サイド7へ向かうホワイトベース艦内の食堂では連邦のプロパガンダ放送でギレンの演説が切り取りで流されていた。
「『……古来、闘争は科学を、文化を、人々を進歩させてきた。それはなぜか! 今まで見向きもされなかったものに目が向けられ、その有用性に気づくからだ。数々の才能により新たな発見がされるのだ。事実!現在のわが軍の主力兵器MSもおもちゃの人形などと呼ばれていた事があったが……そしてこの戦争において新たにジオン公国は驚異的な発見をした。高速のメガ粒子砲を予知し避け……思考を僅かではあるが読み取ることができる者たちの発見だ。連邦は嘲笑するであろう、公国民さえも信じられぬかもしれぬが事実である。兵士諸君の中には気づく者も多いと思う、大抵は感受性が豊かと言われるような者たちで……そしてこの者達を集めこの私、ギレン・ザビは数か月の内に私自らの手で、連邦の宇宙支配の拠点であるルナツーを陥落せしめ、連邦を宇宙より追い出し、弾圧と圧政の愚を知らしめる事をここに宣言する!』とのことですがこのザビ家総帥の発言どう思われますか! ……いやー選民思想もここまで行くともう恐ろしいですね。行き過ぎた理想とでもいうんでしょうかニュータイプを信じてるんですかねー……このような発言、ジオンはかなり苦しんでいるんでしょう、次のニュースです」
「お、この人参うまいな。おいおい、聞いたかよ。ニュータイプとかいうけどよ、超能力とかとうとうジオンの奴ら頭がおかしくなったのかね」
「いやいや本当かもしれねえぜ、俺も戦闘機乗ってメガ粒子砲避けまくったしな、実は俺も超能力者だったんだよ」
「それはたまたまだろ、だったら俺のパンツの色いま当ててみろよ」
「お、おうよ!むむむむ……おおおお、きたきた、黒のパンツだろ」
「おお、スゲー!ってそんなの誰でもわかるわ!」
「そうか?そうだな!ガハハハッ」
「ガハハハッってそれよりもルナツーを攻めるってさ、落とされると俺らは宇宙に出れなくなるんだろ、嫌だぜ俺は地球の戦場の空気は埃っぽくて、地上戦はひどいんだろ」
「俺らを脅して早く戦争を終わらせたいんだろ、ジオンは。俺たちはこの新鋭艦ホワイトベースに新しいMSといい恵まれてるからな。ピーピー吠えても勝ち逃げさせてやるかっての。第一ルナツーに引きこもってる艦の数見たかよ。ジャブローでも作ってるらしいしジオンに勝ちの目ないだろ?俺たちはそれまでこの最新のハイテク艦で上手く生き残ればいいのよ」
「なるほどな! それを聞いて安心したぜ、まさにジオンに兵なしだしな!」
それを隅っこの方で聞いていたブライトは食事を終えて口を拭き、食堂を離れ、艦長室へ向かった。
「と大体こんな具合でしょうか。パオロ艦長、皆、比較的楽観的のようです」
「そうか……ブライト君、君には助かっているよ」
「はっ」
「そう堅くなるな、と言っても無理か。確かまだ軍歴は六か月だったか」
「はい」
「この戦争は年内には終わる。ジオンのやっている事はただのテロルだ。君もこの船に、いやあのガンダムをみたらわかるだろう。連邦の士官としては言ってはいけないのかも知れないが君は……」
そのように話していると艦内に警報が流れる。
シャアの追跡が続いているのだ。
「見つかってしまったものは仕方ないが、いちいち鬱陶しいものだ。たかだがムサイ一隻といえど……ブライト君、博士を呼んできてくれたまえ、サイド7に準備をさせたい」
「はっ! 了解です」