松本正平中佐は1944年4月
駆逐艦 霞艦長の任を受けた。
そして松本中佐を待っていたのが
『あんたが新しい司令?しっかりしてよね!!』
となんともまぁキツイ一言である。
そう放ったのは銀色の髪をサイドポニーテールにしている駆逐艦 霞である。
松本は
キッツイ子が当たったな〜前任からクセがあるとは聞いてたけど
まさかこれほどとは...
などと思いつつ
『松本正平中佐です。よろしくね霞』
と挨拶をしたが...
『気安くで呼ばないで』
と一蹴されてしまう
なんて可愛げがない娘なんだ!
少しムッとした松本だったが堪えて
『まぁまぁそんな事言わずによろしく頼むよ』
と言うが
霞はそっぽを向いて自室に引き取ってしまった。
まぁでも艦長だから仲良くならないとな!
と気を取り直す松本中佐であった。
と思い毎日話してかけるが全く効果はなくあっと言う間に半年が過ぎてしまった。
そんな2人の関係が変化したのは1944年10月の
レイテ沖海戦である。
レイテ沖海戦とはフィリピンに上陸した米軍を
瑞鶴を旗艦とする小沢艦隊を囮とし米機動部隊を引きつけその間に
大和を旗艦とする栗田艦隊と
山城を旗艦とする西村艦隊で挟み撃ちにする作戦であった。
霞は西村艦隊の後詰めとして
志摩清英艦隊に組み込まれた
米軍の攻撃を受けるでもなく無事、
順調にスリガオ海峡に突入するがそこで見たのは...
先行した西村艦隊の無残な姿であった。
扶桑、山城は爆沈
霞の姉である満潮も被弾し漂流し沈没を待つのみとなっていた。
志摩中将は撤退を決断するが
霞が『満潮姉さんを助ける!クソ艦長!前進して!』
と言ったのだ
もちろん松本は
『無茶言うな今行ったらみんな死ぬぞ!!』
と止めたが
『満潮姉さんを助けるんだ!!』
と言って聞かない
その時
パチーン
という音が霞の艦橋に響いた...
松本中佐が霞を頰を叩き
『ふざけるな!!お前の一言で何人が危険な目にあうと思ってるんだ!!!』
と叫んだ。
すると霞の目から涙が溢れでて
『だって...だって...もう目の前で仲間が沈むのはもう見たくないんだもん!!!』
その時松本中佐は我に返ってすべてを察した
霞がやけに厳しい言葉を使うものそして過去に何があったのかもを
そう彼女はもう仲間に沈んでほしくない
その一心でキツイ言葉を使って
仲間を鼓舞し成長させようとしていたのである。
松本中佐はなんで自分がそれに気づかなかったのか恥ずかしくなった。
そして
『霞、反転、撤退する。』
と告げた。
その夜
松本中佐は霞の部屋を訪ねた
ノックして部屋に入ると霞は布団にいた
目が少し腫れていた。
きっと泣いていたんだろう。
松本中佐は
『霞...さっきは本当にすまなかった...
霞の気持ちを理解もしないであんな事してしまって...
満潮の事は俺にも責任がある。
許してくれなんて思わない俺を恨みたいなら恨んでくれ』
『...なさい』
え?
『...ごめんなさい...』
霞が口を開いた。
『霞...俺の方こそ本当にすまなかった...
