三年目の春、高校生活の最後の一年が幕を開けた。
始業式の次の日の朝、陣はいつも通り竜華と二人で登校していた。
「遂に最後の年やね。うちらにもう後はない」
感慨深いように竜華が呟く。
「そうだな。まあ、深く考えても仕方ない、今年の全国で優勝すれば良いだけの話だからな」
「うん!そのためにも、うちらが頑張んとあかんね」
「もちろんだ」
二人の目には強い決意が宿っていた。
「話は変わるやけど、新入部員はどうなん。入りそうなん?」
「入るな、下手すれば部室を新しくしないといけないくらいに」
「そんなに!」
「去年が準優勝だったからな。それに、入学式の日に俺に入部するって宣言てきたのがけっこういたよ」
「大変そうやね。うちで良ければ手伝うから、何時でも言ってな」
「その時はよろしく頼む」
「うん♪」
雑談しながら二人は歩いていく。
教室には怜と亮がすでにきていた。
今年はメンバーが二人のクラスに別れている。
陣、竜華、怜、亮が一組 一樹、薫、セーラ、良介が二組といった形になった。まあ、昼休みになれば陣逹のクラスにやってくるので大した問題ではない。
「二人ともおはようございます」
席に座ると亮が挨拶してくる。
「亮か、おはよう」
「おはよう。亮君」
「私もおるで」
怜もすぐに近づいてくる。
「怜は少し早いな」
「はよう目が覚めたんや」
「なるほど」
「今日は新入部員の体験入部の日ですね」
「新入部員は大歓迎だが、面倒なのが入ってこないことを願うな」
「そうなったらメンバーの誰かがねじ伏せればええだけや」
怜は当たり前ように告げる。
「潰す前提なんやな」
「そうですけど、できればそういう事態になって欲しくないですね」
苦笑いする竜華と亮であった。
面倒なのはパス、陣と亮の願いは叶うのか?
「仮入部をお願いします」
「受理した。あちらでやることを説明してもらってくれ」
薫が受付の変わりをしてくれている。 亮が説明をして、一樹と良介が指導している。
「今のところは問題ないな」
陣は二年を指導しがらな周りを確認している。今のところ、問題なく行っていた。
そんな中
「成瀬部長」
二年の部員が近づいてくる。
「面倒ごとか?」陣は理由を当てる。
「はい、私たちでは手におえない一年がいまして」
申し訳なそうに言ってくる
「レギュラーの方々は、皆さん指導中でして…お願いできますか?」
「お前逹を倒すのか将来有望だな…わかった直ぐに行く」
今年の二年逹は去年から陣に鍛えられているのでレギュラーに及ばずとも他校でレギュラーになれるくらいの力を持っている。それで抑えられないなら、かなりの力を持っているようだ。
「失礼するよ」
陣は問題のある生徒の対面の椅子に座る。
「貴方は?」
「部長の成瀬 陣だよろしく頼む。一年君」
「飯倉 隆司です。貴方が全国二位の人ですか、あんまり強そうじゃないですね」
「おい!「いい」しかし部長!」
あまりに生意気な態度に二年の一人が咎めようするが陣はそれを制する。
「麻雀強さを見かけで判断するのは適切じゃないな」
「なら、貴方が相手してくれるですか?」
「そうさせてもらうよ」
陣は穏やかに相手をしているが、「(典型的な自信家タイプだな。筋は悪くないんだろうけど、ちょっと行き過ぎてるな…本人のためにも、ぶっ潰して身の程を解らせおく必要があるな)」内心では恐ろしいことを考えていた。
対局結果は陣の圧勝である。
「…手も足もでなかった。この私が?」
飯倉は呆然としていた。
「自信を持つのは悪いことじゃないが、お前はそれが驕りになっている。それじゃあ、全国クラスには勝てないな。驕りを捨てて、自分の力を正確に理解してから上を目指すといい」
陣は席を立ち、他の部員の指導に向かった。その後は問題なく進み、部活が終了となった。 竜華逹と合流して先程の件を話しながら帰る一緒に帰る。
「そないなことがあったんか~」セーラ
「でも、その人も無謀やな。よりよって陣との対局を望むとは」怜
「身の程知らずとはこのことだぜ」一樹
「しかし、良い薬にはなる。彼の成長にも繋がるだろう」薫
「そうですね。成長は敗北があってこそですからね」亮
「負けたことのない奴は…弱い」良介
成長になることを確信しているメンバーであった。
陣は「手加減はした。後は本人しだいだな」
「立ち直ったら頑張って指導せな、アカンな陣君」竜華
「そうだな。見込みはありそうだ」陣
数日後の登校ルート、陣と竜華の会話にはいつもと違う内容が入っていた。
「いよいよ、あれをやる日だな」
「両部の刺激になればええんやけど」
二人の話しているのは両部共同で行われる企画のことである。この企画は去年から構想を練っていたものであり、最近になり許可が降りたのである。
「上手く行くとええな。あと、陣君に会わせたい子がおるんや」
「会わせたい子?」
「部室に来ればわかるわ」
「?…了解」
放課後の部活時間になり。部員逹が移動を開始する。しかし今回は行き先が女子麻雀部の部室である。
部員が全員集まったところで前で立っていた陣と竜華が喋りだす。
「これより、前々から話していた企画を実行する」
「企画内容は男女麻雀部合同で行われる定期的な対局や」
この企画は週に一回、男女の枠組みを取っ払った練習をするものである。男女で対局することで、両部の刺激を与えること目的としたものである。 この練習では男子レギュラーが女子を指導することも有れば、その逆もある。普段と違う人に教わることで新しく可能性を見つけることも目的の一つだ。
最後の締めに、男女それぞれからランダムに選ばれた部員が対局することになっている。
「先に言っておくがこれは男女、どちらの部が強いかを決めるくだらないものじゃない」
「普段と違う対局で自分を磨くのが目的や。それを忘れんといてな。それでは練習を開始します」
「「「「「「はい」」」」」」
指導を行なっていると、竜華が女子を一人連れてくる。
「その子が会わせたいって言ってた子か?」
「うん、そうや」
竜華はその子を前に優しく押す。
「私は二条 泉いいます。文化祭の時は助けて頂いてありがとうございました!」
自己紹介と共に頭を下げてくる。
「文化祭…あのときの子か!」
二条 泉、彼女は去年の文化祭でナンパから、絡まれいたの陣と竜華を助けたのだ。
「はい、その節はありがとうございました」
「驚いたな。まさかここに入学するとはな。これからよろしく頼む」
「はい」
「この子、有望株なんや。上手くいけば今年からレギュラーになれそうやで」
「竜華がそういうってことは、かなり強いんだな」
「そっそんなことないですよ
」竜華の高い評価に慌てる泉。
「陣君、泉の指導をして欲しいやけど、ええかな」
「えっえ!」
「いいよ。なら、早速やるか」
「頑張ってな泉」
「…はい!よろしくお願いします」
覚悟を決めたようだ。
この後、泉は陣にも気にいられ、地獄の練習メニューを受けることになる。