あっ投稿遅れてすみません。忙しかったのとそのせいで体調崩してたのと色々でした。二ヶ月近く開けてしまってる間にUAが倍くらいに増えてた・・・。
数少ない大事な読者様を裏切らないよう、最後まで書ききる所存です。宜しくお願い申し上げます。
~王城 アイリスの私室~
「お兄様!」ガバッ
「おぶっ!?」
カズマ達が部屋に通されると、ベルゼルグ第一王女ベルゼルグ・スタイリッシュソード・アイリスはカズマに勢い良く抱きついた。まだ幼き少女とはいえ、その胆力は王族の血統と美味しい食事、適度な運動によって育まれ、一流冒険者のそれと並ぶものである。腹部に重い一撃を受けたカズマだが、お兄ちゃんとは妹の愛を受け止めてこそのお兄ちゃんである。なんとか踏みとどまり、愛する妹へにっこり笑顔で挨拶を返すカズマ。
「よ、ようアイリスも元気そうで何よりだ。」ヨロッ
若干よろけながらも兄としての威厳を保ったカズマ。続いてダクネス、めぐみん、アクアが順に入ってくる。
「アイリス様、本日はお招きに預り光栄至極にございます。」
ダクネスが貴族らしく恭しくかしづく。
「お久しぶりです。」
「こんちわ~!」
続いてめぐみんとアクアはわりと普段通りの言葉使いで挨拶を交わす。
「皆さん、お久し振りです。あとララティーナ。この場には私の友人を招いたのです。ここでは王女ではなく、一人の友人として接してください。」
時には勇者の義妹、時にはちりめん問屋の娘、時にはめぐみん盗賊団の団員、果たしてその正体は!?と、王女アイリスとカズマ達との関係は一言では言い表せない程に複雑である。公式にも共に隣国エルロードへ赴いた際には魔王軍の企みを打ち砕いたりもしている。何ともややこしいが、曰く、友人というのが収まりがよさそうなところである。
「し、しかし・・・。」
「反論は認めません。」
「はい・・・。」
ニッコリとダクネスに向かって有無を言わさないアイリス。
「あ、そうそうお兄様。何やらクレアが話があるそうでして、この早い時間にお呼びしたのもその為だとか。」
「ぅえっ」
カズマはクレアの名を聞いて辟易する。カズマにとってクレアは初対面でダクネスに斬りかかった危険人物であり、事あるごとに自分と可愛い妹を引き離そうとするお邪魔虫である。また、クレアと共にアイリスの教育係を務めるレインについては嫌ってる訳ではないが記憶消去ポーションを飲まされた件は今でも根に持っている。
「相変わらずお兄様はクレアが苦手でいらっしゃいますのね。」
「苦手なんかじゃないよアイリス。あの白スーツは、ただ敵なだけさ。」
「相変わらず貴族に対する口の聞き方がなっていないようだな。貴様は。アイリス様、彼らの手続きが終わりました。」
「お久し振りです。皆様。」
カズマ達の入城手続きをしていたらしいクレアとレインが続いて入ってきた。
「ご苦労様です。クレア。あと、今日は喧嘩はダメですよ。」
「うっ、心得ております。」
クレアとカズマは本質的なところで真逆の存在である。クレアにとって以前に痛い目に会わされた手前、その実力は認めているが、人格という部分は絶対に認められない。そんな相手である。
「コホン。勇者サトウカズマ殿。貴殿に話があります。私からのお話を聞いて頂きたいのですが。」
「え?やだよ。」
「っ、貴様という男は~!」
「いけません。クレア様。相手の思うツボです。」
殴りかかりそうになるクレアをレインが必死に止める。
「俺は今日はアイリスに呼ばれて来たんだぞ?何でお前と話をしなきゃならんのだ?」
「お兄様。クレアから話をしたいと申し上げたじゃありませんか。」
