グランブルーファンタジー【REDHIANT MYTHOLOGY】   作:RYOU

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とある島の町工房に居候している記憶喪失の青年『アーサー』。
工房の親方達から鉱石を取ってくるように頼まれ一路、アギュウステを目指していた。
しかし、その飛空艇で1人の少女と出会った。


第二話~満月の姫君~

 

 

突如として自分をアルビオンへと連れていけと言い始めた少女に困惑するアーサー。

 

アーサー

「あ、アルビオンに?待ってくれ、いきなりそう言われても困るぞッ」

 

エステリーゼ

「す、すいませんッ!でもどうしても皆に伝えなければならないことがあるんです

 じゃないとアルビオンにいる皆が大変なことにッ!」

 

アーサー

「皆?大変な事?落ち着いて、1つずつ説明してくれ、俺も整理できないぞ」

 

そして彼女の口から語られたのはアルビオンで今、エルステ・ザーフィアス

アルビオン領主による会談が行われており、彼女の仲間の騎空団がザーフィアス

の代表である彼女の友人の護衛についているという。

 

アーサー

「待て、それじゃ何で君がここにいるんだ。君は第一候補なんだろ?なんでそこ

 に皇帝候補って名義の友人がいってるんだよ」

 

エステリーゼ

「エルステの少将とザーフィアスの議会長の密談を聞いてしまったんです。

 騎士団側の推奨候補である彼や邪魔になる上層幹部をその会談会場ごと

 攻撃して自分達の有利な状況にしようとしているって」

 

アーサー

「・・・つまりさっきの騎士達は逆に君を人質にそれをやめさせようとしたか」

 

エステリーゼ

「えっ?」

 

その反応にあまり自分の立場やどういう状況なのかを把握していないようだった。

 

アーサー

「君は評議会側の押しが強いんだろ?だったら騎士団側にとっては自分達の候補

 を護るための盾にもなるし、人質にとれば後々、相手側を脅す矛にもなる。だ

 からさっきの騎士は躍起になって君を捕縛しようとしたんだろう」

 

エステリーゼ

「でも彼らはフレンの騎士団に所属していて信頼出来ると思ったんです。でも話

 を取り合ってもらえなかったんです」

 

当然だろう、自分達にとって有用な駒をみすみす危険な場所に行かせるわけがない。

 

アーサー

「隠れていたけど見つかって・・・そこに俺が居合わせたってわけね」

 

エステリーゼ

「烏滸がましいというのは分かります、ですが他に頼れる人がいないんです!

 お願いします、手を貸してください、皆を助けたいんです!?」

 

確実に関われば面倒どころか、国絡みの大事に首を突っ込まなくてはならない。

ただのおつかいだったはずなのに話が途方もない方向へと向かってしまった

自分のある意味の運の無さを嘆いてしまう。

 

アーサー

「(・・・またあいつらに怒られそうだな・・・)(汗。」

 

深いため息をはいて顔を上げる。

 

アーサー

「分かった、とりあえずアルビオンの君の仲間の元までは送っていこう」

 

エステリーゼ

「本当ですか!」

 

アーサー

「あぁ、だがそこまでだ。それ以上の事はその騎空団の仲間に頼む事、いいな」

 

エステリーゼ

「ありがとうございます、ありがとうございます!」

 

おもいっきり頭を下げて感謝されてしまったのだが皇帝候補としてはどうにも

まだまだ威厳だとか知識がないなと思う。

自分もそこまで詳しくはないがさっきのだけでも自分ですら考察は行きつく。

 

アーサー

「自己紹介がまだだったな、俺はアーサーだ」

 

エステリーゼ

「よろしくお願いします、アーサー!わたしの事は『エステル』と言ってください」

 

それが仲間内からの愛称らしくそちらの方が呼ばれなれているらしい。

 

アーサー

「分かった、よろしく頼む、エステル。ところで・・・・」

 

まず第一の問題があった。それを主張するのは腹の虫。

 

