先の戦いにて孟達、鄧賢の部隊を打ち破った愛紗、鈴々の部隊が漢中付近まで通り掛かると暁人達の部隊と遭遇する
「愛紗、鈴々。お疲れ様」
「暁人様、何故この漢中に?」
「ああ、それはだな……」
と、暁人が言いかけたその時……
「わ、私がお願いしたのです……」
暁人の後ろから隠れるように顔を出す張魯の姿があった
「実は愛紗達が出陣してる間に俺達の軍と張魯軍の統合が決まったんだ。命令系統を一つに絞った方がいいと言う朱里の提案でな」
「左様でございましたか、これで我々は入蜀の第一歩を踏み出したのですね」
特に相談なく決められた内容ではあるが愛紗自体も決して不快ではなかった、むしろこれほどの国を無傷で手に入れる人徳の高さに惹かれる一方であった
「俺の部隊は愛紗達が戻ってくるのを待つように決めてたからな。さて、漢中に入り葭萌関への対策を練るとしようか」
「はっ!」
暁人、愛紗の部隊は漢中へと進路を変え漢中に入城を果たした
一方その頃、暁人達が漢中に入城した時と同時刻
新野を任されていた劉辟、龔都の二人は周辺の偵察に当たっていた。主力部隊は蜀に向かっているためこちらから他国を攻めることをしないように厳命し万が一仕掛けられた場合の迎撃のみをお願いしておいた。新野城周辺には幾重の罠を張り巡らせている(提案は朱里)
「待たせたな劉辟、こちらは以上なしだ」
「龔都か、こちらも以上なしだ」
二手に別れて偵察を行い指定ポイントで合流して新野に戻る……新野を任された劉辟、龔都はこれを繰り返していた
「よし、今日の偵察はこれで終わりだ。帰ってメシでもk……」
と言いかけた矢先、遠方まで出していた斥候兵が戻ってきた
「申し上げます!我が軍の進軍経路にて残党軍の部隊を発見致しました」
「なにっ?どこの軍勢だそれは?」
「それが詳しくは……ですが部隊の様子を見る限りは敗残兵の様に思われます。率いていた将はともかく後からついてきていた兵は負傷してる者も見受けられました」
部下の報告を聞き頭を悩ませる劉辟
「うーむ……俺達は考えるのが苦手だからな……」
悩んでいた劉辟の様子を見て龔都が話し出す
「一度接触してみたらどうだ?その報告を聞く限り無用な交戦を仕掛けることは余程の事じゃない限りあるまい」
「ふむ、それもそうだな……」
龔都の話を聞き自身の中で意見を固めた劉辟
「よし、その軍勢と接触してみよう。その場所まで案内せよ」
「はっ」
こうして劉辟、龔都の部隊は報告にあった残党軍との接触を試みる為に進軍を開始するのであった
「みんなー頑張ってー新野までもうすぐだよー」
「みんな頑張って!もうすぐだからね!」
「へい、美女の為ならこんな傷たいしたことはありません」
敗軍の残党を率いていた糜竺、麋芳姉妹と孫乾、徐盛、石亭にて合流した丁奉が新野に向けて進軍をしていた
「孫乾殿、新野までは後どれほどであろうか?」
部隊を率いていた徐盛は到着予定時刻を得る為に予め偵察していたと言う孫乾に話を伺っていた
「もう半刻程かと……曹操軍の追っ手もここまでは来てはいないので特に問題がなければですが……」
「半刻か、ふむ……」
「急ぐだけは急いでいるがな」
悩んでいた徐盛の元へ丁奉がやって来ていた
「丁奉か、兵の様子はどうだ?」
「我々の兵は特に問題ないが徐州兵は限界であろうな……糜竺殿、麋芳殿が鼓舞してはいるが長くは持つまい」
「無理をした強行軍だったからな……休息もせねばならぬか……」
「すみませんお二人共、我々の様な者の為に……」
「なに、礼を言われる程でもない。我々も曹操にはイマイチ関心が持てなかったからな、なあ丁奉?」
「ええ、私もです。我等が目指す理想とはかけ離れた物……武人としては決して嫌いではありませんがね」
「そう言っていただけると助かります」
三人が話し込んでいるとやがて斥候に出していた兵が息を切らしながら三人の元へやって来た
「申し上げます!この先に軍勢がいます。恐らく新野の部隊ではないかと……」
報告を聞いた三人はどのようにするかを話し出す
「この状態で交戦するのは我々としても心苦しい、その軍勢を率いている人物に会うべきであろう」
