グランブルーファンタジー【REDHIANT MYTHOLOGY】   作:RYOU

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途中で知り合った少女のルリア、そして飛竜のビィ。そしてエステルの仲間達と
合流したアーサー。
だがその中でアルビオンを包む強大な力に一抹の不安を覚える。
そんな激戦の最中、狂気の愛が動き出そうとしていた。


第六話~狂愛と星の騎士~

アルビオン城の一室で1人、騒然とする外を見つめる女性騎士。

 

????

「わたしは・・・・」

 

迷走する思考と心に引っかかる2つの約束。しかし答えはでない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーサー

「ここはなんかの資料室か?・・・星昌獣・・・シュヴァリエ、一体化・・?」

 

その資料をさらっと目を通し、古い資料所の横に真新しい資料書があり、そこには

以前戦った帝国の兵器『アドウェルサ』だった。

 

アーサー

「なんともきな臭い事になってきたな・・・やれやれ、唯のおつかいだったんだが」

 

外で声が聞こえて振り返りざまにラムレイを抜いてドアに向け警戒する。

 

帝国兵

「ぐおぉ・・・・・ぐっ・・・」

 

しかしドアをゆっくりと開けたのは何者かにやられた帝国兵でその場で絶命する。

 

????

「大丈夫ですか?どうやら帝国兵や騎空団の方々ではないようですが」

 

入ってきたのは金髪を髪飾りでまとめ、赤い鎧を纏った女騎士だった。一瞬

捕まっているルリアの仲間かと思ったが特徴が違うようだ。

 

アーサー

「んっ・・・あぁ、あんたもエステルやルリアの仲間か。悪いがこっちには

 あいつらはいないぜ、途中ではぐれちまったんでな」

 

そういいつつその資料に目を通し、他の資料も軽く目を通していく。ただし

まったく『警戒』を解かずに。

 

????

「そうですか・・・・―――好都合です――――」

 

響く金属音と炸裂音。

 

????

「・・・・・・・・・・」

 

アーサー

「・・・・・・・・・・」

 

その場には武器を弾かれた女騎士と硝煙を上げる銃を構えたアーサーがあった。

 

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「突然、婦女へ向けて発砲とはなんて礼儀をしらない殿方でしょうか」

 

アーサー

「なら人に鋭利な刃物向けるのは礼儀に入るのかい、綺麗なお姉さん?」

 

だがその返答はその女騎士ではなく虚空から突如として何か光の筋が伸びてきて

それをラムレイの銃身で受けて一度、距離を置く。

 

????

「あら、なかなかいい反応ですね。それ相応の鍛錬をしておられるようで」

 

アーサー

「そりゃどうも・・・(『極限の精神(ゾーン)』状態とはいかないがいつもより

 高い集中状態を維持していたから反応出来たとはいえ何だ、今のは)」

 

最早、加減を出来る相手ではないと判断しラムレイが火を噴く。

だがその銃撃が全てさっきの光の筋のようなものに落とされてしまった。

 

????

「見事なものですね、あの一瞬で6発全弾を撃ってくるとは。ではこちらも

 加減などは必要ありませんよね・・・?」

 

その眼には狂気すら感じる殺気が込められ剣閃と光の筋が一度に襲い掛かってくる。

大剣では不利とパッスランドも抜いてその強度を利用した接近戦に入る。

 

????

「ほとんどが帝国兵と騎空士の雑兵だけかと思いましたがあなたのような

 手練れが紛れているとはあながち馬鹿には出来ないものですね」

 

アーサー

「生憎、俺は巻きこまれた口でね。無関係と思うなら見逃してくれよッ」

 

????

「残念ですがまだ未完とはいえその力は放置しておくと私の障害になる可能性

 もありえますので・・・お受けできませんね」

 

その口調からこの騒動について首謀者に近いモノだと判断できた。

 

アーサー

「この大混戦の一端はお前かッ。その話しぶり、どちらも敵対のようだが」

 

????

