真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~ 作:疾風海軍陸戦隊
「これは・・・・・」
俺は咳をこんで、口を押えていた手を見ると、その手は赤く染まっていた。
「これは・・・・もしかして血か?」
「・・・・・もしかしてあいつの言っていたことはこれのことか・・・」
俺は陳留にいた時あの外史の使者というあのチビッ子占い師に言われた言葉を思い出した。
『しかし。その分、体にも大きな負担がかかる。だから、あまり大局には逆らうな、待ち受けるのは身の破滅……』
大局っというのはよくわからないが、おそらくこの世界で無理なことをすると体に負担がかかり、そういうことになるんだろうと思った。だからと言って俺はこの世界で静かに暮らすわけにはいかない。まだ俺にはやるべきことがたくさんある。俺はそう思い血でぬれた手を拭いて自分の天幕に戻ろうとした。
「それにしても咳に血か・・・・なんか沖田総司みたいだな・・・・」
俺はふと思う。幕末の天才剣士沖田総司も病には勝てず、肺結核で20代で命を落としたんだよな・・・・・それに一説では俺の先祖はその沖田総司だって聞いたことがある。まあ、たぶん違うと思うけど・・・・そんなことを考えつつ歩いているとある人物が俺と同じ星空を見ていた。その人物は・・・・
「北郷一刀・・・・」
そう、劉備軍にいる。俺と同じ天の御使いである北郷がいた。
実は北郷・劉備軍は張三姉妹が華琳や俺達に降伏した後、張三姉妹が荊州いるという情報を聞きに来たのだ。まあ、彼が到着したときはすでに全部終わっていたのだったが、ほかの諸国には張三姉妹は洛陽に進軍中、母さんの奇襲を受けて戦死したということになっていて、三人が生きてることを知っているのは董卓軍と曹操軍の幹部だけである。
俺は北郷のところに行く。久しぶりに同郷の人と話したいと思ったのだ。
「あっ・・・・沖田さん」
俺が近づいてきたのに気が付いたのか北郷は俺に振り向き声をかける
「沖田でいいよ。今は天の御使いだ。官軍や義勇軍っていう堅苦しい肩書や話はなしだ。一人の日本人として話ませんか?これもありますし」
と、俺は一つの瓶と2杯の器を出す。
「それって酒か?」
「違うよ。まあ、飲んでみろよ」
そういい俺は瓶のふたを開けるすると・・・
プシュッ
音が瓶から漏れる。そして俺は2つの器に飲料を入れる。北郷は器を取り、それを飲む。
「・・・・これってもしかして、サイダーか?」
「惜しいな。これはラムネだよ。再現させるの苦労はしたがな」
そう俺と本郷が飲んでいるのはラムネだった。以前ラムネの製造できないかっと職人のおっちゃんに製造方法を教えたらなんかできていた。この世界は本当に何でもありだな。
「そうか・・・それにしても懐かしい味だな・・・・日本の物を飲むなんて」
北郷は嬉しそうにそういう。確かに俺はこの世界に来てからもう半年以上この世界にいる。たまに日本のことが恋しくなる時がある。それは同じ日本人である北郷も同じだろう。
「あっ・・・・そうだ。アンパンもあるぞ食べる?」
「用意周到だな。なんでもあるのか?てか、この時代で作れるのかよ?」
「まあ、作り方と材料があればできるよ。お前、信長のシェ〇見たことないのか?」
ちなみにこの世界には存在しないはずの拉麵や辣油なんかあるからな・・・・パンぐらいどうってことないだろう。
「すまん。俺そういうのとかあんまり見ないんだよ。」
「そうか・・・・まあいいや。ほい、どうぞ」
「ありがとな」
俺と北郷はアンパンをかじりラムネを飲みながら、夜空に輝く星たちを見る。
すると北郷が・・・・
「なあ、沖田、ひとつ聞いていいか?」
「ん?なんだ?」
