グランブルーファンタジー【REDHIANT MYTHOLOGY】   作:RYOU

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突如現れたエルステ帝国、その少将のフュリアス。
殺戮兵器や機械兵に苦戦しつつも新たに現れた女剣士『ティア』との共闘。
辛くもフュリアス率いるエルステ帝国軍を撤退させたアーサー達。
先を急ごうとするアーサーだったがエステルとティアの提案で一路、近くの
停泊街で休息を取る事になった。



第三話~片鱗~

突如としてエステルを狙って襲撃してきたエルステ帝国少将フュリアスを退

けたアーサーだったが疲労の蓄積から一度、途中の停泊所で休息を取っていた。

 

エステル

「・・・・・・」

 

アーサー

「・・・・・・」

 

エステルが回復昌術をアーサーに展開して持続的な回復を行っていた。

 

ティア

「食事を貰ってきました、今はとりあえず鋭気を養いましょう」

 

アーサー

「鍛えてきたつもりだったがまだまだイメージと体が一致しないな」

 

考えてみるとあれだけ激しい戦闘をしたのは初めてだったかもしれない。

気を張っていたのもあるだろうが今までにない疲労感だった。

回復を終えたアーサーはエステル、ティアと食事をとる事にした。

 

エステル

「そういえば2人はどこか同じ流派で鍛えていたんです?」

 

ティア

「どうしたのですか、エステル?」

 

エステル

「あの戦いで2人共同じような光を纏って戦っていました。アーサーは白で

 ティアは黒い光だったと思います」

 

アーサー

「俺もあまり詳しく知ってるわけじゃないが『覇気』って力だ」

 

エステル

「覇気・・・です?」

 

ティア

「長い歴史上で名を遺す者達の多くはその覇気を操る者だったと言います。

 先天的にその血を継いでいる者が強い覇気を纏う、わたしの祖先も彼の

 祖先も元々から覇気を纏う人物だったのでしょうね」

 

だがティアを見ていると自分より遥かに操っているように思える。

 

アーサー

「俺は一瞬だけ力の強化に使うくらいでほとんど持続力がない。ティアのを

 見てると適材適所で覇気を操っていた、あの戦いでもそうだったろ?」

 

ティア

「強力な力はそれだけリスクが伴う。わたしも長時間は使えませんから」

 

同い年くらいにみえるのに随分と落ち着いていて自分より戦い慣れしている

ように思える。

それに同じ二刀流の師を持つからその剣術の腕の高さも窺い知れる。

 

アーサー

「男としてはちょいと情けないがティアには敵いそうにないな」

 

ティア

「・・・いえ、あなたはわたしより強いですよ。まだまだ力を知らないだけです」

 

エステル

「なんだか、ティアはとても大人っぽいです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月明かりの照らす停泊街。

アーサーは大剣を持って外に出ていた。そして1人座り精神統一をする。

 

アーサー

「・・・・・・・・・」

 

覇気を練り、自らに纏わせる。かつてに比べては安定してはいるがティアの

それを見せられると自分の覇気は随分と安定性はない。

 

ティア

「やはりまだ安定していないようですね」

 

アーサー

「・・・ティアか」

 

振り返るとそこには鎧を外し、インナー姿のティアがやってきていた。

 

ティア

「そういえばアーサーは何故、あの飛空艇に?」

 

アーサー

「元々はアギュウステに鉱石を取りに行くことになってたんだがそこでエステル

 と会ってな。あとはあの大騒ぎだ、ここでシェロとあえてよかったよ」

 

『シェロ』というのはこの世界の行商を取り仕切っている商人の愛称であり

彼女経由で家には少し遅れるという連絡を入れることは出来たらしい。

 

アーサー

「ティアは何で1人で旅をしているんだ?」

 

ティア

「自分自身を探す旅・・・とでもいいますか。実は以前の記憶がまるでないの

 です、気づいた時には小さな教会のシスターに手当されていました」

 

アーサー

「なんだか俺と似たような感じだな。俺も1年前以降の記憶がないんだ」

 

自分がここに至るまでの出来事やククル達家族の事も話した。

 

ティア

「とてもいい子達なのですね、それにとても大切に想っている」

 

アーサー

「俺のはっきりとある記憶の中で初めて出来た家族だからな、感謝してるよ」

 

そんな談笑をした後にティアが少し真剣な顔で話を切り出す。

 

ティア

「アーサー、あなたのこれからのために覇気のさらに一線を越えた本来の力を

 今からあなたに見せます」

 

