真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

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視察

魏への旅まであと2日。今のところ遠征準備はあともう少しで完了するところまで行った。

長安に残る守備軍は華雄こと橘花の指揮する第四軍とアンチョビや川内ら第三軍、そして俺の代わりに警邏隊長代理をすることになった美佳率いる警邏部隊も着々と留守中の敵の襲撃に備える準備をしている。国境沿いの砦には三八式野砲や夕張製長四斤山砲の他、連弩など多数配備されている。また雪風たち隠密部隊が他国の動きを調べて特に袁紹軍の行動に目を光らせていた。

そして魏こと洛陽に行く遠征部隊の護衛隊の武装も剣や槍や連弩の他、護身用の夕張特性のリボルバー拳銃を持つ部隊もいた。俺は事務室で遠征に行く書類の整理とそして長安に残す俺の部隊の確認の書類に目を通していた。

 

「警邏隊長代行は美佳なら問題ないとして・・・・・アンチョビさんや川内らの部隊編成はと・・・・・ああ、それとこの西国境の砦もあとで視察に行かないとな・・・・・」

 

俺は頭を少し掻き書類仕事をしていると、ドアからノックの音がする

 

「誰?」

 

「はっ!斗志以下、桜花、雪風です隊長。入ってもいいですか?」

 

「ああ、いいよ」

 

俺がそう言うとドアが開きそこから、斗志と桜花そして雪風が入ってくる。俺が初めてこの世界に来てからずっと俺を支えてくれた三人。吹雪軍の将兵からは三人を『天水三羽烏』と言う人もいる

 

「お茶をお持ちしました隊長」

 

「後、疲れていると思いますからお菓子も持ってきました」

 

「自分は偵察の報告をしに来ました」

 

「ああ、三人ともお疲れ。俺も大体の書類仕事が終わったところだから、まあ座れよ。そうだお菓子があるなら皆で食べないか?」

 

「ふふ、そう言うと思ってすでに用意しています」

 

「そうか。それじゃあ、少し休憩にしようか」

 

そう言うと吹雪たちは椅子に座り桜花の持ってきたお菓子やお茶を机に置く

 

「おや?桜花。このお菓子、お饅頭みたいだけどなんか変わっているわね?それにその氷水の入った器にその砂糖

は何?」

 

雪風が桜花の持ってきたお菓子に首をかしげると、桜花は

 

「あ、これ。水まんじゅうっすよ」

 

「「水まんじゅう?」」

 

聞きなれない単語に斗志と雪風が首をかしげると桜花は

 

「そうっす。なんでも隊長の故郷の天の国のお菓子で、試しに作ってみたんすよ。ね。隊長」

 

「ああ、まさかここでも作れるとは思わなかったがな」

 

そう、桜花が持ってきたのは日本の新潟県長岡名物の水まんじゅうだった。この水まんじゅうは彼の連合艦隊令長官山本五十六が好んで食べていたとされるもので俺も映画でこの水まんじゅうを見て食べたくなり、買ってきて食べたものだ。そのことを前に桜花とアンチョビさんに話したら、興味を持ち作ってくれたのだ

 

「天の国のお菓子ですか・・・・・・して隊長。この水まんじゅうはどうやって食べるのですか?」

 

「ああ、これはな、まず小皿にまんじゅうを入れてな。そして氷水と砂糖をかけて食べるんだ。こういう暑い日にはこういった菓子は美味いんだぞ」

 

そう言いうと吹雪は4つの小皿にまんじゅうを入れそこに氷水を入れ氷水に浸ったまんじゅうの上に砂糖をたっぷり入れると匙でそれを潰して食べる

 

「うん…‥美味い。ほら、斗志たちもどうだ?」

 

「はぁ・・・・」

 

そう言う斗志と雪風だが慣れないのか怪訝そうな顔をすると桜花は

 

「そんな顔をするなよ雪風、斗志。これ結構いけるんだぜ」

 

「え?桜花は食べたのか?」

 

「ああ、はじめは『え!?』って思ったけど食ってみたらすげぇ美味しいんだ。ほら前に食堂で隊長がやった麻婆丼のようなもんすよ」

 

「「あ~なるほど」」

 

桜花の言葉に二人は納得した顔をし、そして三人は吹雪と同じ作法で水まんじゅうを食べる

 

「あ、美味しい」

 

「ほんとです・・・・」

 

「だろ~」

 

と、その後は吹雪たち4人は水まんじゅうの味を堪能した。中でも甘い物好きである斗志はこの水まんじゅうのことが気に入ったのかとても喜んでいた。そして吹雪はお茶を飲むと

 

「で、斗志。訊きたいことがあるんだけど。柳琳さんたちはどう?楽しんでいるかな?」

 

「はい、とても。今は桜さんたちと買い物を楽しんでいます」

 

「そうか・・・良かった。で、雪風。さっき偵察の報告とか言っていたけど?」

 

「はい。現在。密偵の報告によれば国境付近に怪しい集団がちらほらと動いているため警戒が必要との連絡が入りました」

 

「怪しい集団?袁紹軍の斥候か?それとも他国の・・・・」

 

「それはまだわかりません。ただこちらも警備とかの警戒を厳重にしていますので、何かつかめたらすぐに報告します」

 

「そうか・・・・で、その目撃情報はどこからだ?」

 

「はい。西国境付近あたりです。あそこの砦は今だ修復や改修工事の途中ですので、おそらく攻めるとするならそこを襲撃する可能性があります」

 

「そうか・・・・・ならちょうどいいな」

 

「丁度いいとは?」

 

「ああ、斗志。実はなここを出る前に西国境の砦を視察しようかなっと思ってな」

 

「それはいいことですが、隊長。先ほど雪風に不審な集団の目撃情報が出ているのにそこに行くなんて」

 

