真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~ 作:疾風海軍陸戦隊
「今日はいい天気っすね隊長」
「そうだな~」
あの平和条約から翌日、俺と桜花は洛陽の街を歩いていた。理由は言うまでもなくここでの最後の警邏の仕事だ。あと数日したら俺たち董卓軍は洛陽を離れ長安へ行くことになっている。そう思いながら俺は不審者や犯罪者がいないか念入りに見廻っていた。もちろん俺だけではなく斗志たちも最後の警邏の仕事をしている。すると・・・・
「朝から警邏とは精が出るわね吹雪」
と、後ろから声がし振り向くとそこには華琳や季衣や流琉そして桂花がいた
「やあ、華琳。街の視察かい?」
「ええ、まあそんなところね。・・・・・で、あなた怪我の方は大丈夫なの?」
「ああ、おかげさまでこの通り元気さ」
「本当に?兄ちゃん痛くない?」
「ああ、もう大丈夫だよ季衣」
「えへへ~♪」
心配そうに言う季衣に俺は頭を撫でると季衣は嬉しそうに目を細める
「そう・・・・それよりも礼を言うわ。もしあなたが春蘭を庇ってくれなければ、春蘭は毒矢にやられていたわ」
「そんなお礼を言われることはしてないよ。ただ勝手に体が動いただけさ。それに礼を言うのはこっちの方さ。俺や月を助けるため凪や桂花を使ってにいろいろと調べてやってくれたんだろ?」
「さあ?なんのことかしらね?ねえ桂花」
「ええ、なんで私があんたのような奴のために動かなきゃいけないのよ。それと話しかけないでよね妊娠しちゃうから」
と、華琳がふっと笑い、桂花は相変わらずというかなんていうかそんな感じだな。
「それにしてもあなたってやっぱり変な男ね」
「ん?なにが?」
「あなた、戦争中に捕らえた敵兵をまるで客のような扱いをしたり、好きに洛陽の街を歩かせたていうじゃない。普通はそんなことしないわよ?」
そう、あの平和条約の後、俺たちは反董卓連合戦の時に捕らえた捕虜を解放した。ただ一部の捕虜は董卓軍にいたいということで残った者もいた。だが、連合軍の奴らが驚いたのはそれではない。解放された捕虜があるで何事もなかったかのように元気な姿で戻ってきたことに驚いていたのだという。
「まあ、確かに彼らは敵兵であり捕虜だ。ただ彼らは犯罪者でも囚人でもない。ただ己の信念のため戦ったに過ぎないんだ。だから非人道的なことはしないよ」
「そう・・・・」
と、華琳がそう言うと
「あーっ!いたのじゃ麗羽!」
「見つけましたわっ!華琳さん!」
「・・・・・・・またうるさいのが」
俺と華琳が歩きながら話しているとそこへ袁紹と・・・・・袁紹を小さくしたような少女がやってくる。身なりと顔を見て袁紹の親戚な感じがするんだが・・・・・・
「あ、いっちー!元気ー?」
「おー。きょっちーも流琉も元気そうでなによりだ」
と、季衣が文醜に挨拶すると文醜は元気な声であいさつする。それにしてもいっちーにきょっちー?
「こんにちわ、みなさん。そして沖田さん」
と、顔良が丁寧にお辞儀して挨拶をする。なんだろう顔良さん見ているとこの人が袁紹軍の一番の苦労人って気がするんだが・・・・・すると
「おうーいっちー!元気にしてるっすか?」
「おーイェイ!おうっち!今日もあたいは元気だぜー!」
と、なぜか元気に挨拶している。確か二人って死合いをしたんだよな?