「アイリス。それとこれとは話が違うんだ。」
「お話、聞いてくれないのですか・・・?」ジワッ
アイリスが上目遣いでカズマにすがるように言う。
「うん、聞く~。」コクリ
お兄ちゃんは妹のお願いを決して断ってはいけない。これはお兄ちゃんがお兄ちゃんである為の鉄の掟である。
カズマはあっさり手のひらを返してクレアに向き直る。
「で、話ってなんだよ?白スーツ。」クルッ
「私を白スーツて呼ぶなと言っているだろう!貴様と言うやつはどこまでも・・・。」ギリギリ
「なんだよ、せっかく聞いてやろうってのに話さないのか?」
「ぐぬぬ・・・、まぁいい。ここは私が折れよう。勇者であるサトウカズマ殿に折り入って頼みたい事がある。」
「断る。」
「まだ何も話してないだろう!?」
「お前、勇者としての頼み事なんて絶対危ない事に決まってんだろ!断る!」
「なっ!?貴様、それでも王家に認められた勇者か!?ダスティネス卿から聞いているぞ。日々コタツで自堕落な生活を送っているとな!少しは国家の為に働いたらどうなんだ!?」
「国家の為、だと?わっはっは!俺が日々国の為に仕事をしていると知らないようだな!」
「「「はあぁっ!?」」」
その場にいたアイリスを除く全員がそんなわけないだろとカズマに突っ込む。
「なんだよ~。お前ら俺がいつもコタツで新商品の企画を作ってるの知ってるだろ?」
「それは知ってますけど、不労所得が~とか言って自分の欲望丸出しではないですか?」
疑問を返すのはめぐみん。一緒に住んでるからよく分かるが、普段のカズマはクエストにも行かずにコタツで設計図のような物を書いている姿をよく目にする。が、その背中は自分の欲望の為に動いているようにしか見えない。
「ふふん。それこそが国の為の仕事なんだよ!」
「ど、どういうことだ?カズマ?」
「今こそ教えよう!俺がコタツで商品開発をしているワケを!」
やけに演説口調で話し始めるカズマ。聞いてる者を口車に乗せる高等テクニックだ。こうなってはもうカズマのペースである。
「俺は魔王がいなくなった後のこの国を憂いているんだ。」
「平和な世界になって良いではないか?」
ダクネスが聞き返す。
「本当にそうか?魔王軍に対抗するために組織された王国騎士団、傭兵団、魔導師団。魔王軍との戦争参加による報償金を目当てに王都に集まった冒険者。そいつらに装備や道具を作ったり売っていた鍛冶屋や商人。戦争という巨大な消費市場を失った今、こいつらはどうやって生活する?平和な世界に強力な軍隊は維持費ばかりかかるぞ?」
「そ、それは・・・」
クレアは反論に詰まる。実際、戦争がなくなったことで騎士団を縮小する案も議会で検討されているからだ。
「食糧の問題もある。魔王軍に荒らされた農地が復興中とはいえ、収穫には2年はかかるし、今以上の農地が必要になるだろう。今までと違って戦争で死ぬ人間がいなくなれば人口爆発が起きるぞ?人口が倍になった時に食糧は行き渡るのか?」
「農地の復興は現在最優先に行われていますが・・・。各地の領主の抵抗が強く、新しい農地の開拓は、す、進んでいません・・・。」
レインも反論ができない。
「極めつけは外交だ。今までは魔王軍の矢面に立っていたことで他国からの資金援助が得られた。しかし戦争がなくなれば他国は資金援助をする理由がなくなる。今まで援助された資金で武器や資源を輸入していたベルゼルグだ。他国に輸出できる物が少ないベルゼルグと交易する国がどれだけあると思う?」
「確かに友好国のエルロードからの援助金も、名目は戦時援助金ではなく、復興援助金に変わり、金額も減っています・・・。」
アイリスが答える。
