真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

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吹雪、母と再会する

『笑う棺桶』の討伐後、凪たちは祝杯も準備をしていた。理由は吹雪が華琳から褒美をもらいそのお金で宴会を開くことになったのだ。しかし・・・・

 

「華琳様。今日は会議はしないはずではなかったのですか?」

 

宴会の準備をしている途中に華琳に広間に招集をかけられ、真桜や沙和はもちろんほかの皆は明らかに不満の顔を浮かべていた。

 

「私はする気はなかったわよ。貴方達も宴会をするつもりだったんでしょう?」

 

「宴会・・・・・・ダメなん?」

 

真桜が不安げに華琳に訊く。

 

「バカを言いなさい。そのために褒賞を貴方達にあげたのよ? ・・・・・・私だって春蘭や秋蘭とゆっくり楽しむつもりだったわよ・・・・・そう言えば吹雪の姿が見えないのだけれど」

 

「あ~隊長なら厨房で宴会の料理作ってるわ。なんでも天の国の料理作るとかで忙しそうやったし。呼びます?」

 

「いえ、いいわ。天の国の料理、吹雪にしか作れないのでしょ?だったらそのままにしておきなさい」

 

華琳がそう言うと朝廷の使者らしき三人が入ってくる。

 

「すまんな。みんな疲れとるのに集めたりして。すぐ済ますからな、堪忍してな。」

 

「あなたが何進将軍の名代?」

 

「いや、ウチやない。ウチは名代の副官や。」

 

「なんだ。将軍が直々にというのではないのか?」

 

「あないな肉屋が外に出るわけないやろ。クソ十常侍のやつどもの牽制で忙しいんやから。」

 

仮にも漢王朝の将軍に当る人にすごい言い方をする。みんながそう思っていると

 

「呂布様のおなりですぞー!」

 

すると帽子を被った小さな女の子の後に1人の女性がやってきた。

 

「・・・。」

 

呂布の姿を見て他の奴らは何か思った。それは『この呂布っていう少女、吹雪と顔が似ている』ってこと

 

「曹操殿、こちらへ。」

 

「はっ!」

 

「・・・。」

 

陳宮に呼ばれ曹操は呂布の前に出るが呂布は何もしゃべらない

 

「えーっと、呂布殿は、此度の凶悪な賊の討伐、大儀であった!と仰せなのです!」

 

『笑う棺桶』は黄巾党以上に凶悪な賊集団で漢王朝でも手を焼いていたのだ。だが、暗殺という復讐を恐れ誰一人討伐する人員を派遣しなかったのだ。

 

「・・は。」

 

「・・・。」

 

「して、『笑う棺桶』の大将の首級は?と仰せなのです!」

 

「賊の首領は首級を奪われる前に息絶え、崖の下に落ち消えました。もはや生きておりますまい。」

 

「・・・。」

 

「ぐむぅ・・首級がないとは片手落ちだな、曹操殿。と仰せなのです。」

 

呂布は何も言っていないのに付き添いである陳宮が喋る

 

「申し訳ありません。」

 

「・・・。」

 

「今日は貴公の此度の功績を称え、西園八校尉が1人に任命するという陛下のお達しを伝えに来た。と仰せなのです!」

 

「は。謹んでお受けいたします・・。#」

 

華琳にすごい怒気が溢れてる。皆もそれに気づき萎縮している。空気が重すぎる。そしてみんなはこう思った。『誰かこの雰囲気をぶち壊してほっしい』っと。するとそこに・・・、

 

「おーい皆!宴会のご飯できたみたいだぞ!まずは手軽に肉まんだ!」

 

吹雪が何やら肉まんが入った籠を持って入場してきた。そして全員の視線がそこに向く

 

「ん?もしかして俺・・・お呼びでない?・・・・?て、あれ。お前は・・・・?」

 

吹雪がそう言うと、陳宮と目が合い、最初陳宮は驚きの顔を見せていたが急に顔をしかめて・・・

 

「ちんきゅーキーク!!!」

 

「なんのっ!」

 

吹雪に向かって飛び膝蹴りをするが、吹雪が避けて陳宮の首筋を掴みそのままぶら下がる

 

「ねね!?お前、なんでこんなところにいるんだ?」

 

「それはこっちのセリフですぞ!この馬鹿兄貴なのです!!!」

 

「そんなに怒るなよ。俺はここで客将をしてたんだよ。あっ!そうだ。ねね、肉まん食べるか俺の手作りだぞ?」

 

「わぁー!肉まん大好きなのです!ありがとうです!・・・・・て、そうじゃなくてです!!」

 

ゴツン!!  ゴツン!!

