男子個人戦では陣は 準優勝であった。
1日目、2日目と食い下がってくる者もいたが合成技で粉砕し暫定1位となるなど調子は絶好調であった。
最終日も苦戦しながらも順調に勝ち続けた。しかし最終対局で天宮と対局し、点を削り合う激闘を繰り広げることになった。結果、天宮には勝利したが、それまで総合2位だった國松に逆転され準優勝となった。
この結果に誰もが陣が悔しがっていると思った。しかし意外なことにとうの本人は平気そうな顔していた。 陣としては団体戦が本命であり、個人戦はただの腕試しであるのでそこまで気にしていないのだ。唯一の目的である天宮とのリベンジ戦も果たされたので心残りはないということなのだろう。
閉会式を終わらせてメンバーと合流するためにロビーに急いだ。
ロビーに記者はいたが適当に相手してさっさと済ますつもりでいた。だが今回はそうはいかなかった。
「待ってたぜ成瀬 陣」
一人の男が記者と一緒に待っていた。
「あんたは1位の…」
その男は優勝者である茅町高校2年 國松 勝吾であった。
「國松 勝吾だ。あんたに宣言したいことがあって待っていた」
「宣言したいこと?何かあったか?」
陣は國松の宣言されることに心当たりがない。そもそも陣は國松とは対局していないので話すのはこれが初めてである。
「俺の宣言は宣戦布告だ!来年こそ貴様に勝ち、完全な優勝を手にするためのな」
宣戦布告と同時に後ろの記者逹からカメラのフラッシュが焚かれる
「いや勝つもなにも優勝したのはアンタだろ(意味がわからん)」
本気で困惑している陣をそのままに話は続く。
「確かに優勝したのは私だ、だがそれは貴様と対局しなかったから得られたものだ。私は貴様の方が実力は上だと思っている。故に納得していない!」
「はぁ(暑苦しい奴だな」
「だから、来年こそ貴様と対局し勝利し、優勝者を名乗るだ。この宣戦布告を受けるか!成瀬 陣!」
「(面倒だが受けないわけにはいかない、か)わかった。その宣戦布告を受けよう」
記者がここまでいる中で拒否するのは千里山高校の沽券に関わるの可能性があるので(内心いやいやながらも)宣戦布告を受けた。
「そうか…なら私の要件は終りだ。失礼する」
國松は去っていった。
「(ようやく終わったか、あとは…)」
目の前にいる餓えた獣(記事に成りそうな内容を与えられた記者)を見て内心ため息をついた。
この後、陣は記者に取材と言う名の拘束を受けるはめになった。
「おっお疲れさまや陣君」竜華
「見事にやつれとるな」怜
取材から解放され竜華逹と合流を果たした陣は合流と同時に力尽きた。椅子に座る姿はかの有名なあ○たのジョーように真っ白になっていた。
「完全に燃え尽きとるな」
怜が顔をつつくが反応なし
「遠目から見てもすごかったですからね」
それほど記者の群がりようはすごかったのだ。結局ホテルに戻れるようになるまでに40分の時間を要した。
ホテルに戻ると陣はベットに再度崩れ落ちる。送ってきた一樹と良介は
「かなり疲れてるな」
「…打ち上げは…夜だから…休んで」
「りょう…かい」
そう言い残し、意識を手放した。
数時間休んだ後、陣は目を覚ました。
「今は…7時か」
時計を確認しながら起き上がる。打ち上げの集合時間は7時半なのでそろそろ準備する必要がある。
「起きるか」
準備をしていると扉がノックされ竜華、怜、セーラが入ってきた。
「なんや、起きてたんか」セーラ
「準備中ってとこやな」怜
「おはよう陣君」竜華
「三人ともおはよう。亮逹は?」
「良介と一樹は予約した店に先に向かったで、薫と亮はそろそろ来るはずや」怜
「了解、すぐに準備する」
その後、亮逹とも合流して予約していた焼き肉店に向かった。
「それでは男女の準優勝を祝って乾杯!」
「「「「「「「乾杯」」」」」」」
陣の掛け声で打ち上げが始まった。
「しっかし、千里山は準優勝ばっかりだな」
一樹の言う通り男女団体、男子個人は全て準優勝というある意味、奇跡的な順位である。
「確かに奇跡的だ」薫
「どれもあと一歩なのが悔しいところですね」
「来年優勝すればええんや!」セ
「そのためにはうちらももっと強くならんとあかんな」怜
「…カルビおかわり」
一樹逹が来年の話をしている中、良介は順調に食べ進めている。
「あっ肉がもうねぇ、俺もハラミ三人前!」
「うちも食べるでタン塩おかわりや!」
肉の争奪戦が始まったなんとも騒がしい奴らである。
一方の陣は自分と竜華、怜の分を確保にしながら食事していた。
「ありがとうな♪」
「おおきに」
「気にするな、あの中から取るのは二人はきついからな」
前方で行われるいる争奪戦は無駄に壮絶である。
「私としては陣があの中から取れているのが不思議や」怜
「武術をやっている俺としてはあいつらの箸の動きを読むくらい楽にできるからな」
「なんや武術の無駄使いやな」怜
「もう、慣れた」
「あはは」
怜の指摘に苦笑いする竜華であった。
食事が一段落ついたところで陣は先のことを考え始める。
「これからは面倒事が少ないといいだがな」
「面倒事は起きるのは前提なんやね」
「準優勝した上にあの宣戦布告たぞ、確実に起こるだろ面倒事」
「確かに」
確かにあれなら優勝並に 陣は注目されることになるだろう。
「それを考えるとブルーな気持ちになるな」
「大丈夫やで、陣君にはうちが付いとる。ブルーな気持ちになったら、うちが慰める」
胸を張る竜華
「頼もしい彼女がいて俺は幸せだな」
二人で笑いあう。
その後はテンションの上がり過ぎてやかましくなった一樹とセーラを(実力で)静かにさせたり、 食べすぎて動けなくなった亮を怜が介抱したり、寝てしまった良介の面倒を薫が見たりして過ごした。
こうして二年目の大会は終わりを迎えた。
来年は更に壮絶で面倒な大会に成りそうである。