アーサー

「とりあえず腹ごしらえさせてくれ、さっき食べようとしたのを兵士らにブン投げ

 ちゃってな・・・・」

 

だがもう一匹、主張する腹の虫がいた。

 

エステル

「(・・・・////)」

 

アーサー

「・・・もしかして慌てすぎて何も食ってなかった・・・か?」

 

エステル

「は・・・はい」

 

しめて2000ルピになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーサー

「やっぱりどうにも高すぎる・・これなら半分で作れる、間違いなく」

 

エステル

「そうなんです?」

 

とりあえず2人で食事をとることにしたアーサー。アギュウステまではもう少しで

到着するがまずは使いの品と家にその知人の商人経由で一報を入れることにする。

 

エステル

「アーサーはどこ出身の方なんです?」

 

アーサー

「あぁ、ここから少し離れた群島の1つにある銃工房で世話になってるんだ」

 

自分が記憶喪失でその銃工房の親方たちに拾われる以前の記憶がなく、今はその

両親の依頼で鉱石を取りに行くところだったのを伝える。

 

エステル

「す、すいません。わたし、自分の事ばかり主張してしまって」

 

アーサー

「別にいいさ、自分で首を突っ込んだのもある。俺の被もあるさ」

 

ここまで来ると逆に目的がはっきりとしたので動じることもなくなっていた。

 

アーサー

「逆に俺から質問なんだがその騎空団の仲間ってのはどんな人らなんだい?」

 

エステル

「皆です?はい、えっとちょっと皮肉屋でぶっきら棒ですけどとっても頼りに

 なるユーリに、後、素直じゃないですけど優しいリタ、頑張り屋で騎空団の

 ボスをしているカロル、それと大人で頼りになるジュディス、それとさっき

 話した騎士団の団長をしているフレンです」

 

そして彼らとの冒険やあった話を楽しそうに話すエステル。

それを聞いているだけでもこの状況下ですら頼りにしているかが分かる。

 

アーサー

「・・・・」

 

エステル

「どうかしたんです、アーサー?さっきから雲海を見つめていますけど」

 

アーサー

「んっ?あぁ、何でもない。気にしないでくれ、いつもの気のせいだ」

 

エステル

「?」

 

どうにもさっきからいつもの『気のせい』が敏感に『悪意』を感じ取っていた。

彼には覇気の他にもいろいろと不思議な力が備わっていたがこれもその1つで

人の『直接の悪意』だったり、何かに擦りついている『間接的な悪意』を感知

することが出来る、ある種の危機察知能力が高いのである。

 

アーサー

「(工房でも野党達の悪意を感じ取って待ち構えてたりしたけど・・・・この

  感じ・・・今まで感じたことがない、どす黒い陰湿な『悪意』・・・)」

 

微かではあるがそれを雲海の向こうから感じている気がしていたのだ。

 

アーサー

「少し外の空気でも吸ってくるか、頭をすっきりもさせておきたいし」

 

エステル

「わたしもご一緒します」

 

2人は甲板へ向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外へ出て大きく体を伸ばす。

エステルも流れる風に靡く髪をかき上げながら広がる空の風景を見る。

 

エステル

「そういえばアーサーはそんな物凄い大剣を使うんですね、カロルみたいです」

 

話によればカロルという少年はハンマーのような大物を使うらしい。

 

アーサー

「こいつはどうにも不思議な武器でね。俺以外が持つと巨石のように重く

 なるんだ、試しに持ってみるか?」

 

彼からその剣を手渡された瞬間に一気に沈み込んだのだがすぐにアーサーが

持ち直したので手がスプラっタな展開にはならずに済んだようである。

 

エステル

「本当にアーサーが持つと羽根のように軽々と使えるんですね、不思議です」

 

アーサー

「さっきも言ったけど俺自身にも分からないんだ、記憶を失った俺にあるのは

 いくつかの能力とこの大剣と銃、このペンダントくらいだ」

 

エステル

「でもわたしはアーサーは記憶を失う前もとてもいい人だったと思います」

 

アーサー

「その心は?

