真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

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川内、吹雪と仲間になる

俺たちは川内に会うため山道を進んでいく。すると前方に、見上げる程に高い杉の木が見えた。

 

「え~っと、これが一本杉か?」

 

「確か、あの庄屋さんが言うには左に行ってそしてまっすぐ進むでしたっけ?」

 

「ということはあっちだな」

 

そう言い俺たちは左の道を行こうとしたが、すると突然、木の上から石が飛来した。木の上で子供たちが石を投げているからだ。二人は咄嗟に反応し、吹雪は刀で、アンチョビは志乃をかばいながら剣で防いだ。

 

「うわっ!危な!」

 

「こらっ!危ないだろ!怪我したらどうするんだ!」

 

「やめなさい!」

 

「こっからは川内軍団の縄張りだ!役人の手先はとっとと帰れ!!」

 

「ちょっ!待て!話を聞け!!」

 

そう叫びながら、男の子は更に石を投げつける。無造作にこちらへと投げつけられ、吹雪たちはそれを防いでいく。吹雪たちは説得しようとするが

 

「この!この!絶対、おやびんを捕まえさせたりしないからな!!」

 

聞く耳を持たず、男の子は構わずに投げ続ける。このままでは、埒が明かない。

 

「えぇい!いい加減にしなさい!!」

 

アンチョビさんはとうとうきれて男の子のいる木に向かっていく。体勢を低くしながらグラディウスを振りぬき大木は切り落とされた。

 

「う、うわぁ!?」

「危ない!」

 

刀を腰にしまい、吹雪は落ちてきた男の子を両手で受け止めた。少年に怪我は見当たらず、吹雪は安堵する。

 

「ふぃ~、何とか間に合ったようだな」

 

「うぅ、助かっ――――」

 

「それはどうかな~?」

 

声のする方を見る。するとそこには不動明王のごとく怒り顔アンチョビさんがいた。

 

「さて・・・・こういう、いたずらっ子にはお仕置きをしないとな」

 

アンチョビさんは指を鳴らしながらジワリと少年に近づき・・・・

 

ふん!」

 

「ギャアアア~~!!」

 

男の子に制裁を下し、悲鳴が森一帯に響き渡った。お仕置きをした後、3人は先を進んでいく。

 

「志乃・・・・アンチョビさんって怖いんだな」

 

「はい・・・・・私と妹弟子の2人がまだ水鏡先生のいた頃なんですが、誤ってお姉ちゃんのお気に入りのお皿を割ってしまったんですけど、その時のお姉ちゃん・・・・・」

 

そう言うと志乃は両肩を抱きぶるぶると震えた。よほど怖かったんだろう。すると草むらから、またまた手下らしき子供たちが出てきた。

 

「やぁーい!やぁーい!ちびっ子!」

 

「クルクル頭~」

 

「女顔~」

 

(女顔って・・・・俺の顔は確かに母さん似だけど・・・・こういわれるとなんか傷つくな・・・・)

 

俺は別に顔が母さんに似ているのは別に嫌じゃないむしろ母親似なのは俺の誇りでもある。けどこうして正面から言われると、精神的に刺さる物がある

 

「ブス~♪」

 

「クルクル年増~♪」

 

「なっ!誰が年増だ!」

 

アンチョビは怒って子供たちに近づくがあることに気がつき、足を止めた。

そう、彼女の目の前。分かりやすそうに、大量の落ち葉が敷かれていたのだ。完全に落とし穴だと思うくらいに。

 

「ふふっ・・・落とし穴か。ローマ帝国軍百人隊長である私も舐められたものだな。こんな罠にかかる私ではないぞ!」

 

そう言いアンチョビさんは葉が敷き詰められているところを飛び越える

 

「あ、お姉ちゃん。それは・・・・」

 

「ん?て、うわぁ!」

 

志乃がアンチョビに話しかけアンチョビが振り返ろうとした瞬間。アンチョビは」穴に落ちた。

そう実は、葉が置かれた場所はダミー。その後ろに本当の落とし穴を仕掛けていたのだ。

 

「やぁーい!ひかかった!」

 

「おしっこかけちゃえー!」

 

「こらぁー#」

 

アンチョビはものすごい勢いで穴から飛び上がり、子供たち全員にお仕置きをした。そのお仕置きとは母が子供を叱るときによくするお尻ぺんぺんだった。

それを見て志乃はぶるぶると震える。お仕置きされた子供たちは全員、涙目で怯えている

 

「親びんはお前達なんかに負けないからな」

 

そう言う子供たち

 