「だからこそだ。天の御使いと担がれているこんな俺でも、そこで一生懸命に働いている将兵の労いの言葉ぐらいは掛けることができる」

 

「隊長・・・・・わかりました。では護衛の兵は倍に増やします」

 

「いいや斗志。いつもの人数でいい」

 

「いや、しかし」

 

「いつも通りでいいんだ。護衛を増やしたらそれこそ兵たちを不安にさせてしまうよ」

 

「隊長。では私も護衛に着きます。そして他の護衛は腕利きの兵を遣わせますので」

 

「うん。頼む斗志」

 

「はい!任せてください!」

 

吹雪の言葉に斗志は嬉しそうに言うと雪風はふふと笑い

 

「ん?どうしたんすか雪風?」

 

「いや、桜花。斗志も昔に比べてだいぶ変わったな~と思って」

 

「ああ、そう言えばそうっすね。始めて隊長にあった時は隊長の顔面に蹴りを入れたすから~」

 

「なあぁ!桜花それは言わないでくれ!それを言うならお前だって隊長にかみついただろ!文字通り!!」

 

「うわぁー!斗志、人の黒歴史を言うな!!」

 

「桜花が先に行ったからでしょうが!!」

 

「何を!この黒ゴス邪教巫女!!」

 

「なあぁぁぁー!そのことは忘れろ///!!」

 

と、二人はワイワイ言い始めると雪風はお茶を飲む吹雪を見て

 

「隊長。止めないでいいんですか?」

 

「ああ、あれはただじゃれ合っているだけだからな。少ししたら落ち着くだろう」

 

「それもそうですね・・・・・それにしても隊長。初めてお会いしてからもうずいぶんの月日が経ちましたね」

 

「そうだな・・・・・天水のころからもうそんなに経つんだな・・・・・警邏隊から始まって、池田屋事件から黄巾の乱、そして反董卓連合戦・・・・・この戦いから俺たち警邏隊はいつの間にか一個軍団ほどの組織になっちまったな」

 

「はい。人生とは何が起きるかわからないものですね」

 

「だな・・・・・で、二人ともそろそろ落ち着いたか?」

 

吹雪は言い争いをしていた斗志と桜花を見ると

 

「え、ええ…今のところ落ち着きました」

 

「うちもっす・・・・・何か互いの黒歴史言い合っているうちにばかばかしく思ってきたっすよ」

 

「そ、そうか・・・・・」

 

二人の黒歴史とは何なのか気になる吹雪であったがそこは訊かないほうが無難だと思いその言葉を飲み込むと。桜花が

 

「隊長!今日はいい天気ですし歌でも歌いやしょう!」

 

「え?」

 

「士気を高めるためにも!そして久しぶりに隊長が歌うところもみたいっすし!!」

 

「本命はそこか桜花」

 

「まあいいじゃないの斗志、それに私も隊長が歌うところ久しぶりに訊きたいし。斗志は隊長の歌聞きたくないの?」

 

「それは聞きたいけど・・・・・・」

 

そう言うと斗志はちらっと吹雪のほうを見ると吹雪はふっと笑い

 

「そうだな。それじゃあここはひとつ、なんか歌うかな・・・・・」

 

そう言うと吹雪は歌いだす。その歌は軍歌でもなければ現代の歌でもなく、昔、祖父が良く歌っていた『長岡甚句』という歌であった。そして歌を歌っている間、斗志と桜花たちはリズムに乗って手を叩き、気が付けば一緒に手を叩きながら歌っていた

 

 

 

 

 

 

数時間後、吹雪は長安を出る前に斗志と志乃以下、計16名の護衛を連れて西国境沿いの砦へと視察に向かった。そして兵舎の情報部では、士官らしき兵は一通の書簡を見つける

 

「おい・・・・・・この書簡はなんだ?」

 

「はっ!これは沖田将軍の行動予定で、今日、西国境沿いの砦を視察するとのことで、すでに訪問する西国境の砦に使者を送って・・・・・」

 

「馬鹿もん!!」

 

と若き兵がそう言うと士官らしき兵が怒鳴り

 

「沖田将軍の行動予定を平文で送る奴がいるか!敵の間者に奪われ見られたらどうする!!」

 

怒りと慌てさを混ぜた顔でそういう。基本、董卓軍での伝令書や大事なことが書かれている命令書なんかは基本、暗号で描き、三人の伝令兵に渡し、別々のルートで行くことになっている。また暗号は、アンチョビの母国であるローマのラテン語、もしくは吹雪の故郷である日本語で書かれているはずなのだがその若き兵が送ったのは、暗号の書かれていない平文であった。

 

 

 

 

 

一方、西沿い国境付近・・・・・

 

「周倉様!張燕様!」

 

「何?騒がしいけどどうしたの?」

 

「はっ!たった今董卓軍の伝令兵らしき兵を殺したんですが、こんなものを持っていました」

 

「どれどれ?」

 

「ナニコレ?なんかの命令書かしら?」

 

周倉が部下に渡された書簡を読む中、張燕は必死にのぞき込もうとするが背が小さいため届かない。そして読み終えた周倉は

 

「へ~・・・・あの沖田がこちらの方へ向かっているらしいよ。しかも少数で」

 

「なんですって?なら好機じゃないの周倉」

 

「ええ、全軍に伝達!予定より早めに襲撃する!一応協力関係である張コウ達にもこう伝えろ!『クジャクがこちらにやって来た!』とね!!」

 

そう言うや否や周倉はにやりと笑い、そして隣にいる張燕もふふっと薄気味悪い笑みを出し

 

「さて、盗賊連合の出撃だね・・・・・首を洗って待っていろ沖田」

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