「なかなか感もよろしいようですね、ますます見逃せません」

 

ラムレイのリロードをしようと弾奏を弾いて空中装填をしようとするがそれ

を光の筋に弾かれてしまい、弾奏が転がる。

 

????

「リロードの時間は与えませんよ。さぁ、華麗に踊りなさいッ」

 

アーサー

「悪いがリロードは必要ない、生憎、弾の構築時間はたっぷりあった・・・・」

 

そういってパッスランドを構えるとにやりと笑みを浮かべて性質・形状を構築する。

 

アーサー

「ここは一先ず逃げさせてもらうぜ」

 

炸裂弾を構築して目の前の女騎士目掛けて放ち、さすがにイメージを構築する

パッスランドの散弾は密度も高くさっきまで構築に時間をかけていたので

威力も十分、さらに天井目掛けて砲撃型を撃って天井を叩き落とした。

 

????

「小癪・・・・ッ」

 

さらにはご丁寧に煙幕弾まで撃ち込んで来たので視界も塞がれて見失う。

 

 

 

 

 

 

 

 

????

「な、なんだ、今の音は・・・ッ!?」

 

一室に監禁されていた銀の鎧を纏う女騎士は突如聞こえた轟音に驚き立ち上がる。

直後に聞こえてきたのは裏の窓ガラスが割れて砕ける音だ。

 

アーサー

「たくっ、本当に俺何しに来たんだか・・・ッ。いきなり大戦闘に巻きこまれるは

 一国レベルの覇権争いに首突っ込むは、変な狂乱女に取っ掴まるわ・・・」

 

????

「あ、あの落ち込んでいるところ済まないが君は・・・敵か?味方か?」

 

アーサー

「えっ?」

 

そこで漸く目の前の女性騎士に気が付いて改めてみるとどこかで聞いた装いだった。

 

アーサー

「あんた、もしかして・・・あんたが女騎士のカタリナさんか?」

 

カタリナ

「君は・・・・?な、なぜわたしの名前を」

 

ここに来る前に仲間の騎空団メンバーに会ったことを話し、今は別行動と説明した。

 

カタリナ

「ルリア達が・・・もうわたしには関わるなと言ったのに」

 

とりあえず銃に弾丸を補充し、残りの弾奏など装備を確認する。だが無言で

パッスランドの引き金を引いてその弾がカタリナの顔の横を通過する。

 

カタリナ

「い、いきなり何をッ」

 

アーサー

「あんたに何があるのかは知らないがルリアちゃんに聞いたのとだいぶ違って

 素人みたいな状態だな」

 

すると扉が何かに開けられてそこには気絶した帝国兵が倒れていた。そして

中に兵士が複数入ってきたのだが入り口は1つ唯の的だ。

広範囲に拡散させる形質変化を加えた銃撃で薙ぎ払い、ホルダーにしまう。

 

アーサー

「ここは戦場だぜ、雑念で気抜いてる暇があるなら剣構えて自分の身くらい守れ」

 

カタリナ

「・・・すまない・・・」

 

そしてそこからはカタリナと共に行動を始めたのだが彼女の動きが仲間から

聴いているのと大きく違い、心ここに在らずというか迷いが動きにそのまま

直結して出ているようで危うい場面が多く、援護に回らざるえなかった。

 

カタリナ

「くっ・・・ッ!」

 

エルステ兵

「この裏切り者がッ!――――ぐあっ――――」

 

アーサー

「寝てろ」

 

集中が散漫になっていてアーサーの方も気が気ではない。敵に応戦しながら

カタリナの援護に集中を割いているので彼も集中できない。

 

アーサー

「たくっ、本当に帝国に喧嘩売った騎空団のメンバーかよッ。修業する前の

 俺より酷いぞ・・・―――おいッ!!裏ッ!!」

 

カタリナ

「しまッ―――」

 

???

「幻狼斬ッ!」

 

しかし今度は別の人物がその真裏から現れて敵兵を斬り払いアーサーの前で止まる。

 

???

