気づくとギレンでドズルが怒鳴ってきた。   作:7576

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V作戦奪取3

ホワイトベース、艦橋。

 

「総員戦闘配備、離陸の用意を急げ!ガンキャノン、ガンタンクは本艦の防衛を! 残りのガンダムは全機奴を追え、コロニーに傷はつけるなよ! 壊された隔壁が邪魔だって? いいからお前らもさっさと壊して進めっ! あとでいくらでも修理すればいいっ」

 

副艦長が声を大にして命令を出していた。

 

「艦長入られます!」

 

ブリッジクルーが声をあげた。

大急ぎでパオロ艦長が艦橋に入ってきた。

 

「これは一体どうなっている!?」

 

「艦長、ガンダムが奪われました!相手は赤い彗星を名乗っています! さらには敵はレイ博士の息子さんを人質にしてると言っています。暴れた博士は拘束しております」

 

博士の息子を人質に取ったところで、連邦軍は止まらない。

 

「なに!ガンダムがか、それに赤い彗星……博士の件はわかった。ルナツーからの増援は?」

 

シャアに追われている時点で念の為ルナツーには援軍の要請をしてあった。

サラミス級数隻程度なら送ってきてくれているはずだった。

V作戦、このRX計画はそれだけ重要なはずだった。

 

「まだです!」

 

パオロ艦長の表情がさらに重くなった。

 

パオロ艦長にはルウムの戦いで赤い彗星は戦艦を5隻も落としたというから恐ろしさがあった。

多数のMSがあるといえどあの赤い彗星と戦う事には抵抗があった。

あの赤い彗星だ、他にも何か策があるのではないかと艦長は恐れた。

その恐れが少し表情に出た。

 

パオロ・カシアスは艦長として努めて冷静を装う。

 

「そうか。それでどのような命令を?」

 

「ガンタンク、ガンキャノンは本艦の防衛を、残りのガンダム全機で強奪されたガンダムを追わせています。ガンダムは白兵戦を得意としておりますから、ガンタンク、ガンキャノンでは荷が重いと。それと離陸の準備を、コロニーの外に出ればガンキャノンも追撃に出します。そうなればこちらのものですな」

 

少しパオロ艦長の表情が和らぐ。

この状況でわざわざ動く必要はないだろう。

我々はただデータを持ち帰れば良いのだから。

そうだ、そもそもジオンにあのモビルスーツを量産できる国力はない。

量産できるものならやって貰えば良い。

 

「そうか、よろしい。残りのガンダム5機ならばいくら赤い彗星と言えど倒せるだろう」

 

「ええ、もう我々はMSに怯えなくていいということを見せてやりましょう」

 

ムサイ艦内艦橋。

 

「コロニー内部のミノフスキー粒子濃度上昇!」

 

クルーが叫ぶ。

 

「流石少佐、時間ぴったりですな」

 

ドレンはそう手を叩いて喜んだ。

 

ムサイは小惑星を切り離し、主砲斉射しながらコロニーへ接近する。

 

 

ムサイがサイド7へと撃ち込んだメガ粒子砲は採光スペースに当たり、弾かれた。

威嚇、陽動の為に、通常の訓練よりも低出力で主砲を連射した。

 

サイド7内部。

シェルターの入り口の大地に座り込んで空を見上げ騒ぎだした少年がいた。

 

「んんんん!んーー!んー!(も、モビルスーツ!? しかもあれはザクじゃない!一体なんなんだ!それにあの緑色の光は!?)」

 

口にはガムテープ、足と腕は後ろ手で縛られ、虫のように這うしかなかった。

 

「緊急警報ー!最寄りのシェルターに直ちに避難してください。繰り返します。これは訓練ではありません。直ちに最寄りのシェルターに避難してください!」

 

サイレンの音がけたたましくなりだした。

 

「んー、んー!(警報? ちくしょう、そもそもなんで僕がこんな目に!)」

 

地面を這うように暴れ出すアムロ。

幼馴染の女の子、フラウ・ボゥが訪ねてきたと思ったら知らない男3人に襲われ、意識を失った。

気づけば縛られていた。

 

「おい、坊主少し静かにしろ!」

 

「んっっ!」

 

腹に一発蹴りを入れるジーン。

意識を失いぐったりと倒れこむアムロ。

 

「あまり手荒な真似はするなよ。少佐が注意をひいているうちにこのまま、この退避ポッドで撤収するぞ」

 

「了解です!よいしょっと」

 

ジーンの肩に担がれてアムロは運ばれていく。

 

「でもこんなガキがなんかの役に立つんですかね」

 

スレンダーがデニムに尋ねる。

 

「さぁな、少佐だってちょっとした時間稼ぎのつもりだって言ってただろ」

 

実際、ホワイトベースから抜け出す隙を作ることには成功した。

 

