流星のメモリアル   作:スーサン

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200年後の再会

「前回のミソラちゃんのタイムワープのデータをインプットし、さらに新しく発見された時空解釈を……」

「どうだ、宇田海? 研究は順調か?」

「あ、天地さん?」

 作りかけのタイムマシンの作業を止め、天地が持ってきてくれたコーヒーを受け取った。

「全然ですね。ミソラちゃんが持って帰ってくれたデータも実際は公に出来ないデータですから、他の開発スタッフと連携も取れませんし」

 以前、ミソラが勝手に使ったタイムワープの事件を思い出し、天地もなんともいえない顔をした。

「実際はかなり貴重なデータなんだが、公にすれば、この研究所の存続も難しくなるからな?」

「すみません」

「いや、お前が悪いわけじゃない。僕もミソラちゃんの心情を察せず、不用意に自慢したのがまずかった」

 作りかけのタイムマシンを触った。

「ヨイリー博士のと比べると偉くコンパクトになったんだな?」

「ヨイリー博士のタイムマシン理論を応用させてもらいました。僕の研究データと照合して改善できる点を改善したら、これだけの小ささを可能にしました。ヨイリー博士も褒めてくれました」

「そうか」

 どこか誇らしげにテレる宇田海に天地も満足そうに頷いた。

「まぁ、あまり変なことして、暴走するなよ? それでなくとも、僕たちは何度も騒ぎを起こしてあかねさんに目をつけられてるんだからな?」

「あの……」

「なんだ? 真っ青な顔をして?」

「天地さん、タイムワープのスイッチを押してます……」

「え?」

 よく見ると「押しちゃダメ」と書かれたボタンを天地はご丁寧に人差し指で押していた。

「マズイ」

 また怒られるという二人は思った。

 

 

 学校が夏休みに入り、スバルの寝坊癖は留まるところを覚えなかった。

 酷いときは夜寝て、次の日の夕方まで寝てるときもあった。

 夏休みだから仕方ないと母のあかねも多少、黙認してるところがあったが、それでも納得してない人間が一人いた。

「また、寝てる!」

 スバルの部屋にドアから入るとミソラは頬を膨らませた。

「スバル君、起きて!」

「うぅ……母さん、後、五時間」

「誰がお母さんだ!」

 布団を引っぺがした。

「すごい寝汗……そこまでして寝たいの?」

 汗でビッショリになったスバルのパジャマを見て、ゴクリと喉を鳴らした。

(な、舐めてもバレないかな?)

 変態的な欲求を覚え、慌てて首を振った。

 スバルの肩に触れ、揺らした。

「ほら、起きて! 天地さんからメールが届いてるわよ!」

「メール?」

 ようやく観念したのか、スバルはショボショボの目を擦り、起き上がった。

 ミソラも安心した顔でスバルのハンターVGを渡した。

『緊急事態発生! すぐに来てくれ! 後、この事はあかねさんには黙っててくれ。天地マモル』

「……」

 また、なにかしでかしたのかとスバルは呆れた。

 念のためミソラの身体に軽くタッチした。

「キャン♪」

 嬉しそうに鳴くミソラにスバルは頷いた。

「異常はないみたいだね?」

「私も自分で自分を調べたから、問題ないよ……」

 ミソラも微妙な顔をした。

 なぜか、天地&宇田海の実験はいつも、関係のないミソラに被害が及ぶことが多かった。

 前に子供になってしまったときは本気で将来を危ぶんだくらいだ。

 ベッドから這い出て、パジャマを脱ぐとミソラもカバンから、サンドウィッチを取り出した。

「すぐに来てほしいらしいし、サンドウィッチを作ってきたよ。タマゴにハムにツナとスバル君が好きそうな奴を選んだんだけど?」

「ありがとう」

 服に着替え終わると遠慮無しにサンドウィッチをつまんだ。

「うん! 相変わらず、おいしいね、ミソラちゃん?」

「そ、そう?」

 自分も念のため、味見したた。

 なんとも微妙な味でおいしいとは思えなかったが、深く考えないことにした。

「さて、すぐにって言うし、電波変換していこうか?」

「わかった」

 ハンターVGを取り出し、掲げた。

「電波変換!」

 

