グランブルーファンタジー【REDHIANT MYTHOLOGY】   作:RYOU

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アルビオンでの激戦で2人の女騎士と出会ったアーサー。それはこの戦火を総べて
巻込んでいた根源だった。
カタリナを得るために全てを利用し犠牲にする『ヴィーラ』と対するアーサー。
しかしそんな中、彼の覚醒仕掛けていた本当の力が遂に目覚めようとしていた。


第七話~全てを賭して~

 

ヴィーラ

「はぁぁああッ!」

 

アーサー

「―――――」

 

双方が駆け出し、正面から突っ込んで来たアーサーへカウンターを合わせようとする。

しかしヴィーラの一閃は完全に空を切った。

トップスピードと思える突進からいきなり急停止して即座に再加速してきたのだ。

 

ヴィーラ

「馬鹿なッ、あの速度であんな急停止からの加速、身体が悲鳴を上げるはず」

 

そこにまた斬撃を合わせるのだがロールで回避したと思った直後に背後を向けたまま

加速してきて振り向きざまに肘打ちをくらう。

怯んだところにその場で空中後転と共に足を蹴り上げてさらに追撃をいれる。

 

ヴィーラ

「このッ!」

 

アーサー

「・・・・・・・・・」

 

表情1つ変えることなく完全に攻撃を見切り、回避する。

 

エステル

「す、すごいです。アーサー・・・あれだけの手数の攻撃が一撃も当たらないなんて」

 

シルヴァ

「彼女の攻撃に対して観てというより、身体が反応しているような感じだ。危機察知

 が常人を超えている・・・まるで歴戦の獣王のような」

 

ティア

「彼には元々から言葉にすると野生の本能、そして感知能力の高さがありました。さらに

 今は『極限の精神(ゾーン)』に入っていて全てのパフォーマンスを余すことなく使える状態です、

 それらの能力が引き出されて予知のような感覚で避けているのでしょう」

 

さらにここでアーサーが驚く行動に出る。

 

アーサー

「我が閃弾は焔・・・火杭と共に灰燼となれ」

 

彼の周りに魔法陣が展開されて構えたパッスランドに紅いエネルギー弾が収束していく。

 

ヴィーラ

「この男・・・魔法まで使えたのですかッ」

 

シルヴァ

「アーサーはほとんど魔法は使えなかったはず。あんな技は見た事が無いぞ」

 

そして銃撃音と共にその閃弾が放たれる。

 

アーサー

「ヴォルカニック・レイ」

 

螺旋の閃光を纏ったエネルギー弾は一直線にヴィーラへと向かい何とかシュバリエの

剣と自らの剣で軌道を反らし直撃は免れたが弾き飛ばされてさらに反らしたエネルギー

弾が直撃した壁は融解でも起こしたように溶けてしまっていた。

 

ヴィーラ

「攻撃にまだ甘さがあったが・・・今の一撃、完全にわたしを倒しに来ていた。さっき

 の攻撃をまともに受けていたらああなっていたのはわたし達ですね・・・」

 

だが油断した刹那。

 

ヴィーラ

「――――――ッ!?」

 

目と鼻の先にアーサーの顔が迫っていて咄嗟にシュバリエが光の剣を伸ばす。

しかしそれをステップと体の回転で即座に回避しつつ旋回しながら一撃を見舞う。

 

エステル

「あれってユーリの技です」

 

さらに今度はラムレイとパッスランドに持ち替えて得意の二丁流へと切り替えた。

そして今度はティアの二刀流の動きと剣技を模倣し始めていたのだ。

先ほどのユーリの技しかり、今現在のティアの剣技もほぼオリジナルを再現している。

 

ヴィーラ

「ッ、今度はわたしの攻撃をッ!」

 

その高い硬度を活かした牙突にタイミングをずらすように銃撃まで加えてリーチの差を

剣より遥かに長い射程の銃撃と物理攻撃の組み合わせでヴィーラの動きを再現している。

 

シルヴァ

「ティア、君もあんな風に相手の動きを模倣して使えるのか?」

 