「ベ、ベルゼルグが国として色々と大変な状況なのは解りました。でも、それとカズマがぐうたらしているのが何の関係があるのです?」
めぐみんがずぃっと身を乗り出して聞いてくる。
「俺は商品開発をすることで雇用を生み出している。」
「はっ!雇用だと?貴様は鍛冶屋の親方にでもなったのか?」
クレアが嘲笑混じりに言い放つ。
「以前言わなかったか?俺には個人的な資産が20億エリスはあると。魔王倒すのに1度全部使っちまったが、今はまた30億エリス程に増えている。」
「さ、さんじゅっ・・・」
20億エリスの資産がある。確かにレインがカズマに記憶消去ポーションを飲ませるときにカズマが口にしていたことだ。
しかし魔王討伐の報償金だけでは30億エリスにはならない。一体どんな手品を使ったのか、とレインはゴクリとツバを飲む。
「俺が企画した商品は知り合いを通して契約した職人に製造してもらってたんだが、それじゃ効率が悪くてな。丁度、戦争が終わってから仕事にあぶれた鍛冶屋や商人が多くいたからいっそ雇うことになったんだ。その人数は短期の者も合わせれば100人近くになる。」
「ひゃ、100人だと!?そんな組織があれば我々が認知していないハズが・・・。はっ!?まさか最近急激に勢力を伸ばしているバルター商会はアクセルが本拠地だったが・・・?」
「そうそれ。俺は商品を開発して権利料を貰うだけ。運営は全部バルターにやらせてる。」
「な、なんだと!バルターとはアレクセイ・バーネス・バルターか!?最近ダスティネス家での務めを終えて屋敷で姿を見なくなったが、そんなことをやっていたのか!?」
「あっ、ちなみにバルターにはダクネスの親父さんからの依頼でって体でやってもらってるから。」
「な、な、な・・・。」
ダクネスが驚愕の事実によろける。
「で、そこで作ってる商品の中でもジッポとかコタツ、大人の風船なんかはヒット商品で他国へ交易品として輸出もされてる。まぁこの辺の商品は権利ごと売ってるから俺の利益にはならんがな。さて、困窮するベルゼルグにおいて、仕事を失った人々に雇用を生みだし、輸出できる特産品を作り出した俺の功績は国家にとって何もしていないことになるのかな?ん?」
「ぐぬぬ・・・。」
クレアはもう何も言い返せないようだ。
「凄い!素晴らしいですわお兄様!お兄様は戦うだけでなく、人々の生活を救おうというのですね!アイリス、感激致しました!」
「おう。アイリスの為にお兄ちゃん頑張るからな~。」
大分調子に乗って態度が大きくなるカズマ。何も言い返せない貴族と持ち上げる王女。最早大勢は決したと思われたが、思わぬところからカズマに背中刺す刃が放たれた。
「う~ん・・・。カズマさんがさっきから言ってるのって、昨日マリーが言っていたことそのまんまよね?」
「「「え?」」」
放っとくと振り切れた幸運値のお陰で大抵の事がうまくいってしまうカズマだが、そうはならないのは幸運値最低の駄目神が一緒にいるからである。
「な、何を言ってるんだよ、アクア~?俺はずっとこの国の未来の為にだなぁ・・・。」
「え~?でも昨日マリーがベルゼルグについて調べたって言って、カズマさんに話してたじゃない?仕事が~とか、外国が~とかマリーが言ってたことそのまんまだったわよ?カズマさんもへぇ~初めて知ったわって感心してたじゃない?」
「おいバカやめろ。」
「ほぉ~・・・、初めて知った。か。」
「うぐっ。」
クレアからの追及に冷や汗を垂らすカズマ。
「今の話ってよく考えたらカズマは商品開発をして儲けてるだけで、頑張ってるのはバルターさんだけでは?」
「はうっ。」