 

 天地研究所につくとスバルとミソラは目を三角にして、天地たちの後ろにいる少年と少女を見た。

 少年と少女は不思議そうにスバルとミソラを見た。

 スバルとミソラは天地と宇田海を睨んだ。

「なんで、熱斗くんとメイルちゃんがこの時代にいるの?」

 天地と宇田海はバツが悪そうにうなだれた。

「実は今、研究中のタイムマシンの実験を……」

「どうせ、また、くだらないミスをして起動させちゃったんでしょう!」

 図星を突かれ、二人は押し黙ってしまった。

 スバルはため息を吐き、熱斗に近づいた。

「久しぶり。この時代じゃ、初めましてだね?」

「ん? お前、誰だ?」

「あ、ああ! この姿は初めてだっけ?」

 ハンターVGを取り出し、スイッチを押した。

「ウィザード・オン!」

≪なんか、本当に久しぶりな出番な気がするな?≫

「ウォーロック!?」

 驚きを露にし、熱斗はスバルを見た。

「じゃあ、お前、星河スバルか!?」

「そうだよ。久しぶり。クロックマン事件以来だね?」

「懐かしいな! って、ことは後ろの女の子は?」

 ミソラも丁寧に頭を下げた。

「響ミソラです。私もこの姿じゃ初めましてだね。あの時は助かりました!」

「なんのなんの、困ったことがあったら、この光熱斗さまに任せなさい!」

「もう、熱斗ったら、また、調子に乗って!」

 ケラケラ笑う熱斗にメイルはため息を吐いた。

「私も久しぶり。へぇ~~……未来の人たちの格好も、私たちと大差ないんだね?」

≪ミソラちゃん、久しぶり!≫

 メイルのPETから、ロールの声が聞こえ、ミソラのハンターVGからハープが現れた。

「ポロロン♪ お久しぶり。未来の世界で会えるなんて、ちょっと、詩的な気分で素敵ね?」

「……」

 熱斗は物珍しそうにウォーロックとハープを見た。

 天地を見た。

「ねぇ、天地さん! 俺たちのロックマンやロールちゃんもこういう風に実体化できないかな!?」

「え……ちょ、ちょっと、難しいかな? 僕の知る限りだと、PETの解釈とウィザードの解釈は似てるようでちょっと違うから」

「そうか」

 ガッカリする熱斗にロックマンが優しく微笑んだ。

 きっと、ロックマンも現実世界で熱斗と会えないことにガッカリしたのだろう。

「それで、天地さん、ボク達を呼んだ理由って?」

「しばらく、熱斗くんとメイルちゃんをこの時代を案内してやってくれないかな? 元の時間に戻すには時間がかかるから、その間の暇潰しに?」

「ボクは構わないけど、ミソラちゃん?」

「私もオーケーだよ! メイルちゃんとは一度、ちゃんと話したかったし!」

≪私もミソラちゃんやハープといっぱい、お話したわ!≫

「ありがとう、ロールちゃん!」

 早速、女子会ムードを作る四人にスバルと熱斗はテレ臭そうに笑った。

「どこに行きたい? どこでも案内するよ?」

「そうだな。うまいところとか、いっぱいある場所かな!」

≪熱斗くん。もっと、風光明媚なところに行かないと勿体無いよ!≫

「ちぇっ……ロックマンは相変わらず硬いな」

 二人のやり取りにスバルはクスクスと笑った。

「じゃあ、ロッポンドーヒルズに行こうか? 一番、この時代を理解できる場所だと思うし?」

≪そうだね。この時代の文化を一番身近に感じるなら、街を見るのが一番かもしれないし≫

「なんだよ、ロックマン……俺の意見は却下したのに、スバルのいうことは聞くのかよ?」

≪熱斗くんは食べたいだけでしょう。スバル君は自分たちの時代を知ってもらう機会を作ってくれたの!≫

「はいはい。ロックマンは相変わらず、いい子だね?」

≪熱斗くん!≫

 全員、おかしそうに笑った。

「じゃあ、行こうか?」

「うん!」

 

 

