

(わたしは……すばるくん……うそはつきたくない……でも……)

 大事なものを二つ天秤にかけられ、困惑した。

 ミソラは初めて、自分が仕事に対してこれほど、強い責任感を持ってるんだと気付いた。

 それだけに余計に嘘もつきたくなかった。

(どうしたらいいの!?)

 今にも泣き出しそうなミソラに突然、ステージの明かりが消えた。

 辺りが真っ暗になり、ザワザワとした。

 ディレクター達の「CM入れろ」、「お客様は騒がないでください」などの喧騒が轟き、また、明かりがついた。

 ホッとするディレクターだが仰天した。

『響ミソラの本来のウィザードは誰?』

 好機とミソラは間髪入れず、ボタンを押した。

 ピンポ~~ンとチャイムが鳴った。

「ハープ!」

『正解!』

 司会者もホッとした顔で答えた。

 その瞬間、みんなの視線がディレクターに集まった。

 ディレクターはなぜ自分が睨まれてるのかわからない顔で辺りを見回した。

 ロックマンは慌ててディレクターに詰め寄った。

「なんて問題を出すんですか!? これは立派なスキャンダルを暴く行為ですよ!?」

「い、いや……みんな知りたがってる情報をサプライズで」

「アンタって人は~~……」

「え? え?? ええぇぇ???」

 ディレクターは訳の判らない顔でうなだれた。

 ロックマンため息を吐いた。

 その後、ディレクターはミソラの事務所の所長から、キツイお説教を受けた。

 

 

 家までの帰り道、人間に戻ったスバルはミソラと手を繋ぎながら夜道を歩いていた。

 ミソラの顔を見た。

「あんな問題を出してくるとは思わなかったな」

「本人は悪気がないというのがたちが悪かったけどね」

「誰があの人をディレクターに起用したんだろう……」

 ため息を吐くとスバルは隣を歩くミソラの顔を覗きこんだ。

「もし、あのまま答えないといけないことになったら、どうしてた?」

「……」

 スバルの顔を一瞥し、ミソラは星の輝く空を見上げた。

「たぶん……スバル君を取ってたと思う。私にとって仕事も大切だけど、それ以上にスバル君が大切だから」

「ミソラちゃん」

 そっと立ち止まった。

「スバル君?」

 急に立ち止まるスバルにミソラも立ち止まった。

「ありがとう」

 そっと、ミソラの唇にキスをした。

「ス、スバル君?」

 いきなりキスをされ、ミソラは赤くなった。

「でも、仕事も大切にしてね? ボクは働いてる君も大好きだから!」

「スバル君……」

 ミソラは一瞬、顔を赤くし、嬉しそうに微笑んだ。

「うん!」

 今度はミソラからスバルにキスをした。

 流れる星の下、二人は幸せな一瞬を味わった。

 その様子を電波ロードの上で眺める二人がいた。

≪もうダメ……ウォーロック、家までつれて帰って~~……≫

≪無茶して、サイバーワールドで問題文をいじるからそうなるんだよ≫

≪なによ。救ってあげたんでしょう?≫

≪俺は頼んだ覚えないけどな≫

≪私が来てることに気付いていながら、黙ってたでしょう?≫

≪スバルもミソラもテンパッて気付いてなかったようだけどな≫

≪ああ~~……じぬ~~……≫

≪ああ! たく、仕方ねーな!≫

≪ありがとう、ウォーロック。キスしてあげましょうか?≫

≪それは新種の呪いの言葉か?≫

≪素直じゃないわね?≫

≪未来永劫、お前と俺がそんな仲になることはないから安心しろ≫

≪そう、安心したわ……ガクッ≫

≪寝てろ!≫

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