めぐみんも痛いところを突いてきた。
「バルター殿がお父様からの依頼でやってるのは本当か?それは本当にお父様の依頼なのか?」
「ごふぁ。」
ダクネスも復活してきた。
四面楚歌となったカズマにもう逃げ道は残っていない。
「で、でも!お兄様がやったことがベルゼルグにとって良いことには変わりありませんよね!?」
捨てる駄目神があれば拾う妹あり。唯一カズマを信じるアイリスが助け船をだす。
「そ、そうだぞお前ら!経緯はどうあれ俺がやってることはベルゼルグにとって必要なことなんだ!そうだろ!?」
必死に自らを弁明するカズマ。皆も冷静になったようで、口調が柔らかくなる。
「まぁいい。物を作って儲けることは悪いことではない。だが、こちらの話は聞いてもらうぞ。」
「え?」
「あ?」
「はい。」
カズマに逃げ道はなかった。
―――――――――――――――――――
「で、話ってなんだよ。」
「貴殿は最近王都で騒がれている青髪女性連続失踪事件について聞いたことがあるか?」
「いや、全く知らん。」
青髪と聞いてカズマはチラッとアクアを見る。そういやこの駄目神も一度失踪した前科があったっけ。
「この1週間で既に5人だ。立て続けに青い髪の女性の捜索願いが出された。髪が青い女性なんてそんなに多くない。我々はこれは何らかの目的を持った誘拐事件であると確信している。」
どうせ拐うならこの駄目神を拐っていってはくれないだろうか。いやでもそれはそれで面倒なことになりそうだからやっぱやめてくれ。
「随分と物騒な話だな。頼みってのはその事件の解決に協力しろってことか?」
「察しが良くて助かる。」
「いやいやいや、そんなんお前警察とか体は子供で頭脳は大人な探偵にでも頼めよ。事件の捜査なんて俺達は素人も良いところだぞ!」
俺は眠ってる間に事件を解決するような特殊能力は持ち合わせてはいないっつーの。
「早とちりをするな。捜査はこちらでする。更に言えば、犯人の目星はついている。」
「??ならさっさと捕まえちまえよ?」
「今回貴殿らに協力を仰ぐのは、貴殿らが以前アルダープの一件に関わっているからだ。」
「アルダープだって!?」
アルダープといえば、あいつの陰謀でダスティネス家が抱えた借金のカタにダクネスが無理矢理結婚させられそうになったのを俺が全財産はたいて買い戻したんだよな。あの悪徳変態ハゲ貴族め、行方不明になってるけど、もし見付けたら俺の必殺偽エクスプロージョンを喰らわせてやる。
「今回の事件はアルダープの事件と極めて状況が似ている。犯人の目星はついている。あとは証拠を掴んで乗り込めばいい。しかしその証拠が出てこない。潜入させた捜査官は魂を抜かれたように何も覚えていない。」
「まるで悪魔が悪さでもしてるみたいだな。」
そういや、あんときダクネスの親父さんへの呪いの件とか何とかどさくさに紛れて全部バニルのせいってなってんだよな。今なら分かるけど人を殺さないことをモットーにしてるバニルが、そんなことしないだろうと思うが実際どうなんだろう。
「そう!悪魔だ!」
「は?」
「アルダープの一件でダスティネス卿のお父上、イグニス殿は何者かからの呪いを受けていたと聞く。そして頼れる者がいなくなったダスティネス卿はアルダープとの結婚を決意するに至った。アルダープの悪事の証拠が出てこなかったこといい、状況が出来すぎている。我々はアルダープの事件を整理する中である悪魔の存在を確信するに至った。」
「まさか、バニル?」
「それはお前たちが討伐した魔王軍幹部だろう。バニルも魔界に戻されたとはいえ危険視しなくてはならない悪魔だが、バニルではない。その悪魔の名は悪魔公爵マクスウェルという。」