 

エステル

「わたしのお願いを聞いてくれました」

 

それだけで会ったばかりの他人をいい人認定というのは世間知らず過ぎかとも

思うのだがこれだけ純粋というか、正直な人間も初めてな気がする。

自分ですら初めて会った者には警戒する、師匠からの教えでもある。

 

アーサー

「お前の仲間は大変そうだな」

 

エステル

「?どうしてです?」

 

アーサー

「エステルみたいなタイプはこうと決めたら譲らない頑固タイプな上に

 何となくだがお姫様っぽいし、珍しいモノにフラフラとしちゃって仲間

 からもっと落ち着けだの、疑う事を知れとか言われないか?」

 

エステル

「うぅ・・・・」

 

アーサー

「図星か」

 

エステル

「そういう飄々と人のいたいところをついてくるところはユーリに似て

 意地悪です、アーサー」

 

会ったばかりではあるのだが何とも不思議な子だなとも思った。

 

アーサー

「――――ッ」

 

その時、さっきより強く『悪意』を感じ取って周囲を見渡す。

 

エステル

「どうしたんです?アーサ・・―――」

 

突如として自分達のいる場所が暗くなり空を見上げるとそこにはこの飛空艇

より巨大な恐らくは軍用の飛空艇が真上につけており、ハッチが開いた。

 

アーサー

「あれは・・・エルステ帝国の軍艦!?」

 

エステル

「帝国兵の人達が降りてきます・・・ッ」

 

飛来してきた帝国兵が次々に降りてきてエステルとアーサー達を取り囲む。

 

アーサー

「随分と物騒だな、エルステは民間の飛空艇まで襲う気か?」

 

帝国兵1

「そちらのエステリーゼ様を渡してもらおう。そうすれば命は奪わん」

 

全員が武器を抜いてアーサーに突き付けてくる。

 

アーサー

「悪いんだがこっちの姫様とは約束をしててね。彼女の仲間の騎空団の処まで

 は送り届けないといけないんだ・・・邪魔はしないでくれるかな?」

 

帝国兵2

「どうやら自分の立場というのを理解していないようだ」

 

帝国兵3

「この船は完全に我が軍で制圧している、他の民間人も巻き込みたいか?」

 

妹からエルステの評判などは聞いていたがそれ通りの軍勢のようだった。

 

エステル

「アーサー・・・」

 

アーサー

「心配するな、すぐ終わる」

 

帝国兵4

「構わん、こいつはさっさと始末しろ。エステリーゼ様さえ手に入れば―――」

 

刹那、響き渡る炸裂音と硝煙の匂い。

 

帝国兵一同

「!?」

 

気づいた時には帝国兵達全員の武器が吹き飛ばされており、振り向いた先には

いつの間にか引き抜いていた男の銃が煙を上げていた。

さらには身の丈ほどの大剣を振りかぶり、警戒態勢を取る前に振り抜かれる。

 

アーサー

「風塵衝ッ」

 

風の衝撃波を壁のように自分の前方に放ち、周囲の帝国兵を薙ぎ払った。

騒ぎを聞きつけて中に入っていた帝国兵も次々に甲板へと上がってくる。

 

帝国兵

「こいつ、かなりやるぞッ!」

 

帝国兵

「早く姫様を連れて行かなければ少将に何をされるか、早く奴を殺せ!」

 

鬼気迫る表情で襲い掛かろうとしてくる帝国兵をゆったりと見つめる。

 

アーサー

「さてとまずはお掃除からだな」

 

エステル

「わたしもお手伝いします!」

 

アーサー

「あんま無理するなよ、俺がメインでやる。危なくなったらすぐ下がれ」

 

エステル

「これでも剣と昌術には覚えがあります。サポートはお任せを」

 

少し笑みを浮かべて銃を構えるとそれを構えて戦いの口火を切る。

 

帝国兵

「かかれ!かかれ!畳みかけて物量で押し切れ、相手は2人だ!!」

 

アーサー

「ッ」

 

