回生のライネル~The blessed wild~ 作:O-SUM
【悲報】勇者が強いた未来ある魔物達の犠牲は、結果的に全部無駄骨だった
※31話のボコナ視点より、まだまだ時間は100年後の現在に戻りません。
* * * * *
何十年も前のある時より突然始まった『祝福』。
それは自然死以外の原因で息絶えた魔物を、再び健康な状態でかつて生活していた場所に復活させるという、超常現象を指す言葉だ。
……私にとってソレは、生まれた時より当たり前に存在している
父や長老達の世代にとって曰く、これは「魔王様の加護」であるらしい。成人を認められ、族長に連なる娘への知識として伝えられた内容の中にあったのは、この『祝福』にまつわる伝承もいくつか含まれていた。
何でもこの恩恵を得られる前の私達魔物という種は、ヒトと呼ばれる敵対種族によって一時期は滅びの危機を迎えていたという。しかし『祝福』の光がもたらされるようになった【空の台地】の魔物達は、殺されても殺されても、紅の月光と共に蘇ることが出来るようになった。
不滅の戦士達によって延々と繰り返される攻勢。殺されれば死んだままのヒト達はただ消耗を強いられ続け、やがて戦況は逆転。そして今の世がそうであるように、この地からヒトは滅び去ったのだという。
そうして【空の台地】の全ては、私達魔物の楽園となった――
……この話を初めて聞かされた時の私は、いつも魔物だけに起こる『生と死』の秩序を狂わす現象に対し子供の時から漠然と捉えていた不気味さが、急に形を持った気持ち悪さを感じていた。
話を聞かされた後日。
父や戦士達に伴われ、初めて訪れた台地の北端から見下ろした【下界】の風景。
その一角に漂う黒い影―― それこそが、数十年前に顕現し、『祝福』を私達にもたらす魔王なのだと教えられた。私達が崇めるべき、王がアレなのだと。
夜よりなお暗い闇の魔力に、悍ましさを湛えて明滅する紅の煌めきが、その場所には溢れて淀んでいた…… 確かに確かに、あれは「魔」の極点に在るモノだろう。戦いとは無縁の生を生きてきた私から見ても、アレはそういう存在だと受け止めることが出来た。
恐らく『祝福』は、私達の棲む【空の台地】にだけ与えられたちっぽけなモノじゃない。紅の月光が届く【下界】全てを覆っている現象なのだろうと思えるほどに、影から感じる「魔」の規模は圧倒的だった。
けれど同時に思う。
すごく怖い、と。
魔王の魔力が年月と共に積もって形を得たのか、影の周りのあちらこちらに、胎動するような赤い光を灯した黒い泥が散らばっている。その周辺の大地は草の1本も生えておらず、不毛の暗褐色に染められていた。
――もしこれから先も魔王が存在し続け、あの泥が【空の台地】にまで届くようになればどうなってしまうのか。草木が枯れ、肉となる動物達が死滅したその時こそ、私達も皆滅びてしまうのではないだろうか…… 仮に生きていられたとして、その時の私達は「命」を持つ存在でいられるのだろうか。
(……これは、考えても仕方ないことなのかもしれない )
少なくとも私達が何十年前も前に滅びず、今も生きていられるのは、かつてもたらされた『祝福』の恩恵があったからなのは間違いないのだ。
そして眼下に見える影の未来に怯えを感じるは、きっと私だけではない。
父も、そして長老達も。やがて訪れるかもしれない泥の脅威に恐怖しているのは間違いないだろう…… ただソレを、今は対処する必要も方法もないというだけだった。
だから得られる恩恵は『祝福』として素直に受け取り、遠くの脅威は『魔王』と崇めて放置するという、努めて心に健全な選択を同族達に周知徹底している。
台地の北端から集落へ戻った時、父より『祝福』に関わる仕事の一部、回生者達の把握と発見を任されたのは、その日の夜のことであった。
今までの『祝福』は自然死以外の原因で亡くなった者を対象に、次の紅月が昇った夜に与えられるのが通例である。そして復活地点が、かつてその対象者が生活していた場所の周辺となることにも例外はない。