「そうか・・・・だけどなお前たちはやりすぎた、今の庄屋は本気だ。もし今この場にいたのが俺たち3人ではなく役人の人間だったら、お前たちは確実に殺されてたぞ。」

 

「なっ!嘘だ!そんなの出鱈目だ!」

 

「嘘じゃない、現に庄屋は役人どもに川内の捕獲を依頼した。もしこれをお前たちが邪魔でもしたら、役人どもはどうすると思う?」

 

「分からないよ」

 

「...あぁいう役人は自分の手柄や命のためならおそらく平気で子供を利用し殺す。もしここでお前たちが役人に捕まればお前たちを人質に川内が自首するよう強要する。そして用のなくなったお前たちの首は......バッサリだ。言い訳は後で何とでもなる。川内との戦闘に巻き込まれたとでも、逃げようとしたお前たちを川内が後ろから切ったとでも言えばいい。」

 

恐らく、あの役人たちはそうするだろう。それにあの役人隊長の目、なんか信用できない。何か企んでるという感じがした。

 

「そ、そんな事が許されるのかよ!?」

 

「許す許さないの問題じゃない、今の時代は弱い物が虐げられる世界なんだ。力のない物は蹴落とされる。」

 

「そんな......」

 

「だから俺たちが来たんだ。俺たちはお前の親分を絶対に悪いようにはしない。約束する、だからお前たちは今すぐ家に帰っくれないかな。」

 

男の子の肩を掴んで膝を地面に着け、視線を合わせ、言い聞かせる

 

「...うん、わかった。」

 

「...わかってくれたか。」

 

吹雪は何とか子供たちを説得し子供たちは村に帰った。

 

「それっじゃ、二人とも行きますか」

 

「そうだな」

 

「そうね」

 

俺たちも先に進んだ

 

「志乃、さっき俺が言ったことなんだが・・・」

 

「おそらく吹雪様の読み通りだと思います。」

 

「私もだ。出発する前にあの役人たちの顔を見たが、信用できない。あれは仕事じゃなくて、褒美目当てで来てるな」

 

「ああ・・・・村に帰った子供たち無事だといいんだが・・・・・」

 

志乃もアンチョビさんも俺と同じ考えをしていた。しばらく歩いてると山のふもとに立つ小屋の前にやってきた。

その小屋の前に、長い白マフラーを首に巻き長い長い槍を持った構え立っていた。

 

「お前が川内軍団の棟梁か!名はなんというんだ!」

 

と、吹雪は少女に向かって叫ぶ

 

「私の名前は張済!泣く子も黙る川内軍団の棟梁だ!」

 

槍を振り回しながら名乗りを上げる張済。

 

「すまぬが君の仲間は村に返したぞ」

 

俺がそう言うと張済はそれを聞いて崖を飛び降りてくる

 

「あんたたち!あの子たちに何をした!!」

 

「安心しろ。怪我はさせていない。ただアンチョビさんがお仕置きとかはしたけどな」

 

「はぁ~あの子たちなんか失礼なこと言わなかった?してたら謝るよ」

 

「いやただの子供の戯言しか言わなかったよ」

 

そう言うアンチョビさん

 

「そう・・・で、あなたたちここに来た目的は?返答次第ではただじゃおかないよ!」

 

そう言い張済は俺たちに槍を向けて威嚇する

 

「お前が前にやった悪戯で庄屋が怒ってな。それでお前が俺たちと一緒に来て謝罪すれば許すって、もし、しなければ役人派遣してお前を退治するってよ。」

 

「そうか・・・・庄屋はそんなに怒っていたのか。結構受けたと思ったんだけどな~」

 

少女は頭を掻きながらそう言う

 

「で、どうする。一緒に来て謝るか?」

 

「本来1人ならそうするが、仮にも私は川内軍団の棟梁だ。そう、やすやす頭は下げられなね」

 

「じゃあ、どうすれば俺たちと来る?」

 

俺は彼女にそう言う

 

「そうだな。お前、私と戦え!お前も武人なんだろ?武人なら武器で語れ、それで私に勝ったら謝罪でも何でもするよ」

 

「分かった。志乃これを預かててくれ」

 

「分かりました。吹雪様お気を付けて」

 

「あまり無理すんなよ吹雪」

 

吹雪は志乃に九九式小銃を預け、菊一文字を抜き、張済は槍を構えそして向かってきた

 

「おりゃぁ―!!」

 

「うりゃぁ―!!」

 

