真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~ 作:疾風海軍陸戦隊
203高地の戦いは1日で討伐軍の勝利に終わった。しかし被害はこちらも多かった。
あの戦いから数時間後の真夜中。
俺はあの戦いが終わった後、203高地に赴いたそこには、多くの死体が雑多に転がり、死体を食しに来た烏たちが映る。そこで留まりつづけているかのように錯覚する血の匂い、怪しく映る死体の影、死体の最期の瞬間の苦痛の表情。
それは人同士が争い、勝敗を決した結果の残り。
考えと考えがくい違い、互いに剣を取り合うことで生じる現象。王が選び、軍師が策を練り、将が指揮して、兵が動く。だからこそ、上に立つ者俺たちが目を逸らしてはならない残酷な現実。俺はその全てを焼き付けるように全体を見ていた。
すると・・・吹雪は九九式小銃に7・7ミリ弾を1発装填し空に向けた
ダアァーン!
聞いたことのない発砲音にカラスたちは驚き、ギャーギャーと声をあげながら空の彼方へと飛んで行った。その音でみんな起きてしまうかと思ったがみんなさっきの戦闘のせいか疲れ切ってみんな爆睡していた。
しかし・・・・
「吹雪様・・・・ここにいたのですか」
後ろを振り返るとそこには志乃がいた。
「志乃。何でここに?寝ていたんじゃないのか?」
「いえ、目が覚めたら、吹雪様の姿が見当たらなくて、もしかしたらと思いここに来てみたんです。何を見ていたんですか?」
志乃は吹雪が発砲したことは聞かなかった。
「・・・この光景を目に焼き付けようと思ってね。こんな悲劇を繰り返さないためにな。」
「吹雪様・・・」
俺は帽子を外し、死んだ彼らに手を合わせた。それに合わせて志乃も手を合わせた。そしてしばらく黙とうをささげると吹雪はシャベルを取り出した。すると志乃も
「吹雪様。私も戦没者の弔い手伝わしていただきます」
「いや、俺一人でも大丈夫だよ。志乃はゆっくり休んでくれ」
「いえ、吹雪様が働くのに軍師である私が動かないわけにはいきません。」
「いや、けど力仕事になるぞなんたって人を運ぶし・・・・」
「吹雪様と一緒なら大丈夫ですそれに・・・・」
志乃がそう言いかけた時だった。
「・・・・・・吹雪~お前はやっぱり恋の息子やな~そうやろ華雄」
「ああ、お前は優しすぎるな・・・」
「華雄!霞!?」
後ろから声が聞こえ志乃と吹雪は後ろを振り返るとそこにはスコップを片手に持った霞と華雄がいた。
「吹雪。こいつらを弔うつもりだったんだろ?」
「手伝うで・・・・まっ、手伝うんのはうちらだけじゃないけどな」
「え?・・・・」
俺が首をかしげると、そこには斗志や桜花以下吹雪隊の連中がいた。
「敬礼!!」
斗志がそう叫ぶと吹雪隊一同は敬礼をした。
「お前ら・・・・」
「隊長。私たちも手伝わしてください」
「そうっす!」
「そうだぜ吹雪」
まったくこいつらは・・・・・・吹雪は帽子を深くかぶり
「お前ら、休まなくていいのか?明日もまた戦いだぞ」
「それは隊長も同じだろ」
「そうだぜ。お前が働いているのにのんきに寝ていられるかよ」
桜花や、川内がそういうと、吹雪隊の兵たちも笑いながらそう言う。
「まったく・・・・お前ら本当の馬鹿だぜ」
「それはあなたも同じでしょ?吹雪」
「!?っ華琳。それに雪蓮!」
そこには華琳と雪蓮とその部隊の人がいた。
「華琳、雪蓮・・・・何でここに」
「あなたのことだから、彼らを弔うって考えてね。」
「それで私たちもそれを手伝おうっと思ってね」
「・・・・・ありがとう」
こうして華琳や雪蓮たちの手伝いにより、203高地で戦死した遺体は荷車に運び馬にひかせながら埋葬地に向かう。この作業は1日もかかり翌日、彼らの埋葬について会議が行われた
埋葬方法は華琳たちと話し合った結果、火葬することになった。なぜなら、今の時期は夏。死体が腐りやすく放っておけば伝染病のもとになったり、次の賊・・・戦場荒らしが現れる可能性があった。またここいら辺の土地は質が悪く土葬に向いていないよってこの時代の主教である儒教の道に反する行為だが華琳や雪蓮たちにこのことを詳しく話すと快く承諾してくれた。劉備と関羽はいやそうな顔をしていたが、
そして、火葬が行われた。大きな穴を掘り、遺体を入れるそこには敵も味方も関係ない。そこにあるのはただの遺体。そしてすべての遺体を穴に入れ終わったら、火を入れて火葬をした。火葬を手伝ってくれた人たちは解散し後は全員が自主参加する形になってしまったが吹雪隊の隊士全員、と華琳の部隊(かつて俺が客将していた時の部下)と蓮華たちが整列していいた。
そして吹雪が先頭に立ち・・・・・・・
「この地で戦死した戦没者に哀悼の意を表する!」
「捧げー!剣!!」
俺のそばにいた斗志がそう叫び吹雪隊の隊士が剣を下げ、隊士の一人が哀悼のラッパを鳴らす。そして
「黙砲、撃ち方よーい!撃てぇ!!」
夕張がそう叫ぶと後ろの方角で・・・・・・
ドオォーン! ドオォーン!! ドオォーン!!
