「あのさ栄斗。」
師匠が集中している僕に声をかける。
「何ですか?」
「あんたの炎って手以外にでも発動できるのか?」
僕も少し気になっていたことを師匠が言う。そう、今までは手のみ発動していたが全身で発動できればかなり都合が良くなる。
「やってみましょうか。」
そう言って僕はまた集中した。身体全身に力を込める。すると身体がほんのり暖かくなった。目を開けると、
「あっ、出ました。」
「そ、そうか。」
軽いノリで色々と出来てしまうこの能力の汎用性に恐れ入る。
ー数分後ー
「ぜェ、ぜェ、」
身体全身に炎を出す。それはとても単純で簡単だった。しかし、質力を保っていることが出来るのは1、2分程度。今も身体全身から汗が吹き出し今にも倒れそうな勢いである。ふと師匠が言った。
「加減ができるようになってからだな。」
「は、はい。」
僕は静かに答えた。しかし、やることなどろうそくに炎をつけて溶かしきらないように調整するだけ、それだけでもかなり疲れる。僕は袋から数本のろうそくを取り出し座った。
(あのスキマ妖怪が栄斗の能力を早く本人が使いこなせるようにしている気がする。)
勇儀がちらりと栄斗を見た。そこに居たのはずっと集中しているいつも通りの栄斗。
(紅魔の吸血鬼が言っていた男も気になる。まさか、栄斗ぐるみの異変がもうすぐ起きるのか?いや、考えすぎか…)
勇儀が考えていたこと、そう栄斗ぐるみの異変それはもうそこまで迫ってきていた。しかし、彼女達はまだそれに気づかない。
ー同時刻 博麗神社にてー
博麗霊夢はいつも通り神社の掃除をしていた。サッサッと単調なリズムでほうきを使い地面のゴミをはいていた。
「霊夢…。」
ふとそこへ誰かが声をかけた。何かと思いそちら振り返ろうとした瞬間だった。ズバッともズブっとも聞こえる確かな音を立てて霊夢の胸を何かが貫いた。
「あな…たは…、いった…い…だ…れ…な…」
最後まで言葉を言い終わる前に霊夢は倒れた。最後に彼女が見たものは彼女に槍のようなものを刺しながらも涙を流す少女の姿だった。少女はふと呟いた。
「ごめんなさい、霊夢。これも全てあなた達のため…あいつを私が殺すまで…それまで待っていて。きっと…救ってみせるわ。」
少女の悲しい決意と力強さのこもった言葉が博麗神社を吹き抜けていく風とともに響き渡った。
ーその日の夜ー
栄斗がロウソクとにらめっこをしていた。そう、まだ彼はロウソクに火をつけて調整している。失敗したロウソクが彼の隣で山積みになっている。もう彼の身長は余裕で超えていた。彼が弱めようとすると炎が逆に強くなりロウソクが弾け飛ぶのであった。
「慎重に…慎重に…」
そう呪文のように唱える栄斗。そして、成功した。
「師匠、見てください!成功しました!」
あまりの嬉しさに目をキラキラさせる栄斗を勇儀が落ち着くように促す。
「ああ、知っている。だから落ち着きな。」
しかし、落ち着かない栄斗。すると炎が強くなっていきロウソクが凄い勢いで溶けた。
「…」
「次は身体に炎を纏おうか。」
「はい…」
彼はゆっくりとしかし確実を実力をつけていく。それを静かに紫は見守っていた。
誤字脱字報告や改善すべき点のコメントよろしくお願いします。
幽霊公爵ばかり書いていてこっちに手をつけていませんでしたがまた書いていくのでお願いします。
霊夢を刺した少女、もうすでに異変が起きています。これからの栄斗の活躍に期待してください。