対局後
控え室
「すまない!」
陣が土下座していた。
「あのまま守れば決勝に行けたはずなのに俺は…」
陣は沈黙してしまった。
「陣君、頭を上げてください」
「そうだ。ここまでこれたのもお前のおかげなんだ。感謝こそしても恨んだりするわけねぇよ」
「だから頭を上げてくれ」
仲間逹は必死で陣を説得した。一人を覗いては
「…納得できない…」
「「「良介!?」」」
一樹逹は良介の反応に驚いた。だが
「…陣が…あんな打ち方した理由を…話さないと …納得できない…」
「ギクッ」
陣が初めて動いた。
「確かに納得できないですね。」
「控え室を出るまではいつもと同じだったな」
「なら出てからだな」
「…話してもらう…」
陣は見上げるように周りを見た。
「話さないとダメか?」
「「「「ダメ(だ)(です)」」」」
陣は頬を書きながら語り始めた。
~説明中~
「なるほどな~」
「納得です」
「陣らしくて安心した」
「…嬉しい…」
みんな笑って陣を許した。敗退の悔しさはそこまで大きくないようだ。仲間の暖かい視線に陣は嬉しい反面、居心地悪そうであった。
会場入り口のロビーでは記者に質問されたが軽く流した。
だか陣の難関はこの後にあった。
竜華逹と合流して先程麻雀について(強制)話をさせられた。その後気づいたが、竜華が陣を避けているのだ。
怜逹に聞くが理由は話してくれなかった。
話が出来ないまま、ホテルにつくことになった。
ホテルの部屋
「竜華に完璧に避けられていたな。原因はやはりさっきの麻雀か?」
個人部屋であるため相談相手もいない。陣は対策が浮かばずに悩んでいた。散歩でもしようかと考えていると。
ノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
扉のきしむ音と共に入っきたのは怜と引きずられるように入ってきた竜華だった。
「どうした二人とも?」
「用があるのは竜華や」そういって竜華を前に押し出した。
「あっあの…」
竜華は緊張してうまく喋れない。
「ほな、後は二人で話してな」
「怜!まっ「バタン」」怜はさっさと出ていってしまった。
部屋に二人が残され、気まずい空気が流れた。
「竜華、とにかく座らないか?」
「うん」
竜華は陣の正面の椅子に座った。距離は少し空いている。
陣は黙ってまま竜華の言葉を待った。
「避けてた理由聞かんの?」
「話せるようになったら話してくれ」
「…うん」
それから十分くらい沈黙が続いた。
「陣君、隣に行ってもええ?」
「いいよ」
隣に座った竜華は陣の頬に手を触れた。
「!」
陣は予想外の事態に固まってしまった。
竜華は陣の顔を触り満足したのか手を離した。
「大丈夫やいつもの陣君や~」
安心したように大きく息を吐き出した。
「良く分からないけど安心したなら良かった」
「うちな……今日の陣君が怖かったんや」
「俺が打ち方を変えたときか?」
「うん…うちらの知っとる陣君やないって思ったら…急に怖くなったんよ。あの時の目と表情が」
「それで俺を避けてたのか?」
「それもある。でも本当はその程度のことで怖くなった自分が情けなく思えてな。なんとなく陣君に近寄れなかったんや」
竜華の言葉を聞き陣が言ったのは、
「ありがとう」
お礼だった。
「え?」
何故お礼を言われたのか理解できないでいた。
「そこまで怖がらせてしまったのに話しかけてくれてありがとう。話しかけるのもかなり怖かったろう」
そう言って竜華の頭を撫でた。
竜華は気持ち良さそうに撫でられてた。
「恐がらせたことを許してくれるか?」
「なら、怖がってしまった。うちのことも許してくれる?」
「もちろん」
「うちも許します」
二人は互いを許し合った 。
「正直、あの打ち方は二度としたくないな」
「うちは怖いからええんやけど…でも強いのも事実やん」
「確かにあの打ち方を鍛えれば俺は強くなれるかもしれない…けどそれはもう俺の好きな麻雀じゃない」
「そうやね、なら使わなくいいくらい強くならなきゃあかんな」
「死ぬ気で練習しないといけないな」
「うちも手伝うから一緒に頑張ろう!」
「そうだな!」
二人で新たな決意を掲げた。
その頃、別の部屋に他の仲間が集まっていた。
「この集まりはなんなんや?」
セーラは質問をして、怜は無言で話の流れを見ていた。
「今日の試合ね反省会だ」
「反省会なら陣と竜華も呼ぶべきやないか?」
「今回は陣君抜きで行う必要があるんです」
「…竜華と陣…話すことがある…ちょうどいい…」
一樹が深呼吸をして話し始めた。
「話し合うのは俺達の男子麻雀部の不甲斐なさについてだからな」
「不甲斐なさ?」
「そうだ。俺達は準決勝で松山高校の奴らに敗北した。全体だけでなく個人でもだ」
「なにより悔しいのは陣君にあんな麻雀を打たせてしまったことです」
「あの麻雀は私達の知る陣が嫌悪する麻雀の一つだ」
「確かに相手を本気で潰す麻雀は陣の好むところやないからな~」
「私達が弱いからそんな麻雀を陣に打たせてしまった。それが悔しくてたまらないんだ!」
薫の悔しさのあまり、壁を殴った。
「薫…落ち着く…」
「僕達は最も強くならなきゃいけません」
「その決意を新たにするために集まったんだ」
「わかった…うちらも最強くなる!なあ怜?」
「そうやな。うちらも陣の負担にならないように強くならんとな」
この後、自分逹の直すべき点を話し合うなどが行われるなど、こちらの部屋でも新たな決意が掲げられていた。
こうして強くなることを仲間全員が決意した