「その大剣に二丁拳銃、エステルの言っていたアーサーってのはあんたか」

 

名前を言われて目の前の青年を見ると彼も覚えのある容姿だった。

 

アーサー

「黒髪に黒ずくめの服、それとその刀。もしかしてユーリ・ローウェルか?」

 

ユーリ

「どうやらお互いに援軍に出会えたみたいだな、そちらさんも仲間か」

 

アーサー

「まぁ、別のグループの仲間だよ。ついでに救出を頼まれてたんでな」

 

そこからは3人で行動を開始した。

 

ユーリ

「しかしまぁ、数は多いが大した事が無い奴らばっかで歯応えが無いぜ」

 

アーサー

「いや、そうでもない。得体の知れない女騎士が1人いる、なんか妙な能力持ち

 でいきなり何もないところから光の筋みたいなのを飛ばしてきた」

 

カタリナ

「まさかそれはシュバリエ・・・?」

 

アーサー

「何か知ってるのか、カタリナさん」

 

そして彼女が話したのはその正体は『星昌獣シュバリエ』であり、その女騎士は

その正当な主でこのアルビオンの領主『ヴィーラ・リーリエ』。

かつての彼女の後輩であり、姉と慕っていた人物だという。

 

アーサー

「随分とあぶねぇ後輩持ってんだな、味方の演技していきなり襲い掛かってくるは

 見ず知らずの相手にその星昌獣・・・か?嗾けるとか何なんだ」

 

彼自身も星昌獣というのは話には聴いていたが初めて目の当たりにするものだった。

 

カタリナ

「しかし君はシュバリエの攻撃から逃れてきたのか?」

 

アーサー

「まぁな、とは言ってもいつもより高い集中状態で感覚が研ぎ澄まされてたのもある」

 

ユーリ

「それ聴くとお前も結構やる奴なのな。一手やりあいたいもんだぜ」

 

アーサー

「それはこの大騒動が終わってからにしてくれ――――――」

 

しかし最早、理解するより身体と五感が反応して即座にその存在に剣を向ける。

 

ヴィーラ

「その反応、やはり唯の銃剣士ではありませんね。こちらが攻撃に意識が転じた

 瞬間に行動してくるとは・・・最早、野生の獣にも似たものです」

 

アーサー

「分かりやす過ぎなんだよ、その粘りつくようなどす黒い『悪意』はな」

 

そのまま弾き返す。

 

アーサー

「随分とお早い再会で涙が出そうだよ、ヴィーラ・リーリエ・・・・」

 

カタリナ

「ヴィーラ・・・ッ」

 

ヴィーラ

「あぁ・・・お姉様、申し訳ありません。邪魔な俗物をまだ処理しきれて

 いませんからもうしばらくお待ちください、そうすればわたしとお姉様

 だけの居場所を取り戻すことが出来ます、さて・・・・」

 

そして構えだけを取る。だが攻撃をしようとはしない。

 

カタリナ

「(警戒は解いていないが何故、攻めてこ――――)」

 

答えはすぐ目の前にいた。

 

アーサー

「・・・・・・・・」

 

ユーリ

「(すげぇ集中力だな、見ただけで感覚が研ぎ澄まされてるのが分かるぜ)」

 

彼自身も頭がさらにクリアになっていた。一度、戦い彼女と圧倒的な存在感を

放つ星昌獣の力を目の当たりにして焦りなどが生まれるかと思ったのだが驚く

ほどに冷静になっている。

 

アーサー

「ここは俺がやる、ユーリとカタリナさんは先に仲間と合流してくれ」

 

カタリナ

「ヴィーラの実力は底知れないッ。1人では危険だぞ、アーサー」

 

アーサー

「さっきからまともに自分の身も護れてない奴が一緒の方が危険だよ、そういう

 事はしっかり覚悟が出来てから言うんだな、さっさと行ってくれ」

 

そしてユーリがカタリナの背を押して無理やりその場から引き離しにかかる。

 

ヴィーラ

「その方から離れていただけますか?あなたのような下等な存在が触れていい方

 ではないのです・・・さぁ、死になさい」

 