 

「あいたっ!」

 

「うにゃっ!」

 

急に二人の頭に拳骨が炸裂する。二人はしゃがみ頭を押さえ悶絶する。吹雪はその拳骨をした人物の方へ顔を向ける

 

「っ!?母さん!?」

 

そこには目に怒気を含んだ呂布こと恋の姿があった。

 

「二人とも・・・・・・正座」

 

「「は、はい」」

 

恋の怒気の前に二人は恋の前に正座する

 

「ねね・・・・飛び蹴りは危ないから・・・しないでって言ったはず・・・・」

 

「うっ・・・・・・ごめんなのです」

 

「吹雪・・・・・確かに・・・・恋は旅に出るのを許した・・・・・でも・・・・・手紙の一通ぐらいは書きなさい・・・・・心配する・・・・」

 

「うっ・・・・ごめん母さん」

 

恋はじっと吹雪を見ていたがはぁ~とため息をつき

 

「ねね・・・許してあげよう。吹雪も悪気はない・・・・」

 

「ですが、恋殿~。」

 

「久しぶりやな吹雪。しかしなぁ、恋の息子でも、仮にも都の使いの将にあないなまねしたらただでは済まんで?まあ、心配させたこと謝るんやったら許すで?」

 

「心配させて御免。それとこれここで作った天の国の酒です。どうですか?」

 

「まあ、こんなにいい酒くれるんやったら許したるさかい。ねねも吹雪のこと許したってや♪」

 

「ねねはお酒以下なのですか?」

 

少しいじけて言うねね。すると吹雪はねねのそばに来て

 

「ねね、機嫌直せよ。ほら、俺が作った肉まんだ。食べてみろよ」

 

ねねはおずおずと肉まんを手に取り食べ始めた。

 

「・・・・・」

 

「うまいだろ?」

 

「・・・美味しいのです。さすが兄上です」

 

良かった。口に合ったみたいだな。俺はそのままねねをそっと抱きしめて後頭部を撫でてあげた。

 

「ごめんな。心配かけて俺が悪かった。だから機嫌直してくれ。な?むくれてると可愛い顔が台無しだぞねね。」

 

「何やら丸め込まれてる気がするのですぞ兄上。」

 

「気のせい気のせい♪」

 

「ねね、許してあげよ?吹雪も反省してる。」

 

「・・・恋殿がそういうなら・・。」

 

「ありがとな。」

 

「それにしてもなんか俺場違いな雰囲気で来ちゃったかな?」

 

「いや、そんなことあらへんよ吹雪。こっちの用事は済んだから後は宴会でも好きにしたってや。それより吹雪お前なんでこんなとこにおんねん?確か旅に出てたはずやろ?」

 

「あ~それはかくかくしかじか・・・」

 

「なるほどな~」

 

「で、霞はなんでここに?」

 

「ああ、朝廷からの使いでな」

 

「使い?」

 

「ああ、ほんとは都の別の連中が来るはずやったんだけどな。なんでも風邪やとか、ぎっくり腰とかでみんな理由つけて辞退して残ってたんのは天水の役人だけやったちゅうことや」

 

「なるほど・・・・」

 

理由つけて断るほどそんなに面倒くさいことなのかな・・・・・都の使いって

 

「・・・・吹雪・・・これからどうする?恋と一緒に天水に帰る?」

 

「いや・・・・・・母さん。俺はもう少し旅を続けるよ」

 

「そう・・・・でも手紙はできれば書きなさい・・・」

 

「分かった。なるべく書くようにするよ」

 

「2人とも行くで~。吹雪それじゃ元気でな」

 

と、霞は葡萄酒の入った酒瓶をわんさか腕に抱いて手を振っていた。あれ?俺渡したの一本だぞ。変だな?