刀と槍がぶつかり合う、長さは張済の槍の方が長いしかし俺はその攻撃を薙ぎ払い間合いに入ろうとする。しかし張済もそうはさせまいと槍を振り回す。まるで宝蔵院流みたいだな・・・・

 

「お前やるな!こうでなくちゃ面白くない!」

 

そう言い彼女はさらに攻撃を続ける俺はいったん彼女と距離を取り刀を鞘に戻し、構えるそう、抜刀術の構えだ

 

「なんだよ勝負を捨てるのか?」

 

「いや、捨ててないさ。なんなら来てみな」

 

「っ!?うらあぁー!!」

 

張済はそのまま槍で吹雪を貫こうとするが、吹雪は鞘から刀を抜きさり彼女の槍を弾き飛ばした。

 

「なっ!なに!?」

 

突然のことに張済は驚く

 

「どうする?まだやるか?」

 

俺は刀を彼女に向ける

 

「はぁ~私の負けよ。約束どうりあなたの言うとうりにするわ。庄屋のおっさんに謝罪するよ」

 

彼女は両手で手を上げていった。だがその顔は悔しさっというよりなんか嬉しそうな顔をしていた。

 

「ちょっと待ちな!」

 

藪の方から声が聞こえ、みんなその方向を見る、そこには・・・

 

「貴様は庄屋に呼び出された役人・・・」

 

そう、庄屋の横で部下に命令を出していた役人が立っていた。

 

「これはどういう事でしょうか?この件に関しては私たち一任にされたはずです。」

 

「なぜおまえたち役人がいるんだ!」

 

志乃やアンチョビさんがそう言う

 

「ふん、知れたことよ。俺たちはそのバラガキを捕まえりゃあ庄屋から金が貰えたのによぉ、噂の御使いが現れた所為でこっちにはびた一文も金がこねぇ、そこで考えたのさ。どうせなら、アンタらを倒してそいつも捕まえて、俺は金も名誉も手に入れてやるってな!ギャハハハハ!」

 

ふざけた奴らだ・・・・・

 

「ふざけるな!この優男ならともかく誰がお前のような奴に捕まるもんですか!」

 

「おっと、そういう事はこれを見てから言いな。」

 

すると後ろの茂みから男が3人出てきた。そいつらは剣で先ほどの子供たちを脅しながらこちらを見て笑っていた

 

「みんな!」

 

「貴様!これはどういう事だ!?」

 

「な~に、簡単な話よ。俺たちはアンタたちが町を出てしばらくしてから 後を追っかけたのさ。そしたら山道を歩いて下山してくるこいつらを見つけたのさ。後は剣で適当におどしてここまで連れてきたのさ。ギャハハハハ!」

 

「貴様!何処まで腐ってるんだ!恥を知れ!!」

 

「おっとお前も動くな外人さんよ、ガキどもがどうなっても良いのか?」

 

「クッ!?」

 

「ガキ殺されたくなければ、武器を捨てな!早く!!」

 

「くそっ!」

 

俺と張済とアンチョビは武器を捨てる

 

「お前の言う通りにした。だから子供たちを離せ!」

 

「悪いな張済。こいつらはいろいろ知りすぎてる。よって貴様らには死んでもらうぜもちろんそのガキもな」

 

「なっ!話が違うぞ!」

 

「貴様!どれだけ卑劣なんだ!」

 

「うるせぇ!おいてめえら先にガキを・・・・」

 

パアァーン

 

役人の隊長が部下に指示を出そうとした瞬間銃声が鳴り響き役人隊長は頭から血を流し倒れる

銃声が鳴ったところを見るとそこには南部拳銃を片手に持った吹雪の姿があった。

 

「な、何んだあれは!?」

 

見たこともない武器に子供たちを人質にしている役人二人が怯みスキができた。

 

「隙あり!!」

 

「うりゃ!!」

 

「ギャッ!」

 

「ぐえぇ!」

 

バタン

 

バタン

 

「みんな今のうちに!」

 

「「は、は~い!!」」

 

役人が怯んでいる隙にアンチョビと張済は役人をやっつけ、志乃は子供たちを保護した。

 

「こ、このよくも邪魔しやがったな!」

 

3人のうち2人は逃げ、最後の一人は剣を持ち吹雪に向かおうとする。

 

「やめとけ・・・・おとなしく退くなら、命は助ける、退かねば・・・・殺す!」ギロッ

 

「ひっ!タ、助けてくれ~」

 

吹雪にありったけ殺気をぶつけられ役人は剣を捨てて逃げた。

 

「ふ~終わったか・・・」

 