得意の早撃ちで武器を叩き落とし、即座に親方が作った特別製の軽量弾倉を

装填し直してさらにもう1つの愛銃『パッスランド』を構える。

 

アーサー

「こいつはちょっと暴れ馬でな、気をつけろよ」

 

この銃は魔力を吸収していくつかの技を発動出来る。それも感覚的に覚えて

いる技だったのだが銃弾を必要としない魔導武器だ。

 

アーサー

「薙ぎ払うッ!」

 

帝国兵2・帝国兵6

「「うわああああっ!?」」

 

自分の周囲を薙ぎ払うように銃弾を前方に浴びせかけて素早く踏み込みながら

エネルギーをチャージした魔弾を至近距離で撃ち込む。

 

エステル

「銃弾が当たったのに致命傷になってないですッ」

 

アーサー

「こいつは俺の意志でその弾丸の性質も変えれるのさ、くらいやがれッ!」

 

しかしそれを搔い潜って兵士の1人がアーサーの後ろを取る。

 

エステル

「アーサー!」

 

だが瞬時に裏へ一歩引くと相手の懐へ完全に入り、タイミングをずらされた

相手は自分の腕を肩で防がれてしまい、剣を振るえず隙を露呈する。

 

アーサー

「ご苦労さん」

 

顔面に銃の特殊なパーツを付属した銃身部分で素早く体を回転させ強烈な

打撃でノックアウトした。

 

アーサー

「パッスランドの銃身は師匠の剣技にも耐える強度でな、打撃武器でもあるのさ」

 

基本的に彼は接近主体ではあるが銃を活かした中距離・遠距離、さらには

その距離での弱点である接近戦でもパッスランド、そしてそれに合わせて

ラムレイも工房で手に入る最硬度の素材で作っており同様に使える。

 

エステル

「今のうちに体力を回復します、聖なる活力よ 此処へ ファーストエイド」

 

アーサー

「なるほど、タイプ的にはヒーラーって感じか」

 

エステル

「そこまで大きな術は使えませんが補助を精一杯やりますね」

 

だが今度は魔力の波動を感じる機械兵が数体、飛空艇からこちらに降りてくる。

 

帝国兵

「機械兵で圧し潰せ!」

 

破壊力のある両腕による攻撃に加えてその中央の眼のような部分から光線を放つ。

 

エステル

「まさからあれは魔晶ッ」

 

アーサー

「なんだ、それは?」

 

エステル

「星の民の技術を帝国が模倣して作った結晶と聞いています、確か空の世界に

 存在するモノを変換する力があるとか・・・・」

 

アーサー

「厄介な力ってのは分かった」

 

帝国兵

「貴様のそんな豆鉄砲ではこの機械兵は倒せんぞ!」

 

しかしその観察眼はその機械兵のウィークポイントをすでに割り出していた。

関節部の隙にピンポイントで銃弾を撃ち込み、中の配線などを破壊して火花が

散り、動けずにその場に平伏す。

 

アーサー

「馬鹿力はあるが随分と鈍足だな、隙を伺う時間はたっぷりとあった」

 

 

 

 

 

 

そんな中、アーサーを狙う眼差し。

 

帝国兵

「よくねらえ・・・外せば次はないぞ。一発で仕留めろ」

 

そして引き金に指をかけ、引こうとした瞬間。

 

 

 

 

 

帝国兵1・2

「うわああああああ!?!」「ぐあああ?!」

 

アーサー

「?」

 

振り返ってみると飛空艇の上層から2人の兵士が落下してきて気絶している。

 

エステル

「な、なんです?まさか上にも敵が」

 

???

「余計かと思いましたが手助けさせていただきます」

 

そしてその上層から降りてきたのは青と白の薄手の冒険者服とマント、そして

二刀の剣を携えた女性で涼しげだが凛とした眼差しと表情、白銀のショートヘ

アーで何となくだが自分と同じ力を感じる。

 

アーサー

「いや、助かる。共闘、頼めるかい?」

 

ティア

「任せてください、わたしはティアです。あなた達は?」

 

アーサー

「アーサーだ」

 

エステル

「エステルと呼んでください」

 

二刀を抜いて敵兵達を見据えるとアーサーと共に応戦を開始する。

 

ティア

「それでは行きますよ、アーサー、エステル」

 

アーサー・エステル

「ああ」「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

民間飛空艇につけている帝国飛空艇内の一室。

 

?????