……ただこれから先も、そうであるとは限らない。
もし『祝福』によって蘇る間隔が従来とは異なる者が現れれば、死を軽んずる風潮が強い戦士達の意識に注意を呼び掛けることが出来る。大きな怪我を負った時、死んで回生してしまえば手っ取り早いなどという安易な考えが、そのまま生の終わりに繋がりかねないと警告出来るのだ。
復活地点が集落周辺に固定されるとは限らないという前例が発見出来れば、回生しても再び孤独の中を繰り返し死ぬことになりかねないという訓示をもたらすことが出来るようになる。
父は『祝福』を、絶対の恩恵として考えてはいなかった。
そして私もあの影を見た時から、これが決して都合の良いだけの現象であるはずがないと思えたために、父から与えられた役目を拒否する理由はなかった。
それからというもの、戦士の死亡者や病死した同族達の実数を把握し、紅月が昇る度に漏れが無いよう、回生者達を訪ねて回る日々が続いたわけだが……例外に当てはまる存在を探し出すことは出来なかった。
1年前に起きた『祝福』の夜。
一族が縄張りとする森の片隅で、ライネルと出会うその時までは。
* * *
族長たる父から役目を任されて以来、ただの一つの例外も生まれないままに繰り返される回生の『祝福』。それは喜ぶべきことのはずなのに、魔王の影と泥を見て以降、私の心に燻り続ける漠然とした不安が消えることはなかった。
――その日の夜は珍しく、『祝福』の該当者がいない周期の夜だったことをよく覚えている。
天上に輝く見慣れた銀月が血の紅に変色し、赤く染まった月光を降り注ぐ様子を、その時の私は何をすることもなく見上げていた。
……魔力に満ち満ちた紅月の夜は、魔物の気分をどうしようなく高揚させる。
暇を持て余した同族達は恐らく、今日も集落の広場で『祝福』を称えるため、陽気な催しをしていることだろう。
今夜の周期に私の仕事が無いこともあって、彼らからは宴に出てはどうかと誘われはしたが、魔王の魔力に当てられて興奮する私の姿を、他の魔物達に晒すことは躊躇われたために断った。例外が発生した時に『祝福』を否定し、速やかに皆の意識を改善させる役目が今の私にはあったからだ。
(いつか私も族長や長老達を除いた他の皆みたいに、胸に燻る不安を誤魔化して『祝福』を喜ぶ時が来るのかしら…… )
1人宴の輪を離れ、森の中から見上げる紅月。
美しく、しかし禍々しい月は今日という日に限り、【空の台地】に何ら影響をもたらすことなく銀月へと戻る…… はずだった。
――突如として森から、あの時感じた魔王の魔力が漂い始めたのである。
恐らく気付けたのは森の入口にほど近い場所にいた、自分1人だけ。
それほど生まれた気配は小さく、弱々しいモノで…… けれど頭上の月とも【下界】の影とは違い、森の中から感じる魔力は明らかに、ソレ自身が放っているように思われた。
回生者では有り得ない。少なくとも同じ部族の中に、今日蘇り得る者はいなかった…… そう考えた脳裏によぎったのは、あの時見た魔王の魔力の塊――赤黒い泥であった。
(もしかしてあの泥!? とうとうこの台地にも現れてきちゃったの……!? )
いつもと変わらないはずの夜に突然起きた異常事態に、当時の私は気が動転していたのだと思う。
すぐにでも父に、少なくとも誰かに異常を伝えて危機的な情報を共有するべきはずだったのに、私が選んだのはその正体をまず、自らの目で確かめることだったのだから。
幸か不幸か、その魔力の源らしいモノが発生した地点は、自分がいた所からそれほど遠くない場所にあり……紅の月光が収まってからさほど時間を置かずして、私は目的とする地へと辿り着いた。
その場からは既に魔王を思わせる魔力自体は消えていたが、そこには「何か」の気配があった。
恐らくは『祝福』の影響を受けて、生み出された「何か」が……。