 

「ああ、霞さんも」

 

「兄う・・・・吹雪殿、ではまたなのです!」

 

「またな、ねね!」

 

3人は帰って行った。そしてしばらくの間、沈黙が続いたのだがそれを破るように皆が笑い始めた。なんか今のやり取りがツボに入ったらしい

 

「隊長!ようわからんかったけどおもろかったで♪」

 

「笑い堪えるの必死だったの~!」

 

と、真桜や沙和を腹を抱えて笑い凪は必死に笑いをこらえている。

 

「仮にも代理とはいえ都の将だぞ吹雪?」

 

「いやよくぞあの重苦しい雰囲気壊してくれた」

 

「ほんとよ!くくくっ!」

 

「ふふ・・・吹雪様ったら・・」

 

「本当に、あの呂布を相手にあんなまねするなんて・・・・・そう言えばあなた呂布のことを『母さん』って呼んでいたけど、まさか・・・・」

 

「ああ・・・文字通りの意味だよ。あの人は俺の母親で俺は呂布の実の息子だよ」

 

「なんと!」

 

「嘘っ!あなたが!?」

 

「なるほど・・・・通りで顔が似ていたわけだな」

 

秋蘭、桂花がおどろき、春蘭は納得する。

 

「隊長が強い理由も少しわかりました」

 

「凪、大変やな~」

 

「ん?なんでだ真桜」

 

「だって、隊長と付き合ったら、義理の母やで~♪」

 

「そうなの姑さんなの~」

 

「な、何を言ってるんだ二人とも!わ、私は別に・・・///」

 

真桜、沙和にからかわれ凪は顔を真っ赤にする

 

「で、吹雪。あなたの母はどのくらいの強さなの?」

 

「そうだな・・・とりあえず春蘭と秋蘭、それに季衣と凪の4人がかりでなんとかってところかな。勝利したとしてもその時には2人はやられてるかもしれない。」

 

言われた4人は何も反発しない。自分でも気づいているのだろう。

 

「そう、あなたは勝てるの?」

 

「いや、まだ母さんに勝ったことはないよ。せめて相打ちくらいなら・・・・」

 

俺は何度も母さんと模擬戦をやってるが一度も勝ったことがない。それも母さんは手加減をしてやってるのだからもし、本気で戦ったらどうなるかわからない。本当に相打ち覚悟で戦わないとやばいかもしれないからな・・・・

 

「そう・・・・・・まあいいわ。さっきまで気分は最悪だったけど、今はとても気分が少しいいわ。皆で宴会でもしましょうか、明日は二日酔いで遅れてきても目をつぶるわ。思い切り羽目を外しなさい。」

 

「やった~!兄ちゃん、肉まん、まだある?」

 

「心配するな。今、侍女の人に蒸してもらってるからまだまだあるぞ。それに今日は天の国の料理も沢山あるからな!」

 

「やった~!」

 

「後・・・吹雪、志乃、あなたたちの送別も兼ねているからね。」

 

「えっ・・。」

 

「『笑う棺桶』の首領はもういない。残存する賊も諸候に討伐されるでしょう。確かあなたは奴らを壊滅させるまで客将をすると言っていたわね。つまり、もう行くのでしょう?」

 

「・・・ああ。」

 

いつまでもここにいるわけにはいかないからな

 

「兄ちゃん、行っちゃうの?」

 

「そうだ吹雪。ここにいろ!我々と共に華琳様を支えようじゃないか!」

 

「季衣、春蘭、それに皆・・・・皆に華琳がいるように俺にも帰りを待ってくれている仲間がいる。だから俺は行かなくちゃならない。それに、まだ旅の途中だしな」

 

「それで吹雪、出発はいつにするの?」

 

「とりあえず志乃と相談した結果、明日にでもここを発つ予定だ。」

 

