あと一話書いたら、3年生偏に入ろうと思っています。
放課後の女子麻雀部の部室、ここに陣は訪れていた。
「企画書はこれでよし。後は顧問に提出して許可を貰うだけだな
」陣はコーヒーを飲みながら一息つく。
「うん。これが両部の刺激になればええんやけどね」竜華
陣、竜華は男女の麻雀部で行う新しい企画を考えていたのだ。そんな中、扉か開く。
「失礼する。成瀬はいるか?」
挨拶と共に男子麻雀部の顧問が部室に入ってくる。陣を探しているようだ。
「はい、ここにいますけど、どうかしましたか?」
声をかけると近寄ってくる
「男子麻雀に手紙が届いているぞ」
手紙の封筒を渡してくる。
「こんな時期に誰からだ?
」陣は手紙の封筒を裏返し、送り主を確認しようとする。
「どうしたんですか?」
「手紙、誰からや?」怜
一緒に来ていた亮も近づいてくる。
「送り主はっと、っ!」
送り主を見た陣は左手に持っていたコーヒーの缶を握り潰した。幸い中身は半分以下だったので被害は少ない
「陣君、どうしたんや!?」
竜華は心配そうに聞いてくる。
周囲は、「あれ、スチール缶ですよね」「片手で握り潰しであの人」「どんな握力してるでしょう?」「見かけはそこまで力があるように見えないですが」
陣の心配よりスチール缶を握り潰してことへの反応が大きかった。
「白糸台だ」
「え?」
「なんやて?」
もう一度、先程より大きめに言う。
「手紙の送り主は白糸台高校麻雀部だ」
「………」「…………」「……」周囲は無言で固まる。
「えっえ~とそれ男子麻雀宛で間違いないん?」
いち早くすこし冷静さを取り戻した竜華は聞く、しかし声は少し震えている。
「間違いなく俺逹の宛だ」
中身を読み。断言する。
「内容は?」
「…練習試合の申し込み」
そうつげると。
「ええ~!」「女子ならなんとか解るけど、何故に男子!?」「もうわけわかんない!」
予想の斜め上をばく進するような送り主と内容にパニクル周囲。
「みんな落ち着きい」
「そうですよ。冷静になりましょう」
竜華や亮が必死に宥める。落ち着てからの部室内は先程と真逆の静寂に包まれた。これからの会話の内容を一言一句聞き逃さないようにしているようだ。
「男子千里山に……何が狙いなんやろ?」怜
「申し込みやすいからじゃないか?」
怜の質問に予想を述べる。
「どういうことや?」
「俺達は男子麻雀部は今年の二位な上に個人戦での俺の成績も二位だ。練習試合を申し込みやすいだろ?」
「だから、それがなんで申し込みやすいに繋がるん?」
理解できずに?マークが周囲に浮かぶ。その中で一人理解した者がいた。
「体面の問題やね」
「その通りだ竜華」
陣は頷く。
「本来、練習試合は良い対戦がいない時や交流を深めることを目的に行うものだ。でも相手は団体戦全国一位にして個人戦一位、宮永照を要する白糸台高校だ。そこらの学校では練習にもならない。だからといって女子の全国クラスの高校に練習を申し込みば世間の目やマスコミが騒ぐかもしれない。ならどうすればいいと思う?」
「女子がダメなら男子にってことですが?」
自信無さげに亮が答える。
「そうだ、男子なら申し込んでもそこまで波は立たない、レベルが近ければプロとやるより、良い練習になる」
やはりレベルの拮抗した相手の方が成長に繋がりやすいのだ。
「でも、それなら男子団体戦一位の氷橋に頼めばええんとちゃうか?」怜
「言ったろ。そこは俺達が二位だからだ。一位の氷橋と対局すれば、〈頂上決戦〉だの、〈真の最強〉が決まるだので、大騒ぎになる。その点、二位の俺達ならそれがないからそこまで波風は立たない。」
「僕逹は良い練習相手になる上にマスコミも騒がず、対局出来る都合の良い相手って事ですね」
亮は納得したようだ。
「最後に各地の代表同士の練習試合を禁止するルールにも引っかからないってことやね」竜華
周囲も説明に納得したようで仕切りに頷いている。
「それでどうするん陣君?」
練習試合を受けるか否。
「部室に戻って一樹逹の意見も聞かないといけないから確定ではないが、俺は受けようと思ってる」
「僕も賛成です。こちらにとってもこれ以上ない練習相手ですからね」
亮は賛成のようだ。
「頑張ってな。応援してるで」怜