ティア

「言え、わたしが『極限の精神(ゾーン)』に入ったとしてもあれほどまでに完璧な再現までは出来ませ

 ん。わたしが動きに入れる体の流れや足さばきまで完璧に模倣している。圧倒的な

 性能を手に入れてそれによりあらゆる動きが可能になったのかも」

 

なんとか距離を取って構えなおし、息を整える。

 

ヴィーラ

「はぁ・・はぁ・・・!(くっ、駄目だ、あまりにも差が圧倒的過ぎる。こんな、こ

 んなことがッ!シュバリエの力も以てしても追いすがることもできないとは)」

 

大きく息を乱すヴィーラに対してあれだけの多次元的な動きをしているはずの彼は

まるで息一つ乱さずただこちらを見つめ、平然と仁王に立つ。

 

カタリナ

「ここかッ」

 

???

「待って、カタリナ!」

 

???

「皆、戦闘態勢を崩さないでッ。油断せずに行きます!」

 

するとそこにカタリナを初めとして数人見慣れない人物達も次々に乱入してくる。

 

シルヴァ

「団長、ジータ!皆も無事だったんだな」

 

軽装の鎧姿の少年はシルヴァの入っている騎空団の団長を務める『グラン』。そして

もう1人の少女はその幼馴染の『ジータ』で副団長を務めている。

 

グラン

「あの人がカタリナさんを助けてくれた剣士の人?」

 

カタリナ

「あぁ、だが・・・なんだ、少し前とまるで雰囲気が違っている・・・」

 

ユーリ

「たく、ようやく見つけたぜ、エステル」

 

エステル

「ユーリ、皆!」

 

リタ

「よかった、エステル・・・。もう勝手に行くじゃないわよ!」

 

しかしそんな中、彼らを追ってきたエルステ帝国兵も雪崩れ込んでくる。

 

エルステ兵

「大人しくその青い少女をこちらへ渡せ!もう逃げられるんぞッ!」

 

ジータ

「しつこい人達ね、皆構えてッ」

 

グラン達が戦闘態勢を整え、帝国兵達も構えたのだが全員に一気に悪寒が奔る。

帝国兵達もそれ相当の戦地はくぐってきた、その悪寒がどこから発せられているのか

ぐらいはすぐに理解できる。

 

アーサー

「・・・・・・・」

 

ゆったりとした動作で兵士達を一瞥する。

 

エルステ兵

「(―――ッ!?なんだ、この男はッ、こんな若造に戦慄するなど――――)」

 

そしてパッスランドの銃口を向けて警告する。

 

アーサー

「今、この女と取り込み中でな、相手をしてやる暇はないんだ。10秒くれてやる」

 

圧倒的な威圧感と圧力を持った視線が帝国兵を貫き、眼前に立つだけの青年に恐怖する。

 

アーサー

「消えろ」

 

だが今まで多くの戦場で戦ってきた帝国兵士としての意地もあるのかその恐怖を

無理矢理に体を稼働させて何を言うでもなくアーサーへと剣を向けさせる。

標的だったはずのグラン達など目にも入らず、ただただ圧倒的な存在に全ての感

覚は向いてしまい、ただ防衛本能が生き残るために働いている。

 

アーサー

「警告はした・・・我が閃弾は狂風 荒ぶ葬刃に慚愧せよ」

 

先ほどと同じような魔法陣が展開され今度は銃口に翡翠色のエネルギー弾が収束する。

 

アーサー

「ハヴォック・ゲイル」

 

螺旋を描いた翡翠色のエネルギー弾が帝国兵群で炸裂し、猛烈な嵐に巻きこんで

さらに風の刃がその体を切り裂いて四方八方に弾き飛ばされた。

 

カタリナ

「戦い方まで変わっている。わたしといた時は損傷が少ない衝撃弾だったが完全に

 仕留めるための攻撃だ」

 

そして彼の温厚な表情を知っているルリアも彼の変化に驚いていた。

 

グラン

「どうしたの、ルリア?」

 

ルリア

「わたしとビィさんを助けてくれた時、口調は乱暴でも凄く温かい雰囲気というか

 感覚だったのに今のアーサーさん・・・なんていうか、とても似ているんです」

 

今まで何度か戦ってきたこの世界の大きな力であるその存在達と同等の存在感だった。

 

