真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

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真紅の呂旗

俺は劉備さんと別れ、自分の天幕へと戻るすると向こうから何か人影が見える。その人影の正体は・・・・

 

「関羽さん?」

 

「・・・・・・」

 

俺の行く先にいる人影の正体は関羽だった。しかし関羽の顔は不機嫌そのものだった。

 

「沖田殿。いくら官軍やご主人様と同じ天の御使いでもあのような言い方は許しません!!」

 

「・・・・・・関羽さん。なら聞きますけどあなたは俺の言ったことを1つでも否定出来るのか?」

 

「・・・。」

 

何も言わない。いや言えないのだ。吹雪の言っていることは間違ってはいない。ただそれを否定も肯定を選んでもどっちもも関羽の信念を汚すことになる。だから彼女は何も言えないのだ。

 

「それにな、俺の言ったことはこのまま戦い続ければいずれ気付く。ただその時では遅い。それはあなたが一番知っているはずだ。」

 

「しかし!」

 

「それに関羽さん。あなたがここに来たのは俺と話をしに来たんじゃありませんよね」

 

「!?っ」

 

そう、関羽は最初吹雪に斬りかかろうと思っていたのである。なぜなら死者を弔うときに仲間を賊と一緒に焼き一緒の墓へと入れたことである。火葬については北郷から聞いていたため何とか我慢することができた。しかし、賊と一緒に仲間を埋葬したことに彼女は我慢できず。自分の武器である青龍偃月刀で吹雪を斬る。そのつもりだった。そう、そのはずだったが冷静に考えそれは彼女の武の道に反する行為。そこで関羽はギリギリのところで踏みとどまったのだ。

 

「・・・・・分かっていたのですか?」

 

「ああ、抑え込んでいるようだが、微かに殺気が漏れている。・・・・・・しかし、劉備さんの理想は悪くない。だが今のままではダメなんだよ。あのままだと確実に彼女は現実と理想という壁に挟まれ苦しむことになってしまう」

 

「では、どうしろというんですか!」

 

「それこそ。君たちや君のご主人が支えなきゃいけないんだ。俺が言えるのはただそれだけだよ。」

 

そういい俺は天幕へと戻った。近々北郷の奴と話さなきゃいけないな。天幕について椅子に座って報告書をまとめていると・・・

 

「・・・・・・雪風。いるんだろ?」

 

俺がそういうといつの間にか張三姉妹について調べに行っていたはずの雪風が現れたのだ。

 

「はっ・・・・・ここにおります」

 

「さっきのとこ見てたんだろ?」

 

「・・・・・はい」

 

そう、関羽は気づいていなかったが雪風は吹雪のすぐそばにいて、関羽が斬りかかりそうな素振りを見せればすぐに斬りかかる態勢をとっていたのだ。

 

「隊長・・・・あの関羽は危険です。始末しますか?私の腕なら必ず」

 

彼女の特技は隠密。吹雪や月と出会う前は暗殺などの家業をやっていたのだ。

 

「いや。その必要はないよ雪風」

 

「しかし!下手をすれば隊長は彼女に殺されていたかもしれないんですよ」

 

雪風は心配顔で俺に迫る。その眼は本当に心配し涙が少し溜まっていた。俺は手を彼女の頭に置き

 

「ありがとな雪風。心配してくれて」

 

と、優しく雪風の頭をなでた。雪風はそれで落ち着いたのか彼女の表情は和らいだ。

 

「隊長。すみません少々取り乱してしまいました・・・・」

 

「いいや。気にしてないよ。ありがとな心配してくれて」

 

「//////」

 

雪風は顔を赤くして下を向いてしまう。何か変なこと言ったかな?

