この素晴らしいハグレ王国に祝福を!   作:ひまじんホーム

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 キャラ紹介&設定説明回。
 後半長々と説明してるのはこの後の話の中核になりますので、読み飛ばさないほうがいいです。
 作者はこんな細かいことを考えられるほど頭が良くないので、この設定は基ネタがあります。知ってる方なら2話でピンと来てると思います。まぁ二次小説だしいいよね。
 あと、原作はあくまでもざくざくアクターズですので、このすばファンの方にはカズマパーティの活躍が物足りなく感じるかもしれないです。


第3話 仕事探しは

~アクセル近辺の森シャトル墜落原場~

 

「え~と・・・つまり、あんたらは異世界の住人で、事故でこの世界に来てしまったと・・・。」

 

 普通ならにわかに信じられる話ではないが、自身が転生者のカズマと、女神であるアクアとクリスの3人はすんなり受け入れた。

 一瞬目を丸くして絶句していためぐみんとダクネスも、よく考えたら既にこのパーティの過半数がこの世界の人間ではないことを思い出し納得する。

 

「ええ、そうなんです。」

 

 ハグレ王国を代表してローズマリーが答える。

 

「で、そちらの方は?うちのアクアとお知り合いってことは神様?」

 

 自業自得とはいえ、いきなりパーティメンバーをぶっ飛ばされたカズマはやや警戒気味に訪ねる。

 

「私は福の神をやっております、福ちゃんとでもお呼びください。アクアちゃんとは、え~と・・・、先輩と後輩関係ってところかしら?ね?アクアちゃん?」

 

 叩かれた頭に両手を当ててうずくまり、セルフヒールをかけていたアクア。声をかけられてビクゥと屹立して福ちゃんに向き直る。

 

「せ・・・せせ先輩!?福の神様に対して、そんな・・・!?」

 

 アクアがやらかしてオロオロしたり泣きわめいたりする姿を見るのは慣れているが、こんなに滅茶苦茶にパニくっているアクアは始めて見る。ニコニコしてて優しそうに見えるけど、そんなにヤバい神様なのか?

「ハッ!!そうよカズマ!頭が高いわよ!ほら!みんなもクリスを見倣って!ひかえおろう!ひかえおろう!」

 

 言われてカズマは脇にいたクリスを見る。

 片膝を付き、左手を胸に当て、右手は結んで地に当てかしづいている。神様式の敬礼なのか?ついでにダクネスもクリスに従って既にかしづいている。

 

「あらあら、直ぐに気付かなかったけれど、あなたはエリスちゃんね?」

 

「はい。ご無沙汰しておりました。まさかこのような場所でお会いするとは・・・。」

 

 クリス・・・、いや、エリス様も福の神様と面識があるらしい。アクアのように取り乱しはしないが、よく見ると微妙に手が震えて額に汗を垂らしている。かなり緊張しているようだ。

 

「な、なぁ、アクア。福の神様ってそんな偉い神様なのか?」

 

 女神2柱の尋常ではない様子にカズマが恐る恐る訪ねる。

 

「ばっかねカズマ!偉いなんてもんじゃないわよ!福の神様っていったら正一位太上だいじ「ふんっ!」ドスッ ドサッ

 

 何かを言いかけたところで、突然アクアが意識を失い、崩れ落ちる。

 恐ろしい程早い手刀。カズマでなければ見逃しちゃうね。というか、他のメンバーは死角になっていて見えていなかったようだ。

 

「あらあら、アクアちゃんたらはしゃぎ過ぎよ。こんなところで寝ちゃったらダメよ?」

 

「えっ、あんた今?」ナグリマセンデシタ?

「アクアちゃんには困ったものね?」ニコニコ

 

(ヤバい!この神様はヤバい!)