だがきっと満潮は霞が生き残ってくれてよかったと思ってると思う。
だから俺が霞を全力で守る!』
『艦長...』
『艦長!!』
霞がボロボロに泣きながら松本に抱きついた
『今は泣きたいだけなくんだ...』
と言いながら霞をぎゅっと抱きしめた。
霞が落ち着いた頃に
『俺には実は娘がいてな戦争が始まる前は一緒に花火大会に行ったり
観艦式に呼んだりしたもんだ』
と言い始め
『名前はな霞って言うんだ。霞と同じだ。年も同じくらいだし
だからこの船に着任した時に運命を感じたんだ
この船が俺にとって最高の船になるだろうって』
『霞ともいい友達になれると思うよ』
と言うと
『なら戦争が終わって私が生きてたら会ってあげてもいいわよ?』
などといいもういつもの霞に戻っていたことに松本は少し安心した。
『おう、なら頑張って生き延びないとな』
翌日になると霞は完全にいつもと同じ調子に戻っていた
『おはようクズ艦長起きるのが遅いわよ』
などと朝から罵倒してくる。
ただ今までと違うのは
『おはよう霞、片方靴下履いてないけど大丈夫か?笑』
と言うと
『これは違うの!ただ忘れてただけなの!!』
なんて言うから
『おっと〜霞さんはまだ夢の中なのかな〜?』
なんてからかうと
『もー!!クズ艦長◯ね!』
艦橋に笑いが起きる、前まではなかった事だ
霞と乗組員の距離が少し縮まってきたのだろう。
ここが霞にとっての我が家になってほしい。
そう願わずにはいられない松本であった。
本土に帰還してしばらくは港に係留していたので穏やかな日々が続いた。
松本は書類仕事に忙殺されていた。
一方霞は『仕事が遅いわよ!』
なんて言うが結構手伝ってくれる。
『霞、ありがとう』松本が言うと
『べ、別にあんたのためじゃないし!
私の仕事が増えないようにしてるだけだから!!』
なんだちゃんとかわいい所もあるじゃないか
松本がふと思うと
『何見てんのよ!クソ野郎!』
と怒鳴られる。
松本はそんな日常がいつの間にかお気に入りになっていた。
松本は陸に上がった日はできるだけ霞にお土産を買っていった。
あの年頃の女の子が喜ぶのはなんだろう...
試行錯誤して選んだのはパジャマである。
布製の生地にサンタクロースみたいな帽子がついてるアレである。
正直ここは松本の趣味による所が多かったかもしれない。笑
霞に手渡すと
『こんなの着れる訳ないじゃない!!』
と松本を不安がらせたがちゃかりその日から着ている。笑
『お、霞その寝間着、着てくれるのか!!』
と嬉しそうに言う松本に
『せ、せっかく買って着てくれたんだから
一回くらい着てあげないとかわいそうと思っただけよ!』
それでも松本は嬉しいのか
『やった!!選んだ甲斐があったよ!!』
とまるで子供のように喜んでいる。
その後も戦争が終わった後必要だからと
漢字練習帳や算数や理科の教科書を買って来ては霞に勉強を教えていた。
霞も興味があったらしく熱心に松本の話を聞き勉強していた。
こうして霞と松本の絆をどんどん深まっていった。
ある日の深夜松本が書類仕事をしていると
艦長室のドアを開いた。
そこには寝間着に体を包んだ霞がおにぎりを持って立っていた。
『はい!これ食べて!別にあんたのために作った訳じゃないし
たまたま余っただけだから!』
『おう!ありがとう霞!』
照れながら『さ、さっさと食べなさいよ!』
と言いながら部屋から出て行く霞に松本はもう一度小さくありがとう
と言った
しかし
そんな平和な日々は突如崩れ去る
1945年4月2日
突然第2艦隊司令長官の伊藤整一中将から呼ばれた
旗艦大和に行くと他の艦艇の艦長も集まっていた。
伊藤が静かに口を開く。
『本日は新しい作戦の説明を行う』
とし作戦の説明を始めた。
しかしそれは作戦ではなく特攻であった。
沖縄の浜辺に乗り上げ死ぬまで戦え
それが命令であった。生還は見込めない。
作戦の説明が進むと横に座っている霞が
震えながら松本の手を握ってきた。
彼女も作戦の意味がわかるから怖いのであろう。
