真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

86 / 111
沈む太陽

「「吹雪っ!!?」」

 

吹雪の胸は赤黒く染まり、そして吹雪は苦しそうな顔をしてしゃがみ込んでいた。

 

「だ、誰だぁ!!誰が矢を!?」

 

と、華雄は春蘭たちの後ろにいる兵たちを睨んだ

 

「ち、違う!俺じゃない!!」

 

「俺じゃねえぞ!?」

 

と全員が否定の声をあげる中、吹雪は腰のホルスターから南部14年式を取り出し。そして右側にある岩影のほうに向けた。そして春蘭たちはその方向を見るとそこには袁紹軍の兵がいた。

 

「お前は袁紹軍の!?」

 

秋蘭が驚く中

 

「よくも・・・・仲間であるはずの春蘭を狙ったな・・・・貴様・・・」

 

と、痛みを堪え吹雪はその袁紹軍兵士を睨む。吹雪は怒っていた。自分が弓矢で撃たれたからではない。自分が撃たれたことよりも同じ連合でありながら味方であるはずの春蘭を狙たことに怒っていたのだ。

 

「ち、違う!お、俺はただ・・・」

 

「問答無用!!」

 

うろたえる袁紹軍兵士に吹雪は拳銃の引き金を引きその兵士は心臓に弾丸があたり絶命した。すると吹雪は胸に刺さった矢に手をかける。そして吹雪はその矢を思いっきり抜き投げ捨てる。

 

「ぐっ!!」

 

「吹雪!!」

 

吹雪は痛さのあまり顔をゆがめると華雄がそばによるすると吹雪は

 

「だ…大丈夫だ。こんな傷・・・・大したことないよ」

 

「だが・・・・」

 

と笑って答えたが華雄は今にも泣きそうな顔をしていた。そして俺は軍刀を杖代わりにして立ち上がりそして春蘭の方を見る

 

「春蘭・・・・すまないな突き飛ばしてしまって。怪我はないか?」

 

「あ、ああ・・・・私なら大丈夫だ。しかし・・・」

 

「俺は別にいいんだ。矢も抜いたし、こんなの傷口洗って包帯巻いて止血すればなんも問題ない・・・・」

 

「お、沖田・・・・」

 

「じゃあ、またな春蘭。縁があればまた会おう」

 

そう言って吹雪は華雄に支えられながら、その場を去った。そして魏の兵士たちは虎牢関へと撤退する二人を追おうとはしなかった。その時、秋蘭は吹雪が投げ捨てた矢を拾って見ていた。

 

「っ!?この矢は・・・・」

 

秋蘭は吹雪に刺さっていた矢を見て何かに気付く。

 

「ま、待て沖田!!」

 

そう言い彼女は吹雪を追いかけようとしたが春蘭に肩をつかまれ止められる

 

「あ、姉者!?いったい何を・・・・・・・っ!?」

 

秋蘭は姉である春蘭の顔を見た。春蘭の目は涙でたまっていて、その一筋の涙が彼女の頬を伝っていたのだ。そして秋蘭は顔を下に向けて

 

「沖田・・・・すまぬ」

 

と、つぶやくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

華雄に肩を支えられたまま俺は虎牢関へと戻る。すると・・・・

 

「すまない・・・・・吹雪」

 

と、華雄がいきなり謝り始めた

 

「私が・・・・夏侯惇との一騎打ちなど受けなければ吹雪は・・・・すまぬ…本当にすまぬ」

 

と、涙を流し俺に言う華雄

 

「華雄のせいじゃないよ・・・・・ここは戦場だ。その戦場に入ったら怪我をするのは当たり前のことだ。だから華雄が気にすることはないよ」

 

と、俺はそう言い。そして俺たちは虎牢関にたどり着く。そして虎牢関の中へ入ると俺の様子を見た兵士たちが動揺し始め

 