「マクスウェル?」
「アルダープの館に残されたアルダープの私記の記述と王立書庫の文献を照らし合わせて得られた名だ。真実を捻じ曲げる能力を持つと言われている大悪魔だ。」
「真実を捻じ曲げる・・・。それで不都合な事実を歪めて証拠が出ないようにしていたってわけか?」
じゃあ、あの件でバニルは無罪だったってワケか。まぁあいつには全財産持ってかれた恨みもあるから絶対謝らないけど。
「そういうことだ。公爵級の大悪魔が相手だ。相応の報償金は用意し「よし、断る!」」
「・・・は?」
「だから、断るって。」
全く、どいつもこいつも無茶なこと言ってきやがって。公爵級の大悪魔?そんなん無理に決まってんだろ。最弱職の俺にどうしろってんだよ。
「いや、今の流れで断るってお前・・・。」
「どうせ一度撃退した俺達を勇者だなんだとおだてて乗せようって腹積もりだろうが、残念だったな。俺にお約束は通用しな「お兄様!」。」
「なんだアイリス?今大事な話をしているんだが。」
「お兄様は紛れもない勇者です!アイリスはお兄様なら必ず負けないと信じています!だから!だから・・・。」ウル
「えっちょっ・・・」
アイリスも。
「あ~カズマさんが女の子泣かせてる~。さっすがニートでクズなクズマさんね!」
アクアも。
「カズマ、私は何だかんだで頼りになる男だと信じていますよ?」
めぐみんも。
「私からも頼む。王都で悪魔が暗躍など見過ごすわけにはいかない。」
ダクネスも。
どいつも。
こいつも。
・・・あ~もう!
「しょおがねえなあ!!!」
俺ならやってくれるとか思ってやがる。まったく、本当にしょおがねえ奴らだ。
「さすがはお兄様です!」
まぁ、かわいい妹の笑顔が見れたからよしとするか。
――――――――――――――――
「で、犯人ってのは誰なんだよ?」
「犯人の名は『原初の森』を名乗る組織だ。」
「う~ん、知らんな。」
カズマは腕を組んで心当たりを探るが、特に思い付くことはない。
「聞いたことがあるぞ。生き物からマナを取り出す研究をしているという連中だな。」
ダクネスが横から言う。
「ああ、アクセルの街で髪の毛集めてた連中か。」
カズマも手をぽんと叩いて1週間程前の出来事を思い出す。
「あ~、ハグレ王国の連中に出会った日にテント立ててなんかやってた奴らだな。あん時アクアがふらふらしてたから叱ったんだっけ。」
「知っているようだな。あれだけ目立つ活動をしながらも、王国にも教会にも属さない組織なぞ怪しすぎて調べてくれと言っているようなものだ。当然我々も以前から監視していた。しかし、金の流れ、構成員の出自、何を調べても怪しいのに証拠だけが得られない。そして今回、行方不明になっている女性は、全員がその団体に髪の毛を提供していることが判明している。」
「なるほどな。どうにか悪魔の影響を受けずに内部から調べられないと状況は変えられないか。」
カズマもう~んと唸りながら策を練るが、なかなかいい案が浮かばない。
すると横から話し半分に聞いていたアクアが口を挟んできた。
「へぇ~偶然ね!私もその人達に髪の毛渡したわよ!」
「「「は?」」」
場の空気が固まる。
「や~ね~。カズマさんも見てたでしょ?この私が慈善活動に協力をするのを!まっ、女神として当然のことをしただけなんですけど?ゲスが服を着て歩いているゲスマさんには考えもつかない善行でしょうけど!」
「お・・・おま・・・。」
「なぁに?この私の尊い行いに言葉もないようね?」
カズマはアクアの馬鹿さに口をパクパクさせていた。が、そのときカズマの頭脳に電流が走る!
