真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~ 作:疾風海軍陸戦隊
ある月明かりの夜、俺は屋敷の庭を散歩していた。これは俺に秘かな楽しみだ。
「やっぱり、夜の散歩はいいな・・・・」
そう呟き歩いていると・・・・
「・・・・・・・ぶきー・・・・」
「ん?」
急にどこからか俺を呼ぶ声が聞こえた。周りを見るが見えない
「・・・・気のせいかな?」
俺がそう首をかしげる
「ふーぶきー」
気のせいじゃない。やっぱりどこからか声が聞こえる。俺は立ち止まり、よーく周囲を見渡す。
「こっちや、こっち」
声のするほうへ顔を向けると・・・
「あ、霞!」
「あ、やっと気ぃついてくれたー♪」
少し離れた芝生に植えられた一角。霞はそこの木の根元に少しによりかかるように座って酒を飲んでいた。俺は霞のところに歩みよる。
「何してるのこんな夜中に?」
「見てわかれへん?」
「お酒飲んでる」
「わかってるやないか~♪それより吹雪もこないな時間に何しとるねん」
「散歩だよ。毎夜は庭を散歩するのが日課なの」
「はは、そっか。じゃあ、うちも夜にこうやって月を見ながら酒飲むのが楽しみなんや」
と、霞は嬉しそうに言う。
「まるで星みたいなこと言うな」
俺はそう言うと
「そや、今の言葉、星の受け売りや。星とはたまに飲んだりするからな~♪」
そう言えばよく非番の日とかに星と霞が飲み比べしているところ見たことあるけどまさかそこまで仲がいいとわな・・・・・
「ほら、吹雪も隣すわりや」
と、霞は手で自分の隣の芝生をポンポンとたたく。俺は断る理由もないので隣に座った。すると霞はくいッと坂月に盛られたお酒を飲む。
「はぁ~美味いわ~」
「本当においしそうに飲むね霞は」
「あったり前や。こんないい月夜に飲む酒ほど美味しいものはないで。あっ!そうや。ちょうど盃がもう一つあるから吹雪も飲まへん?」
と、霞はにっこりと俺にそう言う
「い、いや…俺、未成年だから・・・・」
「未成年?なんやそれ?」
「ああ、俺の国では二十歳になるまでお酒飲んじゃいけないことになってるんですよ」
「か~もったいないな!それ人生損してるで~」
「そうかな?」
俺がそう言うと、霞はもう一つの盃に酒を注ぎ、
「二十歳になるまで酒を飲めんのはあかんで、ほら、飲み!」
「え?でも俺・・・」
「大丈夫や。ここは天の国やないんやから。ここで飲んでも苦情なんか一切来やへんで」
「じゃ、じゃあ遠慮なく」
そう言い、俺は霞から盃を受け取る、朱色の盃には濃い琥珀色のお酒が月夜に照らされキラキラと輝いていた。俺はそっとその酒を飲む。冷たい液体が流れ込み少しの酸味の後、まろやかな甘みが口いっぱいに広がった。
「どうや?」
「・・・・・・・美味い。お酒って美味しいんだな」
「そうやろ。そうやろ♪これうちの大好きな酒なんよ。よかった~吹雪に気に入ってもらえて♪」
取れがそう言うと霞は嬉しそうに頷きながら言う
「霞。これなんてお酒?」
「これ?これはな老酒や」
「あ~これが老酒か。話には聞いたことがあるけど。これどうやって作るの?」
「ああ、これはもち米や。蒸したもち米に小麦麹を混ぜて、醸してるんねよ」
「え?これお米で作られてるのか?」
「うん。せやで。もち米を蒸す前に、水につけて発酵させるんがミソらしーわ」
「へ~発酵させてから蒸すんだ。だから同じ米が原料でも日本酒とは味が違うのかな?」
「にほんしゅ?何それ?」
「ああ、日本酒って言うのは俺の国の天の国の酒だよ。老酒と同じで米から作られているんだ」
「へぇ~天の国の酒かぁ~それ美味しいん?」