「沖田様!負傷!!衛生兵!衛生兵はどこにいる!?」

 

と、慌て始めそして

 

「吹雪様!」

 

志乃がやって来た。俺はそのの顔を見て

 

「すまない志乃・・・・・不覚(・・)を取ってしまった」

 

俺がそう言うと志乃は俺の言いたいことに気が付いたのか

 

「・・・・・・・・では、吹雪様は後方へ下がってください。すぐに名医をお呼びします」

 

と、志乃は少し涙を抑えるような静な声でそう言うが俺は首を横に振った

 

「いや、兵たちが命懸けで戦っているのに、指揮官である俺が安全な後方へ下がるわけにはいかない。せめて敵の攻撃がやみ引き返すまでは俺は下がる気はないよ」

 

「しかし吹雪様・・・・」

 

「すまない志乃。だがお願いだ。俺のわがままを聞いてくれないか?」

 

と、吹雪は志乃に不適の笑みでそう言う。すると志乃は

 

「・・・・・・わかりました。けど万が一の為に衛生兵を隣につかせることをお許しください。鈴」

 

「はい。先生」

 

「すぐに洛陽に行って名医を呼んできてちょうだい。急いで」

 

「わかりました。あの街は私にとって庭のようなものです。すぐに良い医者を連れてきます」

 

そう言い鈴は頭を下げて走って洛陽の街へと走っていった。

 

「すまない・・・・・夕張」

 

俺は夕張を呼ぶと夕張がやってくるその目は涙で濡れていた

 

「…何?」

 

「例のあれを頼む。敵を驚かせたい」

 

「任せて。すぐに準備する」

 

そう言い夕張は敬礼をし部下を引き連れてある物の準備をする。そこに桜花がやってくる

 

「桜花・・・」

 

「はいっす!」

 

「斗志たちのほうはどうだ?」

 

「大丈夫っす!さっき伝令で呂布様を助けることに成功しました。それとアンチョビ姐さんも敵に大打撃を与えていま、北門へと戻ったって報告を受けたっす」

 

「そうか・・・・よかった・・・・桜花。頼みがある」

 

「何でも言ってほしいっす隊長」

 

「旭日旗を・・・・・・旭日旗をあげてみんなの・・・士気を高めてくれ」

 

「わかったす!すぐに準備するっす!ですから隊長もしっかりしてくださいっすね!」

 

「ああ・・・」

 

桜花は涙で濡れた顔を袖で拭き、そして元気よく答えてとあるところに向かった。さて・・・・俺も行きますか。俺は連合軍が良く見える城壁の方へと向かうのであった。

 

 

「突撃!!」

 

一方、北門では北郷軍は下がったが、孫呉の軍は今だ引いていなく激しい戦闘が行われていた。そして少数の銃士隊は小銃につけられた銃剣でそして剣だけで戦う抜刀隊は万歳突撃を敢行し、孫呉の精強な兵士たちと激しい戦いをしていた。

 

「はぁ!!」

 

「やぁ!!」

 

そしてその中、吹雪隊小隊長の一人アンチョビは太史慈相手に奮闘していたが、太史慈が北郷隊の兵が撤退したっと伝令に来た兵から聞くと

 

「・・・・どうやら、北門制圧は失敗したようね・・・・悪いけどこの勝負引き分けのようねアンチョビ殿」

 

「そのようだな。」

 

と互いに笑うと、アンチョビの部下が

 

「アンチョビ様・・・・」

 

と何やらひそひそとアンチョビに話す。するとアンチョビは少し動揺した顔をしたがすぐに冷静な顔になり

 

「わかった。斗志たちの兵もか?」

 

「はい・・・・」

 

「そうか。わかった。そう言うことだ。じゃあな太史慈」

 

「ええ、今度会う時は敵じゃなくて友として会いたいわね」

 

と、互いはそう言いやがて両方とも自軍の陣へと引き返したのだった。そして霞の方は、孫策と激しい一騎打ちをしていたのだが、霞のも部下から引き上げ命令が出たのだ。

 