 

「そういえば、雪風。お前何でここにいるんだ?確か張三姉妹について調べてたんだよな?」

 

そう、雪風は黄巾党の乱勃発時に張三姉妹について調べるため吹雪隊本隊から離れていたはずだったのだ。

 

「あっ!そうでした。すっかり忘れるところでした。実は重要なことが分かったんです。」

 

「重要なこと?わかった。すぐにみんなを呼ぶから待っててくれ」

 

「御意」

 

そしてしばらくして董卓軍のみんなが集まった。

 

「みんな集まったね。それじゃあ雪風。報告を頼む」

 

「はい。」

 

雪風が調べた情報を聞くとあきれてしまう。首謀者である張三姉妹に反乱の意思はなく、ただ次女である張宝が調子に乗って『天下を取りた~い』なんて言ったのが原因らしい。ただ彼女は歌で天下を取るって言ったつもりがファンにとっては武力で天下を取ると勘違いしてこのような暴動が起きたのだという。もしそれが本当なら、「黄巾の乱」の真実って単なるアイドルファンによる暴動っていうのだからこれが呆れずにはいられない

 

「なるほどな・・・・・っで、雪風。肝心の張三姉妹の居どころは分かったのか?」

 

張三姉妹のいるところは冀州やら西涼やらといろいろ流言とか出ているので特定の場所は分からずじまいだった。

 

「はっ!張三姉妹は現在冀州の本拠地から荊州のところにいます。そしてそのまま都洛陽に向かって進軍中のことです」

 

「荊州か案外近いな」

 

「さすが樊稠だな。」

 

霞と華雄が感心して言う。

 

「しかし、その情報確か?デマってこともあるし・・・・」

 

アンチョビが不審そうに言う

 

「その点なら大丈夫です。私も黄巾軍になりすまし本人かどうか確かめてきました。」

 

「確かめた?どうやって?」

 

「それに影武者だったらどうするんだよ」

 

桜花や川内が首をかしげて言う

 

「はい。確かめた手段は簡単です。彼女たちのそばにより本人かどうか名前を聞いて確かめました。張三姉妹の顔はまだ全国的には知られていませんが、私は情報収集の専門。彼女たちの顔も把握しております。それに影武者かどうか目を見ればすぐにわかります」

 

「そ、そうか・・・・」

 

と、いうことは首謀者である張三姉妹は今荊州にいるわけか・・・・ここから荊州だと全速力で行けば1日半でつける。

 

「よし、それじゃあ。俺たちは冀州進行を中断して、荊州に向かう。それでいいかな?」

 

「うちはかまへんで」

 

「私もだ。ただ張三姉妹のをどうするんだ吹雪」

 

「・・・・・保護する」

 

「え?」

 

吹雪の突然の言葉にみんなが驚く

 

「え?って当たり前だろ?今回の首謀者はあの三人だけど、あいつらは本意でやっているわけじゃないんだからな。」

 

確かに彼女たちは首謀者だ。しかしやりたくてやったわけではなく成り行きでこうなっただけなんだから。俺の言葉にみんなは「やっぱりか」というような苦笑を見せる

 

「まったく。お前は優しすぎるな。まあその所がお前のいいところなんだがな」

 

「よっしゃ。わかったで吹雪。お前の言うとおりにするわ」

 

「私も隊長の指示に従います」

 

華雄と霞が笑いながら言い斗志もうなずく。っということで俺たち董卓軍は荊州へと向かうのだった。

 

ちなみにほかの軍はこの会議が終わる数分前にほかの地にいる黄巾党の征伐に向かっていて今この場にいない。

 

 

 

 

 

 

「董卓軍が荊州に向かったですって?」

 

一方、西にいる黄巾軍の征伐準備をしていた曹操軍大将華琳は密偵の言葉を聞いて眉を顰める

 

「何で、董卓軍が荊州に・・・・」

 

「なんでも、樊稠の報告を聞いて向かったとか」

 

密偵の言葉を聞いて華琳は何かを察したのだった。

 

「華琳様。どうしたのですか?」

 

桂花が不思議そうに首をかしげて華琳に聞く

 

「桂花。樊稠のことは知っているわよね」

 

「え?あ、はい。あいつに仕えていて確か情報収集の専門家で「池田屋事件」で彼女の情報がなかったら防ぎきれなかったといわれているあの樊稠ですか?まさか・・・」

 

「ええ、その樊稠が吹雪に報告を出し、そして董卓軍が荊州に向かった・・・・・」

 

「つまり、張三姉妹は荊州にいると・・・・その可能性は高いですね」

 

「そうね。桂花。私の言いたいことわかるかしら?」

 

「はい。すぐに軍を荊州に向けます」

 

そういい曹操軍はすぐに荊州に向かう準備を始めるのだった。

 

一方董卓軍は荊州に向かっていたのだったが、途中で黄巾軍の奇襲によって、張遼、華雄軍は足止めを食らい、今荊州についたのは吹雪隊だけになっていた。

 

「結局荊州についたはいいが、俺たちの部隊だけになったな」

 

「はい。聞けば荊州にいる黄巾軍は2万、大してこちらは1万少々。これだけの数で勝てるかどうか・・・・」

 

「報告!!」

 

と、隊士の一人が俺のほうにやってきた。なんかあったのかな?

