真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~ 作:疾風海軍陸戦隊
「この洛陽もにぎやかになりましたね吹雪様」
「ああ、そうだな志乃。初めて来たときとは大違いだよ」
今の洛陽は昔のように荒廃した風景はなくにぎやかだった。犯罪も最小限にとどめ、治安も天水にいたときのように活気ある街となっってきてその住人はだんだんと笑顔にあふれてきていた。
「そうだな。これも月や詠のおかげだな」
「そうですね。それに吹雪様のおかげでもあります」
「俺はそんな大したことはしてないよ」
そんなことを話しながら俺は志乃と一緒に街の中を歩く。ちなみに俺と志乃は非番だ。すると・・・・
どんっ!
「おろ!?」
「吹雪様!?」
急に後ろからから誰かがぶつかってきた。その人物は帽子を深くかぶって顔はわからないけど子供だということはわかった。
「おっと、悪いな」
ぶつかった子供は俺にそう言いそのまま立ち去る
「吹雪様!大丈夫ですか?」
「え?あ、ああ。それよりも・・・・」
「どうしたんですか?吹雪様」
「志乃・・・・お前の懐探ってみろ」
俺がそう言うと志乃は懐を探る
「さ、財布がない・・・・・」
「ああ、因みに俺もだ。やられたなこりゃ」
「と、言うことはあの子はスリですか?・・・・」
「ああ・・・・追いかけるか」
「はい」
そう言い、二人はその子供を追いかけるのだった。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・・へへ、やった」
一方、スリの少年は人目のない裏路地につくと先ほど二人から掏った財布の中身を見る
「・・・・なんだよ。恰好から見て貴族か役人かと思って掏ったけどあんまりないじゃないか。なんだよ掏り損だな」
そう文句を言うスリ。しかし・・・・
「悪かったな。金が少なくて」
「っ!?」
少年が吹振り替えるとそこには吹雪と志乃がいた。
「警邏隊に突き出すのか?」
スリの少年が恐る恐る言う。
「う~ん・・・・そうだな。普通ならそうなんだけどさ、それ返してくれたら見逃すよ」
「私もちゃんと財布を返してもらえれば許します」
二人がそう言うと
「うっ・・・・・・そ、そんなことできるか!」
そう言うと少年は錆の浮いた古いナイフを取り出し二人に向けるが、ナイフを持つ手が震えていた。
「やめとけ、手が震えてるし、握りも甘い」
吹雪はそう言うと、少年は諦めたように弱々しい声でそういうと、手の中からナイフが地面に落ちた。同時に尻餅をついて地面に崩れ落ちる。。その顔色はもはや死人のそれに近い程に青ざめたものとなっている。
「ん?どうしたのよ」
志乃がそう言うと・・・・
「さっさと殺せよ!その腰についている剣でさっさと斬り殺してよ!」
そう叫ぶのだった。
「・・・・はぁ~。君、名前は?」
「‥‥…李儒」
「え?李儒?」
俺はその少年の名に驚いた。李儒と言えば董卓に仕える軍師で参謀職で有名な人物だ。その李儒がまさかこんな子だとは、歳から見て12~13歳くらいだろうか・・・・
「吹雪様。どうかしたのですか?」
「あ、いやなんでもない。それで李儒。君、スリやって、おまけにナイフまで抜くなんて逮捕されるぞ。そんなことしたら親も泣くだろ」
「そうですよ。もしそんなことを知ってご両親が知ったら悲しむわ」
そう言うのだったが
「‥…親がいたらこんなことやんないよ・・・・父上は黄巾党の乱で黄巾軍に殺されて、母上は俺を養うため働きすぎて2年前に死んじゃったよ。だから今私の住処は空き地や広場とかだよ。」
と、暗い表情で言う李儒。なんか聞いちゃいけないことを聞いてしまったな。