ルリア

「怖いぐらいの威圧感がそっくりです、今まで闘ってきた星昌獣達に・・・」

 

敵を一掃したアーサーはまたヴィーラへ向き直る。

 

アーサー

「そろそろ決着つけるか」

 

ヴィーラ

「くっ・・・ッ!シュバリエ!!わたしの身体などもうどうなろうとこの男を

 打ち崩す力をッ!!」

 

身体すら悲鳴を上げる程の力を身にまとい咆哮を上げるシュバリエとヴィーラ。

しかしその時壁を撃ち砕く音と共に双方を襲う光の塊が飛来してくる。

 

アーサー・ヴィーラ

「・・・」「!」

 

ジータ

「皆、衝撃波に備えて――――ッ」

 

衝撃波が襲う前にグラン達の元に即座に移動したアーサーが大剣で一払いにする。

 

グラン

「今まで凄い人達は見てきたけどこの人、動きがもう人間レベルじゃない」

 

ジータ

「さっきの攻撃で瓦礫が多く舞っている中をぬって即座に目の前に現れるなんて」

 

そして現れたのは以前に大破させたはずの帝国の兵器『アドウェルサ』だった。

 

フュリアス

「こんなところで出会えるとは思わなかったよ、アーサー」

 

そしてそこに現れたのは以前、倒したフュリアスで因縁の相手を見つけ笑みを浮かべる。

 

アーサー

「・・・・生きてたか、悪運だけは強いみたいだな」

 

フュリアス

「そんなことを言ってられるのも今のうちさ、お前は負けるんだよぉッ!!」

 

そういうと手に持っていたのは黒い禍々しい光を放つコアのようなものでそれを

ヴィーラへと向けるとその光のせいなのかシュバリエとの融合した姿が幻影のよ

うに消え始める。

 

ヴィーラ

「馬鹿な・・・ッ!?貴様、一体、シュバリエに何―――ああああああああ!?」

 

その体からシュバリエが消え、なんと同じような魔法の文様がアドウェルサに描

かれて兵器であるはずのアドウェルサからシュバリエのオーラが発せられる。

 

ヴィーラ

「シュバリエが・・・わたしの中から消えた・・・ち、力が・・・・ッ」

 

フュリアス

「はっはっは!!これが僕の研究の成果、星昌獣を魔晶で使役し、その力を持った

 殺戮兵器『アドウェルサ・マージュ』の完成さッ!!」

 

星昌獣とアドウェルサが融合した生体兵器を前に双方の力を知っているグラン達に

緊張が走る中でアーサーは表情1使えることなくその前に立つ。

 

フュリアス

「さぁ、アーサー!前回の恨みをたっぷりと晴らしてあげるよ!死ねよ、糞が!!」

 

その砲門からシュバリエと魔晶の力を込めた砲撃をアーサー目掛けて放つ。

 

アーサー

「我が閃弾は光刃 天よりの至光は断罪の剣 シャイニングスピア」

 

銃口に集まった光のエネルギー弾を放つと同時に一直線に向かう槍へと変化して

その砲撃をも突き破ってアドウェルサに直撃して後退させる。

 

フュリアス

「そ、そんな馬鹿なッ!僕の創造したこのアドウェルサ・マージュの砲撃をあんな

 簡単に撃ち抜けるはずない!!何をしやがったんだ、お前ッ!!」

 

アーサー

「いい加減にお前の茶番にもうんざりする・・・・終わりだ」

 

最早、相手にすらしていないという口調と態度にフュリアスが激高する。

 

フュリアス

「・・・・!!終わるのはお前だよォッ!!ぶっ潰してやる、この屑がッ!!」

 

決着をつけるために構えるアーサーの左右に共に戦う者達が並び立つ。

双剣を抜き、自らも彼と同じ領域『極限の精神(ゾーン)』へと入った。

 

ティア

「行きますよ、アーサー。今度はわたしがあなたについていきます」

 

シルヴァ

「わたしも君の動きについていこう、君の背中はわたしが護る」

 

一気にティアとアーサーの2人がアドウェルサに接近し、シュバリエの光の剣と

機関砲の弾幕を張ってくるが軽々と回避し、息もつかせない連続攻撃を連携させ

てその装甲と武装を削り取っていく。

 

