千里山 武田信玄と呼ばれた男   作:yuzinn

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刀と鞘

準決勝を勝ち進みんだ陣逹は残すところ決勝のみとなった。

あまりの圧倒的勝利に麻雀記者逹の内には男子千里山高校が去年、一昨年の優勝校、氷橋校を倒せるのではないかという話が出てきくるほどであった。

 

控室

 

陣逹はまだ控室にいた。

 

「さてと、ホテルに戻るぞ」

 

陣の呼び掛けに一樹逹は心底嫌そうな顔をした。

 

「陣、もう少し待ってくれ」

 

「俺はまだ、心の準備が…」

 

「…出たくない…」

 

「私もまだ…」

 

余程嫌なのか、決勝進出校のレギュラーがなんとも情けない状態である。

 

「はぁ~いくら待っても記者はいなくならないだから、さっさと行くぞ。」

 

その後、なんとか説得して控室を出た。

 

ロビー

 

入り口で予想通り記者に囲まれることになった。「決勝への意気込みを」「可能なら簡単な会見を」など揉みくちゃにされていると。

 

「少し失礼します」

 

赤い髪の大男が出てきた。

記者逹は驚愕している。その男は陣逹の決勝の相手にして、氷橋高校の部長、天宮 王季とそのレギュラーであったからだ 。

 

「俺は氷橋高校の大将を務めている天宮だ。よろしく頼む」

 

威厳と風格に満ちた。大将と呼ぶに相応しい男である。

 

「千里山高校の部長兼大将をしている成瀬です。こちらこそよろしくお願いします」

 

両部長が握手をする。

 

「それでどういったご用件ですか?」

 

「今回は挨拶に来ただけだ明日対局する強敵の君達に」

 

「優勝校の部長さんにそう言ってもらえますとこちらとしても喜ばしいです。」

明日は悔いが残らないよう、全身全霊で君達にぶつかるつもりだ。君達も全力で我々の相手を頼む」

 

「わかりました。俺達も持ちうる全ての力で挑ませもらいます」

 

「その言葉を聞けただけで、挨拶をしたかいはあった。それでは失礼する」

 

「俺達も明後日の試合を楽しみしています」

 

両部の部長にして全国の怪物同士の挨拶は終わった。

 

「俺達も行くぞ」

 

記者逹に十分貴重な写真が撮れたのかその後はしつこくなかった。

 

 

ホテル(陣の部屋)

部屋には全員が集まっていた。

 

「それにしても氷橋の部長、凄い威厳でしたね」

 

「確かにあれでまだ私達と同じ高校生なのが信じられないな」

 

亮と薫は天宮を見た感想をのべていた。

 

「そんなにすごかったんかその人?」

怜は直接見ていないのでいまいちその凄さがわからないようだ。

 

「…後ろから後光が見えそう気がした」

 

「それはもう高校生以前に人間かどうか怪しいやけど」

 

良介の説明に竜華は苦笑いを浮かべた。

 

「陣はどう思ったんや」

 

「そうだな・・後光は言い過ぎだが、そう言われるくらいの実力は持っていると思ったな。対局するなら勝つか負けるかが全く予想できない」

 

陣の下した評価はそれほどまでに高かった。

 

「陣にそこまで言わせる人間がおったのが驚愕や」

 

陣は相手を過大評価も過小評価もしないのでその評価事態が天宮の実力を物語っている。

 

「だけど…」

 

「だけど?」

 

「あの人と全力で戦ってみたい心の底からそう思っている」

 

陣の目は今までの見たことないくらいギラギラしていた。

 

「うわ~すごいやる気だ」

 

「こんな闘争心溢れる陣君初めて見ましたよ」

 

長年の付き合いである一樹と亮でも見たことないくらい陣の闘争心にはすごいものがあった。

 

「あかん、近くにおるだけやのに震えがきそうや」

 

あまりに闘気に体の弱い怜は少しつらそうであった。

 

「陣くん」

 

「なん!?」

 

竜華は陣の頭を自分の胸元に抱き寄せた。

 

「試合を明後日や、まだ闘争心剥き出しにするのは早いで、少し落ち着こう」

 

竜華は陣の頭を撫でながら幼子に言うように言い聞かせる。

そうしてると漏れだして陣の闘気が静まっていく。

完全に静まった時点で陣は竜華から体を話した。

 

「もう大丈夫だ竜華。ありがとう」

 

「落ち着いてくれたらええんや♪」

 

竜華の活躍により陣に平常心が戻った。

 

様子見守っていたメンバーも一息ついた。

 

「お手柄やで、竜華!」

 

「ふぅ~竜華が陣の恋人になってくれて助かった~」

 

「今回の闘気は僕達でもきつかったですね」

 

「私なんか少し震えてしもうた」

 

「…すごかった…」

 

「本当に感謝する」

 

怜以外にもダメージはあったようでみんな竜華に感謝した。

 

「そっそこまで感謝されるとなんや恥ずかしいな」

 

「陣を抜き身の刀とするなら竜華は鞘だな」

 

薫の言葉にみんなが頷いた。

 

「悪いな。久々に自分を抑えきれなくなった」

 

陣は申し訳なさそうに謝罪した。

「それほどの相手何やろ? 次から気をつけてけもらえればそれでええ。なあみんな?」

 

竜華の言葉に全員が頷く。

 

「ありがとう」

 

「この話はここで終わりや。あとは男子千里山の決勝進出祝って騒ごうや!」

 

セーラが話の流れを変える。

 

「そうだな!準備はしてある騒ぐぞ!」

 

宴会の準備をして飲み物も行き渡る。

 

「それじゃあ陣くん」

 

「了解。男子千里山の決勝進出と活躍を願って。乾杯!」

 

「「「「「「「「乾杯 !」」」」」」」」

 

その日は夜中まで騒ぎ全員が陣の部屋で寝ていた。

 

決勝戦まであと二日

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