気づくとギレンでドズルが怒鳴ってきた。   作:7576

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初日の終わりとキシリア・ザビ

セシリアとデラーズ、あの2人はなかなかギレン思いだな。

 

「考えるべきはキシリアと話す目的だな」

 

2人には原作知識を生かしたちょっとしたことを指示したが、途中で仮眠をとるよう勧められた。

決して、「頭おかしいよ、休んだら」。

っというニュアンスで言われたわけではなく、伝えた内容に最終的には納得してもらえたようだ。

まぁジオンに起き得る最悪のシナリオ的な風に説明をしたからだろうが。

あの2人がどう思おうが、とりあえず今のジオンにいろいろと危機感を抱いてもらえれば良い。

 

というわけで俺は私室で1人横になりながら自分の考えに整理をつけていた。

 

「オデッサ、和平、謝罪、MS総会つまり企業について、このあたりか」

 

企業については出来たらで良いか、MS開発の統一にはキシリアの力が必要だろうが、オデッサの防衛や和平についての方が重要度が高いな。

ギレンからの謝罪は必要だろうか。

もっとこう……そうだな。

これがギレンの発想か?

違うな、俺の発想だ。

 

うん、寝よう。

 

「ああ、そういえば納得はしてもらえたが、あの2人に私の気が狂ったのではないかと心配を持たせてしまったな」

 

これが未来だそうだ、キリッ。

だもんなぁ。

あれは調子に乗ってしまったな……ギレンのカリスマで冗談が冗談じゃ無くなるというのに。

 

デラーズの反応なんてまるでどこかの安っぽいヒロインだ。

セシリアのいう事信じてなかったけど……これみたら、ねぇ……あなたの事が心配なの! こんな資料信じてギレン君大丈夫?……お医者さんにみてもらわなきゃっ!

 

「なんて感じだな。想像したら面白いものだな……あの頭にあの雰囲気でギレン一筋……あれはそう見たら本当に面白かった。でも失礼か………ははっ、はぁ、本当にここはガンダムの世界なんだよな……くそっ」

 

寝る寸前の思考というのは考えても仕方のない事も考えてしまう。

これは前世の俺のせいだろうな。

前世の俺はいまごろどうなっているのだろう、とか俺以外の憑依者もしくは転生者はいるのだろうか、とかいろいろと考える。

 

だがギレンの頭脳もあってか落ち着きは取り戻せる。

考えても仕方のない事とわかるしそれに何故か転生者や憑依者など他には存在しないとも確信を持って言える。

そして俺のやらなければならない事も理解している。

 

スペースノイドの独立か。

 

この異常な状況……ややこしいものだなぁ。

 

 

 

「閣下……かっか……おきていただけますか」

 

どうやら俺は知らぬ間に眠っていたらしい。

 

 

俺を呼びに来たセシリアに起こされ、キシリアを待つ。

セシリアには父上に準備をしていただくよう伝えるように言い、部屋を出てもらった。

 

「兄上、入らせていただく!」

 

「キシリアか、人の部屋に入る前にはノックするのが常識だろう」

 

いまこの場には俺とキシリアのみだ。

 

あの仮面はつけてこなかったのか。

そこまで老けては見えないが、まぁ老け顔だな。

ドズルが姉貴とからかうのもわかるが……まだババアになるほどのストレスを抱えていないか。

 

「緊急事態と伺いましたが違いましたか、一体何があったのです。それにあのサイコフレームとやらの資料、フラナガンが驚いて……」

 

ああ、ニュータイプについても話し合わなければならないな。

キシリアというよりフラナガンと話す気でいたから昨日考えるのを忘れていたな。

 

「あの資料については後ほどな……急いだと言うがお前も遅かったではないか」

 

「他のものには任せられない仕事、というものがありますでしょう」

 

駆け引きはここまででいいだろう。

本当にギレンとキシリア仲悪いのな。

お互いサスロ暗殺の犯人と疑ってたりするからかね……

 

「そうだろうな、責めているわけではない」

 

やんわり優しさを伝えよう。

いきなり仲良くなれるわけないからな。

 

「……して、緊急事態とは、ルナツーの攻略をやめさせるほどなのですか」

 