アーサー

「何・・・?覇気をさらに超えた力・・・?」

 

ティア

「わたしがこの前の戦闘で瞬間的な覇気の発動をしていたのは効率よく無駄の

 ない戦闘をするためですが本来の使い方ではありません」

 

一刀を抜いたティアが少し間をあけて立ち、アーサーも剣を背に携える。

 

ティア

「あなたは本来の覇気の力を忘れているだけで実際は既に使う事は出来ます。

 忘却しているが故に引き出せず中途半端に覇気を使ってしまっている」

 

するとまずティアは自分の身体に前も見た漆黒の覇気を纏って見せる。

 

アーサー

「(やっぱり俺みたいにぶれてない。安定して纏わせている)」

 

ティア

「あなたの覇気はまだ芽生えたばかり・・・故に馴染まずあなたが傷つく」

 

そしてその覇気が段々と小さくなっていき、ついには纏っていた光がなくなった。

 

アーサー

「お前はこの力をどこまで知っているんだ・・・?」

 

ティア

「わたしはあなたと違って1つだけ薄っすらとですが持っている記憶がありま

 す・・・それはわたしにこの力を教えたと思われる人物の背中、その背には

 あなたが今持つその剣が携えられていた」

 

アーサー

「!?」

 

まさかの展開だった。それが真実の記憶なのか、そうではないのかはわからない

がまさか自分の過去に繋がるかもしれない言葉を聞くとは思わなかった。

 

ティア

「わたしもまさかとは思いました・・・ですがその背中とあなたはとてもよく

 似ている・・・だから確かめるためでもあった」

 

その眼がうっすらとだが開かれていく。

 

ティア

「力の引き出し方を知っているのはその人からの教えがあったから。そして

 あなたと同じ力を持つからです、そして今はわたしの方が強い」

 

開かれた眼には一筋の黒い光の放出されて彼女の雰囲気が一変する。

 

ティア

「力の使い方を教えましょう」

 

アーサー

「―――――――――ッ―――――!」

 

瞬間、背筋を突き抜けるような悪寒と威圧感が突き刺さって体の危機感知力が

フル稼働し、瞬時に戦闘態勢を取ったはずだったのだが・・・・。

 

アーサー

「・・・・・」

 

気づいた時には自分の頬を刃が通過しており、少し切れたのか血が流れる。

 

アーサー

「・・・・・ッ」

 

ティア

「参ります」

 

そこからはすでに防戦一方。いや防戦すらも儘ならない。

 

アーサー

「・・・・ッ」

 

ティア

「遅い」

 

来ると思った方向に防御した時には既に裏を取られて峰内をくらう。

 

アーサー

「・・・ッ、オォォオッ!!!」

 

一瞬見えた影に渾身の牙突を繰り出し、それに手ごたえがあったのだが見ると

自分より遥かに体格も小さいティアに二刀でしかも踏ん張るわけでもない

唯の直立不動で渾身の牙突を止められていた。

 

アーサー

「なっ・・・」

 

ティア

「ハァァッ!!」

 

アーサー

「ぐっ?!」

 

逆に弾き飛ばされてすぐさま態勢を整えて構えを取り直す。

 

アーサー

「たくっ・・・そんな強さがあるならあの時も俺と共闘しなくても1人で

 あんな奴ら、完封勝ち出来ただろ」

 

ティア

「これは力の消耗が激しいのです。それにあれぐらい倒せないとこの力の

 そのものを引き出すのもできません」

 

圧倒的な強者は向こう、弱者はこちらだった。

涼しい表情を常にしているがそれは強者が故の余裕と経験があるからだろう。

自分より世界を経験して強い者も知っているだろうし、自分が戦った強者と

言えば師匠くらいであとは魔物か野盗ぐらいなものだ。

 

アーサー

「唯のおつかい程度だったのがいきなり世界の広さを知る羽目になるとはなッ」

 

やはりどうあがいても防戦すら儘ならない蹂躙戦のようになる。

 

ティア

「恐怖を持ちますか?それとも世界へは自分には不可能とも・・・?」

 

肩から息をして剣を両手でまた構えなおす。

 

アーサー

「まぁ・・ここまで自分の力が通用しないとは思わなかったがね・・・お前

 みたいのがまだまだ世界にいると考えたら・・・・」

 

ゆっくりと上げられた表情は憂いは無かった。

 