「俺はまだ飲んだことないけど、祖父ちゃんは美味いって言ってたぞ。老酒と違ってまた違った魅力があるから霞も気にいると思うよ。現に今、酒屋のおっちゃんに作ってもらっているし」
「ほんまかぁ!?」
「ああ、いつできるかわからないけど」
そう。今、洛陽街の酒屋で今、日本酒を作ってもらっている。なぜ日本酒の作り方を知っているかというと、前に天水で桜花たちが見つけた旧日本兵が書き残した銃や大砲の設計図の本の余ったページに濁酒と清酒の作り方が書かれていたのを見つけたからだ。
「そっか~そりゃ、楽しみやな~出来たら絶対に飲ませてな。約束やで!」
「ああ、わかった」
その後、俺と霞は月を肴に酒を飲んだ。
「あ~やっぱ月を見ながらのいっぱいは美味いな~。なあ吹雪」
「そうだね。春は夜桜 夏には星 秋に満月 冬には雪 それで十分酒は美味いってね」
「なんやそれ?」
「ん?俺の祖父ちゃんが酒を飲む際、よく言ってた言葉だよ」
「へ~吹雪のじっちゃんの言葉か~ええ言葉やな~」
と、霞は感心したように言う。確かにあの時の祖父ちゃんの言葉は正直言ってかっこいいと思った。
「いい言葉を聞いたな~・・・・ほな。吹雪。もう一度、飲もうや。まだ酒はまだたんまりあるやさかい」
「そうだな」
そう言い俺は霞の盃に酒を注ぎ、霞も俺の盃に酒を注ぐ。
「さて、もう一度乾杯ッと行こうか」
「そうやな。・・・・で何に乾杯するの?」
「そ、そうだな・・・・」
俺は考えた。君に瞳にって言うのもキザすぎるしな。かといって前に華琳が言ってた『宙天に輝く、銀月の美しさに』って言うのも俺には似合わないし・・・・・あっ!そうだ
「じゃあさ。俺とみんなが出会えたことにかな?」
俺が浮かんだ言葉はそれしかない。いやそれしかなかった。正直言って俺はみんなに出会えたことが本当によかったと思っている。
「そうか。じゃあ吹雪と、うちらが出会えたことに」
「「乾杯!」」
と、俺と霞は盃と盃を合わせ小さな音が鳴る。そして俺たち二人は月を眺めながら酒を飲む。
「ほんまに今夜はいい日やな~」
と、霞は嬉しそうに酒を飲み
「ああ、俺もだよ・・・・・ん?どうした霞?」
俺が霞のほうを見ると霞はちょっと震えていた
「ああ、いや。どうやらちょっと冷えたみたいやな。あはは・・・」
と、笑いながらそう言う霞。確かにその格好じゃ寒そうだな。俺は軍服の上着を脱ぎ霞に掛ける
「吹雪?」
「これなら寒くないでしょ?」
「そりゃそうやけど、吹雪は?寒くないんの?」
「お、俺は平気さ。男ならこのくらい我慢しないとな。それに女の子が体を冷やすのはよくないし」
正直言ってこれはやせ我慢だ。今の気温は少し寒い。だがこれで霞が風邪をひかないよりはましだ。そう思ってると
「ほんま、いい男やな~吹雪は。そや。うちいいこと思いついた」
そう言い、霞は俺の後ろにつきそして俺を抱きしめる
「し、霞?」
「どや?これで吹雪も暖かいやろ///?」
「///」
と、霞は笑顔でそう言う。
「あはは・・・ありがとう霞」
「いいっていいって。さあ、二人であった待ってきたところやし、このまま酒飲もう」
「そうだな」
と、俺と霞はこの体勢で月見酒をするのだった。この時霞は
「(はあ~吹雪。暖かいな~。ほんま吹雪と出会えてよかったわ~)」
と、心の中でそう思うのだった。そしてそれから翌日・・・・
洛陽街
「あ、頭がいて~」
「隊長大丈夫っすか?」
宮中
「あ、あかん。あ、頭が割れそうやな~」
「霞さん大丈夫ですか?」
二人とも朝から二日酔いの頭痛のせいで大変な目に合うのであった・・・・・・・
この小説は面白いか?またはリメイクの必要ありか?
-
面白い・リメイクする必要はなし
-
面白くない・リメイクの必要あり
-
面白いがリメイクの必要あり
-
面白くないがリメイクの必要もなし
-
どちらでもいい