「チィ、よう仕留めきれんかったか…、一騎討ちして初めてやわ、まあしゃあない、また今度楽しみにしておくで、孫策」

 

「それはこっちの台詞よ張遼、でも今度は決着つけるわよ」

 

と言いながら霞が撤退するのを追撃せず見送ると、孫策のもとに袁術の伝令兵がやってきて北門への攻撃を止めて南門を攻めよっとの命が来たのだ。

 

「まったく、あのお子様は・・・・・いずれぎゃふんと言わせてやるわ」

 

と、言いながら南門へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

一方、南門では、一度引いた連合軍はすぐに全兵力を南門へと集中させた。それを城壁で見ている吹雪額には白い鉢巻をしていた。横には志乃がいた。

 

「まさか袁紹本人が先頭を行くとわな・・・てっきりずっと後方にいると思ったが・・・」

 

「恐らく、先に汜水関を曹操殿に突破され、そしてさっき北門が北郷軍に突破されそうになり流石に焦ったのでしょう。・・・・それよりもいいのですか吹雪様。斗志や星。そしてお母上である恋様の到着を待っても・・・・」

 

「いや…残念だが今の俺には時間が残されていないよ・・・・現にあたりも少しぼやけて見えるよ。あはは・・・」

 

「・・・・」

 

志乃は吹雪の言葉になんも返さなかった。いや返せないのだ。志乃は今涙をこらえるのに必死のため吹雪の言葉に応えることができなかったのだ。

 

「さて・・・・いっちょ敵さんの前で演説でもするかな」

 

と、吹雪は敵に自分の見える位置へと立つ。連合軍は旭日の旗の前に吹雪が出てきた事に少し驚いた。そして吹雪は袁紹のいる方へ顔を向けそしてこう言った

 

「嘘の檄文に惑わされ己の名声や私利私欲のため集まったや連合軍どもよ!!これ以上、洛陽を侵略し、その街に住んでいる民たちの平和を壊すならばこの天の御使い!沖田吹雪が許さん!!」

 

と、吹雪が大声をあげると先頭に立っていた袁紹は驚いた。袁紹も彼の名を聞いたことがあるが、まさかあの時の温泉の時に会ったあの優男があの沖田吹雪だったとは思いもしなかっただろう。そして吹雪は袁紹の顔を見て

 

「連合軍総大将の袁紹よ!これ以上、侵略行為をするというのなら天の怒りの声を聞くことになるぞ!それが嫌ならさっさと国へと帰られ!!」

 

「お黙りなさい!我々は陛下やその民たちを董卓の暴政から救うために集まった官軍連合!そして我々は逆賊であり賊軍であるあなたたちを征伐するために来たのですわっ!!」

 

と、吹雪の剣幕に押されそうだった袁紹は名門の出のプライでのせいか意地になりそう答えた

 

「(賊軍か・・・・幕末時代の先祖の気持ちも少しわかるな・・・・)偽の檄文を鵜呑みにして、その事実を確かめもせず攻めて来た奴が偉そうに吠えるなっ!征伐できるものならしてみろ!袁紹!!!」

 

と吹雪がそう言うと

 

「言われなくてもしますわ!全軍突撃!!」

 

と、袁紹の命令で全軍が突撃をした。すると吹雪の後ろで

 

「吹雪!榴弾装填終わったわよ!」

 

「よし!砲兵第一射、撃ち方始めぇー!!」

 

吹雪がそう言った瞬間雲一転もない空にいきなりの雷鳴が響き渡った。銃士隊の銃撃音よりもはるかに大きい音だ。その音に連合軍の兵士は驚き中には腰を抜かすものも出た。そして何かが落ちるようなすさまじい金切り音が聞こえた瞬間。突如、二つの衝撃がして砲弾が落下した場所にいた兵士達を吹き飛ばし、そこにいた兵士たちはばらばらとなって一瞬で死んだ。

