ついに八月のシンデレラナインのアニメ1話放送まであと1週間を切りました!
そして、今回のお話はタイトルから分かる、あの子です。
GWが終わり、世の中の人達が何事に関してもやる気を失ってしまう──いわゆる"五月病"にかかってしまうこの時期。
春之助は翼にとある相談をしていた。
「あのさ、翼」
「ん?どうしたの?」
「なんか、この頃"視線"を感じるんだ」
「春之助は目立つから、視線を感じるのはいつもの事なんじゃないの?」
中野にあれだけ大々的に騒がれたので、視線を感じるのは仕方がないのでは?と翼は思う。
しかし、春之助は納得してない様子で続ける。
「いや、そういうのとは違うっぽいんだ。なんか、誰かにストーキングされてるような感覚だし…」
「えぇ!?てことは、ストーカーがいるの!?」
「まだいるって分かったわけじゃないけど、おそらくそんな気がする…」
昼休み。
翼と夕姫、そして和香の3人はいつものように春之助と一緒に弁当を食べながら、ストーカーの件について話し合っていた。
「ストーカーはやっぱり見つからないね」
「そうね。そもそも、ほんとにいるの?」
「そこが分からないんだよ」
「春之助くんに個人的な用事がある……とかでしょうか?」
そんな用事がある人物に心当たりのない春之助は、うーん…と首を傾げる。
「ご、ごめんなさい!」
突然、教室の入口の方から、そんな声が聞こえてきた。
4人が振り返ると、フードを被った小柄な女の子が誰かにぶつかってしまったのか謝っている。
そして、彼女は春之助の方を一瞬、チラリと見ると顔を真っ赤にして去っていった。
「そういえば、あの子昨日もいたわよね」
和香がそんなことを言い出す。
「そうなの?」
「えぇ、昼休みに私が先生に呼ばれて職員室へ向かう時も、教室の入口に立っていたわ」
「私も、一昨日見た!! ともっちに会いに3組に行こうとしたら、あの子が教室の入口に…」
翼と和香の証言から、4人の頭の中にはひとつの疑念が浮かんだ。
「もしかして、あの方が春之助君のストーカーさんでしょうか?」
「きっとそうだよ!さっそく会いに行こう!」
「待って翼。まだ確証があるわけじゃないからもう少し様子を見ようか」
今にも駆け出しそうな翼だったが、春之助にそう言われ渋々引き下がる。
昼休みが終わる頃、誰かが春之助の肩をちょんちょんと叩いた。
「ん?」
「桜井、ストーカーの犯人を知りたいかにゃ?」
「中野さんは誰か分かるの?」
「もっちろん♪
私に分からないことなんて無いにゃ」
自慢げに中野はそう言う。
「桜井をストーカーしてるのは、さっきの子で間違いないにゃ」
「そうだったのか…」
「彼女の名前は"宇喜多茜"。クラスは1年4組、誕生日は10月7日のてんびん座、血液型はA型だにゃ」
「相変わらず、凄い情報網だね」
「私にとってこのくらい朝飯前にゃ。それより、彼女のことどうするにゃ?」
中野の疑問はもっともだ。
「うーん…もし用があるなら話すべきだよね」
「もしかして、告白かにゃ!?」
「いや、それは無いんじゃないかな?彼女とはまだ話したことすらないわけだし」
「もしかしたら、彼女には桜井と話した記憶があるっていう可能性は無いかにゃ?」
「と言うと?」
「小さい頃に会ったりしてるんじゃないかってことにゃ」
中野の言葉を聞き、春之助は"うーん"と首を傾げる。
「そんな記憶は無いんだよなぁ」
考えている間に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
☆☆☆
(やっぱり、あれはお兄ちゃんだよね……。
あの頃は小さかったから、名前は覚えてないけど……
桜井くんが、"あの"お兄ちゃんなんだ。
……たぶん。
よく鈴木さん?と一緒にいるところを見るけど、もしかして、つ、付き合ってるのかな!?)