「おい、桜花。文醜と仲良くなっているが何かあったのか?」
「ん?ああ、隊長。実は隊長たちが条約会議にいる間、交流してたらすっかり意気投合しちゃって~そうだよないっちー?」
「そうだぜ。少し前までは死合いして怪我負わされたんだけどさ、話とかしたら共通することが多くて今ではすっかり仲良しさなあ、おうっちー?」
と二人は肩を並べ大笑いしながらそう言う。ま、まあ、仲がいいのはいいことだな・・・・・するとと袁紹が
「そんなことよりも、聞きましたわよ!あなたここの太守になるそうなんですってね!!なぜ漢王朝の都である洛陽の太守は名門の私ではなくなんで田舎娘のあなたなんですか!!」
と、袁紹がそう言う。そう実はここ洛陽のの太守の後任者は華琳となっていている。因みに凪たちもここの警邏を任させることになっていて現在斗志たちと一緒に警邏の見回りを手伝っている
「陛下直々に指名されたのよ。問題があるようなら、確認してもらっても構わないけれど?」
「な、陛下直々に!?」
「ええ、陛下が言うには
とそう言うと華琳は俺のほうをちらっと見る。俺はその目線を反らす
「なっ!?」
「ずるいのじゃ!三公を輩出した名門袁家の妾たちを出し抜いて!!」
「く~・・・・・・・・・っ!点数稼ぎも良い所ですわ!ええい、猪々子さん、斗詩さん!こんな所にいる場合ではありませんわっ!行きますわよっ!」
「木を見て瓶なのじゃ!」
「ひゃっ、ちょっと、麗羽さまー!」
「きゃーっ!ひっぱらないでー!」
と、そう言い二人を引っ張る袁紹。すると
「華琳さんっ!」
「・・・・・・・ん?」
袁紹は立ち止まって華琳に振り返ると・・・・
「この、タマ無しーっ!」
「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」
「ちょっと麗羽さま、下品ですよぅ!」
そう言い袁紹は嵐のように去って行った。そして華琳は
「そ、そりゃあ、玉はないでしょうよ・・・・・・・・・・・」
「なんだったんだあいつら・・・・・」
てか、女の子が玉とか言うなよ・・・・・すると桜花が
「隊長。そろそろ仕事に戻らないと・・・・」
「ああ、そうだったな。それじゃあ華琳。俺はこれで」
「え~兄ちゃん。もう行っちゃうの~もっと話そうよ」
「無理言わないの季衣。兄様は仕事中なんだから・・・・・」
季衣にそう言う流琉だがその顔は少し残念そうな名残惜しそうな顔をしていた。それを見た俺は
「まだ数日はここにいるから。暇ができたらゆっくり話そうな」
「「うん(はい!)」」
俺は二人の頭の上にポンと手を乗せ撫でると二人は嬉しそうに返事をする。
「じゃあ、華琳また・・・・・」
「ええ、警邏頑張ってね吹雪」
と、華琳がそう言うと俺は桜花おとっもに警邏へと戻るのであった。華琳はその様子を吹雪が見えなくなるまで見ていた。すると華琳が
「そう言えば桂花」
「はい」
「さっき劉備軍が食料を他の兵たちにふるまっていたわよね?」
「はい。傷ついた兵を労うとかで、でも食料や人数が足りずあの関羽も炊き出しているようです。董卓たちもそれに協力しているようですが・・・・」
「そう・・・劉備、・その名、心に留めておきましょう。桂花、劉備にこちらの予備の糧食を届けるよう手配しておきなさい」
「それは構いませんが・・・・・華琳さま。あの劉備という輩、いずれ華琳さまの覇業の障害に・・・・・・」
「・・・・・・でしょうね。けれど、その時は正面から叩き潰せば良いだけよ。違うかしら?それに一番の敵になる可能性は劉備ではないでしょ?」
「・・・・・・御意。ではすぐに手配します」
「それと流琉も手伝ってあげて」
「わかりました。行こう季衣」
「うん!」
「隊長、随分と曹操と仲がいいんっすね?それに真名も・・・・」
「まあ、華琳とは数か月、華琳の客将をしていたからな」
「そうっすか。でも彼女がここの太守で大丈夫なんすっかね~」
「大丈夫だろ。あいつは民を疎かにしない奴だからな」
と、街中で桜花とそう話し合っていると
「おい、沖田」
と、声がした。今度は男の声だ。振り向くと
「・・・・・北郷一刀」
そこには北郷がいたすると桜花が
「白い天の御使い。うちの隊長になんか用っすか?」
と、警戒した目でそう言う。すると
「・・・・・桜花。すまないが先に行っててくれ。どうやらこいつと話するの長くなりそうだからな」