しかしヴィーラの攻撃が2人に迫る前に大剣の刀身で弾き、その剣捌きの流れ

から掌底を構え、闘気を込めて彼女へ叩き付ける。

 

アーサー

「烈震虎砲ッ!」

 

今度はパッスランドとラムレイを構えて小回りの利く接近戦主体に切り替えた。

 

ヴィーラ

「(メイン武器に思える大剣よりこちらの二丁拳銃スタイルの方が動きが

  いい。というより銃使いといよりむしろこれは)」

 

細かいフェイントでシュバリエの攻撃を散らし接近しては高硬度の二丁を

使った体術と至近距離からの銃撃の奇襲も加えたスタイルで戦う。

そして互いの剣と銃がぶつかり、火花が散る。

 

ヴィーラ

「どちらかといえばそちらのほうがお得意の様子・・・今までは加減ですか?」

 

アーサー

「使い勝手はこっちがいいんだよッ。師匠も同じ”二刀流”でね」

 

さらに激しい攻防を繰り広げる中で言葉を投げかける。

 

アーサー

「おい、お前!なんでそんなにあのカタリナって人に固執する」

 

ヴィーラ

「?」

 

はっきり言って彼から見ても異常とも取れる粘着のある執着心だ。さっきも

彼女を連れようとしたユーリに殺気を放っていた。

自分以外の近づくものスベテヲ排除する、そんな狂気すら感じる。

 

アーサー

「彼女のそばにいたいなら一緒に騎空団やればいいだろ、少なくともこんな

 騒動を引き起こす必要もないはずだ」

 

ヴィーラ

「シュバリエは元々星の民を守護する星の守護騎士、それが今はこのアルビ

 オンの守護を司る騎士となっているのです」

 

そこから乱撃戦を繰り広げながらシュバリエと自分について語る。

 

ヴィーラ

「その地に縛られる性質を持つ星昌獣であり、それに選ばれた者はその場から

 動く事は出来ずその死を迎えるまでその地を守護する役目を科せられるのです」

 

アーサー

「それと彼女への固執に何が関係あるッ。はっきり言って異常なんだよ」

 

ヴィーラ

「このシュバリエは最も強い騎士を宿主として顕現する、かつてわたしとお姉様

 はその主の座をかけて戦いわたしが勝ち、その座につきました」

 

アーサー

「?」

 

だが話を続けるヴィーラの表情が一瞬だが哀しみを帯びた気がした。

 

ヴィーラ

「お姉様は手加減をし、わざと負けて私にその座を譲った。恐らくはこの

 地に縛られるのが嫌だったのでしょう、そして私の元を去りました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カタリナ

「わたしは償わなければならないんだ、彼女の想いと期待を裏切ってしまった」

 

ユーリ

「それで今頃、罪滅ぼしをしにこんな騒ぎ起こす事態になったってわけかよ、

 とんだ大迷惑だぜ、蒼破ッ!」

 

一方でユーリとカタリナは迫りくる帝国兵を蹴散らしながら仲間との合流を急ぐ。

 

ユーリ

「んで中途半端で置いてきた後輩のために今度はあのルリアって子を中途半端に

 投げて同じ眼に合わせるってわけかい、随分と誇り高い騎士様だな」

 

カタリナ

「ッ」

 

その時、目の前にはアーサーと別れていたルリアと彼の仲間のリタ達が小隊と

応戦をしていてそこに2人も駆けつける。

 

ユーリ

「よう、随分と手こずってるみたいだな、手はいるかよ?」

 

ジュディス

「あら、随分と遅い到着ね。あなたの取り分もしっかりと残しておいたのよ?」

 

リタ

「減らず口叩いてないでさっさとぶっ飛ばすわよ!!」

 

ルリア

「・・・カタリナ・・・・」

 

カタリナ

「ルリア・・・・」

 

互いに何を言っていいのか分からなかったが心配させまいとルリアが振るまう。

 