 

「どうした」

 

「はっ!偵察隊から黄巾軍を見つけたと報告があったのですが・・・・」

 

「なんだ」

 

「その・・・・見つける前に呂布将軍を見かけたそうです」

 

え?母さんが?何でここに?というよりちょっと待て、もしも母さんと黄巾軍が激突したら・・・・

 

「斗志・・・・」

 

「はい。おそらく。私たちが到着し交戦する前に・・・・」

 

斗志も感ずいているらしく。顔を青ざめながら言う。おそらく母さんと黄巾軍が激突したら間違いなく血の雨がふる。むろん黄巾軍の人たちがその雨を流すだろう。と、なると急いで張三姉妹を保護する必要がある。

 

「志乃。もしお前が張三姉妹だったらどこに逃げる?」

 

「はい。まず洛陽に行くのをやめて、国境である袁術の領土に逃げるのが最良かと。いかに天の御使いのご母堂でもある呂布様でも他国の領土に入ることはできませんので・・・・」

 

そばにいた志乃は地図を広げて、黄巾軍もとい張三姉妹の進路を予測する。確かにそうだ。いかなる理由があろうとも他国が他国の領土に入るのはすなわち宣戦布告をすることと同じである。いかに母さんでも他国との関係を悪化させることはしないはずだ。

 

「よし、じゃあ、俺たちは国境のあたりまで進みそこで張三姉妹を保護する。」

 

今向かっても間に合わない。それなら国境で待ち伏せしたほうが吉だ。そして吹雪隊は国境へと進むのだった。

 

 

 

 

一方黄巾軍は・・・・

 

「おなかすいたね。ちいちゃん」

 

「姉さんそれはみんなも同じ」

 

「もう!どうしてこんなことになったのよ!?」

 

彼女たちは今の生活に不服を持っている。当然といえば当然だ。なにせ、歌を歌っているだけだったのにいつの間にか反乱軍の首領にされ、あまつさえその反乱軍に討伐命令が来たのだから。よって彼女は自分の身を守るべく兵をあげて今洛陽へと進軍していたのである

 

「姉さんたちが『天下を取りた~い』なんて言ったのが原因みたい。私たちは歌でって意味だったのに彼らが武力でって勘違いしたみたい。」

 

人和は呆れ気味に言った。

 

「なによ!私たちのせいだって言うの!?」

 

「そうは言っていないわ!」

 

「まあ、まあ、二人とも。もうすぐ洛陽だから落ち着いて」

 

と、姉である張角こと天和が二人をなだめる。

 

「そ、そうよね。それにしてもさすがに官軍の連中もこの私たちが冀州の本拠地から荊州に移っているなんて思ってもいないでしょうね~」

 

次女である張宝こと地和が気を取り直して勝ち誇ったように鼻を鳴らして言う。

 

「それに冀州の本拠地には私たちの影武者も用意したし、各地に流言を飛ばしている。情報操作は完璧よ」

 

「じゃあ、問題ないわよね」

 

「油断はできないけど。9割くらいは成功とみてるわ。」

 

「人和が言うなら問題ないわよね♪あとは都を制圧して、舞台の準備を整えるわよ」

 

「わたし、都で歌うの夢だったけど・・・・これでよかったのかな?」

 

「何をいまさらなことを言ってるの姉さん。ここまでしてしまったらもう後戻りはできないわ」

 

「そういうこと。天和姉さんも覚悟を決めて」

 

「わかった・・・・・」

 

と、天和は心ここにあらずというような顔を見せる。ふと彼女は一人の男性の顔が浮かんだ数か月前に暴漢から救ってくれたあの少年のことを思い出した。もし彼がここにいたら、私たちを救ってくれるのだろうか…そう考えていた。

 

「姉さんたち。まだ油断はできないわ。最速の情報では数は少ないながらも董卓軍がこちらに向かっているみたいだから」

 