「・・・・・わかったっす。では先に仕事に戻ります。では」
そう言い桜花は俺に敬礼した後、仕事に戻りその場には俺と北郷だけとなった。
「・・・・・で、なんの用だ北郷?まあ、ここではなんだ。どこか適当な店で話さないか?俺もお前に話したいことがいっぱいあるしな」
「・・・・・・わかった」
と、そう言い俺と北郷はどこか適当な店を探しに行くのであった。しばらく歩いているとちょうどいいところに店があったのでそこに入り席に座る
「・・・・で、俺になんか用か北郷。まあ、なにを訊きたいかはわかるがな」
と、俺がそう言うと北郷は
「沖田!なんで董卓軍が銃を持っている!?それに大砲も!!」
やはりその質問か・・・・・
「簡単さ、うちの部下に頼んで自衛用として作ってもらった。製造方法はとある本を見て作った。で、それを聞いてどうするんだ?」
「・・・・できれば譲ってほしい」
「なんで?」
「なんでって決まっているだろう!?作るんだよ。それさえあればみんなを守れる!!」
と、北郷が力強くそう言う。俺は深いため息をし
「断る。今のお前らには必要ないものだ」
「なっ!?どうしてだよ!!」
俺の言葉に北郷は驚いてそう言うと
「当たり前だ!仮に製造方法を教えたらお前はその近代兵器を何に使うんだよ?」
「さっきも言ったじゃないかみんなを守るため・・・・桃香の願いのために使うんだよ!!」
「北郷、確かお前や劉備に願いは「みんなが笑って暮せる世界」だよな?今の時代は戦乱の時代。つまり大陸を平定するために他国が戦争をしている状態だ。その理想を現実にするためには他国を占領して大陸を平定するしかなくなるだろ?つまり俺がお前に重火器の製造を教えたら劉備軍はそれを使い他の国へ占領政策をする可能性があるだろうが。そしてその重火器で何万人の人たちが血を流す。汜水関、虎牢関以上の犠牲者の血が流れるんだぞ?」
「っ!?」
俺のその言葉に北郷は、はっとした表情になる。
「俺たち董卓軍は相手が手を出さない、またよほどのことがない限り近代兵器の使用は制限しているが、お前らはどうなんだよ?侵略ではなく自衛目的で使わないって言いきれるのか?」
「・・・・・・・」
北郷は返す言葉もなくただ黙ってしまう。そして吹雪は
「それにだ。例え俺が製造方法を教えて大陸を平定しても劉備の理想とはかけ離れた銃という暴力による恐怖が支配する平和になっちまう。俺はお前らにそんな理想をもっては欲しくない。お前らの理想は立派なんだからそんなもんには頼るな」
劉備の掲げる思想は悪くはない。まあ、まだ実力が足りないが、もしそれを叶える力を身に着けた時はきっと大陸は劉備の言った通りの世界になるかもしれないしな。
「沖田・・・・・そう・・・だよな。すまない今の言葉きかなかったことにしてくれ」
「ああ、今のはただの戯言だったということで聞き流すよ」
と、そう言い俺と北郷はお茶を一杯飲むと北郷が
「だ、だが沖田。お前銃や大砲を作る本を持っているって言ってたよな?もし盗まれたらどうするんだよ?」
「ああ、その件なら大丈夫だ。あの本なら反董卓連合が勃発する前に燃やした。これ以上の火種を作らないためにな」
「え!?燃やした?」
「ああ、もしお前の言う通りそれを盗まれたらその盗んだ奴はそれを製造するだろう。そしてそれを使って攻撃された国はそれに対抗してもっと強大な兵器を作りその繰り返し。血を吐きながら続ける悲しいマラソンが起きてしまうからな」
そう、天水で見つけたあの旧日本軍が書いた本は反董卓連合が起きる前に月や詠や志乃そして夕張と相談して燃やしたのだ。ただ設計図は夕張の頭にインプットされているから製造には支障がない。それに酒の製造が書かれたページは抜き取って大切に保管してある
「そうか・・・・・」
「そういうことさ。それじゃあ俺はそろそろ仕事に戻るよ。それとお茶と菓子代は俺が払っといてやるからゆっくりしていってくれ」
そう言い俺は財布から二人分の料金を出し机に置くと席を立ち
「・・・それじゃあ、また会おうぜ。今度会う時は敵ではなく仲間として会いたいな・・・・」
とそう言い俺は店を出るのであった。そして北郷は何も言えずに席に座ったままであった。
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