「そんなに早く・・・・華琳様、よろしいのですか?」

 

「もともとそういう約束なのだから、それを反故にしては曹孟徳の名に傷をつけることになるわ。」

 

「・・そういうことでしたら。」

 

不満そうだな。たったひと月半の付き合いだがこうまで言われると嬉しいような・・・何と言うか。

 

「ま、何にせよ出発は明日だ!今日は思いっきり騒ごうぜ!」

 

「そうね、めでたい日でもあるのだから。」

 

「そうですね。」

 

「賛成やー!」

 

「賛成なの~!」

 

「それじゃ準備するか。凪、真桜、沙和、手伝ってくれ。」

 

「「「はい(なの!)」」」

 

その後俺たちは宴会でどんちゃん騒ぎをした。春蘭は酒の飲みすぎで酔いつぶれそれを見てる秋蘭は『姉者はかわいいなぁ』とか言ってたし、沙和と真桜は凪特性の激辛料理を食べて口から火を噴く。季衣は天の国の料理と聞いて嬉しそうに食べて桂花と志乃はそこで最後の象棋をしていた。

俺はみんなが楽しそうに宴会をしているのを部屋の隅っこの席に座って見ていた。

 

 

「どう、吹雪。楽しんでいる?」

 

「華琳か・・・・ああ、楽しんでるよ。そっちは?」

 

「ええ、それなりに・・・・・・あなたと一緒にいられるのは今夜と朝までね・・・・・行くの?」

 

「ああ・・・」

 

「・・・・・・ねえ、吹雪・・・もし・・もしあなたが私と同じ道を歩んでくれるなら。私の副官それかそれと同等の地位をあなたにあげて私の軍に迎えるわ」

 

つまり華琳の側近ナンバー2となるほどのくらいだ。だが・・・

 

「ははは・・・・俺が副官か・・・・よせよせ、そんな階級俺には似合わないだろ?」

 

「ふふ・・・・確かにそうね・・・・あなたには似合わなそうね・・・」

 

この時、華琳にはわかっていた。吹雪が自分と共に歩むことができないと・・・

 

「さて、そう言う話は終わりにして、宴会を楽しもうぜ華琳。」

 

「ええ、そうね。少し外に出ましょうか吹雪」

 

「そうだな」

 

そう言い二人はみんなが宴会に夢中なのをいいことに外に出た。外には雲一つもないただ月の光が優しく一面を明るく照らしているだけだった。

 

「奇麗な月ね・・・」

 

「ああ…そうだな。本当に奇麗だ。まるで天国みたいだな」

 

「そうね・・・・」

 

すると華琳が俺を抱きしめた。

 

「華琳?」

 

「・・今だけよ、今だけこうさせなさい。」

 

「・・分かった。」

 

そっと華琳の手に自分の手を重ねた。

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

時間にして5分くらいだろうか。スッと華琳が俺から離れた。

 

「すまなかったわね。いきなり抱き着いて・・・」

 

「いや、別にいいよ。そうだ華琳」

 

「ん?何かしら吹雪」

 

「一緒に踊ってくれないか?天の国の踊りだけど・・・」

 

俺は華林に手を差し伸べる

 

「踊る?どうやって?」

 

「俺に任せてくれ、ちゃんと指導する」

 

そう言い俺は華琳の手を取り西洋式の踊りを始める。華琳は最初テンポとか遅れたりしたが、次第にあってきた。

 

「初めてなのに上手いな華琳・・・・」

 

「ふふ・・・・当然よ。私を誰だと思ってるの?」

 

「曹孟徳、大陸の覇王だ」

 

「ふふっそれでいいわ吹雪」

 

華林は吹雪の胸に顔をうずめる

 

「(このひと時の時間がたとえ夢であってもいい・・・・だからお願い。このまま覚めないで・・・)」

 

そう思う華琳であった。

二人はダンスを続ける。月の光がまるでスポットライトのごとく二人を照らし虫の鳴き声がまるでオーケストラの如く鳴り響き、まるでワルツのような音色を城中の庭になり響かせているのだった・・・・

 

 

 

 

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