松本は霞の手を握り返した。
松本は作戦の説明を終えた伊藤に
『長官、艦娘だけでも陸に残せないでしょうか?』
『ここまで戦争が長引きこんな状況になってしまったらのは
私ら大人の責任で彼女達に責任はありません。』
そんな事無理に決まってる。艦娘がいなければ軍艦は真の力を発揮できない。
それは松本もわかっていた
だが彼はこんなくだらない特攻に霞を巻き込みたくなかった。
当然この意見は却下された。
そして出撃は4月6日と決まり3日と4日は休暇となった。
松本は家に帰ろうと思ったが艦隊のいる呉から家のある
長野までは2日での往復は無理で断念し手紙を出すだけにした。
そこへ霞が来て
『クソ艦長あんた休暇はどうするの?』
と聞かれたので
『家には帰らないから艦にいるよ』
と答えると霞が照れながら
『な、ならこ、これ...』
と一枚のポスターを見せてきた。それは
4月4日にある少し早い花火大会のお知らせだった。
『これがどうした?』
『だから!この花火大会に...』
『花火大会になんだって?笑』
『花火大会にいっしょに...』
『え?聞こえないよ〜?笑』
『一緒に行きたいの!!!』
とうとう霞が大声をあげた
あんまりにも可愛いから松本もついついからかってしまったのだ。
『はははっごめんごめん笑あんまり可愛いもんだからつい笑』
『クズ艦長◯ね!』
霞がいつもの罵声を浴びせる
『お詫びに浴衣買ってあげるからさ?』
浴衣の一言に反応したのか霞の顔がぱぁぁぁ
っと笑顔になる。
やっぱり艦娘と言えど女の子なんだなと松本は改めて思った。
『まぁ?浴衣で手を打ってあげてもいいわよ?』
『よし決まりだ!なら明日買いに行こう!』
こうして2人で花火大会に行くことになった。
翌日2人は浴衣を買うために市内へ出かけた。
開店と同時についたで店内は空いていた。
『霞どれがいい?...ってあれ?』
霞はすでに浴衣が展示してあるエリアにいた。
余程楽しみにしていたのだろう
霞はいつもの毒舌も出ないようで一心に浴衣を見ていた。
『クズ艦長!これがいいわ』
と言って霞が選んだのは濃い青色の生地に
花の柄が書いてある浴衣であった。
『試しに着てみたらどうだ?』
松本にそう言われて霞は試着室に入り
試着を終えた霞が仕切りを開いた。
浴衣は見事に似合っていた。
松本が見惚れていると
『このクズ!い、いつまで見てんのよ!//』
『え、あ、ごめん!』
毒舌さえ無ければ素直に可愛いのに
そんな事を思う松本であった。
会計を済ませ店を出て
『霞!次は映画にでもいくか?お前あの映画見たいんだろ?』
『い、いや別に?』
嘘つけ目はすごい見たそうだぞ
『ま、とりあえず行こう!』
と霞を無理やり映画館に連れて行った。
〜映画後〜
『どうだ?面白かったろ?』
『まぁそこそこね!』
『その割には最後泣きそうだったじゃないか?笑』
『いたっ!』
霞の蹴りが松本の足に直撃した。
『さ、帰りましょ!!』
実は
〜前日〜
霞が松本の部屋から出たあと副長を呼び出し
『副長、前に上陸した時に霞に買い物頼まれたろ?なに買ったんだ?』
『艦長、それはお嬢に恥ずかしいから言うなって口止めされてるんで...』
『そーいえばここに市内の名料理店の招待券があるんだよな〜
お前彼女いたろ?これやるから教えてくれないか?』
副長の顔に迷いが見えるそして
『お嬢には内緒ですよ?』
『もちろんだ!』
『これです。』と言って副長が出したのは少女漫画であった。
表紙に10巻と書いてある。前巻までは渡してあるのだろう
『これ今映画やってるんですよ?』
と言ってチケットをちらつかせる副長
『お前それどうしたんだ?』
『艦長に渡そうと思ってたんです。お嬢と行って欲しいから。』
『どうやら先を越されたようだな笑』
『お嬢との約束は守りたかったんですが仕方ないです。
かっこいいところ見せつけてやってきてください!』
『ありがとう!バッチリ決めてくるぜ!』
という訳である。
『おれは艦長だからな、霞の事はなんでも知ってるからな!』