ティア

「不思議な感覚ですね。まだ会って間もないというのにもう何年も一緒に戦って

 来たような彼の動きに自然と理解して合わせられる、いつもよりさらに深い

 領域に沈んでいける」

 

彼女の中ではアーサーとは別のイメージがあった。それは扉を開けると水の中に

潜ったような感覚になり沈めば沈むほど深く『極限の精神(ゾーン)』に入り込めるのだ。

さらにそこへシルヴァも狙撃を合わせるが彼女は最早、必死に食らいついていた。

 

シルヴァ

「今まで前衛と連携した狙撃も何度もあった、だがティアとアーサー、この2人は

 他者とは次元が異なっているッ、一瞬たりとも緊張と冷静を解く暇がない」

 

フュリアス

「糞が!糞が!糞がぁッ!!潰せ、そんな奴、圧殺してミンチにしちゃえッ!!」

 

その巨体を生かしてアドウェルサが突進をしかけてくるがアーサーは構えを取ると

その瞳の閃光が強さを増し避けるでなくそれを真正面から迎え撃つ。

 

アーサー

「ぬぅぅぅぅッッッッッ――――――――――剛ッ!」

 

二回り、それ以上はあろうかというアドウェルサをアーサー1人で止めてしまう。

 

ジュディス

「恐ろしいパワーね、あの体格であんな兵器を止めてしまうなんて・・・!」

 

ロゼッタ

「リミッターが外れた状態と言ったところかしら、それを抜いてもとんでもない力だわッ」

 

そして咆哮と共に逆に相手を押し返し、剣を持つ両手に力を込める。

 

アーサー

「――――魔神剣!!!」

 

全霊の力を込めてその巨体を上段斬りで叩き伏せてさらに振り抜くと同時に射程が

短いが巨大な気の斬撃刃でアドウェルサがバウンドする。

隙も与えずさらに深く踏み込んでその掌中に闘気が集まり拳を振りかぶる。

 

アーサー

「烈震虎砲ッ!」

 

その一撃によってバランスを崩していたアドウェルサをまた青天させた。

 

ティア

「シルヴァさん、奴をまず落として指示系統を絶ちます、援護をッ!」

 

シルヴァ

「任せろ、外しはしない」

 

青天させられたことで無差別に光の剣と機関砲を乱発するがそれを掻い潜っていき

フュリアスの元へと駆け走り、シルヴァはその狙いを定め、引き金に指を置く。

 

フュリアス

「このお前らもうざったいんだよ、死ねよ、全員死―――がっ1?」

 

シルヴァ

「行けッ!ティア!」

 

彼女の狙撃が直撃すると同時にティアがその懐に入り込み、断罪を下す。

 

ティア

「もうあなたの愚行に付き合うのも苦痛です、絶たせていただきます」

 

ティアの『極限の精神(ゾーン)』の輝きが強い閃光を放ち、力を双剣に収束させる。

 

フュリアス

「く・・・糞がああああああああああああああああああああああああ――――」

 

ティア

「参りますッ!」

 

刹那、その姿が消え剣閃が奔る。荒れ狂うが如く斬撃がフュリアスとアドウェルサを襲う。

 

ティア

「終幕の剣劇、舞いましょう!剣嵐に呑まれて散れッ!これがわたしの!」

 

最大戦速で斬り貫けて二刀を納刀する。

 

ティア

「刹戟武荒剣ッ」

 

そしてシルヴァはアーサーの一撃とティアの奥義によって生まれた亀裂から中の

コアを瞬時に確認してその銃口を向け、銃弾に力を込める。

 

シルヴァ

「祈る余裕は与えんッ!ヒューネラル・ブリット!!」

 

特別製の特殊弾頭と己の魔力を込めた砲撃レベルの狙撃を放ち、寸分の狂いもなく

その亀裂に弾丸が直撃し、ボディから火花が散り、その機体からシュバリエが分離

されるとルリアの身体が光を放ち両手を翳し精神を集中させる。

 

アーサー

「なんだ?」

 

シルヴァ

「ルリアには星昌獣を使役する力がある、そして星昌獣を吸収する事が出来るんだ」

 

