真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

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驚きの夜に

西の関所、そこは小川が流れ小さな橋がある平たい場所。そこには夕張たちが塹壕を掘って敵を待っていた。

 

「どう?動きはあった?」

 

「いいえ、馬鈞様。まだ動きがありません。やっぱりここは大丈夫なんじゃないですか?」

 

「私もそう思うんだけどね・・・なんだか来そうな気がするのよ。それよりちゃんとあれ運んだ?」

 

「はい。でもあれは何ですか馬鈞様?あれが何の役に立つのですか?」

 

「まあ、それは戦いが始まったらわかるわよ。とにかく警戒は怠らないでね」

 

「はっ!」

 

「ああ、それとちゃんと食事はとってね。たぶん激しい戦いになると思うから」

 

「は?はっ!」

 

そう言い兵士は夕張に敬礼をして持ち場に戻るのだった。そして夕張は設置した秘密兵器を見て

 

「さて、上手くいくといいんだけどね・・・・・」

 

そう呟くのだった。一方、東関所では、川内や桜花が守っていた。

 

「どう来たっすか川内?」

 

「まだよ・・・あ~夜戦とかしたいわね~・・・・ねえ桜花。連中より先に畳みかけちゃだめ?」

 

「ダメっすよ。私もしたいところだけどな。そこは我慢すよ」

 

「残念。でもまあいいわ。きっと奴らここに来るからね」

 

「自信満々に言うっすけど川内。おめえ、その根拠あるっすか?」

 

「そう言う桜花はどうなのよ?敵来ると思う?」

 

「はっ!そんなことわかりきったことじゃないっすか。こんな戦馬鹿な私ですら。もし自分が連合軍の兵士ならここを攻めるっと算段を立てていたんだ。だから連中きっと来るっすよ」

 

「そうね・・・連中きっと来るわね。」

 

と、桜花と川内は互いに笑うのだった。

 

 

 

一方そのころ汜水関では

 

「・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

とある部屋で連合軍の間者であり孫策の命で汜水関に忍び込んでいた周泰は、間者であることがばれて今、斗志たちに尋問されていた。しかし、いっこうに口を割る気配がなかった。

 

「ええい!いい加減に白状したらどうだぁ!貴様が連合軍の間者だというのは割れているんだぞ!何が目的で我が第三師団の服装を着て変装してもぐりこんだんだ!」

 

と、斗志がバンっと机をたたいてそう言う。だが周泰さんはプイッとそっぽを向くだけで喋らない

 

「貴様・・・・・隊長!いっそのこと拷問に掛けましょう!石抱の道具取ってきます!」

 

「待て、斗志」

 

「なんですか隊長?あ、石抱じゃなくて吊り責めの方がいいですか?」

 

「いや、違うから。少し落ち着け。・・・・で、周泰さんだよね?」

 

「・・・・・はい」

 

「なんで汜水関に忍び込んだの?観光目的じゃないよね?」

 

「・・・・・・」

 

「わかった。じゃあ、ほかのことを訊こう。君が来ていた軍服なんだけどどこから手に入れた?まさか兵士を殺して身ぐるみはいだのか?」

 

「・・・・いいえ。そんなことはしていません。たまたま干してあった服を借りただけです。」

 

俺は周泰の目を見る。うん嘘は言っていない。これは本当だな

 

「・・・・で、君は雪蓮の命で来たの?」

 

「・・・・・はい」

 

「あれ?孫策の真名を言っても驚かないんだね?」

 

「はい。潜入する前に孫策様から貴殿と真名を交換しているとの話を聞いたことがありましたので」

 

なるほどな・・・・・・俺は潜入した目的以外のことを訊くと周泰はできるだけ話す。

 

「そうか。君は猫好きなのか・・・・」

 

「はい。お猫様は私の命です」

 

「なるほど・・・・・で、君がここに潜入した目的なんだけど話してくれるかな?」

 

「それだけは言えません」

 

「あれ?そうなの」

 

やっぱり、そこだけは言わないか・・・まあ、当然か。

 

「そうか・・・・それは残念だ話してくれれば猫の楽園に連れてってあげようと思ったんだけどな~」

 

俺がそう言うと周泰の眉がぴくっと動く

 

「なあ、斗志。猫の楽園は最高だよな?」

 

「え?」

 

俺の言葉に斗志は最初はえ?っというような顔をしたがすぐに俺の考えを悟り

 

「あ~そうですね~あそこはいろんな猫たちがいっぱいいて、まさに天国ですね~なっ美佳」

 

「え?・・・あっ!そ、そうですね~あのモフモフ天国は言葉に表せないです。猫好きである周泰さんも連れて行きたいところですが喋ってくれないと無理ですね~」

 