『今日は楽しかったか?』
『ま、まぁ?あんたにしては上出来だったんじゃない?』
そんな会話をして帰るが
深夜に副長室から副長の断末魔が聞こえたのはここだけの話しである。
翌日、松本と霞は昼食を済ませ
『そろそろ行くか?会場は混むし』
『そうね、着替えてくるわ』
といい浴衣に着替えて着た霞と出発する。
艦を出る時に
乗組員に
『ひゅー霞ちゃんは艦長とデートですか〜?』ニヤニヤ
何人かに冷やかされ
『違うわ!!◯ね!!!!』と照れながら言い返す霞であったが
とうとう同じ艦隊の大和にまで
『あら、霞ちゃん今日は浴衣で艦長さんとデートですか?』ニコニコ
と言われてしまい、大和に暴言を吐くわけにはいかず
『は、はい。花火を一緒に...///』
と今度は素直に認めていた。
花火大会の会場へはバスと電車で30分程かけて向かった。
最寄り駅からは混雑していて、
会場に到着した頃にはあたりは夕暮れに染められていた。
屋台で焼きそばを買い適当な場所に座りながら食べていると
大きな音と主に花火大会が始まった。
花火は初めて見るらしく霞の目は大きく輝いていた。
『次は皆様の思いを乗せたメッセージ花火です!!』と
アナウンサーが伝えた
メッセージは個人が打ち上げる花火で打ち上げる時に
メッセージを読んでくれるものらしい
いくつか打ち上げた後に
『さーてお次は...駆逐艦霞のみなさんから
艦長の松本正平中佐と霞ちゃんに向けてのものです!』
....え?
『艦長、霞ちゃん見てますか〜?2人のおかげで駆逐艦霞は最高の職場です!2人とも大好きです!ありがと〜う!』
メッセージが読み終わると同時に10号はあろうかという
大きな花火が夜空に花開いた。
実は昨日松本と霞を映画に行かせ時間稼ぎをしてる間に乗組員が集まり。
サプライズをしようとなったらしい、
それで決まったのがこのメッセージ花火だ
松本は目頭が熱くなってしまい涙堪えらず
霞も目をウルウルさせていた。
花火大会は今が春だと言う事を忘れさせてくれすっなり
夏の雰囲気を出していた。
花火大会が終わり松本が『帰ろうか』
と言うが
『艦長..少し歩こ...』
と言うので少し歩く事にした。
表通りからそれ海沿いを2人で歩いていく
『まさか霞から誘ってくれるとは思わなかったよ〜』松本が軽く言うと
『漫画で読んだの...主人公が好きな人と花火大会に行く話..
だから私もって思って...』
...え?
今 好きな人とって言った?松本が動揺していると
霞が
『クズ艦長!
私は憎まれ口しか叩けないし全然可愛げもないしすぐ殴るし...
前まではそれが正しいって思ってた...
それで誰とも仲良くならなければ傷つかなくて済むって...
でも、ク、艦長に会って艦長が私の事を本気で心配してくれて
私のために一生懸命お土産選んでくれたりしてそれは
間違いだって気づいたの!』
『私はクズ艦長が好き!!だから...だから...
私から離れないで!!!』
『私沈むのが怖い...もうみんなに会えなくなるのが怖い...』
松本は霞をぎゅっと抱きしめた
『俺は絶対霞から離れないよ...
どんなことがあろうとお前といてやる。
お前は俺の新しい娘だからな!父親として娘と共にいるのは当然だ!』
霞はレイテの時以来初めて声をあげて泣いた。
そして泣き疲れたのかそのまま眠ってしまった。
『仕方ないな』とこぼしながら
霞をおんぶして船まで帰ると乗組員達が迎えてくれた
『艦長〜デートはどうでした〜?』ニヤニヤ
『お前らのおかげで楽しかったよ、ありがとう』
『それはよかったです。後ろのお嬢さんはお休み中ですか?』ニヤニヤ
『ああ、疲れたらしい』
『みんな6日は頼むぞ...俺は生きて帰るつもりだ
駆逐艦 霞に乗ってな』
....一同を静寂が襲った。
最初に口を開いたは副長で
『そうですな!我らの全力で霞お嬢を守らないとですね』ニコニコ
と言うと
『そうだな、霞お嬢は俺らの家族だからな!』
そうだ!そうだ!