 ロッポンドーヒルズにつくと、熱斗とメイルは恐ろしげな顔で何メートルもある地上を眺めた。

「未来じゃ、こんなのが多いのか?」

「ここが特別というのもあるけど、割かし、空に浮かぶ地上はないことはないよ。ドンブラー湖でも、あるし」

「ひゃ~~……さすが未来」

「ちょっと、私たちの時代じゃ考えも突かない乗り物や建物が多くって、異世界に来た気分ね?」

 メイルも感心した顔で頷いた。

 ミソラがメイルの手を引っ張った。

「そんな事よりも、パフェを食べよう? 実はここ、ジャンボパフェが売ってあって、すっごくおいしいんだから!」

「え、パフェ!? 食べたい食べたい!」

≪メイルちゃん、ダイエット中じゃなかったっけ?≫

 心配そうにロールが話しかけた。

「今日は特別よ! 未来のパフェなんて、滅多に食べれるものじゃないし!」

「スバル君、お金!」

「ボクにタカるなよ」

 といいつつ、財布を取り出し、お金を渡した。

「ありがとう!」

 お金を受け取るとミソラはニコッと笑った。

 熱斗が惚れ惚れとした顔で微笑んだ。

「ミソラちゃんは素直で可愛いな。どこかの意地っ張りとは大違いだぜ!」

 メイルの耳がピクンッと動いた。

「ちょっと、熱斗! 意地っ張りって、誰のことよ?」

「え、そ、それは……」

 いきなり目くじらを立てるメイルに熱斗は困った顔をした。

 ロックマンもスバルも呆れた顔でため息を吐いた。

「確かにミソラちゃんは可愛いけど、比べるなんて酷くない!? 私だって……」

「大丈夫だよ、メイルちゃん」

 なだめるようにスバルは割って入った。

「メイルちゃんは可愛いよ! うん、ミソラちゃんにだって、負けてない!」

 ミソラの顔がカチンッとなった。

「スバル君! それじゃあ、私が可愛くないみたいな物言いね!?」

「え……?」

 いきなり怒り出すミソラにスバルは困惑した。

 ロールが同意した。

≪二人とも酷いわ! 女の子を比べるなんて! ロックもそう思うでしょう?≫

≪俺は人間の美的感覚なんて、知らねーよ!≫

≪ウォーロックに言ったわけじゃないわよ!≫

≪みんな、落ち着いて!?≫

「もういい!」

 ミソラは熱斗の腕を掴み、メイルはスバルの腕を掴んだ。

「どうぞ、私は熱斗くんと楽しくデートするから、邪魔しないでね!」

「熱斗もミソラちゃんと楽しくデートしててね! 私も十分楽しむから!」

「あ、おい、メイル!」

「ミソラちゃん、なんで、怒ってるの!?」

 スバルと熱斗は連れて行かれた。

 その様子を電波ロードの上でウォーロックとロックマン、ハープとロールは呆れた顔で眺めていた。

「どうする、あの四人?」

 ハープの興味無さそうな声にロックマンもため息を吐いた。

「あの二人がケンカするのはよくある話だよ」

 ロールも頷いた。

「もっと素直になればいいのに」

 ハープがヤレヤレとした顔をした。

「ミソラも嫉妬深いのも直さないとね?」

「ところで、俺たちはどうするよ。アイツらについていっても、ろくなことにはならないだろう?」

 ウォーロックの言葉にロックマンも頷いた。

「どうせ、すぐに仲直りするだろうし、ウォーロック、悪いけど、この世界の電波空間を案内してよ!」

「あ、私もそれは興味ある! 現実世界に近いこの電波ロードで未来体験した!」

 両手を合わせてキャンキャンとハシャぐロールにハープも微笑んだ。

「じゃあ、私たちはあの子達が仲直りするまで、電波ロードを案内しましょう?」

「ついてきな!」

 

 

 近くの甘味屋で杏仁豆腐を頼む(お金はスバル持ち)とメイルはぷりぷり怒った顔でスバルに愚痴を零していた。

「本当、熱斗はデリカシーがないのよ! いつも口を開けば、憎まれ口を叩いて、本当に可愛くない!」

「そ、そうだね?」

 すでに三杯目になる杏仁豆腐にスバルは自分の財布をチェックした。

(なんとか、怒りを納めてくれないと、ボクが破産する……)