ルリアがシュバリエの力を吸収している中、ヴィーラが立ち上がりまだ戦おうとしている。

 

アーサー

「止めておけ、星昌獣ありで俺に圧倒されたお前がそれなしでまともに戦えると思うのか」

 

ヴィーラ

「わ・・わたしは・・・ッ!お姉様をッ・・・!全てを取り戻してッ・・・ッ!!」

 

最早、それだけが今の彼女を突き動かす唯一のモノ。それは引くに引けないものだ。

 

アーサー

「なら・・・これで終わらせる」

 

止まらないなら叩き折ってでも止めるしかないと考え、剣を構える。

だがここで静止の声が掛かる。

 

カタリナ

「・・・・・」

 

アーサー

「なんのつもりだ」

 

カタリナ

「彼女とはわたしが決着をつける。いや・・・わたしがやらなければならないんだ」

 

アーサー

「・・・・・覚悟を決めたならあんたがやるといい。全てはそこからだろうしな」

 

その眼から蒼白の光が消え剣を引くとヴィーラとの勝負をカタリナへ預けた。

 

ヴィーラ

「お姉様も・・・わたしが邪魔になったのですか?その子を護るために」

 

カタリナ

「いや、君の事も今度こそ救い出してみせる。今まで私は自分しか見ていなかった」

 

駆け出す双方の剣がぶつかり合い火花を散らす。今まで離れ、違え過ぎたモノ全てを

ぶつけるように激しくも鮮烈な火花と想いが散らされる。

 

ヴィーラ

「もう遅いのです、時間を違え過ぎた。もう力で縛る以外に分からなくなったッ!」

 

カタリナ

「あの時、わたしは全ての柵を嫌って逃げた。自分よがりに。そして今度も同じ

 過ちを犯しルリアも傷つけた・・・大きく回り道をしてやっと君の前に立つ」

 

鍔迫り合いを繰り広げ、弾きあって呼吸を整えて構えを取る。

 

ティア

「迷いが消えたとはいえ、侮れない相手・・・勝てるでしょうか」

 

アーサー

「あいつから縛る星昌獣は消え、今は唯の騎士だ。となれば縛っているのを断ち切れる

 のはあいつが一番縋り、心音では守ろうとしたカタリナだけだろう」

 

カタリナ

「今、決着をつけよう。そして今度は君も連れていく、ヴィーラ」

 

ヴィ―ラ

「なら・・・砕いてみせなさい。アルビオン最高の騎士たる、私を」

 

双方が地を蹴り、互いに握る剣に己の想いを乗せて最大の技がぶつかり合う。

 

ヴィーラ

「貫けッッ!リストリクションズ・ネイルッ!!」

 

カタリナ

「これが我が奥義ッ!アイシクルネイルッ!!」

 

蒼と紫苑の閃光が激突し、激しい衝撃波と爆風が空間を奔り、同時に金属音が響く。

 

アーサー

「・・・・・・終わったか」

 

ティア

「決着がついたようですね」

 

宙を舞いアーサー達の前にカタリナの剣先が突き刺さり、噴煙の先にいたのは仰向けに

倒れ込んでいるヴィーラと折れた剣を持ち肩から息をするカタリナの姿だった。

 

カタリナ

「やはり君は強いな、ヴィーラ。心が乱れていてこれだ、平常心なら負けていた」

 

ヴィーラ

「・・・前に比べれば少しは強くなれていた・・・のでしょうか」

 

ただ外の光が差す天窓から見える空を見つめるヴィーラ。全てを失ったように思える

のに何故か妙に気分的なモノは前より軽くなっていた。

何かが自分の中で壊れたがそれを絶望的には思えず、何故か気は晴れてきていた。

 

ヴィーラ

「これからどうなされるんですか・・・・?」

 

カタリナ

「・・・わたしは団長達と旅を続ける。ルリアを護るため、そして彼女が知りたが

 っている自分自身を見つけてあげるためにも」

 

ヴィーラ

「ならあなたの元妹分として言わせてもらいます。もう護るモノを泣かせないでく

 ださい。わたしが慕うカタリナという強い騎士はそういう人です」

 

カタリナ

「・・・・ああ」

 

倒れる彼女を起こすために手を差し出した時、2人を突如として衝撃が襲う。

 