「いつまでかかってるんだい?たかだか1人の姫様を連れてくるのに」

 

帝国兵

「はっ・・・何やらエステリーゼ様について妨害をしている男と女がいるとかで

 かなりの手練れである――――ぐがっ!?」

 

?????

「御託はいいんだよ、御託は。さっさと連れて来いって言ってるんだ、屑」

 

帝国兵

「は、はっ!」

 

?????

「面倒だなぁ~・・・そうだ、アレの試運転も兼ねて的にしちゃおうかな~?

 姫様だけいれば別に飛空艇なんて落としてもどうでもいいし」

 

不穏かつ非道な言葉を吐いた小柄な人物は部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーサー

「妙だな」

 

エステル

「どうしたんです、アーサー・・・ッ!」

 

アーサー

「こいつらの戦い方が変わった。最初のあの躍起になった戦い方から防御に

 比重を置いたやり方になっている・・・露骨な時間稼ぎだな」

 

ティア

「無理に攻めてくる気配がなくなりましたか」

 

高い観察眼から瞬時にその変化に気づいたのだがさすがに何のためにその行動に

出たのかまで推測が難しいところだ。

しかしこの状況を動かすだけの「ナニカ」があるのは間違いがなさそうだ。

 

エステル

「ならここを離れた方が・・・」

 

アーサー

「どこに逃げるんだ?こっちは足がこの艇だけ、しかも空の上だ。戦況なら

 俺らが押してるかもしれないが状況はこっちが袋小路にいる」

 

ティア

「あの規模の飛空艇の人数を考えると恐らくそう人手は多くないはずです」

 

飛空艇の大きさを考えてもそれなりの人数は削った。艇の稼働を考えればそ

れに必要な人数を残しておかなければならないし、そろそろ撤退する頃だろう。

 

?????

「随分と派手にやってくれたようだね。僕の手駒をこれだけ倒すなんてね」

 

ティア

「回避!」

 

アーサー

「!」

 

エステル

「アーサ―――――――、きゃっ!」

 

即座に反応したアーサーはエステルを抱えて飛びのき、側転も交えて回避する

のだが目の前にいた兵士やその場所が銃撃の雨で吹き飛ばされ凄惨な光景が広がる。

そして視線を向けるとほかの兵士とは違う煌びやかな軍服を着た小柄なハーヴィン

俗の男性がにやりと笑みを浮かべてこちらを見ていた。

 

?????

「思ったより感がいいんだね~?丁度いいから姫様以外は全部掃除しようと思った

 のに掃除できたのは役立たずの囮役だけか」

 

エステル

「い、今すぐ回復を・・・ッ、アーサー・・?」

 

首を振るアーサーを見て改めてみるすでに全員が絶命していた。

 

?????

「悪いんだけどそこのお姫様を渡してくれるかな~?じゃないと殺すよ

 、僕の殺戮兵器『アドウェルサ』でさぁ!」

 

黒いボディーに大口径の砲門と武装を備えた大型の兵器のようだった。

 

アーサー

「その服装、エルステの幹部クラスか。仮にも自分の部下を躊躇なく・・・」

 

だがこれに高笑いしながらさらに下衆にも似た言葉を吐く。

 

?????