アーサー

「熱くなってきた・・・俄然知りたくなったよ。俺の記憶もそうだが世界に

 いるもっと強いあらゆる意味の強者とやってみたくなった」

 

自分より強い者はこの世界にいくらでもいるだろう。だが『勝てない』相手は

いない、どんな相手だろうと可能性はあるし、これからの旅にある困難でも

必ず乗り越える可能性はある。自分が不可能など思わなければすべてそうだ。

 

アーサー

「だが覇気にそんな使い方があるのは知らなかったよ」

 

ティア

「これが覇気の力の一片・・・『極限の精神(ゾーン)』。あなたも持って

 いた力です。覇気を知るわたしの師も使う事が出来ていました」

 

アーサー

「『極限の精神(ゾーン)』?」

 

ティア

「単純にして最も効果の高い力、全ての膂力と反応速を100%以上引き出せるモノです」

 

そこからも防戦は続くのだが少しずつその攻撃を何とか弾く回数が増えていく。

 

アーサー

「これが本当に人間の動きかよッ!?この力を俺が――――、!」

 

ティア

「逆です」

 

刹那の金属音。

見るとアーサーは少しこちらに視線を移した状態でラムレイの銃身を使いティア

の一撃を受け止めていた。

 

アーサー

「多少反応できたが破れかぶれでどうにか防ぐのがやっとかい・・・・ッ!」

 

ティア

「フッ・・・やはりあなたは強い。この短時間でも吸収している」

 

一度、距離を置いてまた剣を構える。

 

ティア

「あなたらな何者にも負けない戦士になれるかもしれませんね。かつて数多と

 いた偉人達のように皆を導く光に」

 

アーサー

「ここでぜぇ、はぁ、言わされてる男がそうなるとも思えない――――」

 

刹那、頭にフラッシュバックしてきた映像。

どこかの海が見渡せる丘。

どこまでも蒼いこの世界にも似たどこまでも続く空。

そして自分の前で微笑む雪の結晶の髪飾りをつけた少女の横顔と言葉。

 

『まだ戦いは続くけど・・・不安はないよ。皆もいるあなたもいる』

 

『―――――――――』

 

その映像の自分の言葉は出てこない。何を言っていたのかが思い出せない。

 

『あなたは誰にも負けない。わたし達の希望の光だよ、アーサー』

 

次に出てきた映像は真逆の火に包まれた場所。

そして自分の手の中で動かないさっきまで微笑んでいた少女。

 

『あなたの命は・・・わたしが繋ぐよ。いつか世界を救う英雄に・・・この

 世界と皆を・・笑顔に・・・お願いね、アーサー』

 

『護りたい・・・もっと強ければ・・・何者にも負けない強さがあれば』

 

アーサー

「―――――」

 

最後にはっきりと聞こえた、自分の声。

そして直後に自分の頭、いや身体全身に響くような自らを動かす声。

 

            加速せよ

 

            加速せよ

 

            加速せよ

 

            何より速く

 

            何より強く

 

           何よりも輝く光に

 

ティア

「いきます――――」

 

集中力が不必要な外界を遮断する。

 

目の前の相手の動きに反応し身体が動き、そして膨張する速度で静止にも近い。

 

瞬発する肉体が今まで知る自らの風景をあっさりと超えていく。

 

アーサー

「・・・・・・・・」

 

ティア

「―――――ッ(寒気・・・!この感覚、野生の獣を前にしたような)」

 

アーサーと視線が合う。

さっきまでとは違う、それは自分と同じ、だがまだ小さな光。

だが確かに今まさに壁を越えて自分と同じ世界へと足を踏み入れている。

 

アーサー

「・・・・・―――――」

 

ティアが加速しようとした瞬間に迫る大剣。

 

ティア

「ッ」

 

間一髪で避けたが既に追撃、そしてそこからは視認など最早意味を成さない

感覚と瞬発の攻防。

同じ力であっても秘めたアーサーの膂力が最大限に出されたのもあって

速度が自分と同じほどになっている。だが加速し、速度はまだ上だ。

だが破壊力は圧倒的な差が生まれている。

元の得物が大剣なのもあるが『極限の精神ゾーン』によるリミッター解除

による元々の膂力がかなり鍛え上げられているようだ。

 

アーサー

「・・・・・・」

 

ティア

「・・・・・・」

 

互いに剣を構え、踏み込もうとした瞬間。

 

エステル

「ティア!アーサー!」

 

その声に互いに『極限の精神ゾーン』状態が解除されて武器を下げる。

 

