男子全国大会当日
陣はメンバー見回し、静かにしかし良く通る声て言い放った
「行くぞ」
「やってやるぜ!」
「…今年こそ…優勝!…」
「去年の雪辱、必ず果たします」
「私達が勝つ!」
去年のこともあり、みんなのやる気が去年の比ではなかった
一回戦は勝利し、現在二回戦を控室で待っている。
「次は相手は松山、土宮 筑波の三校ですね」
「松山か去年の雪辱、必ず果たすぜ」
「だか、他の二校は聞き覚えがないな」
「薫が聞いたことないのは無理はない。どっちも全国には最近は出てない高校だからな」
陣が答える。
「初めての相手もいる…でも…負ける気がしない…」
良介の言葉に全員が笑った。
少しして選手呼び出しの放送が流れる。
「時間だな。亮、後悔しないように打ってきな」
「はい!行ってきます」
亮は控室を出ていった。
「今回は亮も今の全力の出すだろうな」
「私達の一年間の成果を見せるには松山はこれ以上ない相手だからな」
言った一樹も同意した薫も目に決意が見えた。
先鋒戦開始
亮はいつものように流れに隠れて麻雀を打った。しかし他家もすぐに対応してきた。
「三校とも対応してきたな。だが、本番はこれからだな」
陣は平然としていた。
流れに身を隠していた亮が突如流れの中に表れた。それに気づいた他家は亮を狙おうと動いたが何故か亮を捉えるられないでいた。
「初まったな亮の《イリュージョン》が…今、流れの中に見えている亮の打ち筋は本物か、それとも偽りか」
陣はテレビを見ている。
「陣、念のために説明頼む」
一樹はいつもように陣に説明を頼んだ。
「ふぅ~了解だ。亮の新たなスタイルは流れの中に偽りの幻想(イリュージョン)を作るものだ。他家は亮の動きが見えているのに、いざとらえようすると、すり抜ける。相手にしてみれば訳がわからないだろうな」
「流れを読み、操ることを追求した。亮ならではのスタイルだな」
薫は頷いていた。
「亮の打ち筋の中には真実と偽り混ざり合っていて見分けがつかない。その上、偽りに翻弄されて下手なことしようものなら、術中にはまって、手痛い一撃をもらうから、さらに質が悪い」
「うわぁ~改めて聞くと質悪いな」
陣の説明を聞いた一樹の顔はは少しひきつっていた。
「…敵にしたくない…」
仲間にも恐れられる亮であった。
他家は亮の幻想に、はまり隙だらけになったところを攻められ削りとられ大差をつけて先鋒戦を終えた。
先鋒戦終了
「戻りました」
「…亮…どうだった?」
「楽しかったですし、雪辱も晴らせました。ただ…」
「どうしたんだ?」
「先鋒が去年の方と違っていたのが残念です」
松山の先鋒は去年と違っていたのである。
「それは仕方ないさ」
薫が亮の肩を叩いた。
「薫君、後は頼みます」
「任せてくれ、私も一年間の成果を見せつけてくるさ」
次鋒戦開始
「薫君のあれ楽しみですね」
「そうだな。本人も使う気満々のようだ」
「あれを完璧防げるのは陣君だけですからね」
「一樹の防御力を持っても互角だからな」
東三局になってからテレビが急に騒がしくなった。
「出ましたね」
薫の新スタイル、神業のように相手の隙を見つけ、瞬時に重い一撃叩き込み点を削りとる技術。
「直撃を受けた土宮の人、呆然としてますね去年のパイプを見て攻撃を防げると思ったんですかね」
「どんな麻雀スタイルにも隙はある。薫はその隙に見逃さずに叩き込んでくる。やられる方にしてみれば不可避の速攻に感じるんだろうな」
「気づけないからこその隙ですし。自覚できてもすぐに直せるものではないですからね」
陣と亮の会話を聞いて一樹と良介は頷いていた。
「最近では俺や亮だけでなく良介の隙も、とらえられるようになってきたからな」
「…たまに…防げない」
一樹と良介の発言からも薫の強さがうかがい知れた。
薫はその後、他家に一撃ずつ叩き込んだところで対局が終了した。
次鋒戦終了
「薫…お帰り…」
「ただいま、良介」
「どうでしたか対局は?」
「思ったより楽だったな。何故だろう?」
薫は首を傾げていた。
「それだけ、薫が強くなったと言うことだ」
「陣…そうだな。だが慢心しない!」
「…それでこそ…薫…」
中堅戦の呼び出し放送が流れた。
「次は俺の番」
「行ってきな」
「ああ」
一樹はいつもとは明らかに違う冷静さを纏い、控室を後にした。
中堅戦開始
「一樹君、いつもと明らかに違いましたね」
「…少し…怖かった」
「別人のようだったな」
亮、良介、薫は一樹の様子に戸惑っていた。
「無理もないな」
「どういうことだ。陣」
「去年の敗退をもっとも気にしていたのは一樹だからだ」
「一樹君が?」
「去年の大会で松山との点差がもっとも広がったのは一樹の中堅戦だ。あいつはそのことをかなり気にしていた」
「……続きを…」
「だからこの一年間、一樹は俺の地獄の練習を、ここにいる誰より多くこなした。守りのスタイル上、弱点の克服は一番 難しかったが一樹はそれに成功した。これから見れるのがその努力の成果だ」
試合が初まって南二局まできたが一樹に打ち筋に妙な動きが見られないでいた。
「…陣…」
「なんだ良介?」
「…一樹の新技ってなに?」
「僕も良くわかりません」
「私は何となくわかるが説明をたのむ」
「まあ、分からないのも無理はないか…点数を良く見てみな」
陣の言われて点数を良く見てみた。
「…最初より…二位との点差…大きくなってる?…」
「だか、一樹の点が大きく増えているわけではないな。どういうことなんだ陣?」
「一樹の新しい技は周りの動きを制限するタイプのものだ」
「制限ですか?」
「一樹の真髄は鉄壁の守りあるのは知っているだろう?」
「…うん…」
「それを自分でなく相手に使うだ」
「なるほど!」
一樹は自分ともう一人に(今回は4位)を鉄壁で張っている。
そうすると一樹と張られたもう一人は鉄壁に守られていて攻めるのが難しかしくなる。そうなると自然と激化するのは残りの二人は争いとなる。
二人は両者以外に〈一樹に守られているもう一人〉からも狙われるようになるので点が削られやすく精神的にも辛くなる
結果、一樹はたいしたリスクを負うこなく他家との点差を広げたり、ちじめたりすることができる。たとえ、相手が制限されていることに気づいても一樹の壁はそう簡単に崩せるものではないので攻撃しても破れなかったときのリスクもかかってしまう。
「便利で面白いスタイルですね」
「…団体戦向きの能力…」
「その分完成にかなりの時間がかかったな。今の形なったのは今年の予選大会のすこし後くらいだ」
「そんなにかかったんですか!?」
「鉄壁を相手に張るのは自分に張るより遥かに難易度が高い、それに加え他家に鉄壁を張っているのを気づきづらくする技術なども必要。あのスタイルは色んな技術があって初めて完成する高等スタイルなんだ」
一樹はほとんど上がっていないのに二位と点差はどんどん広がっていった。
中堅戦終了
「お疲れ様です。すごい新スタイルですね。一樹君」
「………」
「…一樹?」
「よっしゃ~!去年の雪辱を晴らしたぜえ~」
黙っていると思ったら突然大声を上げた。
「やったぞ~」
「すっすごい喜びようですね」
「まあ、今日くらいは喜ばせてやるか」
一樹はその後も5分くらい喜び続けた。