「部下~?部下っていうのは僕のために有意義な結果や功績を運んでくる優秀

 な人材を言うだよ。こいつらなんかただの駒になるか、ならないかさ~♪」

 

ティア

「この下衆が・・・ッ」

 

エステル

「酷い・・・」

 

アーサー

「お前らも何であんな屑のいう事を聞いてんだ、少しは抵抗しろよッ」

 

帝国兵

「あの方の・・フュリアス少将の恐怖を知らぬだ・・・姫を・・差し出せッ」

 

大体は何か弱みを握られているか、何かを押さえられていていう事を聞くしか

後はその処遇が下衆なのか、多少の事は考えることが出来た。

 

エステル

「わたしは・・・・」

 

アーサー

「その先の言葉吐くなよ、そういうのは自己犠牲じゃない、唯の虚栄だ」

 

そして武器を構えてそれぞれの事情を知った上で剣気を放つ。

 

アーサー

「郷に入って郷に従った時点で同情の余地はない・・・斬り抜ける」

 

フュリアス

「いいねぇ~、この駒より君の方がよっぽど部下としての素質あるよ。どう

 かな?今までの無礼極まりない行動は目をつぶってあげるよ、僕の忠実な

 部下となるなら寛大な心で――――」

 

しかしその返答は炸裂音で返された。そして吹き飛ぶメガネ。

 

フュリアス

「・・・・・・・」

 

アーサー

「他人を容赦なく斬る割には自分はしっかりと守備を固めてるか、見た目も

 人格も小さい奴だな」

 

フュリアス

「・・・なんだって・・・?もう一度、言ってくれるかな・・・?」

 

帝国兵

「(ま、まずいッ!?)おい、貴様!口を慎――――」

 

だがそんな制止もお構いなしにばっさりと目の前の少将の評価を下す。

 

アーサー

「言動で大体想像がつく、自分の手を汚すのを嫌い、そのくせ人の不幸や苦痛

 を楽しむ典型的な小悪党・・・見た目通りな小物だろ」

 

フュリアス

「・・・はっはっはっは!!!!!!いいよ、君、最高にむかつくよ!!!

 ここでバラバラに艇ごと空の底にばら撒いてやるよぉお!!!!」

 

またもや無差別な攻撃を仕掛けてくるのに対して回避しながら巻き込まれる

敵だった兵士達に向けてパッスランドを構える。

 

帝国兵

「ぐお!?」「ぐあ!?」「な、な―――ッ!?」

 

帝国兵を殺傷力のないパッスランドの銃撃でさっき開いた穴へと吹き飛ばした。

 

アーサー

「これで的が減って戦い易くなるぜ、敵とはいえ気分が悪いからな」

 

ティア

「・・・あなたは少々、甘いですよ」

 

アーサー

「自覚してる、よッ!」

 

だが無差別攻撃は止むことなくさらにアーサーへと襲い掛かる。

 

エステル

「きゃああああああ?!?!」

 

フュリアス

「はっはっはっは!!別に姫様は生きてればいいいんだし~?手足の1つが

 無くなっても医療班に延命させればいいだけだからな!ほら、ほら!逃げて

 無様にボクに許しを請え!お前はもう処刑確定だ!!」

 

アーサーの方はパッスランドとラムレイを構え、エステルは首にしがみ付かせる。

 

フュリアス

「そんな玩具で何が出来るんだよ~ッ?でもいいね、いいね~!そうやって

 もっと必死に抵抗しなよ、足掻いてもがく姿はとても最高さぁ♪」

 

そしてその巨大な砲門に光が宿り、轟音を轟かせて瞬時にアーサーは回避する。

巨大な閃光が放たれてアーサーのいた場所が抉られるように破壊されて浮遊して

いる無人島に直撃して岩石群に変えてしまう。

 

アーサー

「ちっ、本当に他がどうなろうとお構いなしだな」

 

エステル

「目的はわたしのはずです・・・ッ!アーサー達は関係ありません、わたしに

 何かあったらそれこそ話し合いの余地もなくなりますッ!」

 

しかしこの発言にさらに高笑いしながら彼女を罵倒する。

 

フュリアス

「お前みたいな世間知らずの役立たずが皇帝になれるわけないだろ~!