「それだけじゃないわよ! 熱斗ったら、前に私が美容院で失敗して、髪がカールになったとき、笑ったのよ! 酷いでしょう?」

 四杯目に突入し、スバルは慌てて頷いた。

「う、うん! それは熱斗くんが全面的に悪い!」

 だから、これ以上暴食しないで~~……

「それは私はミソラちゃんみたいに可愛くも素直じゃないわよ……」

 急に食べるのをやめ、メイルはテーブルに突っ伏した。

「聞いたわよ。ミソラちゃんって、アイドルなんだって?」

「ま、まぁね」

 いきなりテンションを下げるメイルにスバルは戸惑った。

「私もアイドルとかになれば、熱斗の見方も変わるのかしら?」

「……それはどうかな?」

「え?」

 顔を上げるメイルを認め、ニコッと笑った。

「ボクはむしろ、君たちの関係が羨ましいな」

「なんで?」

「ボクとミソラちゃんはあんなに楽しそうにケンカしたことないから」

「楽しそう? 私と熱斗のケンカが?」

「ボク達がケンカになるといつも、お互い不安になって、陰口なんて叩けないよ」

「不安になる。あんなに仲がいいのに?」

「ケンカするほど仲がいいって言うでしょう? ボク達はケンカするとお互いの関係の戻し方に苦労するんだよ。だから、君たちが羨ましい」

「……」

 

 

 ミソラに連れられ、熱斗はジャンボパフェを奢らされていた。

「それはメイルちゃんは可愛いわよ! 明るいし、近寄りやすい雰囲気もあって、同じ女の子として憧れるけど、比べるなんて、酷くない!?」

「あ、ああ……そうだな?」

 ジャンボパフェと同時にメロンソーダも追加され、熱斗は心の中で泣いた。

(ただでさえ、金欠なのに、このままじゃ、破産だ! 助けて、ロックマン……いや、彩斗兄さん!)

 心の中で兄に助けを求めるが本人たちは電波ロードでデート中なため、弟の叫びなど聞こえるはずもなかった。

「まったく、熱斗くんとメイルちゃんは仲がよくっていいよね?」

「そ、そうか?」

「そうだよ! スバル君なんて、私が怒るとすぐ自分が悪いって感じで謝って、私のこと責めないもん」

「責めてほしいのか?」

「ケンカするほど仲がいいっていうでしょう? 私もスバル君とケンカするほど仲が良くなりたいのよ。でも……」

 ムー帝国事件を思い出し、胸がキリキリと痛んだ。

「やっぱり、ケンカはしたくないな」

「いいんじゃないか、それで?」

「え?」

 熱斗はニカッと笑った。

「俺から見たら、ミソラちゃんのほうが羨ましいぜ。だって、あんなに仲のいいカップルを見せられたら、こっちが場違いに思えてくるからな」

「ば、場違いって……」

「バスの中、当たり前に隣同士で座っただろう。俺とメイルなら、気恥ずかしくってできねーよ。だから、俺から見たら、お前たちのほうがずっと、進んでるぜ」

「進んでる……」

 ちょっとマジマジと熱斗を見て、聞いた。

「やっぱり、メイルちゃんのこと」

「い、いいから、それ食ったら、仲直りしに行くぞ! 俺たちは一日しかここにいられないんだ。時間は無駄にできない!」

「うん!」

 ペロリと舐めるようにジャンボパフェが消え、熱斗は恐怖した。

(女の子って、どんな身体してるんだ?)

 自分の腹回りよりも遥かに大きなパフェがミソラのお腹の中に消えたと思うと、自分も食われるんじゃないかと恐怖した。

 

 

 同じタイミングで四人はロッポンドーヒルズの入り口の前で鉢合った。

 ミソラもメイルもまたムクれた顔でそっぽを向いた。

 熱斗も意固地になったのか、同じように顔を背けた。

 スバルは困った顔で頭をかいた。

(参ったな~~……さっきまで、仲直りしようという雰囲気だったのに)

 スバルとしては早くミソラと仲直りして、四人で遊びたいのだが、肝心の三人は、まだへそを曲げていた。

(なにか、共通の目的をもてれば、たぶん……っていうか、暑い)