「働こうとか思わなかったの?」
「それはおもったよ。でもみんな不景気で自分の生活でせい一杯だったみたいだったから・・・・」
悲しそうな顔でそう言うのだった。
「そうか・・・・・それじゃあ李儒。。うちで働く気はないか?」
「え?」
「吹雪様?」
「住むところも食べ物も心配しなくていい。ただ、その代わりきちんと働いてもらうよ。もちろん見合った賃金も払う。どうだ?」
俺がそう言うと李儒はポカーンと口を開ける
「志乃も別にいいよな」
「え?あ、はい。私はいいのですが…月さまや詠さんには?」
「大丈夫。二人には俺からちゃんと言っとくよ。」
「本当に・・・・本当に働かせてくれるの!?」
「ああ、ただし。スリはもうするなよ」
「う、うん!約束する!」
そう、嬉しそうに言う李儒。こうして俺と、志乃は李儒を連れて屋敷に帰るのだった。ちなみに掏られた財布は返してもらった。
屋敷に帰った時はもう夕暮れでその屋敷の入り口の前には華雄こと橘花と霞がいた。その時の李儒の顔は「え!?やっぱりこの人、貴族とかそう言う風な偉い人?」っというような顔をしていたのだった。
「なんだ吹雪。その子は?」
「ああ、華雄。この子か?まあ知り合いかな?で、こいつ俺のところで働くことになったんだよ」
「そうか・・・・それにしても随分汚い格好だな・・・・」
「まあ、でもきっと役に立つから。」
「まあ、お前がそう言うんなら別にいいだろう。だがちゃんと風呂やちゃんとした服を着せてやれよ。出ないと賈駆がうるさいからな」
「そう言うことや。吹雪じゃあ、またあとでな」
そう言うと、霞と橘花はその場を去り、吹雪は李儒を連れて先に進む。ちなみに志乃は書簡の仕事が入ったのでその場にいない。
一方霞と華雄は
「ふふふ・・・・」
「ん?何がおかしいんや華雄?」
「いやなに。さっきの吹雪があの子供を連れてきた姿を見て呂布が陳宮を連れてきた日のことを思い出してな。」
「あ~そういやそうやったな・・・・そう言うところも母親に似たんやな~」
そんなことを話しているのだった。
一方そのころ吹雪と李儒は、廊下を歩いていると偶然にも詠に会うのだった。
「やあ、詠」
「ああ、吹雪。‥…てその子は?」
「ああ、そのことで話があるんだよ。」
「?」
説明中・・・・
「なるほどね・・・・・吹雪、事情は分かったわ。でも吹雪、本当にこの子を雇うつもりなの?」
「ああ」
「・・・・わかったわ。とにかくその子はその格好じゃいけないから、ちゃんと洗ってあげなさい」
「ああ、わかったありがとな詠。行こう李儒」
「は、はい」
そう言うと吹雪は李儒を連れて詠の部屋を後にするのだった。
風呂場
「あ、あの・・・・吹雪・・・・さん?なんでここに?」
「さて‥‥李儒。このままだといけないからな。ここは風呂でさっぱりしないとな」
「え!?い、いいです!」
と、李儒は顔を真っ赤にして断る
「ん?なんでだ?男同士だし、問題ないだろ?」
「な!?ち、違うわよ!わ、私は!」
そう言い、李儒は帽子を脱ぐすると・・・・
ふさぁっ
帽子の中から一房の黒髪がこぼれ落ちてきて、短く見えた髪が肩口をこえるぐらいまで伸びていた。それは男子っというより女子であった。
「わ、私、女だよ?」
「え・・・・えええええー!!?」
あまりの真実に俺は大声をあげてしまうのであった。
あれから数日・・・・・李儒はこの屋敷の侍女として働いている。李儒もここの生活にも慣れて今は、昔に比べて生き生きとした顔で仕事に励んでいた。しかも最初に出会った頃に比べ口調もやんわりとしていた。いや、もともとあれがいつもの彼女なんだろう。