斗志や美佳の言葉を聞いて周泰は目をキラキラさせ体はうずうずしていた。

 

「どうする?言う?もしも言ってくれるんなら猫の楽園ご招待するけど?」

 

「お…お猫様の楽園・・・・・じゅるり・・・・・あっ!いけないいけない!その手には乗りません!ど、どうせ。そ、そんなのはう、うそでしょ?」

 

と、周泰は目を泳がせながらそう言う。うんあともう一押しだな・・・・

 

「嘘じゃないって・・・・あ、そうだ何ならこの子をおまけにつけよう。美佳さん」

 

「はい。連れてきました」

 

と、美佳が籠を持ってやってきた。その籠の中には

 

ミ~ミ~♪

 

数匹の子猫だった。

 

「はわぁ~こ、これは天国ですかっ!?」

 

「どう?事情聴取にちゃんと答えたら猫の楽園行きの権利とこの子猫ちゃんたちをあなたに・・・・・」

 

「言います!言いますからっ!!どうかその子猫をモフモフさせてください!!」

 

周泰猫パワーによってあっさり陥落した。それにしても周泰の猫による愛はすごいな…いずれ猫をあがめる宗教や寺を作りそうだな例えばにゃんこ宗とか・・・本猫寺とか・・・・そして周泰は自分の知っていることを隅から隅まで話していた。てか子猫パワーでもはや正気を失ってるし瞳がハート状態になっている・・・・そしてしばらくすると事情を聞いた斗志が俺のところにやってきて

 

「隊長。彼女から事情を全部聞きました。なんでも彼女はやはりこちらを偵察に来て、銃士隊の銃やほかの武器などの把握、もしくは破壊工作もしくは銃をいくつか盗んで連合軍を優位にするために来たらしいです。」

 

「なるほど・・・・」

 

これで周泰が潜り込んだ理由がわかった。

 

「で、隊長。彼女をどうします?」

 

「ん?とりあえずは捕虜として扱う。丁重にな。美佳もそれでいいよな?」

 

「はい。依存はありません。それと吹雪さん。一ついいですか?」

 

「ん?なに?」

 

「先ほど仰っていた。猫の楽園て・・・・・」

 

「ん?母さんの部屋だよ」

 

「「あ~」」

 

俺の言葉に二人は納得したように頷く。そう、母さんって、捨て猫とか捨て犬とかの動物を拾ってきたりと母さんの部屋はまるで動物王国のような感じだった。その中でも猫の数が結構多い。因みに母さんの部屋は動物と戯れる目的なら誰でも出入り自由である

 

「で、どうします。彼女をそこに?」

 

「いや、今戦争中だしな。彼女をそこに連れて行くのは戦争が終わったらそこに招待するか。」

 

「そうですね・・・・」

 

と、俺は周泰を見ると相変わらず子猫を抱いて目をキラキラさせていた。

 

「・・・・さて、連合軍の連中来るかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連合軍・袁紹陣営

 

「まったく夜襲だなんて栄えある名門袁家の恥ですわ」

 

「でもさ~姫。それしか方法がないんだからしょうがないじゃないですか?」

 

「それはそうですけど・・・・そうだ斗詩さん?」

 

「はい。なんでしょうか麗羽様?」

 

「確か、西の関所には曹操さんの兵が行く予定でしたわよね?」

 

「え、は、はい」

 

「では西の関所に彼らを送りなさい」

 

「彼らっというとあれですか?いくら何でも関所を突破するためにあの兵団を使うなんて・・・」

 

「あのくるくる娘に先を越されるのは絶対に嫌ですわ!ですから西、東の攻略の先鋒は私たちの軍を使いますわよ!無論、西は猪々子あなた先頭に行きなさい!」

 

「ええ、私がぁ!?で、でも物資が足りないですよ麗羽様?」

 

「大丈夫ですわよ。もうすぐ我が軍の輸送部隊によって大量の物資が届く予定ですから。圧倒的な物量で押しつぶせばいいですわよ」

 

「そ、そっか~さすが姫!」

 

「もっと褒めなさい!お~ほほほっ!!」

 

と猪々子はそう言い、袁紹が高笑いしていると

 

「麗羽様。遅くなりました・・・・」

 

と、天幕から一人の髪の長い女性が入ってきた。その女性は袁紹の軍師の一人で田豊の幼馴染である郭図だった。彼女は長期休暇を終えて戻ってきたのである。

 

「あら?郭図さん。意外と遅かったですわね?」

 

「はい。長期休暇を終えてたった今戻りました」

 

「あら、そうなんですの、ではあなたは真直さんと一緒に頑張ってくださいね」

 