「でもなぁMSで大暴れしたかったですよ。こう連邦のMSをバッタバッタと」

 

「ふん、この作戦がうまくいけばMSで大暴れするよりも大きな功績になるだろうよ。ほらさっさと行くぞ」

 

ジーンの肩に乗せられてアムロはジオンに拉致された。

着々とシャアの作戦通りに事は進んでいく。

 

 

後方からの爆発音。

正確にはコンピュータが映像を解析して爆発だと判断。

後方から聞こえるようにコクピット内のスピーカーから発せられた合成音。

 

「先ほどは気づかなかったが合成音……これほどの質か、感覚が研ぎ澄まされるようだな」

 

思わずシャアがそう呟くほどザクとは音質が違う。

ついでに言えばコックピットモニターも幾分綺麗だ

 

「まったくコロニーは狭いな……なに!?」

 

コロニー内部、中心部で空を飛んでいるシャアのガンダムにモビルスーツが迫ってきた。

 

ガンダムが2機ほど迫ってきていた。

さらにその向こうにはガンダムが3機。

 

シャアのガンダムも含めれば合計6機のガンダムがサイド7に存在していた。

 

「あの船の反対側にも同じだけのモビルスーツがあったとでもいうのか!それほどいるとは思えなかったのだがな!」

 

シャアの潜り込んだ左舷ハンガーデッキにMSが9機もあったせいで気づかなかったが右舷にも同じだけMSが積まれてあったのだろう。

 

「ジオンが一機二機のMSを大事に使っているというのに、こんなところに連邦のモビルスーツが10機以上あるなどと誰が予想できるものかっ!」

 

本来なら予備パーツとしてしか使われなかったものを連邦はハリボテであろうと急ピッチで組み立てて居たのだった。

シャアが時間をかけて作戦を立てていたためにその時間は十分にあった。

なにより整備性がザクとは違った。

 

近づいてきていたガンダムの一方が頭部バルカンを撃つ。

 

「バルカンだと!」

 

不自然に顔を向けてきたために咄嗟にシャアは回避行動をとれた。

 

「ちぃ! これほどの操作性かっ。何から何まで優等生すぎる!」

 

シャアはザクのつもりで回避行動をとった為にあまりの操作性の良さに大きくバランスを崩し中心部から逸れてコロニーの重力に引かれた。

 

着陸したシャアのガンダムにビームサーベルを手に持ったガンダムが迫る。

「ほう、連邦はコロニーを守るか。ビームライフルで撃たれていたら、他のMSがいれば困っていたところだ」

 

1機と2機のガンダムはビームサーベルを持ちジリジリと向かい合う。

さらにシャアの元へ3機のガンダムが迫って来ていた。

 

 

睨み合うシャアのガンダムと2機のガンダム。

幸いにも最初に動いたのはバルカンを撃ってきた連邦のガンダムだった。

 

「増援を待たずに来てくれるか!」

 

ビームサーベルがぶつかり合う。

もう一方のガンダムがシャアの後ろに回り込もうとする。

 

「私をバカにしてもらっては困るな」

 

後方に頭を向けてバルカンを放ち牽制、正面のガンダムはビームサーベルの出力をあえて下げて体勢を崩させそのまま膝蹴りを入れる。

 

「まともに相手をすると思ったか!」

 

そのまま逃げようとするシャアだが蹴りを食らわしたガンダムが動かなくなった事に気づく。

 

「ほう、こう運があるとは」

 

数を増やそうと急いで作られたが故の故障。

殴られた衝撃で安全装置が誤作動を起こしただけだった。

 

『これ以上動けばこのパイロットの命はない! コロニーも破壊する!』

 

動かなくなったガンダムの頭部を念のために破壊してシャアはそう言う。

 

『卑怯だぞ!』

 

『戦いは非情さ』

 

そう言ってシャアはガンダムを抱えながらスラスターを吹かし宇宙港の反対側へとたどり着き、コロニーから脱出した。

 

「さすがだなドレン」

 

ムサイが既に目の前に居た。

 

「ここでちまちましていられん」

 

シャアはムサイのブリッジ横に取り付いた。

 

「作戦通り撤退だ。なかなかうまく行き過ぎた」

 

「少佐! やりましたね。了解です!」

 

ムサイが退避行動を開始する。

それに迫るホワイトベースがメガ粒子砲を放つ。

 

「こちらもやってやろう」

 

シャアはビームライフルを向けホワイトベースへと射撃する。

 

「今日は本当に冴えている。自分が恐ろしいものだな」

 

シャアの攻撃はホワイトベースに直撃した。

ムサイは無事撤退する事が出来た。




シャア最後の見せ場終わり!(予定)
ホワイトベースは沈んでないです。
あとアムロが連邦相手には大活躍する予定はありません。
ここからさらに自分の妄想世界になりそうですね。

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