ルリア

「心配したんだよ・・・でも・・・おかえり、カタリナ」

 

帝国兵

「ぐはっ・・・・ッ」

 

しかしそれを書き消したのはうめき声でそれはロゼッタが迫っていた兵士を倒したようだ。

 

ロゼッタ

「感動の再会は後にしましょう、今はこの状況を切り抜けるのが先よ」

 

ユーリ

「・・・チッ!おい、カタリナさんよッ!」

 

カタリナ

「?」

 

ユーリ

「あんたは結局どうしたいんだ、あの女騎士助けたいのか、それともルリアを助

 けたいのか!今のあんたはどっちからも逃げて自分が傷つかないようにしてる

 ようにしか見えないぜ。禄でもない事はいい加減やめとけよ、おい」

 

ビィ

「おい・・・言い過ぎじゃねぇのか?確かにすげぇ複雑なんだろうけどよ」

 

ユーリ

「関係ねぇな、少なくとも今のこいつは何も護る気はないだろ。現実何も出来て

 ない上に今の今までも俺やアーサーに護られてばかり。本当にこんな奴があの

 大帝国エルステ相手に女の子1人を護ると啖呵きった女騎士とは思えないね」

 

ルリア

「そんな言い方・・・・ッ」

 

だが彼はそういう性格なのだ。人想いだがそれ故に時に言葉は厳しさを帯びる。

 

ユーリ

「お前も何でもかんでも良しとするのは寄せよ。それで傷つくのはお前1人じゃ

 ねぇんだ。他の仲間もそしてあいつを取り戻すって事はあのヴィーラって女

 騎士から奪わなきゃならない、そうすれば今度はあいつも傷つく」

 

応戦をしながら厳しくも諭すようにルリアとカタリナに語り掛ける。

 

ユーリ

「皆が傷つかずに・・・なんて甘い考えはもしこの先に行くなら少しは捨てる

 覚悟も持つんだな・・・・それはいつか全て滅ぼしかねないぜ?」

 

その的確についた言葉にルリアは沈黙し、カタリナも頭を項垂れる。

 

カタリナ

「だが・・・わたしは・・・・ッ」

 

まだ逃げようとする彼女に激情と共に叱咤の言葉を叫ぶ。

 

ユーリ

「てめぇがその剣に護ると決めたもんぐらいちゃんと見ろッ!!!

 

カタリナ

「ッ!」

 

ユーリ

「お前の隣にいる女の子はどんな顔してる!あの女騎士はどんな顔してる!いい加減

 に!そいつらの事、しっかりと見てやれよ!!」

 

そう叫び、敵へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィーラ・アーサー

「ハッ!!」「オオッ!!」

 

そして今度はまた思い出したように狂喜の表情を浮かべる。

 

ヴィーラ

「ですがまたお姉様がこの地へとお戻りになったんです、だから今度こそ

 放しません、もう離れ離れにならぬように迷いなど生まぬように未練も

 枷も全て我がシュバリエで薙ぎ払い討滅する」

 

アーサー

「・・・たくっ、あのスカタン騎士がっ・・・・」

 

ある意味で真っ直ぐな想い。ただ彼女の傍にいたい、あれこれと理由で飾

り立てているがそれが根底なのだろう。

だがそれは曲折を経て大きく捻じ曲がり、全てを敵視してしまっている。

 

ヴィーラ

「お姉様が護ると言っていた少女・・・ルリアさんと言いましたか?あの方

 はお姉様を大切な人だとだから諦めないと啖呵を切ってきましたがあんな

 ものは醜い未練でしかありません、お姉様は私を選んだのですから」

 

アーサー

「・・・・ッ」

 

その想いの強さに比例するように斬撃は重さと鋭さを増し、気圧される。

 

ヴィーラ

「私のお姉様にかける想いは何よりも強く、尊いものなのです。あの少女の

 陳腐な想いとは違うのです」

 

それは怒り、そして目の前の愛情を忘れた少女へと悲しさだった。

 

アーサー

「あいつとあんたに何があったかは知らないがな。ただ言えることは・・・ッ」

 

