この素晴らしいハグレ王国に祝福を!   作:ひまじんホーム

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 ちょっと短いけど上げときます。しばらくシリアスが続くからこの辺をさっさと通過してしまいたい。
 シリアスばかりだと気が乗らないで余計に投稿遅くなりそうなので、ちょっと前に書いてた、ざくアクとダンまちのクロス物を気分転換用に書き始めました。
 それでも亀更新には違いないと思いますが、どうか宜しくお願いします。


第11話 忘れてたアイツ

~カズマ邸~

 

「「「デーリッチが拐われた!?」」」

 

 魔王を名乗ったヤサカセリネが去った後、ヅッチーに続いて到着したローズマリーの持っていたポーションにより、瀕死の状態だったフクちゃんとドリントルはなんとか回復。続いて集まってきたマッスル達と合流し、一旦、カズマ邸に戻って状況を確認しようという中で、更に慌てた様子で王都から自宅へテレポートしてきたカズマ達が合流した。

 およそ2日ぶりにメンバーが揃うも、デーリッチを欠いた中、重苦しい雰囲気で会議は始められた。

 

「幼子を拐うとは何と卑怯な!拐うのならば、この私が拐われるべきなのに!なぜ私を拐わない!?この私を!」ドンガシャン

 

 ダクネスが激昂を抑えきれずテーブルを叩いて悔しがる。

 

「「「ダクネス(またドM病が)・・・。」」」

「「「ダクネス(騎士のカガミだ)・・・。」」」

 

 カズマパーティとハグレ王国とで同じようにダクネスの名を呟くが感想には若干の差がある。

 ハグレ王国のメンバーもまだ出会って数日の関係でしかないダクネスがそれほどまでにデーリッチの事を想ってくれることを頼もしく思う。

 

「嫌な予感が当たっちまったな・・・。」

「デーリッチお腹空かせてないかしら?」

「一刻も早く助けに行きましょう!」

 

 カズマ達の反応はそれぞれだ。

 

「敵は確かに魔王ヤサカセリネと名乗ったんだね?」

 

 一際険しい表情のローズマリーがフクちゃんを尋問するかのように訊ねた。

 

「はい、はっきりと名を名乗ったのはヅッチーちゃんに対してですが、私との会話でも先代魔王の娘ということを否定しませんでした。」

 

 その話に真っ先に反応したのは、ダクネス。

 

「なんということだ・・・。せっかく平和な世界になったというのに、再び魔王が現れるとは・・・。ん?そういえば、先日、エリス様は新魔王が現れる可能性を予見していたな。確信は持てていないようだったが・・・。」

 

「確か、世界に澱みのようなものを感じる。でしたか。アクアは全く気付いていないようでしたが。」

 

 めぐみんもアクアをチラと見ながらその時の会話を思い出す。

 

「あ、あれは、エリスがこの世界の管理担当だからなの!私は転生担当だからそういうのは分からないの!」

 

 アクアの言は本当のことなのだが、どこか言い訳がましく聞こえるのは普段の信用の問題だろうか。

 

「なぁ、俺そんな話初耳なんだけど?」

 

「「「だってカズマに言ったらビビって引きこもるから。」」」

 

「お、お前らな・・・。いや、否定はできないが。」

 

 22文字に渡る長文を息ピッタリにぶつけてくる愉快な仲間たちに、何も言い返せないカズマ。悔しかったので、後でアクアの酒を水に替えておくことにする。

 

「ところで、カズマ達はデーリッチが狙われる可能性がわかって戻ってきたようだけど?」

 

「それは、俺達が王都で請けていたクエストの途中で思い当たったんだが・・・」

 

 カズマは王都でクレアから請けた依頼の内容を簡単に話す。青い髪の女性が拐われる事件、原初の森を名乗る組織、公爵級悪魔の暗躍、アクアの囮捜査、ほんの二日間の出来事ながら非常に密度の高い内容となった。

 

「奇しくも、カズマ達とデーリッチ達は同じ事件を追っていたわけか・・・。しかしそうなると、その公爵級悪魔と魔王ヤサカは同じ組織、又は協力関係にあるということになる。そうなれば敵は想像より遥かに強大な勢力ということになるな・・・。」

 

 ローズマリーは眉間の皺を更に深くして考え込む。

 

「目標が一つに定まった、と考えた方が精神衛生上は良さそうじゃがの。」

 

「なるほど・・・。モノは考えようとはよく言ったものだね。」

 