「李儒もすっかり慣れてきたみたいだな志乃」
「はい。ですが驚きました彼女が女の子だったなんて」
「まったくだな」
「それとなんですが、吹雪様」
「ん?何だ志乃」
「李儒のことなんですが、前に彼女に政務の手伝いをしてもらったことがあるのですが」
「政務を?彼女ついてこれたのか?」
「はい。以外に・・・それに彼女は学問に興味があるらしくて、私の授業やアンチョビお姉ちゃんのラテン語の授業にも出席しているみたいです。それにこれを・・・・」
そう言い志乃が渡したのは一枚の書簡だった。
「志乃。これは?」
「はい。彼女が書いた兵法や政務を彼女なりに纏めたものです」
俺は李儒が書いた書類を見る。その内容、考え方はとても面白い。とても一介の少女、しかも侍女どころか並の軍師が行き着かない内容も多く書かれてあった。
「なるほど・・・・で、志乃は彼女を見てどうするつもりだ?」
「はい。・・・・・実力を試させます」
李儒の部屋
「試験・・・ですか?」
「ああ。志乃がな李儒がどれだけ理解出来てるか確認する意味も込めてするそうだ。で、どうする李儒やるか?」
「はい!やります!」
「そうか。じゃあ試験は明日だ。志乃が言うには今まで教えた分を出すみたいだしな。頑張れよ李儒」
「
「え?」
「私の真名です。吹雪さんのおかげで私は路上でのスリの人生から抜け出すことができたんです。ですから吹雪さんは私にとって恩人です。だからぜひこの真名を預かってください!」
「・・・・わかった。よろしくな鈴」
「はい。よろしくお願いします!」
こうして翌日、鈴は志乃が出題する試験に挑むのであった。試験官は志乃。
そして鈴は渡されたその試験の内容を見る。その内容は結構難しいものも多かった。
「(ど・・・・どうしよう・・・・いいえ、何を弱気になってるんだ私は、司馬懿先生や吹雪さんの期待に応えるためにも頑張らなくちゃ。)」
そう言い、彼女は次々と問題の解答欄に解答をかく。そして試験は終わりすべての解答を埋めた後、鈴は志乃に試験用紙を渡し、志乃に一礼して部屋を出るのだった。
そして志乃は鈴が書いた試験問題を採点している。
「‥…やっぱりね」
彼女が鈴の採点を終えた後、にっこりとほほ笑むのであった。
「え!?私が司馬懿先生の軍師見習いにですか!?」
私は試験を終えた翌日、吹雪さんに王座の間に来るように言われそこに行ったら、そこには洛陽の太守である董卓様にその軍師である賈駆様、そして吹雪さんがいた。ちなみに私は吹雪さんが例の天の御使いだと聞いた時、心の底から驚いた。
「ええ、そうよ。聞けば志乃が出した試験問題の9割以上も合格していたじゃないの。だから僕と吹雪と話し合った結果。あなたは志乃の軍師も習いにすることになったのよ」
「でも、私ごときが軍師など・・・」
「そんなに心配しなくてもいいわよ。それにね。志乃からも彼女を軍師にするように頼まれたしね」
「司馬懿先生から!?」
「ええ、」
「と、言うわけでこれからよろしくな、鈴。」
「よろしくね李儒さん」
そう、吹雪と月が笑顔でそう言い、その言葉に私は嬉し涙を流すのであった
「はいっ!こちらこそお願いいたします。董卓様、吹雪さん!」
私は笑顔でそう言いそれと同時に心の中で司馬懿先生に礼を言うのだった。
李儒が吹雪たちの前にいたとき、その光景を志乃は柱の陰で見ていたのだった。
「李儒。頑張りなさい。私みたいになるではなく、あなたはあなたの行く道を信じ、あなた自身になりさい。」
そう微笑んで言うのだった。
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