君と夢見た甲子園   作:トップハムハット卿

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お久しぶりです!
ほんとにお久しぶりです!

待ちわびていた方がおられるかどうかは……
わかりませんが、おられたら嬉しいです(涙)

6話です!どうぞ!


#6 グランド整備と新聞騒動

あれから、入部希望者を募るポスターを春之助たち4人で作って掲示したところ、そこそこの人数の入部希望者が集まった。

 

人数は揃ってもグラウンドが荒れていては練習は満足にできない。

ということで昨日、今日とグラウンドの整備をしている。

 

「なぁ、まだ入部してから野球道具に1度も触れてないんだけど?

アタシらは奉仕部か何かか?」

 

明らかに不満そうに春之助に愚痴をこぼしている彼女の名前は"泉田(いずみだ)京香(きょうか)"。

女の子では珍しいリーゼントヘアーが特徴的な子だ。

 

「ごめんね、泉田さん。やっぱり整備だけだと退屈だよね」

「いや、別に責めてるわけじゃねぇよ。それより、整備が終わったらちゃんと野球を教えてくれるんだろうな?」

「あぁ、もちろん。みっちりしごいてくからね」

「上等だ。よろしく頼むぜ!」

 

元気の良さとリーダー基質を兼ね備えている彼女は、きっとチームを引っ張ってくれるんじゃないかと思う。

 

 

「負けないぞ、秋乃小麦ー!」

「わー!小麦も負けないぞー!」

 

二人で内野に生えている雑草を抜く速さを競っているのは、"竹富(たけとみ)亜矢(あや)"と"秋乃(あきの)小麦(こむぎ)"だ。

 

竹富亜矢。元々は陸上をやっていたけど、翼に強いライバル心を持っている彼女は翼に勝つために野球部に入ったらしい。

元陸上部の経歴は伊達じゃなく、かなりの俊足の持ち主だ。

 

秋乃小麦。離島出身の彼女は運動神経は良いがかなり自由奔放な性格だ。

目を離すとすぐに木登りや鬼ごっこなどをしているので、割と要注意な人物でもある。

 

 

「ふふっ、皆さん楽しそうですね」

「そういう野崎も十分楽しそうだけどね」

 

はしゃぐ小麦と亜矢を楽しそうに眺めている夕姫とそれにツッコミを入れているのは"朝日奈(あさひな)いろは"。

 

朝日奈いろは。彼女は小学校の時に野球を、中学校の時にはソフトボールをしていた列記とした野球経験者だ。

初心者が多いなかで、彼女の存在はとても貴重だ。

 

野崎夕姫。彼女は和香と同じ中学出身だ。

野球は未経験だが、高身長に加え、元バスケ部ということで運動神経も良い。

優しい性格からは想像しにくいくらいのパワーの持ち主で、グラウンド整備でも力仕事を率先してやってくれている。

 

 

「スポーツはやっぱり、美しいグラウンドが無いとダメよね」

 

そう話しかけているのは、"本庄(ほんじょう)千景(ちかげ)"だ。

彼女はイギリスからの帰国子女で、野球は未経験だが向こうではクリケットをプレイしていたらしい。

野球は未経験とはいえ、同じベースボール型のスポーツの経験者なので頼もしい限りだ。

また、翼や春之助たちの1つ上一一つまり、2年生でもある。

 

「はい!綺麗なグラウンドだと、やっぱり気合が入るというか、気が引き締まりますし!」

 

千景へ元気良く言葉を返すのは、この女子野球部の発起人でもある"有原翼"。

彼女は小学、中学と野球を続けてきた筋金入りの野球人だ。

運動神経の良さもだが、野球の技術もかなり高い。

女子野球部に力を入れている強豪校に入学していても、1年からレギュラーを張れるくらいの実力だと思う。

彼女の夢は"甲子園に出場すること"であり、それは、この女子野球部の最終目標でもある。

 

