「で、あの子はどんな感じなの?」
突然現れた紫に動揺せず勇儀は答えた。
「あぁ、スキマ妖怪。どんなも何もなかなかだ、いいセンスだよ。」
「そう。」
いつにも増して紫から不敵な笑みがこぼれる。
「で、何の用だい?」
勇儀が威圧を込めて言うが、
「あら、怖い。そろそろ紅魔館に行かせるように言いに来たの。」
すぐに流される。つまり、舐められているのである。ちなみに、紫の助言から2ヶ月は経っている。
「ご苦労なことだねぇ。何を考えているかは知らないけど、やり過ぎなんだよ…限度を考えな。」
勇儀がこう言うのも無理はない。栄斗がある程度基礎が身についた時紫が現れ、
「栄斗、久しぶりね。突然で悪いけど、ついて来て。」
とか言って拉致り、妖怪の山に放り込んだのである。
「かなりタフになってたよ。我が弟子ながら能力もまともに知らないのによく帰ってきたよ。」
「そう、それよ。」
勇儀の言葉に反応した紫が続ける。
「私が紅魔館に行けって言った時の当初の目的は能力を具体的にすること、あわよくば使えるようにすることだったの。」
「それって、つまり…?」
勇儀の顔はひきつっている。
「紅魔館メンバーの誰かと戦うのよ。レミリアにはもう話を通してあるから。後はそうねぇ、栄斗には適当な理由で誤魔化しておいて。そう言えば、栄斗は?」
勇儀はあきらめ正直に言う。
「博麗神社の帰りに人里によるって言ってたよ。」
「あらそう…。フフ。」
勇儀は確かにそんな不気味な独り言を聞いた。そして、こう思った。
(やっぱこいつは嫌いだ。)
と。
ー人里にてー
「今日の夕餉は何にしようかな〜。」
機嫌よく買い物をしている栄斗がいた。そしてその正面に向き合うようにしているのは、誰もが知る紅魔館のパッd…じゃなくてメイド長の十六夜咲夜である。
「「そうだ卵!」」
2人はほぼ同時にそう言った。そして、お互いに気付き、一礼をした。
「あら、こんにちは。見かけない顔ですね。どちらから?」
と先に切り出したのは咲夜である。
「あ、こここんにちは。いい天気ですね…じゃなくて」
(落ち着け僕…どうしたんだ急に…うわ〜絶対引かれてるよな〜。)
と何故か動揺していた。それを見ていた咲夜は、
「フフ、その失礼。」
と笑っていた。その咲夜が笑ったという事実は一躍人里の話題で持ち切りとなった。
「あの、その、急に綺麗な
それを聞いた咲夜はカァっと頬を染めた。
「そうなんですか…えと、えと、その…」
動揺する咲夜に追い討ちのごとく正気に戻った栄斗が詰め寄り、
「どうされました?顔が赤いですが?」
と何も気にせず顔を近づける。
「な、何でもないわ。」
「それはよかった。」
ほっと胸をなで下ろす栄斗、落ち着こうと必死の咲夜。そして、それを見ていて羨ましそうな男連中、を見ていて呆れる女連中。
ー数分後ー
「すみません、何から何まで。」
「ただのお節介だから気にしないで。」
人里に詳しくない栄斗がおすすめの店を咲夜に聞いているうちに仲良くなり、今に至る。
「まさか咲夜さんがそんなに強いなんて…」
「そういうあなたもなかなかいい体つきね…ハッ変な意味じゃないのよ。」
また顔が赤くなる咲夜。しかし、それを華麗にスルーする栄斗。
「もしかしてあなた師匠とかいるタイプ?」
栄斗の筋肉の発達を見るにかなりの強者と判断した咲夜。
「はい。」
正直二答える栄斗。
「聞いてもいいかしら?」
「地底ってあるじゃないですか?」
「あるわね。」
「そこの鬼の、」
「鬼の…鬼!?」
「はい、星熊 勇儀さんです。」
呆気に取られた咲夜が我に帰り栄斗に一言告げた。
「あなた人間…?」
帰って来る答えなどもちろん、
「はい。」
「今度、家にくる?お茶くらいならご馳走するけど。」
「是非!」
栄斗の即答に怯む咲夜。けれど、冷静を装い
「ではこれで」
と告げ、『時間を操る程度の能力』を発動し、時間を停止させる。周りは静寂に包まれる。しかし、栄斗ただ1人は止まっていなかった。
「では。」
何も気づかずそのまま帰っていく栄斗の背中を咲夜は黙って見ていた。
ー紅魔館ー
「お嬢様、今日人里で不思議な人がいたんですよ。」
咲夜がそう話しかけるのは、紅魔館の主レミリア・スカーレットである。
「どんな人なのかしら?」
「はい、鬼の弟子で私の能力が効きませんでした。私、すごく興味が湧きました。」
いつも冷静な咲夜が熱く語ることの方に内心レミリアには興味があった。
「では、失礼致します。」
扉が閉じられるとともに口を閉ざしていたもう1人が口を開く。
「まさか、咲夜が恋をするなんてね、レミリア。フフフ」
「からかっているのかしらパチェ。」
レミリアにパチェと呼ばれる女性、パチュリー・ノーレッジ。『動く大図書館』という二つ名の持ち主であり、レミリアの親友。
「いいえ。…ただ、あなたの能力でも干渉出来ないものが存在するなんてと思って。」
「私でも恋はよく分からないわ。主として咲夜がどういう運命を辿るのか…それは彼女に任せるわ。」
それと同時刻、栄斗も勇儀に同じようなことを話していた。勇儀は内心
(あの小娘もなかなかやるな)
と内心ニヤニヤしていた。そして、すぐ近くにいる紫は、
(フフフ。どうなるのかしら…そろそろ栄斗を紅魔館に向かわせるべきね。)
と悪巧みしていた。
誤字脱字がありましたらコメントしてください。直すべきところなども教えていただければ幸いです。次からバトルを混ぜていこうと思います。