1-2の教室の前で今日もこっそりと教室内を覗く少女がいた。
(昨日は、人にぶつかって逃げちゃったけど……)
いろいろ思うことはあるが、もう一度教室内を覗いてみる。
(あ、あれ!?お兄ちゃんがいない……!)
さっきまでいたはずの春之助を見失い、動揺してしまう宇喜多。
「もしかして、2組の誰かに用があるのかな?」
背後から声をかけられ、返事をしながら振り向く。
「ひゃ!?そ、そういう訳では…」
振り向いた先にいたのは……
「4組の宇喜多さん─で合ってるかな?
はじめまして。2組の桜井春之助です。」
「お、お兄ちゃ…!?!?!?!?」
春之助が声をかけると、彼女は驚きのあまり倒れてしまった。
「え!?ちょ、宇喜多さん!?」
それを見て慌てる春之助。
「はぁ、何してるのよ……」
横で呆れる和香。
「声をかけただけなんだけどなぁ」
☆☆☆
(あ、あれ?ここはどこなんだろう……)
目を覚ますと、知らない天井が広がっていることに驚く宇喜多。
(カーテン? 保健室かな…)
とりあえず起き、目の前のカーテンをめくる。
「お?気がついた? 倒れちゃったから、心配したよ」
「ど、どうしてお兄……さ、桜井くんがここに!?」
状況がイマイチ把握しきれていないらしい。
「僕が廊下で声を掛けたら、君が倒れたんだ。体調悪かったの?」
言われてみれば……。と思い出した様子だ。
「そ、そんなことないよ。ちょっと低血圧で目眩がしちゃって…」
声をかけられた驚きのあまり気絶してしまった…なんて言えるはずもないので、それっぽく誤魔化す。
「そうだったんだ。あ、もしかして朝ごはん食べてきてない?」
春之助は信じているようなので、それっぽく乗っておく宇喜多。
「…うん」
「低血圧の人って朝が弱いから朝食抜いちゃう人も結構いるらしいんだよね。それで目眩がしたりとかもあるらしいんだ」
「詳しいんだね」
「昔、友達に低血圧の子がいたから、いろいろと調べてたんだ。
それはそうと、2組のところにいたってことは、2組の誰かに用事があったのかな?」
「あ、実は……その……(ど、どうしよう!お兄ちゃんに会いたくて来てたなんて言ったら、茜、変な子って思われちゃうよね?!)」
「あ、もしかして……」
考える素振りを見せる春之助。
(も、もしかして茜のこと思い出したのかな!?)
「もしかして、入部希望?」
「え!?あ、その、ちが……」
違うと言いかけて茜は止めた。
(待って!ストップ!宇喜多茜!
ここで野球部に入ったら、お兄ちゃんと毎日会えるよね!?
それに毎日お話したりもできる!
このチャンス、逃すわけにはいかないよね!)
「そ、そう!そうなの!実は茜も野球部に入りたくて……」
その言葉を聞いて、にっこりと笑う春之助。
「やっぱりそうだったんだ!それなら、もっと早く言ってくれれば良かったのに。それじゃあ、さっそく今日の放課後からおいでよ」
「う、うん!よろしくお願いします!」
キーンコーンカーンコーン
予鈴だ。
「あ、そろそろ授業だ。僕は行くよ。それじゃあ、また放課後にね」
「うん。ま、またね……/////」
保健室から出る春之助を見送り、宇喜多は悶えていた。
(お、お兄ちゃんとあんなに話しちゃった!!!
お兄ちゃんも楽しそうだったなぁ〜。
茜、野球はやったことないけど、お兄ちゃんがいるなら頑張れる気がする!
今日の放課後が楽しみ…………あれ?
放課後、茜はどこに行けばいいのかな!?
聞くの忘れちゃった!どどど、どうしよ〜〜〜!!!!!!)
悶絶していた……。
つづく。
13話でした!
感想お待ちしてます!