吹雪は深呼吸して手に持っていた拳銃をしまう

 

「あ、あの・・・・」

 

「ん?なんだ張済」

 

「ありがとな。この子たち助けてくれて」

 

「「「「「ありがとうございます」」」」

 

張済とその仲間たちが礼を言う

 

「いや、礼を言われるほどじゃないよ。ただ単に子供を盾にするあいつらが気に入らなかっただけさ」

 

「そうか…でも礼を言わせてくれ。本当にありがとう。そうだ今日はもう遅いから私の小屋に泊まってくれ!お前たちも今日は泊まれ、もう遅いしな」

 

「「はい、親びん」」

 

そう言えば空を見ると、もう日が暮れそうだ。今から村に行っても夜になるし子供たちだけどもさっき見たいなことになりかねない

 

「分かった。じゃあ泊まるか。志乃もアンチョビさんもいいよな」

 

「私は別に問題ないぞ」

 

「私も問題ありません」

 

こうして俺たちは、張済の小屋に泊まることになった。そして夜小屋の中は賑やかとなった。アンチョビさんは自慢の腕で料理を作りその料理にみんなが喜び、志乃は子供たちの遊び相手となったり本当ににぎやかだった。

そして真夜中みんなが寝ているころ俺は外に出て月を眺めていた。

すると・・・

 

「眠れないのか?」

 

すると張済がやってきた。

 

「いや、ただ月を見てただけだよ」

 

「そうか・・・・そう言えば名前聞いてなかったな。何て名前なんだ?」

 

「吹雪。沖田吹雪だよ張済」

 

「そうか。吹雪か・・・・・・・・って!沖田吹雪!あの!枯草の御使いで池田屋事件で有名な!」

 

「ああ、その沖田吹雪だよ」

 

「スゲーどおりで強ぇーわけだ!」

 

彼女が興奮して言う

 

「張済・・・・・」

 

「川内って呼んでくれ。仲間を救ってくれた礼だ。だからこの真名預かってくれ」

 

「分かった。川内、で訊きたいことがあるんだ」

 

「ん?なんだ」

 

「お前はなぜ武器を振るんだ?」

 

「・・・・・・わからね。私はただのバラガキ。憂さ晴らしや気に入らないやつに牙をむいて暴れてただけだからな」

 

「そうか・・・・じゃあ、その腕、守るために使ってみたいとは思わないか?さっき仲間の子供たちを助けたように」

 

「・・・・守るためか・・・そんなの考えもしなかったな」

 

「じゃあ、俺たちと一緒に旅に出ないか?」

 

「お前と一緒にか?」

 

「ああ、俺は今自分の見聞を広め少しでも世の中を変えるため旅をしている。だから一緒に行かないか?」

 

「守るために力をふるうっか・・・・いいな面白そうだぜ!よし!私も一緒に旅に行くわ!!」

 

「ありがとうな川内」

 

「おう!よろしくね吹雪!!」

 

こうして張済こと川内が旅の仲間に加わることになったのだ。

そして翌日、約束通り吹雪達は、川内と子供たちを連れ、一緒に村のみんなに謝りに行った。そして庄屋にはきちんと許してもらい、村のみんなに旅の出発を見送ってもらった。もちろん子供たちにも

 

「おぉ~い!オヤビ~~ン!」

 

「武者修行して強くなってね~!」

 

「なってね~!」

 

「みんな、オヤビンが帰ってくるの待ってるから~~!」

 

「オヤビ~~ン!」

 

大きく手を振り、大声で張済を見送ってくれていた。中には、泣き出す子供もいる

 

「みんな~また会おうぜ!!元気でやれよー」

 

川内は槍を肩に掲げ大きく手を振りながら子供たちに別れを言う

 

「さて、行くか、みんな」

 

「そうだな」

 

「はい」

 

こうして俺たちは旅を続けるのだった。因みに今回は定員オーバーの為、陸王は使わず、歩いて旅をするのだった。

 

 




はい、川内の本名は張済です。イメージは艦これの川内と、性格や武器とかは新選組十番隊組長の原田左之助をイメージして書きました。
今回の話はいろいろアレンジを加えてますがアニメ版恋姫無双の第1話をもとに書きました。
次回もお楽しみにしてください。ではごきげんよう

この小説は面白いか?またはリメイクの必要ありか?

  • 面白い・リメイクする必要はなし
  • 面白くない・リメイクの必要あり
  • 面白いがリメイクの必要あり
  • 面白くないがリメイクの必要もなし
  • どちらでもいい

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