正体不明のその存在が、物言わぬ泥とは限らないことにようやく思い至ったのは、既に木を1本挟んだ反対側まで忍び寄った時のことであった。
それでもここまで近づいてしまっては、もう引き返す意味もない…… そう自分に言い聞かせ、ゆっくりと、頭半分だけを木の幹から覗かせる。例えそこにどんな怪物がいたとしても、絶対に物音を立てない覚悟だけは、しっかりと固めながら。
――しかしそこにいたのは、
自らの喉元を抑えながら地面をのたうって転がる、1匹の赤い子鬼だけだった。
(……あれ? )
ここが、魔王の魔力を立ち昇らせていた場所なのは間違いない。殺気やら何やら、戦士達が日頃当たり前のように話している目に見えないモノを察したことのない自分であったが、だからこそ初めて感じ取れたモノに間違いがあるようには思えなかった。
けれど魔王の気配は既に名残すら無く、辺りにあの泥も見当たらない―― ただ目の前にいるのは、頭に二本角を生やしている以外は自分達と何ら変哲もない、ただの子鬼のみ。
やがて転がり続けるのに疲れたのか、動きを止めたその子鬼はぼんやりと、仰向けのまま月を見上げて動かない。不思議そうに掲げた自らの右手を月明かりに透かしている姿からは、恐ろしい気配を感じることは出来なかった。
少なくとも自分達が生活している集落に、二本角を持った同族がいるとは聞いたことがない。アレが身内でないことは確実で、『祝福』の影響を受けてこの地に現れた可能性が高い以上、接触しない訳にはいかないだろう。
「今回の周期で蘇る同族はいなかったはずだけど…… 貴方は誰なの? 」
――意を決して話し掛けた、初対面の雄。
どこか目の届かない場所に潜まれたら厄介だと声を掛けたのは、1匹の雌として軽率だったかなと後悔していたけれど…… しばらくして、その未知の相手は真面目くさった顔のまま、立ち上がった途端にいきなり尻餅をついたのである。
身体に一切の怪我はないみたいなのに、何を混乱しているのか…… どうやら本人は真剣に立とうとして、それでも立つことに失敗してしまっているらしい。見た目成人を越えており、足腰の肉付きだって悪くない雄のその何とも間抜けな姿は、私の警戒心を一気に奪い去っていた。
表情を固めたまま、何度も何度も尻餅をつき続けるその姿に、私はいつの間にか我慢していた忍び笑いを、とうとう音を立てずに堪え切ることに失敗してしまったのであった。
……その直後、身元不明のままの子鬼から突然の懇願を受けて廃墟の建物に連れていってみれば、雄は【下界】を見た途端、顔に一切の表情を浮かべることなく黙り込んでしまった。
一生の願いだと、出会ったばかりの者に対してあまりにも必死に頼み込むものだから、ここまで彼の言う通りにしてあげたものの…… この反応は少し拍子抜けだった。
(何かを叶えたくてここまで来たんじゃないの? 【下界】の景色に、一体何を求めていたの? )
【下界】の1点を見つめた、全く微動だにしなくなった目の前の子鬼。
石造りの建造物とはいえ、長年放置されてきたこの建物が何を切っ掛けにして崩れてしまうか分からない以上、用事が済んだのなら安全を考え、速やかに降りた方がいい。
幸いにして請われた内容は、彼を建物の上へ連れて行くことだけ。ならばそのことを伝えるために声を掛けるなり、肩を揺すって注意を引くべきだ。
――けれど、それは躊躇われた。
彼の時を止めた表情の中にあったただ一つ、大きく見開かれた眼を垣間見てしまったからだ。
その瞳にだけ浮かんでいた感情を、どんな言葉を使えば表現出来るのか…… かろうじてマイナスの感情に類するんじゃないかとまでは想像出来ても、光の届かない黒い谷の底のような色をした瞳の奥にあるモノを、私の浅い人生経験では察することが出来なかった。
……本当にいつまでもここにいる訳にもいかないのだが、触れば砂のように崩れそうな雄の背中が私を不安にさせてならない。
