「やっほー」
『やっヴォオオオオオ』
「ウワー!?」
『ウヴァアアアアア』
「うるせえよ!」
どこかの登山客の山彦が、音割れしたかのようなノイズ混じりのデスヴォイスで再生される。
思わず「うるせえよ!」と叫んでも仕方ないというものである。
……それにしても俺のバグはとうとう無関係な人間にまで浸食を始めたのだろうか。
「ぜぇ……ぜぇ……て、テツぅ……お前も少しは持てよぉ……」
「俺が荷物を持った途端に荷物が吹っ飛んでいったのを忘れたか」
レーティングゲームに向けて修行をするため、俺たちは山籠もりをすることにしたのだ。
それで、いざ出発と荷物を持ち上げた瞬間に、荷物が空の彼方へとぶっ飛びお星さまになったのだ。
着替えが入っている荷物は無事だったから良かったが、「お、俺の荷物が……」と咽び泣いたのを誰が責められようか。
そんなわけなので俺は今手ぶらである。
「そ、そうだった……」
「リアス先輩や朱乃先輩にこっぴどく叱られてもいいってんなら持つが?」
「いや、いい!!」
慌てて首を横に振るイッセー。
「テツくん、暇なら山菜でも集めてよ」
山菜を抱えた木場が提案してきた。
特にやることも無いので、俺も適当な山菜を集めるとしよう……そんなこんなで目的地のグレモリー家別荘についたわけだが。
「まっていたぞ。」
「尾崎先生!?」
何故かジャンボ尾崎先生が別荘にいた。
これには俺だけでなく、所有者であるリアス先輩達もビックリである。
「めんどうを みにきたぞ。」
「え、ええ……ありがとうございます」
戸惑いながらも一応礼を言うリアス先輩。
「はやく きがえて しゅぎょうしたほうが いいぞ。」
「テツ 鍛えるなら早い方がいいのだ わかっているのか おい!」
「はあ・・・」
ジャンボ尾崎先生の他にもいきなり現れた青髪の女の声に、生返事で返すしかなかった。
兎にも角にも、着替えたら修行開始である。
……後で聞いたが、青髪の女の名前はミディアというらしい。
ジャンボ尾崎のワンポイントレッスン1 木場との剣術修行
「けんをふるときは うでだけじゃなくて こしもしっかり いれよう」
「腕だけだと バランスが崩れやすいのだ わかっているのか おい!」
木場と手合わせに、ジャンボ尾崎先生とミディアがアドバイスする形で修行を進める。
そのアドバイスに頭では分かってはいるが、身体がついていけていないようだ。
相手が達人の域である木場だというのも大きいだろう。
ちなみにそのころの俺といえば。
「「昇龍拳! 昇龍拳! 昇龍拳!」」
せっかくだから素振りでもしてみようと手に木剣を持った瞬間、剣ではなく「ケン」になったので、仕方ないのでケンと一緒に昇竜拳の練習をしていた。
……というか、ケンの動きに合わせて俺も強制的に動かされるのだ。
「「行くぜ! 昇龍烈波ぁっ!!」」
そんなこんなで俺は連続昇龍拳こと、ドラゴンダンスを覚えた。
……実際に使えるかどうかは分からないが。
ジャンボ尾崎のワンポイントレッスン2 朱乃先輩との魔力修行
「意識を集中させて、魔力の波動を感じるのですよ。」
目を閉じ、魔力を感じようと集中するイッセー。
「イッセー 所詮イメージはイメージなのだ わかっているのか おい!」
「じぶんの そうぞうしやすいもので イメージしたほうが いいぞ。」
朱乃先輩の説明に補足する形で二人がアドバイスする。
ちなみにそのころの俺といえば。
「……」
何もできていなかった、バグすら起きない。
どうやら魔法に関してはすっからかんのようだ……
ジャンボ尾崎のワンポイントレッスン3 塔城との格闘修行
「ぬがああああ……ぐふっ」
「……弱っ」
塔城にぶっ飛ばされたイッセーが巨木と激突し、大きな音を立てる。
それにしても、前から思っていたけど塔城ってサドっ気でもあるんだろーか。
「こうげきを うけるさいは からだをずらすと いいぞ。」
「そうすればダメージを減らせるのだ わかっているのか おい!」
負けずと立ち上がったイッセーにアドバイスを送る二人。
ちなみにそのころの俺といえば。
「疾風迅雷脚!!」
「ウーワ、ウーワ、ウーワ……」
ケンに疾風迅雷脚を叩き込まれていた。
オレ もう泣きそうだよ……
ジャンボ尾崎のワンポイントレッスン4 リアス先輩との基礎修行
イッセーは岩を背中に括り付け、山道を駆け巡っている。
筋力や体力、持久力をまんべんなく鍛えられる、良い修行法だと思う。
「はい、それじゃあ次は腕立て伏せ300回ね」
「お、オーッス!」
「イッセー 正しい姿勢でやらないと意味がないのだ わかっているのか おい!」
「ちゃんと あごがじめんにつくまで さげないと だめだぞ。」
山道修行を終えると、次は筋トレに入るようだ。
ちなみにそのころの俺といえば。
「うぁー・・・」
「あっ!!! テツくん!!」
いつの間にか出来ていた落とし穴に落ちてしまい、それを目撃した朱乃先輩が叫んでいた。
落ちても相変わらずノーダメージだが、鬱陶しくてしょうがない。
「今ロープを持ってくるから、待ってて下さいね」
「……お願いします」
と、まぁ……こんな感じで俺だけ修行にならなかった。
その後、晩飯の時間。
「木場?」
「はい」
「あなた、確か山菜を取ってきたのよね?」
「はい」
「じゃあ、何で毒キノコになっているのかしら」
木場が取ってきた山菜は、何故か赤と白のまだら模様が毒々しいキノコになっていた。
柄の部分に描かれている黒い2本の縦線が顔のようにも見える。
……って、アレ? この模様って……
「ぶ、部長……これって」
『スーパーキノコじゃねーか!!』
イッセーが部長に恐る恐る声をかけたところに、アーシアに憑依してたアキラが大声を上げた。
「「スーパーキノコ?」」
「日本人なら誰でも知ってるゲームのアイテムですよ」
「そ、そうなの。 人間界のゲームには疎いからわからなかったわ」
「同じくです」
リアス先輩とアーシアが疑問の声を上げると、木場が説明した。
「……」
塔城がむんずとスーパーキノコを手に取ると、躊躇うそぶりも見せず思い切りかぶりついた。
「ちょっ、小猫ちゃん!? 危ないから吐き出して!!」
イッセーが肩をゆするが、それを無視するかのようにキノコを咀嚼し飲み込む塔城。
すると次の瞬間……
「おお……」
スーパーキノコの影響か、塔城は海外映画にでも出てきそうな長身でむちむちバインバインのグラマー美女へと姿を変えた。
「テツ」
「はい」
「どうするのよ、この状況は」
「俺に言われても……」
キノコそのものは俺のせいかもしれないが、塔城がキノコを食べたのは俺のせいではないと思う。
ネタバレ
キノコの効果は短時間で切れる