「嘘…こんなところに鬼……!」
「お、新しい人間じゃ〜〜ん♪」
理不尽と
(これは…豆!?)
希望に挟まれた凛は
その頭脳を極限まで働かせた
(鬼…しりとり…くすだま…豆…つまり……)
その結論は鬼が凛の元に辿り着くのより早く
体はさらにその結論より早く動き出していた
「この試練は…『豆まき』……!」
「あっ…」
鬼がそれに気付くがもう遅い
凛の投げた豆は弧を描くように美しく鬼へと届いた
「ぶっ……」
「爆発…した……?」
極限まで酷使した脳はすでにショート寸前だった
咄嗟に出た僥倖に縋り付いたと思ったら鬼が爆発した
まるでそれは自分の中の何かを思い切り破壊するように
渋谷凛の脳内に計り知れない衝撃を与えた
「とりあえず…2人のところに戻らないと……」
手がかりどころではない
クリア方法が見つかったのだ
ここからは3人で豆を見つけて鬼を叩く
まずはそれからだと心の中で何度も唱えた
「お願いだから…ふたりとも無事でいて……!」
凛は一心に廊下を走り続ける
それは一つ角を曲がるだけで辿り着けるはずなのに
凛の体には『たったそれだけ』が途方もなく遠い道のりに見えた
_________________________________________
「あ、珠美ちゃんいたんだ」
「志希殿! …申し訳ありませんが力が抜けてしまって…… 手を貸していただけると珠美は嬉しいのですが」
一方、音楽室前
脇山珠美と一ノ瀬志希が合流していた
「志希殿…
「ねぇ珠美ちゃん」
「はい!」
志希の意識はその時
「あの椅子って何の意味があると思う?」
「あの椅子… ピアノもありますし…小さい発表会か何かでしょうか?」
次の『オーディション』に向いていた
「珠美ちゃん…ちょっと付いてきてくれる?」
「はい ですが…何処へでしょうか……?」
「おんなじようによくわからない物が置いてある部屋がもう一つだけあるんだよねー 多分だけど…」
「だけど…?」
「この『オーディション』ってのはこれで終わりじゃないと思うよ」
_________________________________________
「でも 今鬼を倒せたことで確信したよ」
時をほぼ同じにして理科室
明石靖人という一人の青年もまた、この『オーディション』の合格条件について理解する
「『豆まき』だこれ」
これは
ましてや
その日学校を休んだ全ての人間の物語である
だいぶ遅れましたが、2話の方更新しました