 さっきまでクーラーが効いていたロッポンドーヒルズが急に熱を持ったように暑くなってきた。

 スバルはアゴを伝う汗を拭い、ビジライザーをかけた。

 電波ウィルスが電波くんを苛めているところを見つけた。

 三人も暑くなったのを感じたのか、少し息苦しそうにした。

「ミソラちゃん、電波くんがウィルスに襲われてる!」

「え?」

 首を左右に振るミソラに自分のビジライザーをかけてあげた。

「あ、本当だ! 早く、助けないと!」

 タイミングを見計らったようにウォーロックとロックマン達が帰ってきた。

 ウォーロックとロックマンはなぜか、ぷりぷりしていた。

「あ~~つまんね! 弱すぎて、張り合いがない!」

 ロックマンも同意するように頷いた。

「レベルが低すぎるよ。熱斗くんのオペレーティング無しでも勝てちゃった」

 ロールとハープは苦笑いした。

「アンタ達が強すぎるだけだと思うけど……」

「ロック、よく帰ってきてくれた!」

「お、なんだ、スバル? まだ、仲直りしてなかったのか?」

「電波変換するよ!」

「お、おお!」

≪熱斗くん、回りの気温がかなり上がってるよ。どうやら、冷房システムがウィルスに襲われてるみたい、ボク達も出るよ!≫

≪メイルちゃんも手伝って! ロックとウォーロックだけじゃ、捌ききれないほどの数があるから!≫

「わ、わかった!」

 メイルも頷き、ミソラもスバルの顔を見て、頷いた。

「ハープ!」

「了解!」

 ウォーロックとハープの身体がスバル達の身体の中へと吸収され消えていった。

「電波変換! 星河スバル! オン・エア!」

「電波変換! 響ミソラ! オン・エア!」

 二人の姿が光となって消え、熱斗は仰天した。

「スバルとミソラちゃんが消えた!?」

≪熱斗くん、スバル君たちは電波になったみたい、ボク達もウェーブ・インするよ!≫

「わ、わかった! ロックマンエグゼ! トランスミッション!」

 メイルも慌てて追った。

「ロールエグゼ! トランスミッション!」

 電波空間に乗っかったロックマンとロールを認め、ロックマンに電波変換したスバルをミソラに見た。

「サポートお願い。ハープ・ノート!」

「う、うん!」

 どこか歯切れの悪い返事をするミソラに現実世界の熱斗とメイルもどこか歯切れを悪くしていた。

「あ、足を引っ張るなよ?」

「そ、そっちこそ、調子に乗って暴れまわらないでよ!」

 電波空間を暴れまわるウィルス達と交戦が始まった。

 一体一体はスバル達の足元にも及ばないザコばかりだが、いかんせん、数が多すぎた。

 気持ち悪いくらいに敵が多く、スバルは以前、ゴン太の家を占領していたウィルスを思い出した。

「バトルカード! レーダーミサイル!」

 上空からいくつ物のミサイルが落ち、ウィルスを駆逐した。

「プラグラムアドバンス! ゼータキャノン!」

 強力なキャノン砲に一掃されるウィルスを見て、熱斗は拳を握り締めた。

「ヤリィ!」

「熱斗、油断しないで!?」

 メイルの叫びに熱斗も気付いたように叫んだ。

「ロックマン危ない!」

「ッ!?」

 背中に攻撃をくらいそうになり、ロールが身を挺して守ってくれた。

「ロールちゃん!」

「ロール!?」

 ロックマンとメイルは顔を真っ青にした。

「このよくも!」

 熱斗も怒りを爆発させ、バトルチップを入れた。

「バトルチップ! リカバー!」

「え……?」

 攻撃系チップじゃなく、回復系のチップを使われ、メイルは意外そうな顔をした。

 ロールの傷が癒え、熱斗は叫んだ。

「ロールちゃんをログアウトしろ! これ以上は危険だ!」

「で、でも……」

「大丈夫だって! 俺を信じろ!」

「……うん、わかった」

 PETにロールが帰り、メイルはホッとした顔をした。

「後は俺に任せろ! 絶対にこの事件、解決するからよ?」

「うん! 信じてるから!」

「任せろ!」

 スバルもようやく安心した。

(雨降って地固まるかな?)

