真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

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門前の虎

宮中

 

「賈詡様!たった今連合軍が汜水関を突破しました!」

 

「そう。吹雪たちの軍は?」

 

「はっ!華雄将軍。徐栄将軍とともに虎牢関へと撤退されました」

 

「そう。わかったわ。あなたはもう下がりなさい」

 

「はっ!」

 

そう言い伝令兵は下がる

 

「吹雪・・・・大丈夫かしら・・・」

 

一人残された詠はそう呟く。今のところ事は詠と吹雪が立てた作戦通りとなっている。そして伝令兵が来る前に吹雪から手紙が来たのだ。その内容は「月や詠。元気にしているか?」とか「早くみんなに会いたい」などの一見見れば恋文みたいな内容の手紙ばかりだ。

 

「ふふ・・・・吹雪ったら。私も早く会いたいわよ」

 

いつも来る手紙の内容を思い出し詠は微笑む。すると詠はあることに気付く

 

「あれ?そう言えば月は・・・・」

 

主であり幼いの親友である月の姿はなく詠は屋敷中を探し回った。そして角を回ると侍女の人に出会い詠は月がどこに行ったか聞く。すると侍女の人は

 

「董卓様なら井戸の方に向かいました」

 

と、聞き詠は井戸のある中庭の方へと向かう。

 

「月?月?どこ~?」

 

と、月を呼ぶ詠。すると、どこからか水の音が聞こえ、詠がそこへと向かうとそこには井戸の水を自分に掛けている月の姿があった。詠は月のところに行こうとしたが

 

「・・・・・吹雪さん‥‥皆さん・・・・どうかご無事で・・・」

 

冷たい井戸水を被りながらそう呟く月。自分は吹雪たちみたいに武に長けても志乃や詠みたいに軍師としての知力があるわけでもない。何もできない自分だが、だから自分ができるのはせめてこうして祈るしかなかったのだった。

 

「月・・・・」

 

それを見た詠は、ただひたすら祈る月に何も声をかけることができなかった。

 

「(吹雪・・・・・無事でいなさいよ)」

 

そう言い詠も心の中で吹雪のことを心配するのだった。

 

 

 

 

 

虎牢関。

 

「よしっ!全員いるな。」

 

「はっ!吹雪隊全員います!」

 

「ああ、華雄隊も全員いるぞ」

 

「同じく徐栄隊もよ。それにしてもまさかここで撤退するとは思いもしませんでした。」

 

「まあそう言うな徐栄。これも作戦の内だ」

 

「あら、華雄。あなたにしては珍しいわね。いつもなら『撤退などせずここは突撃だぁ!!』って言うはずなのにね?」

 

「ふふ・・・もう昔の私とは違うのだ徐栄」

 

と、華雄と夢華はそう話し合う。あの交渉から夜中、俺たちは敵に見つからないようにひそかに汜水関を撤退し後方にある、第二要塞である虎牢関に撤退したのだ。第二要塞である虎牢関は汜水関に比べて少し小さな砦だが自然が多く潜伏戦には便利な場所であった。そして吹雪たち虎牢関につくと

 

「兄上!ご無事でしたか!」

 

と、母さんと一緒に出迎えに来てくれたねねが俺に抱き着いた。なんかこの頃ねねのキャラが変わってきているような・・・・

 

「ああ、ねね。俺はこの通りぴんぴんしてるよ」

 

「えへへ~」

 

俺がねねの頭をなでるとねねは嬉しそうに目を細める。

 

「うらやましい・・・・」

 

「ねねもお兄ちゃんの前じゃ甘えっこなんやな~」

 

「これは天の国の言葉で言うならブラコンってやつですかな?」

 

すると周りのみんながそれを見てニヤニヤする。それに気づいたねねは顔を赤くし、俺の腹を膝蹴りした。

 

「へぶっ!!」

 

「いつまでも撫でるな!なのです。こ、この女たらしなのです///!!」

 

「そ、そらねえんじゃないか、ねね!?」

 

「ふ、ふ~んです!!」

 

と、照れ隠しに顔を背け奥の方へと走りだしてしまった。やれやれキャラが変わったと思ったのは気のせいだったか。そしてねねとすれ違うように母さんがやって来た

 

「吹雪・・・・大丈夫?」

 

「あ、ああ…大丈夫だよ母さん。ちょっと応えたけどな・・・・」

 

俺が腹を押さえて言うと母さんは微笑み

 

「あれでもねね。吹雪のこと、とても心配してた。だから今の蹴りは大目に見て・・・・」

 

「わかってるよ母さん。」

 

ねねの顔を見て心配させちまったのはわかっている。しかもあの蹴りは本気じゃなくて少し加減してたしな。すると

 

「吹雪。今日の夜・・・・空いている?」

 

「・・・・へ?」

 

 

 

 

 

夜、一個の個室で俺と母さんは食事っといっても軽食の肉まんを食べていた。無論ねねも一緒だ。

 

「「「・・・・」」」

 

「(き・・・・気まずい。おい。ねね・・・どういうことだ?)」

 

「(ねねにもわからないのです・・・・・あ、兄上。何か話して場を和ませてください)」

 

「(何って・・・・何を話せばいいんだよ。)」

 

俺とねねは目線だけで会話をしていたすると・・・・

 

「吹雪・・・・」

 

 

と、その沈黙を破るように母さんが俺に声をかける

 

「ん?何?母さん?」

 

「吹雪・・・・あなたは虎牢関の・・・・南門に・・・行くの?」

 

「ああ。南門の部隊が人手不足だからって華雄と夢華の部隊が行く予定だよ・・・・母さんは北門だろ?」

 