「でも、董卓軍には一度勝ってるじゃん。だから問題ないわよ」

 

「そうでもないわよ姉さん」

 

「?」

 

「聞けば向かっている董卓軍の指揮官は天の御使いの一人であの無敗の周倉を破ったらしいわ」

 

「ええっ!あの周倉さんを!?」

 

「冗談だよね人和ちゃん?」

 

張三姉妹は一回だけ周倉にあったことがある。その周倉が董卓軍。しかも天の御使いが率いる軍に負けたと聞いて地和、天和は驚いた

 

「冗談じゃないわ。本当よ」

 

人和は真剣な顔でそういう。すると・・・・

 

「張梁さまへ前線より伝令!」

 

黄巾軍の兵士がやってきた。

 

「私に?」

 

「はっ!前線の千人隊長よりご報告です!」

 

「もしかして官軍が攻めてきた?‥‥でも前線は静かね?」

 

「官軍というか・・・そうでないような・・・・」

 

「なにそれ・・・・意味わかんないけど?」

 

地和が不思議そうに眉をひそめて言う

 

「で、ですよね。それで千人隊長たちもどう判断していいかわからず。張梁様のお出ましになられたい、とのことです。」

 

「状況は?」

 

「それが‥‥武器を持った女性一人。それと子供一人にあと犬が2匹です」

 

「武器?・・・その女性ってどんな様子で立っている?」

 

「はっ!とても大きい獲物を持ちただ黙って立ち尽くしている模様です」

 

「・・・・・分かったわ。すぐに行く。姉さんたちはここで待ってて」

 

人和はいやな予感がし、二人にここで待つように言ったが、二人は妹である人和を心配し一緒についていくのだった。そしてその場所に行くと確かに軍の先頭に小さな子供と小型犬、大型犬を連れた武器を片手に持った若い女性が立ちはだかっていた。すると天和は・・・

 

(あれ?あのお姉さん。あの人に似ている)

 

そう、立ちふさがっている人が、前に助けてくれた少年と似ているのだった。とりあえず天和は彼女に挨拶したのだ

 

「こんにちわ~♪」

 

「・・・・・こんにちわ」

 

「お姉さん。こんなところで何をしているの?」

 

「・・・・・待っている」

 

「待ってる?何を・・・・です?」

 

人和が怪しげに聞く

 

「雨を・・・・・」

 

「雨ぇ?」

 

「お天気もいいし、雨なんて降りそうにないんだけど・・・・」

 

地和っも天和も不思議そうに言う。すると少女はフルフルと首を横に振って

 

「降るよ・・・・・紅いのがきっと・・・・」

 

と、何か警告するような眼で三人にそういう。

 

「(ねえ、人和。もしかしてこの人おつむが弱い子なんじゃない?)」

 

「(私もそうとしか思えなくなってきた。けど、なんでこんなところに子供と犬を連れて?)」

 

「(お散歩中なのかな?旅行中なのかな?とにかくいい人そうだからちゃんとお願いすればどいてくれると思うよ)」

 

そうして三人が少女を道からどかすため説得しようとするがその少女はかたくなに拒む。地和や人和があきらめず説得しようとするが少女はただ首を横に振るばかり。

 

「はぁ~これだけ言っても聞いてくれないんじゃもう何言っても無駄だよぉ」

 

天和はこれ以上説得しても無駄と分かり説得するのをあきらめる

 

「そうね。‥‥忠告はしましたから何かあっても責任はとれません良いですね」

 

すると少女は頷く

 

「頷いたってことは了解したってことね。じゃあ、人和。この人は放っておいて先に進もう」

 

そういい地和が先に進もうとすると・・・・

 

「・・・・・まって、ちぃ姉さん」

 

「何?まだ何かあるの?」

 

妹の人和によって止められ地和は不機嫌そうに頬を膨らます。

 

「うん・・・・・ねぇ、あなたの名前教えて?」

 

人和は少女に名前を聞くのだった。

 

「名前なんて聞いてどうするのよ。そんなのきいて仕方が・・・・・」

 

「ちぃ姉さんは黙ってて!」

 

「むぅ~」

 

人和に言われて地和はむくれてしまう

 

「名前・・・・・それくらい教えてくれるでしょ?」

 

「・・・・・・そっちの名前は?」

 

「えっ?」

 