もしやこのまま、この雄が何か反応するまで黙っているしかないのか―― そんなことを考え始めた時、建物の下に広がる森の切れ間から、私を呼ぶ声が聞こえてきた。
「ォーィ、オーイ! ボコナー? どこに行ったんだー! オーイ!!」
……アイツかぁ。
野太くこだまする響きには、最近耳元でがなられることの多くなったダミ声と、よく似た特徴を持っていた。
正直に言ってあまり積極的に話し掛けたいタイプの雄ではなかったが、張り上げられる蛮声にすら目立った反応を示さない目の前の雄を、そのまま引きずって安全に降ろすという作業をこなすには、雌の力一つでは中々に難しそうなのも事実だった。
念のため、雄の肩を掴んでみる。
辺りに響く大声に動じなかった以上やはりというべきか、軽く揺すっても何らかの反応を返すことはなかったが…… それよりも私にとって、掴んだ途端に目の前の存在が消えて無くならなかったことに、場違いな安堵を覚えていた。
そう思わず考えてしまうほど透明で儚い印象が、今の彼にはあったのだ。
「私はここよ、ベコリー! ちょっと登ってきてちょうだい! 」
とりあえず彼を降ろして、集落まで連れて行ってあげよう。
話はその後、彼が落ち着いてから聞けばいい。
* * *
「……っと。オイオイ、ボコナ。誰だコイツ? こんな角してた野郎なんて、俺達の仲間にいたか? ……なぁオイ、お前はどこからここに来たんだ? 」
私に気付いたベコリーは、私達が掛けたそれよりも遙かに短い時間で、この建物の上まで登ってみせた。青い肌を持ち、戦士達の中でも有数の力を誇ると言われる魔物の身体能力は伊達ではないらしい…… 壁や段差を登るたび、私の視線を意識したポーズをその都度取らなければ、もう少しは様になっていただろうに。
そしてここまで辿り着いたベコリーの第一声は、身元不明の同族に対する
その反応を受けて徐々に戦士の顔へと表情を変えていくベコリーに、彼に関する状況を簡単に説明することにしたのは、妙なすれ違いを起こしたくはなかったからだ。変に取っ組み合いが始まって、今3匹もの子鬼が集まっている建物の床が抜けでもしたら洒落にならない。
「さっき『祝福』があったでしょ? どうやら彼、その恩恵を受けてここに現れたみたいんなんだけど、状況が良く分かってないらしいのよ。足が満足に動かせないみたいで、けどどうしても【下界】が見たいって言うから私がここまで運んであげたってワケ 」
彼が正体不明ながらも同族であること。ここに至るまでの間、一切の危害を加えられてはいないこと。そして『祝福』の例外となる、初めての回生者かもしれないということ。
「……いざ【下界】を見た途端、 何故か全然動かなくなっちゃったんだけどね 」
言いながら振り返ってみても、彼は相変わらずこちらに視線を向けないまま地面を虚ろに見ていた。もう【下界】を見下ろすこともしなくなったその背中からは、枯れた老人ほどにも生気を感じられない。
「だからアンタには、彼を集落まで運ぶ手伝いをしてもらいたいんだけど…… お願いできる? 」
もしここまで話した上でなお、この有能とされる戦士の嗅覚が彼の危険性を訴えるというのなら、最悪彼をここに放置する選択も考えなければならない。ほったらかさずに集落へ連れて行きたいのは『祝福』に関する事柄云々を含めても私1人の考えであり、皆が住む場所へあからさまな危険を持ち込むことは本意ではないからだ。
ここまでの道程から考えて、どうやら下半身がうまく動かないのは本当らしく、もしベコリーが反対するのなら置き去りにするだけで、あの泥に匹敵するような厄介事を彼が持っていたとしても、すぐに集落へ影響を及ぼすような事態は避けられるだろう…… ただ分からないから殺してしまおうと言い出そうものなら、族長に任された『祝福』調査の役目を担う者として全力で反対するつもりだ。