 

「「「っ!?」」」

 

一瞬の出来事に連合軍兵士たちは動揺し動きを止めた

 

「動きを止めた今が好機!銃士隊!弓体!迫撃砲隊!敵が撤退するまで撃ち続け!!」

 

と、夕張の指示で隊士たちは連合軍に攻撃をする。そして攻撃部隊が撃ち続ける間

 

「砲兵第二射、榴弾装填完了!準備良し!」

 

「撃てぇー!!」

 

夕張がいい、そしてまた大きな雷鳴が響き渡り、そして何かが連合軍兵士に降り注ぎ、そしてあたりは紅い血の雨と化した。

 

「な、なんですの、あ、あれは・・・・・」

 

袁紹はいきなり目の前にいた多くの友軍がことごとくやられるのを見て驚き冷や汗をかく。すると

 

「袁紹様!これ以上の攻撃はお味方を減らすだけです!ここは撤退を!」

 

と、軍師である田豊がそう言った

 

「で、ですが・・・撤退などと」

 

「そんなことを言っておられる場合ですか!いずれはここにも敵の謎の攻撃が降り注ぎます!」

 

「わ、わかりましたわ!全軍撤退ですわ!」

 

そう言い連合軍は撤退するのであった。

 

 

 

 

「敵が引いていきます!」

 

「やったわ!」

 

と、敵が引いていくのを見て董卓軍は歓喜の声をあげた

 

「それにしても。すごいわね・・・・この大砲って言う武器。作るのはかなり大変だったけど、やりがいはあったわね・・・・」

 

と、夕張は自分の隣にある大砲を見てそう言った。そう。あの音の正体は大砲により砲声だった。しかもその大砲は史実での旧日本軍の大砲。三八式野砲だった。三八式野砲は旧日本軍が1905年(明治38年)に正式採用された日本初の駐退復座機を装備し、太平洋戦争終結まで使われた野砲である。因みに火薬は無煙火薬は作れなかったため単発式ボルトアクションと同じ褐色火薬である。因みに夕張が三八式野砲の設計ができたのは天水で見つけたあの旧日本兵が書き残した設計図がおおもとの理由である。さすがの夕張も駐退復座機を作るのにかなり手こずったため今ある三八式野砲は三門だけであるがこの時代にとって単発式ボルトアクションの小銃や木製迫撃砲と並びチート級の兵器であり脅威であろう。

 

 

「隊長!敵が引いてきます!。我々の勝利です!」

 

と、桜花が旭日旗を振りながらそう言う。

 

「そうか・・・・・敵は引いたか・・・」

 

と俺は城壁から連合軍が引いていくのをこの目で見た。この日はもう夕暮れで空が血のように赤かった。そして俺は

 

「日が・・・・・沈むな・・・・」

 

だんだんと沈む太陽を見て、俺がそう言った瞬間、急に何かが喉からこみ上げた。俺は手で口をふさぐ。すると何か生暖かいものが俺の手に伝わり俺は自分の手を見た。俺の手は赤黒く染まっていた。そう血だ・・・・すると俺の意識はどんどん遠のいていき、急に視点が真っ赤な空を写した。そうか今、俺は倒れているのか・・・・そして俺が最後に目にしたのは、涙を流して俺の顔を覗き込み、俺の名を呼ぶみんなの姿があった。その景色を最後に俺は瞼を閉じたのであった・・・・・・

 

「(母さん・・・・・月・・・・ごめんな・・・・)」

 

それがこの時、俺が思った言葉であった・・・・・

 

この小説は面白いか?またはリメイクの必要ありか?

  • 面白い・リメイクする必要はなし
  • 面白くない・リメイクの必要あり
  • 面白いがリメイクの必要あり
  • 面白くないがリメイクの必要もなし
  • どちらでもいい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。