「ともっち~!ここの草も持って行って~!」

「はいはーい!ちょっと待ってねー!」

 

翼に呼ばれ、ネコ車を押しながらグラウンドを走り回っているのは"河北智恵"だ。

彼女は翼の幼馴染である。

野球経験というか運動系の部活経験は無いが、小さい頃から翼が野球をする姿を側で見守っていたので野球の知識を多少持っている。

とても一生懸命な性格で、今も愚痴ひとつこぼさずにグラウンド整備をしてくれている。

 

「グラウンド整備と言っても…、わりとキツいのね……」

 

多少疲れた様子を見せながらも、抜いた雑草がいっぱいに入ったネコ車を押しているのは"鈴木和香"だ。

彼女も智恵と同じく運動系の部活経験は無いが、兄が野球をしている姿を小さい頃から見てきたこと、そして自ら兄にアドバイスをするために野球を勉強していたこともあって野球に関してはかなり博識だ。

 

 

せっせとグラウンド整備をしている春之助たち。

 

そんな彼らから少し離れた場所に、カメラを首から下げて嬉しそうにしている女の子がいた。

 

「どこかで見た顔だと思っていたら、やっぱり"あの"桜井春之助だったにゃー。これは大スクープになる予感がするにゃ~!入学早々、新聞部として腕がなるにゃ~!」

 

 

☆☆☆

 

 

翌日。

 

「春之助くん、おはようございます。昨日はお疲れ様でした。やっと今日から練習ができますね♪」

「おはよ、夕姫。そうだね、今日からは野球部っぽい事をしていくつもりだよ」

 

昨日でグラウンド整備が終わり、やっと野球ができる環境になって夕姫はご機嫌だ。

 

そこへ、慌てた様子の翼がやってきた。

「夕姫ちゃん!春之助!大変だよ!」

「「どうしたの(ですか)?」」

 

「いいから来て!」

 

頭の上に?を浮かべて顔を見合わせる二人。

翼に連れられて行った先には、校内新聞のようなものが掲示されていた。

 

「これ見てよ!」

 

言われるがままに新聞を見ると、そこには

 

〈 天才野球少年、花宮高校に現る!

先日から入部希望者を募集している女子野球部。その監督を務めているのは1-3の桜井春之助である。

桜井は、中学野球界最強の4人と謳われる"春夏秋冬"の内の1人で"東北の天才傀儡師"として名を馳せた凄腕のキャッチャーだ。

そんな彼が野球部の無い花宮に来たのは何故か?

我が新聞部は、その真相に迫ろうと思う!

次号にご期待あれ! 〉

 

 

「なんだよこれ……………」

春之助のこめかみに、うっすらと青筋が浮んだ。

 

 

 

春之助が中学で名を馳せたということを知っているのは、野球部の中でも翼、智恵、和香の3人だけだった。

頃合を見てみんなに話そうと考えていた春之助だが、思わぬ形でみんなに知られてしまった。

 

(せっかく俺のことを知る人が少ない学校に来たのに…。これじゃあ台無しだよ…)

 

「春之助くん…、これは本当なんですか?」

 

恐る恐る尋ねる夕姫。

 

「あぁ、本当だよ。みんなには頃合を見て打ち明けようと思ってたんだけどね。これは参ったな……」

 

「こんな勝手に………!私、行ってくる!」

「翼さん!どこに行くんですか!?」

「新聞部のところ!」

「ま、待て!翼!」

 

春之助の呼び止めも聞かず、翼は走って行ってしまった。

 

「夕姫、追いかけよう!」

「は、はい!」

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

ガラガラ

「失礼します!!」

「ん~、誰かにゃ?……って、同じクラスの有原?」

 

翼が新聞部の部室のドアを開けると、そこに居たのは…

 

「あなたは…、中野さん!?」

 

翼や春之助と同じ1年2組の"中野(なかの)綾香(あやか)"だ。

 