鋭い大剣の一閃がシュバリエとヴィーラの攻撃ごと全て弾き飛ばす

 

駆け出して鍔迫り合いをしながら痛烈に言い放つ。

 

アーサー

「お前はただ、孤独に耐えられなくなったんだろ。だからこそ唯一の繋がりを

 カタリナさんに求めた、二度と孤独にならないように何重にも謀略を企てて

 大切と言った奴の傷口まで痛めつけ、それでよく『愛』なんていえるなッ」

 

ヴィーラ

「あなたに何が分かると・・・ッ!」

 

感覚は鋭さを増し、次第に相手の動きは速度に遅れ、徐々に制止していく。

 

ヴィーラ

「(馬鹿なッ!?完全に見切られた・・・今までは避ける程度だったのに)」

 

アーサー

「道を見るのも開くのも諦めたお前にとってはそれが一番簡単だよな。過去の

 過ちを掘り起こしてそれに縋り付くのが、何もない故にその場所に縋り付く

 のがお前にとっては一番、楽で居心地がいいだろうよッ!」

 

ヴィーラ

「黙れッ!!」

 

しかし精細を欠きつつあるヴィーラの動きは文字通り止まって見えた。

シュバリエの攻撃も主の迷いと共に鋭さを欠き、回避も容易だ。

 

アーサー

「想いの強さは認めてやる、だがお前のそれは一方的だ。少なくとも俺の知る

 誰かが誰かに与える『愛』とは違う、それだけは確かに絶対だ」

 

ヴィーラ

「分かったような口を・・・ッ、シュバリエッ!!星の騎士たるその力今こそ

 我が前に示せ!」

 

そして今まで分離状態で攻撃していたシュバリエをヴィーラは纏って見せた。

 

ヴィーラ

「主の剣となりて、盾となりて!我が悲願の道に立ちはだかるものを斬り払えッ!」

 

圧倒的な存在感と威圧感を持って星の騎士・ヴィーラが目の前に迫る。

 

アーサー

「・・・・・・・」

 

しかしそれに慌てるでも臨戦態勢を取るでもなく、ただスッと目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

アーサー

「・・・・・・」

 

何もない真っ白な空間。その目の前には鍵が壊れた巨大で重厚な扉が聳え立つ。

 

アーサー

「何となく感覚で分かる。この少しの隙間から漏れ出す力、それが今自分が

 発動している力・・・限りなく近い力」

 

そしてその扉に手を賭ける。これは既に一度、開いた。今度は自分の意志で開く時。

 

アーサー

「全ての因縁と全ての運命に・・・決着をつけるためには・・・・」

 

力を込める手に合わせてその扉はゆっくりと重低音を響かせて解放されていく。

そしてそっと自分の背中をその扉の奥へと押す手の感触があり振り向く。

顔は見えない、逆光を受けて見ているようなその輪郭は霞んで見えるがその

人物は笑って、何も不安のない笑みを浮かべて言葉を投げかけてくる。

 

(大丈夫だよ、あなたには恐れも不可能もない。どこまでも行ける―――)

 

完全に扉は開かれてその体は浮遊するような感覚へ変わり、その先に広がって

いたのは底も何もわからない一面の白、そして身体が感覚がその白に溶けて

全てが一体となっていく。全てが溶けてしまいそうな感覚の中を進む。

 

アーサー

「不鮮明ではっきりとは思い出せない・・・だけどこの想いだけはしっかり

 と思い出した。この力は、恐れも不可能も振り払い、勝って護るための力」

 

この戦いと例え敵であろうと縛られ進む事を忘れた1人の少女の因果を断ち切

るために。思い出した自らの力の原点がさらにその先へ連れていく。

そしてその前に広がったのは遥かなる蒼、その蒼の世界へ足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

一瞬だった。

 

ヴィーラ

「シュバリエ、敵を貫けッ!」

 

剣閃と無数の光の剣による多段攻撃をしかけ、回避困難な一撃のはずだった。

 