とみんなが言ってくれた。
この艦は温かいな
と感動した松本であった。
翌日4月5日は
1日かけて翌日の出撃準備にあたった。
可燃物を船から降ろし武器、弾薬、食料を詰め込んだ。
霞も松本も忙殺されて1日働きつめた。
夜、松本が自室で仕事をしていると霞がやってきた
『クズ艦長!これ、作ってやったから食べな!』
とおにぎりを持ってきてくれた
『あ、ありがと!霞も一緒に食べよう』
と言い
霞と2人でおにぎりを頬張りながら
『そういえば俺が霞に着任して1年か〜』
『クズっぷりは1年間変わらなかったわね』
『これは随分手厳しい笑』
『...怖いか?』松本が聞くと
『...うん...』
霞が小さく答えた
『大丈夫だ。俺や副長、みんながついてる。霞は生き残れる』
『生き残って俺の娘に会ってくれるんだろう?』
『それ聞いたら元気になった...』
『みんな霞の暴言がないとエンジン掛からないんだから頼むよ?笑』
『....わかってるわよ!クズ艦長!!足引っ張ったら海に捨てるからね!』
『わかっておりますよ』
『さぁ今日はもう寝よう』
『わかったわよ!』
と言い自室に帰った霞であったが...
『クズ艦長...』
『どうした霞?忘れ物でもしたか?』
『今日は一緒に寝よ..?』
『憲兵にバレたら首だな笑まぁいい、おいで』
霞の気持ちを察した松本は霞と同じベットに入った。
布団の中で霞が
『私ねずっとお父さんが欲しかった...
だからクズ艦長が私の事を娘だって言ってくれた時すごい嬉しかった。
ありがとう...』
『俺も霞を娘だと思えて嬉しいよ』
そこにはいつもの暴言はなく本当の親子のようで
あった。
4月6日の朝は雲ひとつない快晴であった。
桜が満開な呉を背に大和率いる第2艦隊は沖縄を目指し出撃した。
大和 以下
矢矧
冬月
涼月
磯風
浜風
雪風
朝霜
初霜
霞
の10隻であった。
航空機の援護はない。
4月6日は嵐の前の静けさのように穏やかに終わった
4月7日
艦隊はとうとう敵偵察機に発見された。
『きやがるぞ!』『みんな頼むぞ!!』
と松本が言うと
『任せてください!我ら霞乗組員一同粉骨砕身の覚悟で任務にあたります!』
と副長から元気のいい返事が返ってきた
『霞も頼むぞ』
『ふん!あんたこそ足引っ張らないでよ!』
『がんばるよ』
そこまで話した所で観測員から
『敵編隊発見!数およそ200!!』
『対空戦闘開始!』
大和の46センチ砲が火を吹き戦闘が始まった。
日本の駆逐艦は対空装備が貧弱であったが
秋月型は防空駆逐艦として設計されている。
冬月と涼月はその威力を遺憾無く発揮し敵を次々と撃墜している。
がしかし所詮は多勢に無勢全部は落としきれずに被害が発生する。
最初は朝霜であった。爆弾が火薬庫に引火し轟沈した。
矢矧と大和も直撃弾を多数うけた。
だが霞は無傷であった。
『第2波接近!数およそ300!』
『もう第2波がきたのか!?まだ30分しかたってないぞ!』
米軍は数に任せて攻撃してくる。
第2艦隊は奮戦したが一隻、また一隻と撃沈されるか艦隊から落伍していく。
そして攻撃の手は霞にも伸びた
『左舷雷撃2!!』
『回避せよ!』
魚雷が艦の横をかすめていく
『やったか』
その時、艦を大きな衝撃を襲った
それと同時に霞が崩れ落ちる。
『霞!大丈夫か?!』
と駆け寄る松本に
『大丈夫よ...』
『無理はするなよ』
『被害状況を報告せよ!』
『は!艦首に被雷!!第1缶室に浸水!
艦首から数メートル持って行かれました!』
『速力低下!艦隊から落伍します!』
みるみるうちに艦隊から遅れてついには艦隊が見えなくなってしまった。
『浸水を止めねば!俺が陣頭指揮をとる!』
と第1缶室に向かおうとする松本であるが
副長が
『ここは私が行きます!艦長はここで艦全体の指揮をお願いします!』
『...よし任せたぞ!』
『了解です!』と副長は缶室に向かった
『手すきの乗組員の方は艦尾に移動しろ!