エステル

「2人共、まだ回復して間もないのに何をしているんですか、無理は駄目です!」

 

ティア

「ごめんなさい、エステリーゼ。ちょっと体を動かすだけだったのですが」

 

エステル

「わたしが巻込んでしまったとは言え、しっかりと休んでください、アーサー

 も・・・・アーサー?どうしたんです?」

 

アーサー

「・・・・・・」

 

自らの手を見つめながら呆けたように立ち尽くしていた。

さっきの『極限の精神(ゾーン)』状態にも驚いたのだがもう1つの方だった。

 

アーサー

「(あの時見えたのは・・・俺の昔の記憶・・・?俺は護れなかったのか?)」

 

感覚の世界の映像で何故か心情だけは窺い知れた。

倒れる少女を抱きかかえる自分の中には鋭い痛みと悲しみ、怒りが渦巻いていた。

それが本当ならば自分はどこかで多くの仲間やその少女と共に戦っていて

だが何かがあって仲間や少女を護れずあの場所に流れ着いていたのだろうか。

 

エステル

「-ッ!アーサー、聞いているんですか!」

 

アーサー

「ッ・・・んっ?あぁ・・・悪い、ちょっとぼぉーとしてた」

 

やっと応えたアーサーに安堵した顔をしつつ胸に手を当てて回復を始める。

 

ティア

「まずは1つ壁を超えたようですね、アーサー」

 

涼しげな笑みを浮かべてアーサーに話しかける。

 

アーサー

「あぁ・・・だけどこれに頼るわけにもいかないな。あれだけの時間でこの

 疲労感・・・俺自身が強くならなきゃ。じゃないとまた・・・・」

 

あの映像が本当の記憶なのか、いやそうでなければみる事もないのかも

しれないが昔の自分にあったように今の自分にも護らないといけないもの

はある。映像の少女と話す自分は世界を護っていたようなことを話して

いたが大そうなものじゃない、今の自分にできた家族、妹達だ。

 

アーサー

「今はまだ分からないけれど今ある護らなきゃならないって想うモノは

 俺自身が強くならないと駄目だ、それに・・・あいつらのためにも」

 

エステル

「あいつら・・・です?」

 

アーサー

「俺には妹・・・って言っても本当の兄妹じゃないが俺を憧れと言ってくれる

 妹が2人いる、だからあいつらがずっと目指して憧れるような強い兄貴に

 なってたいんだ、だからこの力に頼らなくてもいいくらいになってやるさ」

 

ティア

「ふっ・・・あなたならわたしのように自らの意志で『極限の精神ゾーン』になれるように

 なりますよ。それに頼らず自らの力を高めようとするならば」

 

エステル

「一体、なんの話をしているんですか、2人共?」

 

アーサー

「まぁ、気にするな。それよりもうちょい回復頼むよ、お姫様」

 

そういってぽんぽんと頭を叩いて宿屋へと戻っていく。

 

ティア

「それでは行きましょう、エステリーゼ。さすがに夜で冷えてきました」

 

エステル

「は、はい。って待ってください、アーサー!ティアー!」

 

慌てて2人を追いかけていくエステル。

かつての自分の記憶に想いをはせるアーサーだが今の自分がするべき事に頭を

切り替えて今は休息を取り、明日に備えることにする。

自らの持つ覇気の力の片鱗を解放したアーサー、そして一片の蘇る記憶とその

中に現れた1人の少女、彼の過去に何があったのか、それはまだ分からない。

今は唯、次に待つ戦いの渦中へと進んでいく。

 

 




次回のREDHIANT MYTHOLOGYは


「ここが城砦都市アルビオン」

まさに要塞とも言える強固な護りを誇る空中都市へとやってきた一行。

「気を付けてください、どうやら街中にも魔物がいるようです」

しかしそこは既に魔物が侵入し、戦闘が各所で行われていた。

「だがなんだ・・・この大きな力と纏わりつくような『悪意』は・・・」

「早くユーリやフレン達と合流しないと・・・ッ!」

仲間の元へと急ぐエステルとアーサー達だったが立ち塞がるのは街を護るはずの
アルビオン兵とまたもや現れたエルステ帝国兵。

「どうやらつるんで悪巧みしているのは間違いないようだな」

退け続ける3人だったがその道を助けるように響き渡る炸裂音。

「この弾丸・・・まさかッ!」

「久しぶりだな、アーサー」



             第四話~鷹の眼~

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