「おい、クレア。拐われた女性は青い髪で、原初の森に髪の毛を提供してたんだよな?」
「あ、ああそうだが・・・。」
「悪魔の影響を受けずに内部に潜入できる奴がいたら捜査が進むよな?」
「そんな人間がいるのかは知らないが、まぁ、そうだな・・・。」
「作戦が決まったぞ。」
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「い~や~よ~!なんでわだじなのよ~!?」
劣り捜査官、もとい囮捜査官に任命されたアクアがジタバタと駄々をこねる。
「カズマ、確かに条件からするとアクアが適任だとは思いますが、少々危険が過ぎるのではないですか?」
めぐみんが泣き喚くアクアをあやしながらカズマに問いかける。
「いや、悪魔が相手ってことならむしろアクアなら安心だろ。」
「それはまぁそうなんですが・・・。」
言葉に詰まるめぐみんを横目にカズマはアクアの肩に手を置き、目を合わせて、優しい口調でアクアに告げる。
「なぁ、アクア、俺はお前を信じているんだ。お前は今までだってあのバニルや魔王相手にだってひけをとらなかっただろ?女神アクアはやればできる子なんだろ?」
「そ、そうよね。魔王すら弱体化させた偉大なる女神である私が悪魔に恐れをなしたなんて言われたらかわいい信者達に嫌われちゃうわね!やるわ!私やってやるわ!」
チョロい。もう長い付き合いになるが実にチョロい。ゆんゆんとは別のベクトルでチョロい駄目神アクアはまんまとカズマに載せられてやる気を出した。
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~夜 晩餐会~
第一王女アイリスが主宰する晩餐会は冒険話が好きなアイリスの趣向に合わせ、貴族だけでなく、名のある冒険者が招待されている。煌びやかな衣装に身を包む貴族と違い、冒険者は些かラフだったり、装飾鎧で着飾ったりしている。
そんな中、一際目立つ赤い豪奢な装飾が施された鎧を来た男がカズマに近づいてきた。
「こんなところにいたのか。探したぞ、サトウカズマ。」
「よお、マツルギじゃないか!久しぶり。」
手を上げ軽い感じで挨拶を返すカズマ。
「ミツルギだ!もうそれなりの付き合いなんだから名前くらい覚えたらどうだ!」
「そうそう、ミツルギな、ミツルギ。で何か用かよ。」
興味なさそうにカズマは適当な返事を返す。その様子にミツルギは眉をひそめながらも本題を切り出す。
「今日起きたことを君にも伝えておかなくてはいけないと思ってね。」
ミツルギは昼間の出来事をカズマに話す。ゆんゆんやハグレ王国と出逢い、一緒にクエストを受けたこと。正体不明のモンスターの存在。ハグレ王国の過去。
「ハグレ王国の皆さんは今キミの家に住んでいるんだろう?これから何か危険なこともあるかもしれない。どうか、彼女らとアクア様を守ってくれ。」
「あ、アクアならちょっと頼まれ事で囮捜査官やってもらうことになったぞ。」
「おい、その話詳しく。」
ガチの目でカズマに詰め寄るミツルギ。今にも魔剣グラムを抜かんとするほどの怒気を纏っている。
「いや、まぁ話せば長くなるんだが・・・。」
クレアとのやり取りを洗いざらい話すカズマ。だって怖いんですもん。機密?守秘義務?なにそれ、美味しいの?
「はぁ~・・・。キミってやつは・・・。」
ミツルギはこめかみを押さえながらカズマに苦言を呈す。
「今回の件は俺は悪くないからな。文句があるならクレアに言ってくれ。」
元々依頼をしてきたのはクレアだが、アクアを囮に使うのを提案したのはカズマだ。勿論その辺はぼかして話している。
「わかった。僕もクレア様の所に行ってくる。」
そうして、ミツルギの参戦が決まった。
魔法陣グルグル見てたら思った。チクリ魔とカヤが並んでる姿がデーリッチとローズマリーにダブって見える。チクリ魔に至っては話し方も似てるしね。
そういやこのSSでデーリッチまだ何もしてないな。