「うちらの雪辱の相手、陣君の目で確かめて来てや」
「任せてください!」
「返事もしてないのに気が早くないか?まあ、やれるだけやってみるつもりだ」
その後も気の早い応援を周囲から受けた陣と亮であった。その後、部室で一樹逹に話すと満場一致で受けることになった。 ついでにそのことを後で知ったセーラに羨ましいがられたりもした。
練習試合を受けることを白糸台につげると話はトントン拍子に進み。次の土曜日に白糸台高校で行われることになった。
そして当日、レギュラーメンバー東京行きの電車の中にいた。
「乗り換えが面倒だ~。なあ、何でバスじゃないだ?」一樹
「部費の節約だ。俺達五人が移動する為だけにバスを借りるわけにはいかないだろ」
一樹に答える陣。
「我慢しろ一樹」薫
「一樹君も良介君みたいに寝たらどうですか?」亮
「……(睡眠中)」
「いや、良介は寝るの早すぎだろ」一樹
良介は乗り換えてる度にすぐに寝ているのだ。
しばらくして白糸台高校の最寄り駅到着する。
「みんな、そろそろ起きろ降りるぞ」
陣に声で起きる一人を除き起きるメンバー逹。
「一樹起きろ」
再度呼びかけるが寝たままの一樹。
「一樹…起きない」良介が揺さぶるがやはり起きない。
そこで「面倒だから、実力で起こす。退いてくれ」
その後、一樹は陣に一撃で(苦痛と共に)起こされ、無事に降りた。
時間より早めに白糸台高校の前についた陣逹。
「予定より早いですね」亮
「遅れるよりは余程いいさ」薫
「遅れると…大変…」良介
「陣が戻ってくれば入れんだろ」
陣は門の警備員に到着を伝え、連絡してもらっている。
雑談をしていると陣が戻ってくる。
「どうでした?」
「直ぐに迎えを寄越してくれるそうだ」
「なら…まつ」
五分程で迎えが来て白糸台麻雀部部室に案内される。
「白糸台麻雀部部長、宮永 照です。本日は遠いところようこそお越しいただきました」
「千里山高校男子麻雀部部長の成瀬 陣です。こちらこそ。全国一位にお呼びいただけて光栄です。本日は胸を借りる気持ちで 全力でぶつかっていこうと思っております。よろしくお願いします」
両部の部長によると握手と挨拶がなされる。
「堅苦しいのは抜きにして始めてよろしいですか」
「その為に来たのですから、こちらに否はありません」
試合はレギュラーを双方から一人ずつ出して対局する。残りは白糸台の顧問と副顧問がつく(この二人はどちらに加担してもならない)対局は普段の半分の長さで行われる。
「薫、行ってきな」
「ああ、全力で打ってくる」
順番はシャッフルで決められる。但し大将戦だけは宮永 照と成瀬 陣決定している。他のレギュラーでは勝負にならない恐れがあるからだ。結果、良介は勝利し、薫、一樹、僅差で敗北する。亮は対局中である。負けた二人も実力の差はほとんどなく、次に対局すればどちらが勝ってもおかしくはない程であった。
「亮は勝てるか?」薫
「解らないが相性いいようだな」
亮の相手は
「相手を惑わすことを得意とする亮ならあの弓矢でもそう簡単に射られることはない」
亮はイリュージョンで上手く弘世 菫の弓を惑わし直撃を避ける。だがやられてばかりの弘世 菫ではなく、数局で亮のイリュージョンを破って見せる。
「破ったか…だがもう遅い」
対局は亮の勝利で終了する。
「勝ちました。でも…」
亮は勝って戻ってきたが納得できないという顔をしていた。
「対局の長さが半分じゃなければ負けてたかもしれない…か?」
「はい…僕のイリュージョンは破られいましたから……帰ったら更に強力します」
亮は凹むことなく上を見据えた。
「それがわかってるなら、なにも言うことはないな」
「はい!」
残すは両校の最強同士の対局のみである。ここで白糸台から提案が出る。大将戦は大会と同じルールで対局してほしいというものだ。
「別にかまいません」
その提案を陣はあっさり受け入れる。
「ありがとうございます」
相手の顧問も安心したようだ。
どうやらこの提案は生徒から出されたものだったらしい
「それではお願いします」
陣VS照…ほか二名。 対局開始
自分の手稗を見ながら考える
「(この人は東一局は上がらないらしいな。なら!)ロン!」
一局目から跳ね満を出す。
「(これで連続ホーラを余裕を持って見れ…な!