「・・・・うん。桜と霞と一緒に守る・・・・・ことになったけど・・・・吹雪はあそこで大丈夫?恋なしでも平気?」

 

「ああ。大丈夫だよ母さん。みんながいるし。それに俺には母さんが渡してくれたこのお守りがあるからね」

 

そう言い俺は懐に入れたお守りを見せる。いろいろとほつれてはいるが母さんが俺の無事を祈って作ってくれたお守り。これさえあれば俺は死なない。そう思った。それを聞くと母さんは少し微笑んでいた。そしてしばらくねねと一緒に食事をし。食事を終えると

 

「ご馳走様。それじゃあ、母さん。ねね。行ってくるよ」

 

そう言うと俺は立ち上がり軍帽を被った。

 

「兄上・・・・・ご無事で・・・・」

 

そう心配そうに言うねね。俺はねねの頭をなでる

 

「あ、兄上・・・・」

 

「心配してくれてありがとな・・・・ねね」

 

俺はねねにそう言い、しばらくねねの頭をなでた後、母さんに敬礼をして部屋を出るのだった。

 

「さて・・・・明日の攻撃前に備えて、九九式の点検でもするか・・・・・」

 

そう言い吹雪は兵士の一人に何か伝えとある場所へと向かうのであった。そして部屋に残された二人。そしてその中、恋は窓から夜空を見て

 

「(・・・・・総司・・・・どうかあの子を守って・・・・)」

 

亡き夫である総司に吹雪の安否を願うのであった。

 

 

 

 

 

一方、その頃連合軍では夜明けに開始される戦いに向けて作戦会議をしていた

 

「こうなったら突撃ですわっ!」

 

と、袁紹がそう声をあげみんな驚く

 

「ちょっ!袁紹!あなた汜水関でのことをもう忘れたの!?今、突撃したら天の国の武器である銃の的になるだけよ!」

 

「あら曹操さん?臆したのですの?とても難攻不落といわれた汜水関を落とした武将の言うことじゃありませんわね?」

 

「私は冷静に分析して言ってるのよ!」

 

華琳がそう言うと劉備の傍にいた孔明が

 

「確かに曹操さんの言う通りです袁紹さん。汜水関の戦いで私たちの軍は痛手を受けています。それにその戦いのせいで諸国の人たちも戦意が無くなって逃げて行ってしまいましたし・・・・」

 

「あら?孔明さん。あなた義勇軍の軍師の分際で名門でありこの連合の総大将の私に意見するなんて随分と偉そうですわね?」

 

「はわわ!す、すみません・・・・」

 

「とにかく。袁紹正面突撃は危険よ!あなた汜水関に続いてここでも無駄に兵を失う気なの!?」

 

「お黙りなさい曹操さん!私は連合総大将の命としてそう突撃を命じますわ!」

 

「(くっ・・・・ここで総大将命令を出すなんて・・・・)わかったわ。でも先鋒は袁紹、あなたが行きなさい!」

 

「ええ、かまいませんことよっ!またどこかの馬の骨に先を越されるのは癪ですからね。優雅な勝ち方っというのをあなた方に見せて差し上げますわ!お~ほほっ!!」

 

と、うるさいくらいに袁紹は高笑いするのであった。その高笑いに呉、魏、義勇軍、西涼の軍は

 

「(終わった…この連合、終わった・・・・)」

 

と、みんな感じるのであった。そしてその後、作戦会議が終わり各自天幕へと戻るのであった。

 

 

 

劉備軍天幕

 

「はわわ・・・・大変なことになっちゃいましたねご主人様・・・」

 

「ああ、でも俺たちは最前線の南門じゃなくて北門を攻略することになったらしいしな」

 

天幕の中で北郷たちは地図を広げて作戦会議をしていた。

 

「・・・で、朱里、雛里。沖田軍は南門にいる可能性はあるか?」

 

「はい。南門は北と比べて洛陽街での一番の近道ですから・・・・」

 

「あわわ・・・・それに聞いた話では呂布さんの軍もそこに布陣しているとの報告がありました」

 

「呂布か・・・・・厄介だな。なあ、二人ともさっき袁紹が北門を攻めるっといったけどどっちが勝つと思う?」

 

と、北郷ははわわ、あわわ軍師にそう訊くと

 

「………私は董卓軍です。やはり一番の武器は銃だと思います」

 

「………私も朱里ちゃんと同じ考えです」

 

「そうか………」

 

孔明と龐統の言葉に北郷は、沖田のことを考えた

 

「(やっぱりおかしい・・・・・俺の知ってる歴史では董卓は暴政を働いている。それは沖田も知っているはずだ。だがなぜあいつは董卓軍にいる?・・・・もしかして何か考えがあるのか?・・・・いったい洛陽では何が起こっているんだ?)」

 

「ご主人様?どうかしたの?」

 

と、劉備がそう言うと

 

「え?ああ、大丈夫だよ。それよりも朱里」

 

「は、はい!」

 

「間者を董卓軍内にそれも洛陽街に入れてほしいんだ」

 

「間者を………ですか?」

 

「あぁそうだ」

 

「でも何でですか?………」

 

龐統がそう言うと

 

「本当に董卓が暴政をしてるかどうか調べるためさ」

 

そう言う北郷であった。そして翌朝北郷軍は北門へと向かった。そこには沖田軍や呂布などのチート級の武将がいないことをこの時北郷・劉備軍はそう祈った。しかしこの時の虎牢関の2つの門のうちの一つは南門を守る猛虎の母虎が守っていたことに気付かなかったのだった。

 

 

 

 

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