しかし、ベコリーからの返答はすぐに帰ってこなかった。何か彼から感じるモノがあるのかと、振り返っていた身体を戻し、ベコリーの表情を窺う。
……何というべきか、ベコリーは彼を見ていなかった。
見ていたのは私の身体。振り返っていたのを良いことに腰と尻に視線を明らかに固定していた雄の顔には、先程浮かびかけていた厳しくも精悍な戦士の表情はその名残すら残っていなかった。
ただのエロ豚が、そこにいたのである。
(……この状況で下心満載の顔が出来るなら、彼は危険じゃなさそうねぇ……)
私が黙ってその顔を見ていると、ようやく自分が問い掛けられていることに気付いたのか、「ボコナがそう言うなら仕方ないな 」と、真面目くさった表情を取り繕おうとするベコリー。実に手遅れな反応だったが、取り立てて怒るつもりはなかった。手伝って貰う以上はあまり責め立てるのも悪い気がしたし、それこそ今更だったからだ。
……若い雄から自分にそういった視線が向けられるのは、何も珍しいことではない。露骨過ぎるのが目の前のエロ豚というだけの話であり、影で雄達から『麗しの雌』などと呼ばれていることも知っている。幸い私が族長の娘である以上は乱暴に迫られるようなことこそ今までなかったが、それも成人を迎えた今となっては「そういう対象」として見られることも今後ますます増えてくるだろう。
……そういった点で今後考えられる最も憂鬱な行事がそろそろ執り行われるらしいが、それを今から考えても仕方ない。
気持ちを切り替えようとして、ふと気付く。
そういえばこの雄は、無遠慮に私の身体を眺め回すようなことはしなかったな、と。
ここに来るまでの間、腰に手を回し支えて歩くという密着した体勢でいたのだ。雄にとっては大変魅力的らしい私の身体に対し、何ら雄の視線を感じなかったというのは淡泊に過ぎると思わなくもない。それでも最近はほとんど経験しなくなった、情欲を感じさせない年頃の雄との触れ合いは、不快じゃない感触があったのも確かだった。
(それだけ、ここに来るまで必死だったということかしらね…… )
「それじゃあとりあえず、ベコリー。彼を降ろすのお願いするわね! ……あぁそうそう、彼なんだけど名前はここに来るまでに教えて貰ったの。彼の名はライ―― 」
「――じゃない 」
「……え? 」
不意に、私の言葉を遮った声。
見れば彼の手を肩に担ごうとしたベコリーが不思議そうな顔をしている以上、その言葉を発した者は、項垂れたまま顔を伏している彼なのだろう。
けれど、その否定の意図は何なのか。確かにあの森で名乗った彼の名前は、ライネルで間違いなかったはずなのに――
ブツブツと呟かれる言葉に力は無い。
つかえながら漏れるようにして零れる声は、風の音に紛れかねないほどに弱々しい。
しかし決して止まることはなかった。
まるでそれだけは、絶対に言わなければならないとでも考えているかのように。
「俺は【ライネル】じゃない……俺は【ライネル】じゃ、なかったんだ……」
「すまない皆……すまない、【ライネル】……」
……1匹の雄の声が、自身の名を否定しながら空しく廃墟に響く。
何の事だか分からないと、こちらの顔を伺うベコリーの気持ちも分からないでもなかったが、今は何も言わず、ただ集落に戻ることを優先させた。
無力感を強く滲ませた呟きを、ただ繰り返すだけの正体不明の子鬼。
――ここに放置してしまえば、必ず失意のままに死んでしまう
そんな同族を独りにしてはいけないと、その時の私には思えてならなかったのである。
ボコナさんは、ボコブリン界の峰不二子みたいな体型をしていると思って下されば。
強調しないセクシー。それこそがヒロインに求められる要素だと私は思ったり思わなかったり。
そして青鬼のベコリーさん、完全に当て馬に……
原作の雰囲気と比べて、ボコブリンがどんどん賢くなってくるなぁとも思いますが、彼ら視点で物語作る以上、そこは目こぼしして頂けると助かります。
(どうしよう……鬱書いている時の方が楽しい……)