真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

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洛陽編
洛陽出発前夜


「とうとう。この天水を離れるんですね。吹雪さん」

 

「そうだな。少し寂しくなるよ」

 

今俺は(ゆえ)とともに天水の街を歩いていた。(ゆえ)の今の格好はいつものお忍びで着るあの町娘の格好だった。なんで(ゆえ)が一緒にいるかというと、最後でいいから自分が住んでいた町を最後にもう一度、歩きたいとのことだった。

 

(ゆえ)。寒くないか?」

 

「大丈夫です。もうすぐ春ですし、少し暖かいので・・・」

 

「そうか・・・・でも、無理はするなよ」

 

「はい。」

 

明日にはこことも別れなければならない。思えばこの街にはいろんな思い出がある。その思い出の街を離れるのは少し寂しいっと思った。それはこの街に長くいる(ゆえ)(えい)だって同じ気持ちだろう。

すると、(ゆえ)は俺に手を差し伸べる。

 

(ゆえ)?」

 

「すみません吹雪さん。手を繋いでもいいでしょうか?」

 

と、顔を赤らめながらそういう(ゆえ)。俺は少し照れ臭かったが

 

「ああ、いいよ」

 

そう言い俺も彼女の手を繋ぐ

 

「////」

 

すると(ゆえ)は顔をさらに赤くし、そのまま歩く。

 

「吹雪さん。そう言えばもうお昼ですね。どこかで食べませんか?」

 

「そうだな。もうそんな時間か・・・・・(ゆえ)は何が食べたいんだ?」

 

「そ、そうですね・・・・・吹雪さんのお勧めでお願いします」

 

「そうか。じゃあ、あそこに行くか。」

 

そう言い、俺は(ゆえ)を連れてあるところに向かう。

 

(それにしても俺がここに飛ばされてからもうすぐ1年たとうとしてるのか・・・・みんなは元気にしてるかな。そう言えばダチの才人のやつパソコン修理するため秋葉に行くって言ってたけど元気にしてるかな。それと良晴は・・・・相変わらず戦国ゲームやってそうだな。)俺は自分のいた時代にいた友人のことを考えていた。

するとそうしているうちに俺と(ゆえ)は目的の場所につく。そこは・・・・

 

「ついたよ(ゆえ)

 

そう言い吹雪が来たのは吹雪の行きつけの店『朱雀屋』だった。そして吹雪と(ゆえ)は店の中に入る

 

「いらっさいませ!あっ!吹雪さん。あら?その人は誰ですか?」

 

店に入るとそこには『朱雀屋』の看板娘である典韋がいた。

 

「やあ、典韋ちゃん。この子は俺の知り合いの子でね」

 

「トントンっといいます」

 

トントンっというのは(ゆえ)が町娘に変装している時の偽名だ。

 

「そうですか。それじゃあ、好きな席に座ってください」

 

「おう、ありがと」

 

するとほかの席には・・・・

 

「あっ!やっぱり隊長も来たんっすっか!ここ空いているっすよ!」

 

そこには吹雪隊のみんながいた。どうやらみんなも天水最後の日だからここに来たいと思ったんだろう。俺と(ゆえ)は桜花に呼ばれその席に座る。よく見ると、雪風や星、斗志に川内、夕張や詩乃、アンチョビさんもそこにいた。

 

「やっぱりみんな来ていたのか」

 

「当たり前だ吹雪殿。ここはメンマの園の次に美味い店ですぞ。」

 

「ですから、ここを離れる前にもう一度この店に来ようと思っていたんです」

 

と、星や雪風がそう言う。すると・・・

 

「お待たせしました。」

 

っと典韋が料理を持ってきた。

 

「おおっー!おいしそう!!」

 

「豪勢だな~」

 

そう言い、俺たちは食事を楽しむすると・・・

 

「あ、あの・・・・皆様方は洛陽に行ってしまうんですよね?」

 

「はい。明日にはここを離れてしまうんです」

 

と、志乃がそう答える

 

「そうですか‥‥皆さんは店のお得意様だったので少し寂しくなります」

 

「そうっすか・・・・何ならうちらのとこに来るっすか?」

 

寂しそうな顔をしてそう言う典韋に桜花がそう言うと典韋は首を横に振り

 

「すみません。それはできません。実は私もこの店を出ていかなければならないんです」

 

「ふ~ン…なんで?」

 

「実はこの前親友から手紙が来て、陳留に行かなきゃいけないんです」

 

「そうか‥‥それは残念だ。あっ!そうだ。俺、前に陳留の曹操さんのところで客将をしてたから力になれるかもしれない。その人の特徴と真名じゃない名前を教えてくれないか?」

 

「本当ですか?ありがとうございます!特徴は背は私くらいで食べるのが大好きで名前は、許緒です。」

 

許緒・・・。もしかして・・・・・・

 

「ご存知ないですよね?」

 

「いや、よく知ってるよ。ていうか許緒、今、曹操のところで親衛隊やってるよ」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ、何なら紹介状、書こうか?」

 

そう言いうと、それを察したのか斗志が紙と筆を執り俺に渡す。本当に手際がいいよ斗志は・・・・俺は紹介状を書き上げそして典韋に渡す。すると典韋は嬉しそうに

 

「ありがとうございます!」

 

頭を下げてお礼を言う典韋。

そしてこの後俺たちは(ゆえ)を囲んで大騒ぎするのだった。ちなみにみんなは(ゆえ)のことはトントンと呼んでいた。それはお忍びだということを理解してのことだった。(ゆえ)も楽しそうに笑っていた。本当に良かった・・・・そして日もくれた夜

 

「うい~斗志~まだまだいけるっすよ~」

 

「桜花しっかりしなさい」

 

「お姉ちゃんも大丈夫?」

 

「ああ、志乃~。私なら大丈夫ら~」

 

みんな気持ちいいくらいによってフラフラだった。星はというと最後にメンマが食べたいっというのでメンマの園に向かった。

 

「吹雪。後のことは私たちに任せて。あなたは(ゆえ)さんのことお願いね。ほら夕張しっかりしなさい!」

 

川内がそう言い、酔いつぶれている夕張を担ぎ、その場を後にし、残ったのは俺と(ゆえ)だけだった。そして俺と(ゆえ)もしばらく天水の街を見ながら屋敷へと向かう。今夜は満月なのか、街並みはとても明るく。道路は月光に照らされ、まるで白い絨毯のように照らされていた。

 

「楽しかったですね。吹雪さん」

 

「そうだな」

 

(ゆえ)も酒を飲んでいたがそんなには酔ってはいない。だが、顔は少し赤いがその顔はとても幸せそうな顔だった。

すると(ゆえ)は寒そうに肩を震わせる。そう言えば春とはいえまだ肌寒いな・・・・それを見た俺は軍服の上着を脱ぐ

 

「ふ、吹雪さん?」

 

「今夜は冷えるからな。暖かい格好をしないと風邪ひくよ(ゆえ)

 

そう言い俺は上着を(ゆえ)に掛ける。

 

「で、でもそれだと吹雪さんが・・・・」

 

「大丈夫。俺、結構そう言うの慣れているから。それに女の子が身体を冷やすのはよくないからな」

 

不適の笑みでそういう吹雪のその言葉に(ゆえ)は顔をさらに赤くする。

 

「吹雪さん。ありがとうございます(暖かい・・・・)」

 

と、吹雪に満面の笑みを見せる(ゆえ)。それはまるで月の光と同じくらいの慈愛に満ちた優しい笑みだった。この時(ゆえ)は思った。私も彼のように少しだけ強くなろう。少しでもみんなの為にと心に決めたのだった。

 

 

 

 

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