 ドリントルのフォローにローズマリーも少し表情を和らげる。

 

「ところで、原初の森が青い髪の女性を狙うのは何故なのでしょう?」

 

 フクちゃんが敵の目的を整理しようと投げ掛ける。

 

「ふむ、彼らはそもそも髪の毛からマナを取り出す研究をしているという話だったね?青い髪には何か特別な意味があるのだろうか?」

 

「正確には、敵が狙っているのは一度奴らに髪の毛を渡したことがある、青い髪の女、だな。」

 

 カズマが先程簡単に話した内容を補足する。

 

「一度髪を渡した?」

 

「あぁ、失踪した被害者は全員が原初の森に髪の毛を渡したことがあった、と王都の警察の捜査でわかっているそうだ。俺達はそれを逆手にとって、髪を渡したことがあるアクアを囮にしようとしていたんだが、途中でデーリッチも青い髪で、髪を渡していたことを思い出してアクセルに戻ってきたんだ。って、どうしたマリー?」

 

 カズマの話の途中でハッとした表情でローズマリーが顔を上げる。

 

「・・・もしかして、敵の狙いは青い髪の女性ではなく、目的の人物がたまたま青い髪の持ち主だったってことなんじゃないか?」

 

「どゆことだ?」

 

「つまり、敵はたまたま手に入れた髪の毛から何かを見つけて、それが青い女性の髪の毛だったからその持ち主を探している。」

 

「そんな、たかが髪の毛でそんなこと・・・。」

 

「人の毛っていうのは人の気に通じていてね、その人のマナを色濃く表すんだよ。以前、ダクネスにはモールドの話はしたよね?要は髪の毛を調べるということはその人のモールドを調べるようなものなんだ。そして、私達の仲間にはこの世界では間違いなくイレギュラーとされるモールドの持ち主が多い。神であるアクアやフクちゃん、異世界人の私達ハグレだ。これは私達本来のステータスが冒険者カードに反映されていないことからもはっきりしている。そんな髪の毛を悪意のある研究者が調べたらどうなるか。」

 

「え~と、つまり・・・。」

 

「奴らの狙いは十中八九アクアかデーリッチ、またはその両方だったってこと。そして、デーリッチが捕まってしまった今、残るのは・・・アクアだ。」

 

「え゛っ!?あたし!?」

 

 長い話に耐えきれずうつらうつらし始めたアクアが突然匙を向けられてすっとんきょうな声を出す。

 

「私の記憶が確かなら、あのときヅッチーも一緒にいたけど、髪を渡したのはデーリッチだけ。名前を書くようになっていた紙もあの時持ってきてしまっていた。アクアも髪の毛を渡したときに名前までは書かなかったんじゃないかな?」

 

「ん~、言われてみれば、性別とか髪の色とか書いたけど、名前は書いてなかったわね。」

 

 アクアは人指し指をアゴに当ててその状況を思い出す。

 

「多分だけど、特殊な髪の毛を見つけたはいいけど、名前を書かなかったことで彼らは個人を特定できなかったんじゃないかな?だから青い髪の毛の持ち主の中で、髪の毛を渡したことがある人物をしらみ潰しに拐っていった。」

「なるほど。」

 

「・・・さて、敵がデーリッチを拐った理由はおよそ予想がついたけど、本題はこれからだ。」

 

 全員がゴクッと喉を鳴らす。

 

「デーリッチは何処に連れ去られたのか?」

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 ローズマリーにとってはあらゆる事象よりもデーリッチが優先される。本来、ローズマリーはデーリッチが拐われたという状況でこうして冷静に会議をしていられるような人間ではない。かつてデーリッチが異世界に飛ばされてしまった時にも冷静さを失い、その身を削るような捜索活動に、ローズマリーの身を案じる声が王国民から挙がった程だ。

 ではなぜ今、会議をしていられるのか。その理由は至極単純、動き出そうにも情報が無さすぎて動けないからだ。

 

「髪の毛を集めている連中とっ捕まえて締め上げるのはだめなのか?」

 

 物騒な言い方をするのはニワカマッスル。

 

「それが可能ならば手っとり早いけど、この数日はアクセルでは奴らの姿は見ていないんだ。」

 

 だが、それを否定する訳ではなく可能ならばそれを実行することもいとわないと、ローズマリーの目には怒りの炎が灯っている。

 

「そういえば昨日今日では、王都でも見なかったな。奴ら、活動を控えているのかもしれないな。」

 