険悪な雰囲気なのは仕方ないな。

本題に入るか。

 

「そうだ。連邦の動きについて、いくつか予想を超える事態が発覚した」

 

「それは……例のV作戦……」

 

やはりV作戦についてと思うだろうな。

割り込んで話す。

 

「それだけではない……」

 

それらしく作った資料を渡す。

ガンダムの性能と連邦のオデッサ攻略作戦の推移だ。

 

 

「連邦は我が方のMSを容易く上回るMSの開発に成功、これは現行の我が軍の兵器での撃破は非常に困難である。さらには連邦の意図する、運用形態は非常に効率的だ。またこれを機とした連邦には大反攻計画を実施する動きがある。予想される戦力は我が方の6倍から10倍……」

 

「こ、これは……」

 

「連邦のMSの性能は欺瞞の可能性もまだあるが、オデッサは……このままではオデッサは陥落する。現状のオデッサの防衛、あそこには今、第1防衛線しか存在していない。第2、第3と、作らなければ陣地が突破された時点でオデッサの陥落は時間の問題である。今の陣地というのもおこがましいものでは大量の戦車、航空機には、敵わん。ましてやこのMSがもし実在しこの計画に投入されれば、容易く拠点は奪われ、我が軍の趨勢は決まってしまうだろう、たとえ水爆を使ったとしてもな……水爆については廃棄すべきだ」

 

マ・クベによる水爆の使用は最悪のシナリオになりうるからな。

釘を刺しておこう。

 

「知っておられましたか……そう仰るのならば、直ちに廃棄させます。なるほど、MS総会の開催はこの連邦の運用形態に対抗するためですか、我が軍には無駄が多すぎますから。それにオデッサへの危惧、私も考えておりましたが、ここまで具体的に……防衛戦の構築、しかと心得ました」

 

「そうだ、それにルナツーの件もそういうことだ。あの戦力をオデッサに向かわせるべきだ。そもそも要塞化が進むルナツーをあの程度では落とせないだろう」

 

「それでは宇宙の防衛に脅威を残すことに」

 

「そうであろうな」

 

「一体、何を考えておいでです」

 

「ルナツーは私自らが落とす。親衛隊に埃を被せておいてはなんだろうからな」

 

「本気で仰っているのですか、 このサイド3はどうするのです! 兄上が離れた途端ダイクン派が動くのはわかって言っておられるのですか」

 

「はっはっ、元から連邦への宣戦布告など正気の沙汰ではないと私は気づいたのだ。キシリア、心配するな。私がルナツーへ向かう時はお前にこのサイド3を任せる。この意味がわかるな」

 

「一体何を仰りたいのか……兄上はドズルに毒されましたか」

 

「私は連邦との休戦を考えているのだ」

 

「休戦、ルナツーを兄上が攻めることと休戦について繋がりが全くもってわかりませんが……そもそも連邦が休戦に応じるとも思えません」

 

連邦の意志を徹底的に叩くのにギレン自らが連邦最後の宇宙拠点を落とすことも、効果的と思うのだがな。

いろいろ障害はあるが、実行できれば中立コロニー群も連邦に協力するような事態にならずに済むだろう。

最悪サイドではなくコロニー別に分断すればよい。

幸い数は減ってる……と数が減ってる事を幸いと考えるとは、これはギレンの暗黒面だな。

 

「それはな…」

 

「閣下、キシリア様、失礼いたします」

 

デキンの準備ができたとセシリアが部屋をノックした。

 

「父上が?」

 

「父上とは和平について話をしたのだ、お前はどう思うかわからぬがな。ニュータイプや総会については父上と話してからだな」

 

「一体……私は兄上の変わりように驚いております」

 

キシリアから多少の怒りを感じなくもないな。

 

「そうだろうな、どう変わったのか……まぁいい、父上のもとに行くぞ」

 

ふぅ、まったく本当に綱渡りだ。

キシリアは俺を殺すかもしれない人物だから、ヒヤヒヤもんだな。

まぁギレンの強権を以ってしてジオンを強引に変えて行くしか連邦に対抗する術はないからな……


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