「咲夜、私どうかしていたわ。分かっていたはずなの、復讐なんて馬鹿げてる。しかも過去の栄斗に…」
何かから目覚めたかのようにレミリアが語り出す。今までの言動、行動は嘘のようであった。
「もう…みんなは帰ってこないのに…」
レミリアの目から涙がこぼれ落ちる。それを見てその場にいた全員が胸を痛めた。
(そうだ、この異変は誰かが悪いとかそういう話じゃない。今はその幻想郷の誰も歯が絶たなかった未来の俺とどうしたら未来が平和になるかだけの話だ…どうしたらいい?考えろ!皆を救うため、咲夜さんをこれから傷つけないために俺は)
そう内心で考えていた栄斗の頭にいとつの考えが浮かび上がった。だが、その瞬間レミリアの体がどんどん薄くなっていった。
「時間…見たいね。」
レミリアが悲しそうに言う。
「どういうことなんだぜ!」
魔理沙が動揺し慌てている。そこへ霊夢が落ち着いた声で言った。
「魔法使いのあんたなら分かるはずよ。時空の移動、本来とは違う世界線、時間軸へと行くんだからかなりの魔力を必要とする。」
「つまり、栄斗との戦いで魔力を使いきったから元の場所へと強制的に帰される。」
霊夢の言葉にパチュリーが続ける。
「私は何もできなかった…ただ、家族を傷つけただけ…」
弱々しくそんなことを言うレミリアに誰かが言った。
「しっかりしなさい、レミリア・スカーレット!!!」
現在のレミリアだった。
「あなたがなすことは必ず意味がある。違う?結果的にあなたは幻想郷の危機を伝えたのよ。何もしてないわけないじゃない。」
自分に言い聞かせるように静かだが迫力のある声だった。
「そう…ね。私はちゃんと…役目を果たせた」
「あとは任せてくれ。俺が何とかする。」
栄斗が言った。
「ええ、任せたわよ。えい…」
時間切れでレミリアは咲夜の腕の中で光となって消えていった。少しの間その場にいた全員が何も無い空間を見続けた。
「で、どうするの?」
パチュリーが沈黙を破り栄斗に聞いた。
「俺が、いや僕がここから出ていきます。」
その言葉に空気が凍りついた。しかし、咲夜だけは
「どうしてなの?なんで、あなたが…いなくならないと」
栄斗の服を握り泣き崩れた。その姿を愛おしげに見つめながら栄斗は言った。
「咲夜さん…。大丈夫ですよ。信長さんは外の世界へ帰ると能力が無くなると言っていたんです。だから、必ず帰ってきます。」
「本当に?」
「はい。だから待っていてください。紫さんお願いします。」
その言葉に紫は何も言わずスキマを開いた。
「あなたを犠牲にしてしまうようでごめんなさい。けど…」
「これがこの世界のためなら、僕を受け入れてくれる居場所を守るためです。そのためなら喜んで出ていきます。」
栄斗の言葉に紫は悲しそうに頷いた。
「次きた時にはキノコ狩りに一緒にいくのぜ!」
そこへ魔理沙が言った。その言葉で辛気臭い雰囲気が破られた。
「ちゃんと帰ってくるのよ、私、レミリアからの初めてのあなたへの命令よ。」
「また遊ぼうねお兄ちゃん。」
スカーレット姉妹が言う。
「ま、わたしに祓わせないようにしなさいよ。悪さをすれば容赦しないわよ。」
霊夢がお祓い棒を片手に言った。
「外の世界の知識、ちゃんと教えなさいよ。」
パチュリーが静かに言う。
「帰ってきたらまた手合わせをお願いします。」
それに続けて美鈴も。
「あんたはあたしの一番弟子だ。しかっりしなよ。」
いつ間にか来ていた勇儀が言う。
「あ〜あ、お前が作るつまみは美味かったんだけどな〜」
萃香が言った言葉に対し栄斗が
「ここに帰ってこれたらいくらでも作りますよ」
「え、マジで!?よっしゃー!!!」
萃香が大喜びしているのを尻目に最後に咲夜が、
「約束よ、必ず帰ってきなさい。」
そう言うと突然咲夜が栄斗にキスをした。それに栄斗が動揺する。
「さ、咲夜さん!?」
「外で変な女に捕まらないように」
片目を閉じ、いたずらっぽい笑みを浮かべて咲夜が言った。
「さようなら皆。いや、違うか。行ってきます!」
栄斗の言葉に全員が
「「「行ってらっしゃい!」」」
そして、栄斗はスキマへと消えていった。
「それにしても咲夜さんお熱いですな〜」
魔理沙が咲夜に言う。
「いつの間にあんな関係に?」
霊夢もそれに続ける。
「咲夜、子供の名前は私がつけるわ。」
レミリアに対して勇儀が言う。
「いや、弟子の子なんだからそれはあたしの仕事だろ?吸血鬼」
「ではこうしましょう。一人目は私で二人目はあなた、どう?」
「よし、それでいこう。」
「あの、まだそこまでは…」
勝手に話が進んでいることに咲夜が戸惑う。しかし、それを誰も聞いていない。パチュリーは思った。
(ここにも平和が戻ったのね。)
ー栄斗達の玄関前にてー
「ふう、帰ってきたんだな。それにしてもなんで、」
暗い空間。そう、栄斗の中には
「あなたがいるんですか!?」
かつて信長と言われた男がいた。
「いや〜、お前の中が居心地良くて。安心しろ、能力はもうないぜ。元々のお前のだけだ。」
諦めたようにため息をつきながら栄斗は扉を押した。
「久しぶりだな栄斗。どこをほっつき歩いてた?…かは後で聞くとして仕事だ。お前抜きの二人だけはかなりきついから早くしろ。」
コートに身を包み佇む青髪の青年と仮面と帽子で顔を覆った男がいた。
「分かった。場所は?」
「海外、ニューヨークだ。」
完結しましたね。最後の方に書いた通り気づいた方もいると思いますが、続編出します。
東方 時間の銃使い
お楽しみに!