「・・・・・名前を聞いたほうが先に名乗る。・・・・それが礼儀」

 

少女にそう言われ、天和は納得したような顔をし

 

「あ、確かに~えっとね~私は張角だよ♪」

 

と、疑うこともなく平然と自分の名を名乗る。

 

「ちょ!?姉さん。不用意に名前を呼ばないでって普段から注意しているでしょ!」

 

人和は注意するが・・・・

 

「えーでもこの子が言う通り、人にお名前を聞くときは、自分から名のるのが礼儀だよー!」

 

「確かにそうだけど!」

 

「・・・・・・・・・張角?」

 

少女は目を細め目が怪しく光る。

 

「うん♪こっちの子が張宝ちゃんで、こっちのメガネの子が張梁ちゃんだよ。よろしくね♪」

 

「・・・・よろしく」

 

と少女は目を細め彼女たち三人をじっと見る

 

「さあ、これでいいでしょ?次はあなたの番。名前教えなさい」

 

地和に言われ少女はしばらく黙っていたが・・・・

 

「・・・・・・・呂」

 

「呂?それだけ?字は?」

 

「・・・・奉先」

 

少女は自分の名を名乗った。

 

「呂奉先か。ふ~ん・・・・・・・・あれ?」

 

地和がその少女の名に何か違和感を感じた

 

「あれー?りょほうせんって名前お姉ちゃんどこかで聞いたことが・・・・・」

 

「・・・・あっ!?呂奉先ってまさか!!」

 

天和が首をかしげてその名を思い出そうとすると妹の人和がその名を聞いて驚く。

そう、その少女の正体とは・・・・・

 

 

     挿入歌「深紅の呂旗-The ONE-」

 

 

「董卓軍第一師団師団長、呂奉先。」

 

そう、少女の正体は吹雪の母で董卓軍第一師団師団長の呂布奉先こと恋だった。

 

「・・・・目的、北上する黄巾党の殲滅。だから、張角、張宝、張遼。三人に私怨はないが・・・・・・・・・・ここで死ね」

 

「「「っ!?」」」

 

「て、天公将軍様!お下がりください!」

 

「さっ!お二人方も早く!!」

 

「う、うん」

 

「くっ・・・」

 

「わかった」

 

 

「ええい!何をしているお前ら!皆でお三方をお守りするのだ!!」

 

「応!!」

 

と三人の前を黄巾党の兵士が立ちふさがり守りの陣形を取る。

すると恋は・・・・

 

「ねね・・・」

 

「はいですぞ!」

 

と、恋に呼ばれ後ろからねねが元気に飛び出す

 

「・・・・・旗を」

 

「御意ぃー!!」

 

とねねは自分の倍ある大きな赤い旗を掲げた

 

「遠からん者は音にも聞け!近くば寄って目にも見よーっ!!蒼天に翻るは血で染め抜いた真紅の呂旗!!天下にその名を響かせる董卓軍が一番槍!悪鬼は平伏し、鬼神も逃げる。飛将軍呂奉先が旗なり!天に唾する悪党どもよっ!その眼でとくと仰ぎ見るがいいですっ!」

 

風にひらめく真紅の旗。そしてねねの言葉に黄巾軍が動揺し始める

 

「真紅の!」

 

「呂旗っ!」

 

地和と人和はその姿に息をのむ

 

「我が使命は獣の堵殺・・・・・遠慮はいらないかかってこい」

 

「な、何をぉー!!野郎ども遠慮はいらねえ!出陣の血祭りにあげちまえ!!」

 

「応っ!!」

 

恋の言葉を皮切りに黄巾党軍が襲い掛かる。恋はねねを後ろに下げて、一人で黄巾党軍につっこっむ。すると恋は目にも留まらぬ速さで武器をふるい一気に9人の命を刈り取った。

 

「な、何だこいつ!化け物か!?」

 

「しかし相手は女ただ一人!数で押せぇー!!」

 

「行くぞっ!!」

 

「蒼天はすでに死す!黄天は立つべし!!」

 

そういい黄巾軍は数で倒そうとするが・・・・

 

「蒼天は死なず・・・・・しかして駆けるは羽虫にあらず・・・・・・蒼天は龍が駆ける場所。」

 

そういい恋は深呼吸をし、そして・・・・

 

「だから・・・・・羽虫は死ね」

 