ヴィーラ

「きゃああああ!??!」

 

カタリナ

「ぐっ!?ヴィーラ!!」

 

ティア

「!」

 

グラン

「コアを撃ち抜いたのにあの兵器、まだ動いてるッ!?」

 

アーサー

「――――――」

 

そして高笑いをしていたのはフュリアスでその手にある魔晶を請われていたコアに

無理矢理設置させて強制的に機能させているようだ。

 

フュリアス

「ッハッハッハ!!馬鹿が!これぐらいで僕のアドウェルサが止まるわけないだろォ

 ッ?!星昌獣の力が消えてもこいつの火力ならお前らは散り屑だ――――」

 

吹き飛ばされてしまったヴィーラの前に駆けつけたアーサーが大剣を構えて相対する。

 

フュリアス

「自分から死にに来るなんてお利口だね!!消えてなくなれ、主砲発射ッ!!!!!」

 

アーサー

「いい加減に・・・・・――――――」

 

鋭く開かれた眼からは再び激しい蒼白の光が奔り、溢れ出す覇気が螺旋を描いて

大剣が光り輝きしっかりと止められていた留め金が砕け散ってその鞘であった部

分が溶けるように消え去りそこから本当の刃が現れる。

 

アーサー

「全てを斬り裂く!!断ち切れッ!!」

 

ユーリ―

「なんつう風圧だッ、あんな力まで隠してやがったのか!」

 

ジータ

「一体、なんなの!?」

 

咆哮と共に炸裂する覇気がアドウェルサの砲撃を完全に防ぎ、真の刃の名を告げる。

 

アーサー

「無葬白刃」

 

それは陶磁器のような透明度のある刃紋の鍔のない大剣へ変化しておりその剣から

凄まじい量の覇気があふれ出しそれが瞬時に刃に収束される。

 

フュリアス

「ま、まちなよッ。これまでの無礼は許してやるから話を――――」

 

アーサー

「消えろ、小悪党。葬刃・・・天衝ッ!」

 

振り抜かれた刃から高密度に圧縮された覇気の斬撃が放出されてアドウェルサの砲撃

をも飲み込むように閃光が襲い、その光と轟音の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

視界を覆いつくす閃光の後に訪れる静寂。段々と煙が晴れてきた。

 

グラン

「一体・・・どうなったんだ?」

 

ジータ

「み、見てッ」

 

ジータの声に一同が視線を向けるとそこには陽の光が差し込んでいた。先ほどまで

戦火の狼煙と重苦しい雲に包まれていたはずのアルビオンの空は青く澄んでいた。

だがそこにアドウェルサ、フュリアス、アーサーの姿はなかった。

 

エステル

「わたし達・・・勝ったんですか?」

 

ユーリ

「たぶんは・・・な」

 

そしてティアとシルヴァの2人は切り開かれたように晴れた空を見上げる。

 

シルヴァ

「あれだけ漂っていた暗雲が消えている・・・あの兵器も影も形もないがまさか・・・」

 

ティア

「恐らくその名の通り天を突いたのでしょう。外敵ごとこの戦火すらも」

 

リタ

「あの・・・男は・・・・?」

 

カタリナ

「彼は・・・一体、何者だったんだ・・・?はっ、ヴィーラ、ヴィーラはどこだ?」

 

姿を消した通りすがりの風来剣士に困惑を覚えつつ戦いの終わりに安堵する。

そしてそれを見つめる視線。それはその風来剣士だった。

 

アーサー

「・・・で本当にこれでよかったのか?」

 

裏を振り向くと壁に凭れ掛かっているヴィーラに視線を向ける。

あの一撃を放ち、アドウェルサを撃破した直後にヴィーラに頼まれて彼女を抱えた

ままカタリナ達の前から姿を消して戦いが完全に決したのを見届けていたのだ。

 

ヴィーラ

「今、お姉様と顔を合わせても何を言っていいのか、わかりませんから。今まで

 そういうやり方しかしてこなかった・・・おかしな話です。あれだけ欲してい

 た人の隣にいれるのに仕方が無くなっただけどうしていいのか分からない」

 

アーサー

「まぁ、今までが今までだ。結局は厄介なんだろうけど結局は簡単なんじゃないか」

 

さっきまで敵意を向けていた男が飄々とした笑みを浮かべて語り掛けている。

 

アーサー

「つまるところはお前がこの先でカタリナさんの隣に立ちたいのか、否か、だろ?」

 

ヴィーラ

「あなたは・・・本当に解せない男ですね。敵だったわたしを諭すなど」

 

アーサー

「お前自身も『敵だった』なんて言ってんだ、お前の方こそ解せない性格だろうさ」

 

??????