 僕が上に上がるために兵器の部品になってればいいんだよ、はは~♪」

 

アーサー

「兵器の部品だと?」

 

フュリアス

「星の民が作った最高最悪の兵器さ、かつてこの世界を覆うほどの災厄すら

 薙ぎ払った星の民の強力な兵器にその姫様、いや満月の子達の子孫が鍵と

 して必要なのさ、僕が調べすでにその施設も手中に収めたからね」

 

そして下衆な笑いを浮かべながら上機嫌に愉悦に浸っている。

 

ティア

「話は聞いたことがありますがあんなお伽噺のモノを信じているのですか」

 

フュリアス

「だから実際に手中に収めたって言ってるだろ~?途方もない力を秘めた

 まさに話に合致する代物、そしてその姫様の一族がその軌道に必要な子孫

 の末裔・・・さらにその力を色濃く受け継いでいるのさ」

 

 

 

フュリアス

「君も馬鹿だよ、これだけの圧倒的な戦力差があるのにたてつくなんてさ!

 これだから下層の奴らは見るに堪えない愚かさなんだ」

 

アーサー

「あぁ、そうかい・・・なら」

 

ティア

「ッ。それは?」

 

腰に携帯していた球体を取り出すと2つをアドウェルサの足元に放り投げた。

 

アーサー

「さっさと退け」

 

放り投げた球体に重弾を撃ち込むと閃光と共に轟音が響いて大爆発が起こる。

 

フュリアス

「なっ!なんだ!何が・・!何をしたんだよ、お前ッ!?」

 

アーサー

「さっきのは俺の妹特製の爆弾でな、小型だが破壊力は抜群。お前が玩具と

 笑っていたこいつらで周辺を撃ち続けて足場を脆くしておいたんだよ」

 

そこに爆弾の衝撃も加われば必然と結果は出る。

アドウェルサの比重に耐え切れなくなった足場がそのまま抜け落ち、落下する。

 

フュリアス

「・・・な~んちゃって~!」

 

しかしアドウェルサは飛行機能もあるのかそこから浮上し、また砲台を向ける。

 

フュリアス

「起死回生だったのかもしれないけど残念だね~♪死ねよ、ゴミが!!!」

 

エステル

「アーサーッ!」

 

アーサー

「やれやれ・・・だから小物だっていうんだ。自分から不安定な場所に上がるかよ」

 

その砲門に向けてもう1つ持っていた爆弾を素早く放り投げるとその爆弾が

砲門の真下、そして砲撃が放たれるベストのタイミングで引き金を引く。

 

エステル

「きゃ!?」

 

フュリアス

「なっ・・なっ!馬鹿なッ?!」

 

爆発と同時に発射してしまったために衝撃で後ろに跳ね、さらに砲撃の衝撃で

余計に後方へとボディが回転してその場で青天する。

 

アーサー

「ティア、行くぞッ!」

 

ティア

「はいッ」

 

完全に態勢を崩したアドウェルサに向けて2人が同時に武器を構え突進する。

 

アーサー

「自分の兵器でブッ潰れろ、フュリアス!」

 

ティア

「これで最後です・・消えなさい!」

 

ティアの双剣に光が宿り、アーサーも自身の持つ技の体勢に入った。

 

アーサー

「瞬迅剣・疾風!」

 

ティア

「空破絶掌撃!」

 

一度目の踏み込みから刹那にもう一歩踏み込みさらに加速した牙突に同じよう

な2度の踏み込みに合わせた強烈な牙突二連が追撃する。

青天と同時に砲撃してしまいそれが自分達の飛空艇に直撃して爆発炎上する。

 

フュリアス

「ぼ、僕の船がぁあああ?!!」

 

帝国兵

「いかん、このままでは墜落ッ――――ごああああああ!?」

 

気づいた時にはフュリアスとまとめて帝国兵はパッスランドの銃撃で吹き飛ば

され炎上している飛空艇へ。

 

ティア

「落ちなさい、ハァァッ!!」

 

そして双剣をこちらの飛空艇とドッキングしていた足場を斬り払った。

 

フュリアス

「お、覚えてろよぉ!!お前は絶対にぶち殺してやァ――――――・・・・」

 