」陣は言い様のない悪寒を感じる。その瞬間自分の後ろに突如出現するものがあった。
「(鏡…いや万華鏡か?どちらにしても何かを見られたのは確からしいな)」
その後は宮永 照の連続ホーラが炸裂する。
「(これが話に聞く連続ホーラか…厄介な上に今のところ特定の弱点も見つからない。最強に相応しいスキルだな)ポン!」
ポンでずらして見るが、「ロン」普通に上がられる。
「(止める術をこの対局で見つけるのは無理そうだな。最大級の攻撃でひたすら潰すしかないな)
」目を閉じて脱力したように椅子にもたれかかる。そして目を見開く!
「神風神炎」
その名前に対戦相手のみならず周囲で対局を見ていた白糸台の生徒に緊張感が走る。どうやらこの技のことは知っているらしい。
「こうなれば力比べた」小声で呟く。
その後はひたすら上がり合いであった。照が連続ホーラをした後に陣が失った点棒を取り戻すように高得点の役で上がる。これが繰り返された。力は均衡をして、どちらに転んでもおかしくない。
激戦からか陣の額から汗が一滴流れる。
「(出力を更に上げる必要があるな。これすると精神を削るだよな……ま、背に腹は代えられな!)」
陣が神風神炎の出力を上げたことで均衡が崩れ、陣が押し始めた。
一度、崩れた近郊は押し返しことも元に戻すこともできず終局を迎えた。
「お疲れさまでした」陣
「ありがとうございました」照
陣は照に勝利に治めた。 一樹逹がよってきた。
「お疲れさまです」亮
「かなり疲弊してるな」薫
「相手が相手…しかたない」良介
「竜華逹の雪辱を晴らしじゃねぇか」一樹
「晴らしたなんて言えるものじゃないけどな」
陣はボソッと言う
「は?今なんていったんだ」一樹
「大したことじゃない。知りたいなら帰りの電車で話してやるから、今は黙っててくれ」
「おっおう」
一樹を勢いで黙らせる。 その後、社交事例の会話を交わし、白糸台高校を後にした。
「なあ陣、さっき、何て言ってたんだ?」
帰りの電車の中で一樹が先程の事を聞いてくる。
「雪辱を晴らしたなんて言えるものじゃないって言ったんだ」
「どういうことだ?」
説明してやる。
「今回のは所詮、練習試合だ。宮永 照のそこを見れたてはいない」
「??」
頭の無数の?マークを浮かべる一樹。
「つまり、大会と練習試合では一手にかける覚悟に大きな差があるから。今回の対局では宮永 照自身も気づかないような緩みがあった。それは対局にそのまま出るから、今回の宮永 照は全力であって全力ではなかったってことだ」
負けられない対局と負けてもいい対局では一手にかける覚悟に差か生まれるのは当たり前である.そして覚悟はその人の一手に理論では説明できない力を与える。それゆえ、対局中のモチベーションは重要なのである。
「なるほどな」
どうやら納得させられたようだ。
「まあ、それは俺達にも言えることだがな」
話しをしながら陣は思っていた。
「(練習試合でもあの実力、それに宮永 照はまだ成長していた。これは竜華が勝つのは骨が折れそうだ」