重心を後ろにするんだ!』
数分たって
『艦長!第1缶室の浸水は止めましたが
艦首がないので前進は不能!』
と副長から連絡が入った
『わかった!ありがとう!』
といい無線を切り
『....ここまでかな...
呉に撤退する!!ただ前進はするな!後進で行くんだ』
『艦長!海図がやられました!』
海図がないと迷子同然である。
『海図なしで帰るぞ!一か八かの勝負に出るしかない!』
こうして後進で呉への帰還を目指す霞の航海は始まった。
霞本人はすぐに医務室に運ばれ治療を受けている。
『霞?大丈夫か?』
『大丈夫よ!甘く見ないで』
『ははは笑そうだな』
『艦は今みんなが必死に動かしてくれてる。
きっと呉に帰れるよ』
霞の呉を目指す航海は16日にも及んだ
『艦長!上空に航空機です!』
『味方か?』
『はい味方です!!』
どうやら基地が捜索隊を出してくれいたらしい。
その後に
漁船やらなんやらが駆けつけてくれて
『我貴艦を援護す』
との手旗信号を受け取った。
そして...
やっと呉を街が見えてきた!
乗組員達から歓声が上がり港からはタグボートが見えてきた。
その時霞が全部に大きく傾いた
もう長くは持たない
タグボートが霞を両脇をかかえそのままドックに放り込んだ。
そしてその時は来た
ドックの排水を待たずして霞はドックの底に足をつけた。
駆逐艦霞は生還の見込みがない作戦から見事生還したのだ!
排水をした後
松本はまだ動けない霞を抱えて船底に降りた。
『霞のおかげでみんな助かったよ。ありがとう』
『....おい、クズ艦長...副長はどうした.』
『副長は...浸水を止めるために缶室を内側から止めてそのまま』
『そう...』
霞はそれ以上は何も言わなかった
駆逐艦霞は浸水を止めるために副長以下5名が死亡したのみで他の
乗組員は生き延びた。
他の艦艇はと言うと
大和は米軍機の攻撃を受けを受け爆沈
矢矧は大和に向かう魚雷を庇い沈没
その他の艦艇も大きな被害をうけた。
霞は艦首が失われたまま終戦を迎えた。
そして駆逐艦霞の解体が決まった。
呉海軍工廠で解体されている霞を見れる公園のベンチで
霞と松本はアイスを食べていた。
『霞、解体されてるな〜』
『そうね〜』
『それにしてもよかったな
軍艦が動くには艦娘が必要だが
艦娘は軍艦がなくても生きられるってわかって
じゃなきゃお前今頃あそこで解体されてたぞ』
『そうね....生きられるのはいいことだわ』
『なぁ霞、お前行くあてないだろ?
俺の家で一緒に住まないか?』
『はぁ?いやよ!あんたみたいなクズと一緒なんて!』
『そう言われると思ったよ笑だが今回は俺が一緒に住みたいんだ。
艦長命令な』
『...艦長命令なら仕方ないわね、世話になってやるわ』
『ってあんた海軍辞めて今無職でしょ?いやよ、無職の家なんて』
『それなんだがな坊ノ岬での手腕が評価されて霞の乗組員の
就職先の世話を旧海軍がやってくれてな、みんなそれぞれの道へ歩み出したよ』
『...で?あんたはどこに就職したの?』
『あ、俺は...えーとなんだっけな今度新設された...
えーと海上自衛隊だったかな?そこの
上層部が少将待遇で迎えてくれるらしいからそこにしたよ
俺はなんだかんだで海と船が好きなのでね』
『勤務地が呉だから家族でここに引っ越すことにしたよ。』
『自分の職場の名前もわからないなんて本当にクズよね』
『まぁいいわ世話になってあげる。』
『よーし、そうと決まれば副長達と
満潮の所に行ってから家具買いに行くかー!』
松本も霞は解体されている駆逐艦霞を目に焼き付けて公園を後にした。