爆発炎上しながら帝国の飛空艇は硬度を下げて下の方に浮遊していた無人島に

墜落していき、森の中へと消えていった。

 

アーサー

「あぁやって結局無人島に墜落するあたり小物らしい悪運だな」

 

エステル

「どうにか・・・助かったんです・・・?」

 

ティア

「そのようですね」

 

それぞれ武器をしまい一息をはく。

 

アーサー

「そういえばティアはどこにいたんだ?この船を少し見て回ったが見かけなかったぞ」

 

ティア

「この飛空艇には多少だけど就寝室がいくつかあるの。仮眠を取っていたら

 この騒ぎで・・・中の帝国兵を殲滅して表に出たらあなた達がいたのです」

 

従業員

「皆さん、本当にありがとうございました」

 

どうやら飛空艇の従業員のようで数人でアーサー達に礼を言いに来た。

 

アーサー

「別に構わないさ、それよりアルビオンまでは―――あ、あれ・・・?」

 

しかし言葉を言い終わる前に片膝をついてしまうアーサー。

 

エステル

「アーサー!?大丈夫ですか?まさか怪我を・・・?」

 

アーサー

「いや・・・いつもの事だから大丈夫。(まだ動きに身体が・・・)」

 

気を張っていたから感じていなかったのかもしれないがかなりの数の帝国兵

や機械兵にあの大型兵器との連戦で予想より酷使していたようだ。

 

ティア

「恐らく肺活量と戦闘能力に身体の機能が追いついていないのでしょう。わた

 しにも経験があります、わたしの呼吸に合わせてください」

 

彼女の呼吸リズムに合わせてアーサーも呼吸をする。すると呼吸が整う。

そしてエステルの回復昌術で体力と怪我もある程度回復したようだ。

 

ティア

「ですがもう少し休んだ方がいいでしょう。たしか次の停泊所があったはず」

 

アーサー

「そうもいかないんでね・・・このお姫様を連れて行かないと・・・」

 

エステル

「ダメです!」

 

しかしそれを止めたのは当人のエステル本人でそれに呆れ顔を見せる。

 

アーサー

「あのな、お前の目的は仲間を助けに行くことだろう。手段のために目的を

 忘れるな・・・それじゃ皇帝なんて地位についたらとんでもないぞ」

 

エステル

「わたしは皆を助けに行きたいです。でもそれでアーサーを酷い目に合わせて

 助けにいっても皆から怒られます。まずはあなたの回復が先です」

 

完全にてこでも動かない、何があっても聴きませんモードだ。

 

ティア

「こうなっては仕方がありませんね。この船も少し修理が必要でしょうし

 故障でなにかあっては遅いですから一度休息をとりましょう」

 

アーサー

「・・・分かったよ、てかいう通りにするから腕にしがみ付くな、エステル」

 

エステル

「あっ、す、すいません(汗。」

 

3人はアーサーの回復と飛空艇の修理のために次の停泊所で休息を取る事にした。

新たに現れた謎の女剣士『ティア』との共闘で難を逃れたアーサーとエステル。

しかしエステルという少女は何なのか、フュリアスの言った『満月の子』と

そして古代の兵器の『鍵』という言葉。

謎が深まるばかりだがこの先に待つであろう戦いのために休息をとるのだった。

 

 

 




次回のREDHIANT MYTHOLOGYは


「あなたの覇気はまだ芽生えたばかり・・・故に馴染まずあなたが傷つく」

「お前はこの力の事を知っているのか・・・?」

休息を取った停泊所の街。そして月明かりの中対峙する2人。

「わたしもあなたと同じ力を持っているからです・・・今はまだわたしの方が強い」

そして覇気の力の使い方を知るティアがその力を見せる。

「これが覇気の力の一片・・・『極限の精神』。あなたも持っていた力です」

「これが本当に人間の動きかよッ!?この力を俺が――――」

『あなたは誰にも負けない。わたし達の希望の光だよ、アーサー』

魂に残る少女の声と笑顔。そして託されていた欠片が目覚める。

「・・・・・・・・」



             第三話~片鱗~



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