風が頬を撫でるようにな感触に目が覚める。
眩しい光と共に目に入るのは一面の揺れる黄金色、細く白い腕で目を擦りよく見てみると麦畑のようだ。
横になっていた体を起こし。ふわぁ、と大あくびをして涙を指で拭い、そこでやっと疑問に思うことが出来た。
オレの指はこんなに細く柔らかいだろうか、そもそも何で麦畑に居るのだろう?
風が吹き肌寒さに、思わず肩を抱くとすべすべ手とした肌の感触、下を向いてみるとなるほど裸のようだ。
「そりゃ寒い」と納得しかけ、またしても疑問が浮かぶ。
滑らかな絹のような肌、すらりと伸びる手足、控えめだが確かにある柔らかな胸、そしてあるべきものが無い平らな下半身。
状況に混乱してきた所に、トドメとばかりの先だけが白い茶色の大きな尻尾。
「アオオォーーーーーン……」
現状を受け入れられずに大声を上げてしまうが、まるで狼の遠吠えのような声が出た。
それで直感的に理解してしまった、大好きなキャラの特徴を忘れるはずが無い。
この平らな胸!尻尾!そして遠吠え!
「オレ、ホロになってるーーーーっ!!!?」
耳鳴りがするような静寂の中で、狼少女の絶叫が二度響いた。
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現状を整理しよう、オレは目が覚めるとホロの体になって麦畑にいた。
ホロの体とはつまり、幼さの残る少女の体、つまり女だ。
オレは元々男だったが、女になったショックはそれほど大きくない、何故ならホロだ!美少女だぞ!
大好きなキャラに慣れた嬉しさで感覚が麻痺しかけているが、かなり危険な状態でもあるため一旦置いておく。
まず一つ、狼へのなり方がわからない。
原作では麦か生き血を飲み込むことで変化していたが、
「にっがぁぃ……」と涙目になりながらそこらの麦を飲み込んだものの変化なし、理由は不明。
そして二つ、時系列と居場所。
原作では数年の時間がメインだが、ホロの設定上、大昔や原作より未来の可能性もあったが、
近くの村を眺めるとアニメでみた赤毛の娘が祭りらしき準備をしている。
「ってかあれクロエだよね、アニメ世界なの?」
原作はアニメ世界でもあまり関係ないのは助かった。
祭りの準備中なので、原作開始直前と予想。
そして三つ、これからどうするか。
もし体がホロと同じだとしたら、オレは寿命で死ぬことはないだろう。
この世界の人外は忘れられることで死ぬ可能性は低い、それは忘れられ人の世に紛れる同類がいることから確定だろう。
だが同時に、この村に契約で縛られてるのも確か、
ホロならまだしも、オレがこの孤独に耐えられるとは思えない。
「というか冒険もしないとかやだよ。わっちでも耐えられなかったんだから」
そなると、村から出ることで決定したのだが、
この世界は人外に優しくない、教会の影響が強すぎるからだ。
「しかもホロには契約があるから、それを抜けられる上、交渉次第で人外も受け入れてくれる人……って、一人しかいないか」
行商人のクラフト・ロレンス。
狼と香辛料の主人公で、最後にはホロと結ばれる……むすば、れ?
「だぁーーー!!!!」
頭に浮かぶホロとロレンスの幸せな絵、見る分にはいいが、今はオレがホロで女だけど気持ち的には男!
「ロレンスには悪いけど、原作ルートはなしだ諦めてくれ!」続編の主人公ミューリとコルへも天に向かって謝りながら、オレは原作の開始を待つことにした。
「くしゅん!裸は寒いから早く来てくれ……」
環境が辛すぎて、女体に恥ずかしがる余裕もないのが辛い。