 ドンッと背中に強い衝撃が走った。

「ぐあぁぁ!?」

 遠くに吹き飛ばされ、転がるように電波ロードの上に立ち上がった。

 スバルの目がビックリした。

「残留電波体!?」

 そこにはかつて戦ったファントム・ブラックがいた。

 目には生気が宿ってないところを見ると、ファントム・ブラックが残した残留電波が形になったものだろう。

 通常の電波体と違って、生死の解釈がないため、残留電波体の攻撃はかなり激しく、ものによってはかつての敵よりも強い電波体も多い。

 しかも、油断したとはいえ、背中を打たれ、スバルは身動きが取れなくなってしまった。

 ロックマンも助けに行こうとしたがザコウィルスに苦戦して、援護に回れなかった。

 追撃しようとするファントム・ブラックにスバルは目を瞑った。

 ファントム・ブラックの身体が真っ二つに裂けた。

「バトルカード! ロングソード!」

 残留電波体のファントム・ブラックを切り裂くとミソラは心配そうにスバルの身体を抱いた。

「大丈夫、ロックマン!? ゴメン、援護に回れなくって……」

 心の底から落胆するミソラにスバルは嬉しそうに笑った。

「大丈夫だよ……これくらい!」

 グッと立ち上がり、スバルはニヤッと笑った。

「それにザコばかり倒して、ようやく、溜まってきたからね!」

 ミソラは気付いたようにロックマンに叫んだ。

「ウェーブアウトして!」

「え!?」

「いいから早く、巻き込まれたいの!?」

「わ、わかった! 熱斗くん!」

 ロックマンをログアウトさせると、ミソラもウェーブロードから降り、叫んだ。

「いつでもいいよ!」

「なら!」

 スバルの身体が禍々しいノイズの波に飲み込まれた。

 ノイズが破壊されるとロックマンの姿が真っ赤なコンバットスーツへとノイズチェンジした。

「ファイナライズ! レッドジョーカー!」

 スバルの両肩に突いたビットが飛び出し、レーザービームを放った。

「レッドガイアイレイザー!」

 ウェーブロードを破壊しかねないビッグバンが起き、気持ち悪いまで存在していたウィルスが綺麗に消え去った。

 スバルの姿が元に戻り、ウェーブロードから降りた。

 電波変換を解除し、疲れたように膝をついた。

「スバル君!?」

 慌ててスバルを抱き起こし、ミソラは心配そうに叫んだ。

「バカ! 無茶しないでよ!」

「ふふっ……ごめん」

 

 

 天地研究所に帰ると、天地と宇田海は晴れ晴れとした顔でいった。

「やぁ、ようやく、帰りの分のエネルギーがチャージできたよ。これでいつでも帰れるよ」

「そっか……帰るのか?」

 どこか残念そうな顔をする熱斗にメイルも名残惜しそうにミソラを見た。

「今度、また私たちの世界に来れたら、観光に呼んでね? 全力で案内するから」

「こっちこそ!」

 手を握るミソラとメイルに熱斗は気恥ずかしそうに聞いた。

「お前たち付き合ってるのか?」

「ご想像にお任せするよ」

 笑顔で受け流され、熱斗は少し悔しそうに顔をしかめた。

「じゃあ、またね」

「ああ!」

 メイルの手を握り、熱斗はタイムマシンで作り上げられたタイムホールに飛び込んだ。

 タイムホールが閉じ、スバルは二人が帰ったことを理解した。

(また逢える日を楽しみにしてるよ……)

「ねぇ、スバル君?」

「うん?」

「私とメイルちゃん、どっちが好き?」

「ミソラちゃん!」

 呆れた顔をした。

 ミソラもバカなことを聞いたとテレた。

「じゃあ、これで問題は解決ですね。さぁ、タイムマシンの実験を」

 ボンッとタイムマシンがエンストしたような音を出し、煙を吹いた。

「あれ?」

 スバルとミソラはまずいと逃げ出した。

 研究所が光に包まれ、大爆発を起こした。

 天地、宇田海、他数名のスタッフ、全治一週間の大怪我。

 一面のトップを飾り、同時に実験の失敗があかねにバレ、また叱られるのであった。

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