赤い目がギラギラと光、そして獲物を振りかざしてかかってくる黄巾軍を屍に変える。その数はおよそ100人以上。あまりにも人間離れした強さに黄巾軍は恐れる

 

「バ、バケモノだぁー!!」

 

「ひいいぃぃぃぃー!!」

 

「た、助けてくれぇぇぇー!!」

 

その様子は天和のいるところへも届いた

 

「前線が混乱している!何で!!」

 

「わからないわ!けどっ!とにかく天和姉さんを守らないと!!」

 

「姉さん!!」

 

「へ?」

 

「へ?っじゃないわよ!姉さんは急いで本営よりも後方へ下がって!!」

 

地和が言った直後に・・・

 

ドゴォォォーン!!

 

急に大きな爆音が響いた。

 

「い、今の爆発音は!?」

 

人和が驚いていう

 

「ほ、報告します!!是、前線に配置されている千人隊が次々と吹き飛んでいます!!」

 

「吹っ飛ぶってどういうことよっ!?」

 

人和は兵士の報告に驚いて今にも取り乱しそうになる。

 

「張梁様!やばいです!あいつは人間じゃありません!!2万人以上いた黄巾軍もすでに500人足らずに!!」

 

「張梁様!ここはもうだめです!」

 

「こ、ここはわれらが全力で死守します!!ですからお三方は早く国境まで逃げてください!!」

 

「・・・・・見つけた。」

 

と、そうしているうちに恋は張三姉妹を見つける。

 

「ひっ!」

 

「は、早くお逃げください!!」

 

「わ、わかった!!」

 

そう言い、地和を含み張三姉妹は洛陽への進軍をあきらめ、直ぐ近くにある袁術の国境へと逃げる。そこなら追ってこれないと思ったからだ。殿に出た黄巾兵は何としてでも三人を守らんと全力を尽くすが・・・・

 

「・・・・・邪魔」

 

と、恋に倒されるのであった。恋はすぐに追撃しようとしたが・・・

 

「恋殿!!それ以上はまずいですぞ!!」

 

「?」

 

ねねに止められ恋は首をかしげる

 

「この先は袁術の領土となりますので、これ以上の追撃は不可能ですぞ!!」

 

「国境?」

 

「はい!今袁術と事を構えるのは月や詠にとって得策ではないのです。悔しくはありますが今は追撃をあきらめるしか・・・・・」

 

と、ねねはそう言いかけると・・・・

 

「そのことについては心配には及びません」

 

「っ!?あなたは!!」

 

「・・・・・・雪風?」

 

いつの間にかいたのか雪風がいた

 

「雪風殿!いったいどういうわけですか?それにあなたは兄う・・・・吹雪殿と一緒なはずなのでは?」

 

「説明はあと・・・・ただ張三姉妹が国境を渡れないとだけは言っときましょう」

 

「「?」」

 

雪風の言葉に恋とねねは首をかしげるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃ・・・・・!」

 

一方、張三姉妹は国境近くまで来ていた。

 

「ちぃ姉さん。しっかり!あともうちょっとで国境よ!頑張って!!」

 

「う、うん!」

 

「天和姉さんももっと急いで!!」

 

と、人和は二人を励ましながら国境へと急ぐのであったが・・・

 

「あっ!ちぃちゃんあれ!」

 

と、天和が指さした先には・・・

 

「あれって・・・・日の出の旗?」

 

「何で、あんなところに軍勢が!?」

 

そこには国境ではなく、大勢の軍が待ち構えていた。そしてその掲げられている旗はまるで真っ赤な太陽が輝きまるで朝日のまぶしさを表しているような旗であった。そしてその軍勢から一人の少年が前に出てきた。その少年に天和は見覚えがあった。

 

「あ、あの人は!?」

 

「どうも。張角さん。張宝さん。張梁さん。私は董卓軍第三師団師団長の沖田吹雪、巷では天の御使いって呼ばれている。」

 

先頭に立つ少年はそう、吹雪であった。

 

 

 




今回は長く書いてしまいました。恋の心の心境を歌った「真紅の呂旗」あれはいい歌ですね。私何度も聞きなおしましたよ。

さて次回で黄巾の乱は終わります。次回も楽しみにしてください。感想またはアドバイスなどお待ちしております。

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