いきなりの轟音が響いた。その音に最初は華琳たちは驚いたが、「吹雪のやることだからと」あまり気にしなかった。実はその音の正体は吹雪が夕張に頼んで作った。『急造木製迫撃砲』である。
『急造木製迫撃砲』とは日露戦争の時に発明された日本軍が使用した迫撃砲である。
しかし作ったのはよかったが、今回の戦いでは、ほとんど使う機会がなく。黙砲として使われることになった。これがよかったのか悪かったのかはわからない。
余談だが、そのあと後華琳はその迫撃砲1基手に入れを真桜に頼んでコピー生産するのはまた別の話・・・・
吹雪はは燃え続ける炎を見る。本来ならば野晒しとなり、疫病を運ぶ恐れのある死体が灰となって天を舞い、大地へと還って行く。吹雪はそれをジーと見つめる。そしてそのあとはすっかり燃えて灰になってしまった死体の欠片を穴へと入れていく。そこへ土をかぶせる
「黙祷っ!!」
吹雪がそう叫び吹雪は戦死した彼らに頭を下げる。後ろにいる吹雪の部下は両手を合わせて合掌する。
死体の処理は完全に終わった。そして各軍はそれぞれの天幕へと戻るのだった。
そして203高地の頂上の廃城のすぐそばに小さな墓が置かれありその下に花が添えられていた。
そして、その墓石には『名もなき勇士たち、戦没者ここに眠る』っと日本語で書かれていたのだった。
その後吹雪は自分の天幕に戻ろうとしたが・・・・・
「吹雪さん」
声をかけられ後ろを振り返るそこには劉備がいた。
「劉備さん。いったい何でしょうか?」
「なんで、仲間を賊と一緒に埋葬したんですか?火葬についてはご主人様から聞いています。ですが賊と一緒に埋葬する意味が分かりません!」
彼女は怒りながら俺にそう問い詰める
「それに、沖田さん。何で捕虜にした黄巾軍の兵を手厚く扱うんなんて、彼らは幾ら民とは言え国に反逆を起こしたんですよ!」
そう、吹雪は捕虜にした黄巾軍を手厚く扱っていた。重症者には衛生兵に命じ治療に当たらせ、温かい食事などをしてまるで客を扱うように待遇して、捕虜となった黄巾軍の兵も次第に吹雪隊と打ち解けあえともに酒を飲む仲になっていた。
劉備の言い分に吹雪は軽い溜息をする
「劉備さん。あなたの理想は確か『皆が笑って暮らせる国にしたい』でしたよね。なら、あの人たちも『笑って暮らせる人』に入らないんですか?反逆したからその価値はないっと?大した理想ですね」
「でも!」
「それにこうは考えたことはないか?その奴らの中には仲間のため、または家族のため、やむを得ず賊に成り下がるしかしかなかったものがいるとは?」
「!・・そんなこと・・・」
「無いと何で言いきれるんですか?もちろんそうだとしても許されることじゃない。しかし仲間や家族のためにどんなこともやる・・・、これは完全なる悪なのか?」
「それは・・。」
「それにだ、あいつらだって産まれた時から賊だったわけではない。奴らは劉備さんが言う官匪の横行、太守の暴政、こういったもの達のせいでそうならざるを得なかった。見方を変えれば奴らも被害者だ。違うか劉備さん」
「それは・・・・・」
「この前も言いましたが、今のあなたではその理想を現実にするのは難しいですよ。劉備さんもっとよく考えてこの国をどうするか考えてください。俺はこれでも劉備さんとあなたのご主人の事は少し期待しているのだから、頑張ってくれよ。では俺はこれで・・・」
そういい、吹雪はその場を離れた
「私は・・・・・」
劉備はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
一方、白き御使いでもある一刀は・・・・
「趙雲さん」
「ん?なんですかな。北郷殿?」
一人になっている星に声をかけるが、当の星は不機嫌そうに一刀を見る。
「あの・・・できればでいいんだけど。俺たちの軍に入らないか?」
いきなりの勧誘に星は一刀を怪しむように目を細める。
「なぜですかな?せっかくのお誘い申し訳ないが私は今のままで満足しているんです」
星はそういうが一刀は引き下がらない。
「だけど、俺の歴史では趙雲さんは劉・・・・」
一刀がそう言いかけた時
「自惚れるな!!北郷一刀!!」
そういい星は殺気を出し、一刀の首筋に槍を向ける。その眼はギラギラと光り一刀を威圧する。
「貴様や吹雪殿の国の歴史で私はどうなっているのか知らないが私は私だ!!私はたとえ吹雪殿と出会わなくとも貴様に出会わくとも私はいずれ誰かとともにその道を歩くそれだけだ。もし次にそのようなことを口にしたら貴様の首を撥ねる!」
星は以前に吹雪が未来人であることを吹雪本人に聞いた。しかし吹雪は星の運命を言わなかった。なぜなら吹雪は自分がこの世界に来ている時点で自分の持っている知識は役に立たないだろうと判断したからだ。星自身もそのことを理解して吹雪に自分の天命について聞かなかった。それを一刀が軽々しく言おうとしたことに星は激怒したのだ。
「一刀殿。次はないと思ってくだされ。では・・・」
そういい星は一刀にそう言うと、自分の天幕へと戻り、一刀はただあっけにとられてその場に固まっていたのだった
本日はここまでです。さて次回は真紅の旗がひらめきます
次回もお楽しみに
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