「奴らの最終目的が何なんなのかは分からない。しかし、街から姿を消したということ、わざわざ名を名乗る真似をしたということから考えると、奴らの計画は新しい段階に進んでいると考えていいだろう。地道に奴らの足跡を辿るほどの時間の猶予はない。何とか奴らのアジトを割り出せないか。」

 

「・・・なあ、敵の目的はアクアなんだろ?だったらもう一度、アクアに囮をやってもらうしかないんじゃないか?」

 

「ふぁっ!?」

 

「それは・・・、でもそれしか方法はないのか・・・?」

 

 ローズマリー達にとってカズマやアクアは異世界で居を提供してくれた恩人である。いや、そうでなくともデーリッチを救う為とはいえ、他の誰かを危険にさらしてよいものか?それは、デーリッチが何よりも嫌う方法だ。

 

 しかし、現状他に打つ手がないのも事実。と、ローズマリーが葛藤している間、場が静寂に包まれる。そんな中、屋敷を訪れる者がいた。

 

 

コンッ!コンッ!

 

「火急の用にて夜分遅くに失礼する!サトウカズマ殿はご在宅か!」

 

 カズマ邸の玄関をノックする音と家主を呼ぶ女性の声。

 

「あん?この声は・・・クレアか?任務途中ですっ飛んできたからその事か?でも一応ちゃんと断ってきたハズだが・・・。」

 

 カズマが怪訝そうな面持ちでドアに向かう。

 

ガチャッ

「良かった、居たかサトウカズマ!」

 

「こんな時間にお前自らどうしたんだよ?ちゃんと戻るって言っただろ?」

 

 何かと顔を会わせる度にケンカになる間柄。わざわざ屋敷に来てまで文句を言われては堪らないとカズマも少しキツい言い方をしてしまう。

 

「どうもこうもない!この魔物はキサマが使役しているのか!?」

 

「はあっ?魔物?」

 

 クレアが見せてきたのは鳥籠、の中に入れられたハムスターだった。

 

「あれ?お前はむすけじゃないか。何してたんだよ?」

 

「何でもなにもないやい!せっかく命からがら敵地から抜け出して来たっていうのに、コイツらボクを捕まえてこんな籠に入れてからに!」

 

 事情はよく分からないがえらく怒っている様子のはむすけ。ん?何かこいつ今トンでもないこと言わなかったか?

 

「なにっ!やはりキサマがこの魔物を操っていたのか!?コイツは魔王が現れたなどという妄言で王都を混乱に陥れようとした争乱罪の容疑がかかっている!そして身元を聞けばキサマの家を指定してくるではないか!キサマもそれに加担しているとなればタダでh・・・「クレア、ちょっとお前黙ってろ。」なんだとぅ!?」

 

 煩いクレアを黙らせ、カズマははむすけに顔を近づけて、今の言葉を確認する。

 

「・・・おい、はむすけ!お前今敵地から抜け出して来たって言ったか!?」

 

「どうしたのだ、カズマ?何か揉め事か?」

「何かあったの?」

 

 何やら揉めている様子にダクネスやローズマリー達も様子を見に来た。

 

「そうっスよ!あの時、ボクはデーリッチと一緒に拐われたけど、あいつらボクの存在に気付いてなかったから、スキを見て逃げ出してきたんだ!何とか皆と合流しようと街の人に話しかけてたらコイツらヒトのこと喋るモンスターだなんだって、冗談じゃないっスよ!」

 

 

「・・・・。」

「・・・・。」

「・・・・・で。」

 

「で?」

 

「「「でかしたぞぉお!!はむすけぇ!!」」」

 

「な、何だ!?どういうことだ!?」

 

 思わぬ所から現れた救世主の登場に大歓声が上がる。一人事情が飲み込めないクレアが右往左往している。

 お前ヒトじゃないだろとか、今の今まではむすけの存在を忘れてたゴメンとか、そういうことはこの際、置いておく。

 

「はむすけ!敵のアジトに案内してくれ!」

 

「「「デーリッチ救出作戦だ!」」」

 

「誰か説明をしてくれ~!」

 

 

 

 

 デーリッチ救出作戦。あの時(、、、)と同じ様に大切な友達を救う為、大切な友達と共に歩む為、彼らは立ち上がった。

 




 前話で、(と一匹)てわざとらしく、しつこいくらいに書いてたのはこの為の伏線でした。文字数稼ぐ為じゃないよ!
 次回はデーリッチ視点、そしてついにあの人達が?
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