「はい。・・・・・・それと麗羽様。一つ聞いてもよろしいですか?」

 

「あら?何ですの琉巳(るぅしー)さん?」

 

因みに琉巳とは郭図の真名である。

 

「麗羽様。先ほど輸送団の話をしておられましたよね?まさか輸送進路は昔のままなのですか?」

 

「ええ、そうですわよ。それがどうかしたのですか?」

 

と袁紹がそう言うと、郭図がため息をつき

 

「麗羽様。私、前にも口を酸っぱくして言ってきましたよね・・・・・・あの進路無理がありますと」

 

「あら?何ですの?」

 

「あそこは荒野にして崖で挟まれ身動きが取れにくいうえに賊が出やすい・・・・・おそらく敵か賊に捕捉されて壊滅していますよ」

 

「あら、そんなことはありませんわよ。たかが賊ごときで名門袁家の輸送部隊がやられるなんて絶対にありえませんわ」

 

と、袁紹はそう言いうが、すると一人の兵士が天幕に入ってきて

 

「袁紹様!大変です!」

 

「あら?何ですの?輸送部隊が到着したのですか?」

 

「い、いえ・・・・それが・・・」

 

「なんですの。早くおっしゃい!」

 

「はい、はい!実は輸送部隊が賊に襲われて壊滅しました!」

 

「な、なんですってぇー!!?」

 

 

 

 

 

 

 

一方、袁紹が言っていた輸送部隊は賊の襲撃に会い荷車が火に包まれたりしていた。

 

「またやられた!あれでは助からないっ!」

 

「くそっ!残ってる部隊は俺たちだけか!?」

 

と生き残った部隊は荷車を馬で引きながら逃げていた

 

「くそ。なんだよ!なんでこんなところで賊に会うんだよ!ここいら辺の賊はいないって話じゃなかったのかよっ!」

 

「しかもただの賊じゃねえ!なんでこんなところに・・・・・」

 

そう言い、袁紹軍の兵士が賊の旗を見るそこには黄色い生地に周っと書かれた旗があった。

 

「な、なんでこんなところに周倉の軍勢が・・・!?」

 

「は、班長っ!ま、前!!」

 

「前?・・・・・なっ!?」

 

兵士の言葉に班長クラスの兵が前を見ると、目の前に軍勢が待ち構えていた。そして後ろ左右からも軍勢が現れ輸送部隊は完全に囲まれた状態になっていた。

 

「ど、どうします?か、完全に囲まれましたよ」

 

「く、クッソ~」

 

袁紹軍がそう動揺していると目の前にいる軍勢の中から一人の少女が出てきた。その少女は紫色の長い髪だった

 

「き、貴様は・・・・・・周倉」

 

班長が驚きの声をあげると周倉は二っと笑い

 

「都洛陽の国境へようこそ。ご入国の目的は?通行証はお持ちですか?」

 

と笑いながら言うと班長は

 

「ふ、ふざけるなぁ!」

 

そう言い弩で周倉を狙って撃つが放たれた矢は周倉の持つ剣で切り裂かれた

 

「なっ!?」

 

「通行証はお持ちではない?ではすぐに帰参されて通行証を・・・・」

 

「か、かまうなこのまま突っ走れぇ!」

 

周倉の言葉を無視し班長は強行突破しようとするが・・・・

 

「やれやれ時間の無駄だね。全員、火矢を放てぇ!」

 

周倉の命令であたりから一斉に火矢が飛んでいき、輸送部隊は運んでいた物資とともに焼け死ぬのだった。

 

「引くぞ。もうここには用はないわ」

 

「はっ!」

 

それを見て周倉は部下に命じ引き上げる。そして引き上げる中、周倉は汜水関のある方向を見て

 

「・・・・これで貸し借りはなしよ沖田。それに美佳・・・・・・・」

 

そう言い周倉は立ち去るのだった。

 

 

 

 

 

 

「なんですの~!まったくなんでうまくいきませんの!!」

 

と、袁紹がじたばたしている中、郭図は

 

「・・・・斗詩さん?」

 

「あ、はい。なんでしょうか琉巳さん?」

 

「今の状況を教えてくれるかしら?」

 

と、郭図は顔良から今までの状況を聞いた。

 

「(…‥天の御使いに天の武器ね・・・・・それに二つの関所に我が袁紹軍の精鋭を送り込む。たとえ勝ったとしても被害は甚大。この戦争が終わった後のことを考えると・・・・・・あらやだ。私たちの軍・・・・いえ、そもそもこの連合自体、始まった時からすでに詰んでるわね・・・・・・)」

 

と、郭図は苦笑いするのだった。

 

そしてその作戦会議から三日後ついに夜襲作戦が始まるのだった。

 

 

 

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