「俺たちはなんでこの世界に来たんだろう?」
「さあな。そんなことは神様にでも聞けよ。ただ俺たちがこの世界に来たのは何か目的があってのことじゃないか?」
「目的?どんな・・」
「それは俺にもわからない。わかってたら苦労しねえよ。・・・・北郷、お前この世界のことをどう思っている?」
「え?どうって・・・・」
「お前、もしかして、この世界は、ただの歴史の人物が女の子になったとしか思っていたんじゃないか?そういう考えなら今のうち捨てとけ。それで前に星・・・・趙雲にそれを言いかけ怒られたんじゃないのか?あいつらにはあいつらの人生がある。それを歴史という鎖で縛るのは間違いじゃないのか?」
「そ、それは・・・・・・」
図星だった。北郷は突然、ここに放り投げられ、この世界は、ただの歴史の人物が女の子になったとしか思っていなかった。みんな自分のことを家族のように受け入れてくれてくれた。だが北郷は彼女たちの歴史を知ってる。北郷は三人の未来から目を背け現実からも逃げようとしていた。劉備の思想に触れともに歩むといいながら実は自分はそれを言い訳に今目の前に広がる元の時代とは全く違う残酷な現実から逃げようとしていたのだ。
「・・・・やっぱりか。まあ、当然か。いきなり知らない場所に放り出されたらそりゃそうなるわな」
「沖田・・・・お前はなぜそんなに冷静なんだよ。怖くないのか?」
「冷静ね・・・・そんなんじゃねえし、怖くないといえば嘘になる。俺だって怖いよ。自分と生きた違う世界に来て、だけどな北郷そんなのは仲間とともに乗り切ればいいんだよ。紙に書かれた人物ではなく、今目の前にいる仲間とな。お前にはそんな仲間がいないのか?」
俺がそういうと北郷はしばらく黙る。そして器に溜まっていたラムネをグイッ!っと飲むと・・・
「俺は・・・・いる!愛紗や桃香や鈴々たちがいる!!俺は一人なんかじゃない。桃花村のみんながいるんだ!!」
「(どうやら、元気が出たみたいだな)そうか。それなら、それでいい。そろそろ俺は行くよ北郷。まだ俺にはやることがあるんだからな。あ、あとそのラムネはやるよ。」
「ちょっと待ってくれ。」
「ん?なんだ北郷」
「あんたは、あの時代の歴史を知っているんだろ?どうして、そうしていられるんだ?何で・・・・」
北郷がそういうと俺はため息をつき、
「北郷。じゃあ、聞くけどな三国志の歴史に俺たちの名は出てきたか?」
「え、いや・・・・」
「そういうことだよ。歴史とは大きな川の流れと同じだ。俺達がこの世界に来た時からその流れは変わっちまった。だから今まで通りその出来事が動くとは限らない。おそらくだが今流れているときと歴史は俺たちの時代につながっていない。俺たちがここに来た時点でな・・・・」
「それじゃあ・・・」
「ああ・・おそらくこの時代の川の流れは変わってしまった。おそらく俺たちのいる歴史とは違った歴史になるだろうな」
「それじゃあ、俺達どうするんだよ」
「俺はこの命尽きるまで仲間を守るため、精一杯生きるつもりだよ。俺が言えるのはここまでだ北郷。じゃあ、また会おうな。今度会うときは美味い酒でも飲みあおうな。期待してるぜ。白き御使い」
「ああ・・・・だったら俺も精一杯生きて見せる。だからまた会おうな。枯れ草の御使い」
そういい俺と北郷は別れ自分の天幕へと戻るのだった。その時の夜空は満点に輝く星空であった。
はい。今回はここまでです。今気づいたんですが北郷って17歳なんですよね。つまり沖田より1歳年上ということになります。
さて次回は天水日常編を書きます。
では皆さんまたお会いしましょう。
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