ヴィーラ

「(――――ッ、どこへ――――)」

 

剣閃は空を切り、光の剣は何もない地に突き刺さる。

そして気づけばアーサーは後ろに背を向けて立っていた。

 

ヴィーラ

「(いつの間に・・・ッ。どうやって私の後ろへ―――、ッ)」

 

少しこちらへ向けたその横顔と全身から溢れるオーラが変貌していた。

その眼からは白と蒼の混じった光の筋が伸び、さらには全身から圧倒的な

威圧感と存在感を放ち、そして自分のいる位置がどれだけ危険かを瞬時に

判断させる。

 

ヴィーラ

「(馬鹿なッ!?この位置で既に彼の間合いにッ)」」

 

武を鍛える者ならばそれぞれ自らの間合いを持つ。その範囲はまさにその

者の最大の力を出す領域、だが今目の前にいる戦士の間合いは常軌を逸し

たレベルで普通の近接戦闘を主体とする戦士の間合いなど軽く超えていた。

 

アーサー

「・・・・・・・・――――――ッ」

 

気づいた時には既に目の前にまで迫り、完全に間合いを崩された。

 

ヴィーラ

「なッ・・・」

 

しかしシュバリエが光の剣を無数に伸ばして前に壁を作った。

 

ヴィーラ

「速過ぎる、何故、突じょ――――がはっ!?」

 

気づいた時には真裏から衝撃が奔って視線を向けると既にアーサーがその大剣

を振り抜いて凛と立っているところだった。

 

ヴィーラ

「くっ・・・一体、何が」

 

外面的には何も変化はない。だが確実に纏うものは変化していた

今までに見られなかったその眼には蒼と白の光の筋が伸びて眼力が増し

その表情からは無駄な感情と思考が消え、極限にまで感覚が研ぎ澄まされて

いるのが見て取れる。ここまで極まっている状態を見た事がない。

 

エステル

「アーサーッ!」

 

そしてどうにこちらに合流してきたエステル・ティア・シルヴァ。

 

ティア

「今、援護を―――、ッ」

 

シルヴァ

「(なんだッ、この圧倒的な威圧感・・・あれは本当にアーサーかッ!)」

 

エステル

「何ですか・・・?アーサーの雰囲気が少し怖くなっている気がします」

 

ティア

「『極限の精神(ゾーン)』にはいっている・・・」

 

シルヴァ

「『極限の精神(ゾーン)』・・?」

 

そして今の彼の状態を簡潔に説明する。自らもそれに入れる事、覇気を纏う

者だけが入れる究極ともいえる領域の力だという事を。

 

ヴィーラ

「(シュバリエの剣が震えている・・・こんな事は初めての事)」

 

彼の威圧感と覇気で刃が磨がれているような感覚すら受ける。

 

アーサー

「・・・・・・」

 

ヴィーラ

「(・・・・来る、間違いなく・・・恐ろしく静かではあるが・・・)」

 

ゆったりとした体の動きで次の挙動に備える双方。

 

アーサー

「―――――、ッ」

 

ヴィーラ

「―――――、ッ!」

 

完全に『極限の精神(ゾーン)』の扉を開いたアーサー。

全ての因縁に決着をつけるためその秘めた力を解放し、戦いに挑む。

 

 




次回のREDHIANT MYTHOLOGYは



「馬鹿な・・・シュバリエが・・私が圧倒されるなんて・・・ッ!」

「終わりだ」

「終わるのはお前だよォッ!!たっぷりと借りは返してやる、この屑がッ!!」

「彼女とはわたしが決着をつける」

そして全ての因縁に決着をつけるためヴィーラに相対するカタリナ。

「行きますよ、アーサー。今度はわたしがあなたについていきます」

「一気にケリをつけるぞ」

渾身の一閃が戦いに終止符を打つ。

「終焉の剣劇・・・舞いましょう」

「祈る余裕は与えんッ!」

「全てを斬り裂くッ!断ち切れッ!!」



          第七話~全てを賭して~



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