僕が目を開けるとそこには角の生えた人間、いわゆる鬼がいた。
「やぁ、やっと目が覚めたかい?心配したんだよ。見たら、人が倒れてんだから。」
その鬼はこう言った。空を見上げれば、そこには空がなく、まるで、洞窟のような岩があった。
「あたしは星熊 勇儀。あんたは?」
僕の名前は…
「永田 栄斗。」
その単語が頭の片隅にあった。
ここに来るまでの経緯を思い出そうとした。確か…
ー数時間前ー
大学からの帰り道だったけ?いや、買い物帰り、まぁ、そこはいいとして、何かに肩をつつかれ振り返ればそこに、どこぞの民族の衣装を来た女の人がいた。
「何ですか?」
そう聞いたんだっけ?そうしたら、その人が笑った後、下に変な穴ができて落ちたんだっけ。確か、その人の名前は…
「紫。」
その言葉を言うと、勇儀と名乗る鬼は、こう言った。
「その紫にお前さんの面倒を見ろと言われてね。という訳でよろしく。」
頭がぼーっとしていたせいか、全然意味がわからない。
「ここはどこですか?」
まず第一にこれを聞いておかねばなるまい。
「ここは幻想郷。忘れ去られた者達がいる世界さ。」
忘れ去られた…
「僕は忘れられたのか…」
「あぁ、ご愁傷さま。」
ちょっとくらいいたわって欲しい。
「まぁ、いい。勝手に低級に食われてもたまらんし、戦闘の手ほどきをしてやるよ。」
と言いつつ、いきなり殴りかかってきた。急な攻撃に反応が間に合わず…なんてことは無く、気がつけばその攻撃を受け流していた。
「へぇ、あんた回避能力が高いね。」
確かに、逃げることは誰にだってできる。けれど、こんな受け流し方、もとい戦闘経験なんて無いはずだ。と、ごちゃごちゃ考えている時間は無い。僕の目の前の人、いや鬼だった。まぁ、待ってくれないのだ。
「勇儀さん。笑いながら殴りかかって来ないでください。」
皆想像して欲しい。誰でもいい、笑いながら自分に殴りかかってくる場面を。な、怖いだろ。
「すまないね。あたしの攻撃を真正面から受けた奴は久しぶりでね。つい、楽しくてね。」
と、また突きが来る。そしてまともや受け流す。もはや、パターンとなってきた。
「受けてるだけじゃあたしを倒せないよ。」
どうせ効かないだろうが、やってみるだけ価値はあるだろう。
(さて、あのスキマが注意を促すほどの人間。どの程度か見極めさせてもらうよ。)
僕は拳に力を込めてそれを放った。なんの変哲もない唯の突き、しかし、効果があったらしい。ドンッ!!!!!!!!!!という音で気がついた。
勇儀さんは、後方5mくらいの壁にめり込んでいた。
(こいつは…、予想外…)
そして勇儀は立ち上がりこう言った。
「今日はこの辺にしておくよ。あたしの体が持たないし。」
僕は、そう言われたので、その場を後にした。
「スキマ妖怪、いるのは分かってるよ。」
勇儀がそう言うと何も無い空間から隙間が出てきた。
「あら、バレっちゃってたのね。」
どこかの民族衣装のような変わった服を着た女、紫はそこから出てきた。
「あんたも白々しいね。あたしが気づいていたことを気づいていた癖に。」
勇儀が皮肉を言っているのに、紫は笑顔で答える。
「まぁね。それより聞きたいことがあるのでしょ。」
「はあ、あんたには叶わないね。じゃぁ、聞くがあの人間は何だい?あたしの突きを受け流したとはいえ、ダメージが通っていないじゃないか。あと、あの威力。」
「そうね、彼の能力が関係しているとだけ言っておくわ。近いうち寝床の確保も兼ねて紅魔館に行ってみたら?」
これは黒だと勇儀は確信した。
「あと、あいつは正式にあたしの弟子という形にするが文句は無いね?」
「ええ、もちろん。」
紫の即答。
「彼は面白い子よ。導き方によってゴールが違うもの。フフ…」
そんな紫の怪しい笑に嫌な予感を勇儀が感じていた頃…
「今日…野宿?」
立ち去ったのはいいが、どこ行けば良いのか分からない栄斗であったとさ。
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