「新聞部って中野さんだったの!?」

「そうにゃ!」

 

そこへ、春之助と夕姫も合流する。

 

「翼、いきなり行くなって……」

「ご、ごめん」

 

「野崎と桜井も来たってことは、新聞の件についてのお礼でも言いに来たのかにゃ?」

「違うよ!なんであんなこと書いたの!?」

「あんなこと?なんのことかにゃ?」

 

「だから、春之助の…!」

「落ち着いて、翼」

「でも……」

 

「中野さん、よく僕のこと分かったね?」

「まぁ、中学の時から目を付けてたからにゃ~。この4人は間違いなく凄い選手になる。そう思ってたから、春夏秋冬の4人が出る大会はほとんど見に行ったにゃ。もしチャンスがあればサインとか貰おうと狙ってたんだにゃ。

 

まぁ、要するに私は桜井たちのファンだったってことだにゃ~」

 

「なるほど。でも、あんな風に目立つことしなくてもよかったんじゃない?」

 

野球を辞めた理由をあまり話したくない春之助としては、この新聞の件は決して良いことではない。

 

「そんなことないにゃ。"あの"桜井春之助が野球部の無いこの学校にいる。 そんな大スクープを逃すなんて4流記者のすることにゃ!」

 

彼女は新聞部としての仕事をしたまで…。そんなことは分かっているけど、春之助としてはそれでな納得がいかない。

 

「はぁ……。今更、記事を取り下げてもらったところで無駄だよな…」

 

「なにか、広めたらマズい理由でもあったのかにゃ…?」

 

明らかに落ち込んでいる春之助を見て、少し気の毒そうに声をかける中野。

 

「マズいってわけじゃないんだけど、個人的には野球を辞めた理由をあまり多くの人に話したくないんだ……。自分が挫折した話を好んで話したがる人がいると思うかい?」

 

「そ、それは………。なんかごめんにゃ」

「いや、中野さんも悪気があってやったわけじゃないんだ。こればっかしはそんなに責められないよ…」

 

「な、なにか償いというか、お詫びみたいなことができないかにゃ……?

そうだ、女子野球部の宣伝をするのはどうにゃ!?まだ部員募集中のはず!」

「う~ん……、それじゃあ…

中野さん、君も女子野球部に入ってくれないか?」

 

鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をする中野。

 

「ふぇ?どうしてそうなったにゃ?」

「知っての通り、女子野球部は部員募集中だ。だから中野さんが入ってくれるととてもありがたい。それに、中野さんみたいなタイプの人には他校を視察したりする諜報班的な仕事もお願いしたいし…」

 

「そういうことなら、分かったにゃ!この中野綾香が入部してあげるのにゃ!

諜報活動は私に任せておくといいにゃ!

でも、新聞部としての活動もあるから、部活に参加出来ない日があるのは大目に見てほしいにゃ」

「あぁ、分かった。それじゃあ後で教室で入部届を渡すから書いてね」

 

(野球部に入れば、桜井のことについてもっと詳しく知れる願ってもないチャンスにゃ!なんせ、"天才傀儡師"だからにゃ~。これは楽しくなってきたにゃ~!)

 

そんな中野の思いを知る由もない春之助は、新聞のことなどすっかり忘れ、部員が増えたことをとても嬉しく思いながら教室へ向かった。

 

翼はあまり納得していないようだが、夕姫は「春之助くんがいいなら」と新たな仲間の加入を喜んでいる。

 

この新聞が更なる厄介事を連れてくるなんて、この時はまだ誰も知らない……。




6話でした!
中野に野球部の悪評を新聞に書かせるのは個人的に心が痛むので、こういう形にさせていただきました。

中野の「にゃ」の頻度が多すぎる気もしますが、とりあえずはこんな感じで。

ゆっくりですが、投稿し続けるつもりですので、お付き合いいただけたら嬉しい限りです!
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