「アーサーさん~、ご用は済んだんですか~?」

 

なんとも間延びした声が聞こえて振り返ると縄が掛っていてそこから小柄なハーヴィン

族の女性が昇ってくる。それはこの世界では知らない者がいない、世界の流通を取り

仕切る商人『シェロカルテ』だった。

 

アーサー

「あぁ、おかげさまでな。悪いんだが帰りはこいつも一緒に乗せてくれ。後、頼んだ

 手紙はしっかりと彼女達に届けておいてくれよ」

 

シェロカルテ

「はい~ お任せください~」

 

ヴィーラ

「どういうことです?ちょっ、いきなり何をッ」

 

有無を言わさずヴィーラを抱きかかえるとシャロの用意した縄を足場に下へさっと

降りて彼女の案内の元、騎空挺のある裏の港まで歩くことにした。

 

アーサー

「どっちみちあっちには行けない上にここにいても面倒だろ。話によれば秩序の

 騎空団が取り仕切るらしいし、この島も治安は確保されるだろうし、お前は

 とりあえず療養も兼ねて俺の故郷に連れていく」

 

ヴィーラ

「お姉さま方に届けろと言っていた手紙というのは何なのですか?」

 

ここで彼の口からとんでもない内容が語られる。

 

アーサー

「お前の身柄は俺が預かっておくから鍛え直して取り戻しに来い、ってな」

 

ヴィーラ

「・・・・・・・・・(唖然。」

 

シェロカルテ

「アーサーさん、それは完全に悪役がいうセリフですよ~?」

 

アーサー

「まぁ、大事な妹分取り返したかったらさらった悪党倒せるぐらいに鍛えてこい

 ってだけの話さ。そうすりゃ一応は時間もとれるだろうよ」

 

ヴィーラ

「そこまで啖呵を切ったのですからちゃんと身柄の取り扱いはしていただけるのかしら?」

 

アーサー

「そこまで減らず口叩けるなら一安心だな。後は本当の意味で鍛え直せよ、お前もな」

 

先ほどまで命の取り合いをしていた男とこんな減らず口を叩いている自分というのも

何とも可笑しく思えるのと何とも不思議な男だとも思った。

不思議と話してもいいと思わせるなんともそんな雰囲気のある人物だった。

 

ヴィーラ

「・・・・ぅ・・・・・・すぅ・・・・・すぅ・・・・」

 

激戦だったのもあるのかゆっくりと目を閉じてすぐに寝息が聞こえてくる。

 

アーサー

「たくっ、人質にはしたが俺は移動式の寝床か・・・?呑気な奴だぜ」

 

シェロカルテ

「しょうがないですね~、アーサーさんが自分で出した船なんですから責任もって

 与らないと駄目ですよ~?特に女の子は大事にしないと~」

 

アーサー

「こいつがそんな大事にされるほどやわな女とも思えないんだがね、まぁ・・・」

 

腕の中で眠る少女と落ち着きを取り出した街並みをもう一度、一瞥すると笑みを浮かべる。

 

アーサー

「帰るとしますか」

 

腕の中の少女をまたしっかりと抱え直すとシェロカルテの騎空挺に乗り込み、

アルビオンを後にし、故郷への帰路につく。

初めての大きな戦いの中で自らの記憶の鍵の一片と力の一片を取り戻したアーサー

彼の長く険しい旅路は今、ようやく扉が開いた程度である。

これから待つ旅路の果てに彼は自らの宿命やその戦いへ身を投じていくことになる

わけだがその時はまだ先の事だ・・・・・。

 

 




次回、REDHIANT MYTHOLOGYは・・・





             第八話~再起の騎士と追憶の剣士~




                        お楽しみに。
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