「私も徐盛に賛成だな」
「ならばその使者はこの孫乾が引き受けましょう、万が一に備えて仕込みも行っております」
孫乾がメイド服のスカートを捲り仕込み武器をちらつかせていたが徐盛も男子である、孫乾が行う前に咄嗟に違う方向へと目を向けた
「う、うむ……ならば孫乾殿にお願い致そう……」
「お任せを、では行ってまいります」
斥候兵の案内を受けながら孫乾はその場を離れていった
「じょーせーいー?」
「いっ!?」
そばに居た丁奉がワナワナしながら徐盛を見据えていた
「あ、あれは不可抗力ってやつであろう!?よもや孫乾殿があんなに大胆とは……」
「やはり私より孫乾殿が良いと……」
「ち、ちがう俺はお前一筋だから!……」
「うるさい!くらえー!!」
「あべしっ!」
時々、女子ってよく分からん……ぶっ飛ばされた空を背景にそう思う徐盛であった
「お?今日も徐盛様ぶっ飛ばされてるなー」
「相変わらず仲がいいよな徐盛将軍と丁奉将軍のお二人さん」
「おーいお前ら隊列に戻ってこーい」
「「うぃーっす」」
兵士達の間では徐盛がぶっ飛んでいく光景も日常茶判事であった
「劉辟様、使者と思われる女性がこちらに向かってきております」
「よし、我々二人が会うとしよう。お前らは万が一に備えておけ」
「はっ!」
劉辟と龔都は使者の人物である孫乾の元へ向かった
「お時間を頂きありがとうございます、孫乾と申します」
「俺は劉騎軍の劉辟だ、こっちが同僚の龔都だ」
「よろしくな孫乾殿」
「劉辟殿に龔都殿ですね宜しくお願いします。まず、我々の軍勢ですがそちらとの交戦の意思は持っておりません」
それから孫乾はこれまでの経緯を劉辟と龔都に説明した
「なるほど……貴女達は徐州軍の者であったか……」
「徐州って言ったら最近に曹操が攻め込んだって話をウチの大将が言ってたな」
「はい、その為に徐州牧の陶謙様は戦死をなされ徐州軍は散り散りとなりました。私達は運良く捕縛の手を逃れこうして逃走をしておりました。その際に先程話していた徐盛殿、丁奉殿のお二人も協力して下さったのです」
「なるほどな……」
「劉辟殿、どうか私達を受け入れてはもらえませんか?」
「ふむ……」
「悩むことはないだろ劉辟、大将は困ってる方がいるなら協力してやれっていつも言ってただろ?」
「それもそうだな。孫乾殿、俺達の城まで案内をするとしよう」
「ありがとうございます!」
かくして劉辟、龔都は徐州残党軍を伴い新野へと帰還を果たした
新野に到着した劉辟は経緯を書簡に纏め主力部隊がいるという漢中に向けて使者を出発させるのであった
仕事の疲れもありなかなかいいシナリオが思い浮かばず四苦八苦……
ボチボチ情勢に流してた軍勢が合流となります
以下、人物紹介
徐盛 文嚮(じょせい ぶんきょう) 性別 男性
姓名 徐盛 字 文嚮 真名 無し
徐州郡琅邪の人物
曹操が陶謙軍を攻め込んだ際は私兵を持って曹操軍の兵を迎撃していた。その後、敗残軍の孫乾、糜竺、麋芳と合流を果たし友人の丁奉を頼りに揚州方面まで逃亡を決め徐盛も懸命に追っ手を食い止めながら逃亡した。
その後、石亭にて友人である丁奉と合流を果たし彼女を加え引き続き逃亡、新野にて劉騎軍の傘下に加わった
丁奉との付き合いは長く、二人を見ていた兵達の間では今日も良き夫婦漫才が見れるのかと評判である
使用武器スタイルは槍
外見イメージは「三国志Ⅸ」徐盛
丁奉 承淵(ていほう しょうえん) 性別 女性
姓名 丁奉 字 承淵 真名 ??
廬江にて在野で過ごしていた人物
やがて戦乱を避けるため廬江近くの石亭に移動していた。友人である徐盛の頼みを聞き私兵を伴い軍勢に参加する
一時期離れていたとは言え徐盛を想う気持ちに偽りはなく妙齢となった今も変わることは無かった
以後、劉騎軍の傘下に徐盛共々入る事となる。また、彼女はつぶてを得意としており懐には手頃なサイズの石をストックしている
使用武器スタイルは槍や鞭
外見イメージは「ブレヴァル」丁奉
孫乾、糜竺、麋芳は原作に近い性格で行く予定です
次回も宜しくお願いします