 

「アクアちゃん。私達は先輩と、後輩、よね?ほら、エリスちゃんも顔を上げて?」

 

「えっ!?は、はい・・・。ってアクア先輩が!?」

 

 カズマの危機感知センサーが針を振り切らんばかりにビンビンに反応している。これはいかん。過去最大級に関わっちゃダメなやつだ。

 

「やっぱり神様って福ちゃんに会うと皆、滅茶苦茶ビビってるでちね?」

 

「う~ん、福ちゃんの過去は聞いたけど、相変わらずだなぁ・・・。」

 

 最近似たようなシチュエーションが続いて、事情も把握しているハグレ王国の面々は冷静に成り行きを見守っていた。

―――――

 

「では、お互い自己紹介しましょうか。」

 

 参謀ローズマリーからハグレ王国の紹介がされる。

 ハグレは、彼らの世界で異世界から召喚された者がそう呼ばれていること。不遇な扱いや差別をされていたハグレや、気の合った者が集まってハグレ王国が大きくなっていったこと。

 デーリッチとローズマリーの二人で始めた王国が、今やあらゆる人種のるつぼとなり、彼らの世界に大きな影響力を持つようになったこと。

 

「神に、悪魔に、宇宙人に、異世界人・・・。」

 

「妖精に、アンデッドに、ドラゴンに、ゴーレムに・・・。」

 

 ダクネスとめぐみんも信じられないという顔をしている。とはいえ、アクセルの街も今挙がった種族の半分が暮らしており、異常事態具合でいえばお互い様である。

 

 

「濃すぎるだろ!なんつ~集まりだよ!うちの問題児達がかわいく見えてくるわ!」

 

「ほう、問題児とは誰のことか答えてもらおうか?ん?」

 

「か、かわいいだなんて・・・。こんな公衆の面前で私を口説いてどうする気だ・・・!」ポッ

 

「どうもしねーよ!?めぐみんも一々爆裂魔法をチラつかすのはやめろ!」

 

 誰がどう見ても問題児である。

 ツッコミしてても話が進まないので、カズマもパーティ紹介をする。

 

「俺はサトウカズマ。冒険者をやっている。こっちの黒いのがめぐみん。白いのがダクネス。そっちでヨダレ垂らして寝こけてるのが自称女神のアクア。それを介抱してる心優しい盗賊のクリスは、この世界で一番信仰を集める女神エリス様の仮の姿だ。」

「黒いの!?」ガーン!

「白いの!?」ビビクン!

 

 明らかに依怙贔屓された雑な紹介をされ、ショックを受けるめぐみんとダクネス。何かダクネスは顔を赤くしている。

 紹介に不満顔のめぐみんはおもむろにズイッと前に出て、高らかに名乗りをあげる。

 

「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法使いにして最強の魔法、爆裂魔法を操るもの!」

 

 バサッとマントをはためかせ、左手で三角帽子の前ツバを摘まみ、右手で杖を構え、ビシッとポーズを決める。いつも通りの紅魔族流の名乗りだ。

 その姿がハグレ王国のメンバーの琴線に触れたらしい。

 

「かっこいい!」キラキラ

「かっけぇ!」スゲェナンダアレ

 

「くっ、ワタクシより目立つなんて・・・。」クヤシイデスワ

 

「い・・いや、それほどでも・・・。」

 

 戦闘中の魔王軍幹部にすら馬鹿にされた紅魔族流の名乗りだが、かつてこれ程歓迎されたことがあっただろうか。珍しくめぐみんが照れている。

 

「なあ相棒、これは負けてられないよなぁ!?」

 

「もちろんでち!デーリッチ達もかっこ良く自己紹介するでち!」

 

 というわけで、ハグレ王国のメンバーも紅魔族流の自己紹介をすることになった。

 

「我が名はデーリッチ!ハグレ王国の国王にしてキーオブパンドラを操りし者!」ビシッ

 

(えっ、キーオブパンドラ!?まさか!?)

 

 アクアの介抱をしていたクリスがキーオブパンドラという単語に反応してバッと振り返ったが、それに気付いた者はいない。 自己紹介は続く。

 

「我が名はヅッチー!妖精王国のリーダーにして、雷を自在に操るもの!」ビリビリー

 

「我が名はドリントル!ドリンピア星の皇女にして、故郷の未来を憂うもの!」キラッ☆ミ

 

「我が名はニワカマッスル!ハグレ王国随一の筋肉にして、パーティをあらゆる暴力から護るもの!」ムキッ

 

「我が名はミアラージュ!ラージュ家古神降霊術の使い手にして、不死の体を持つもの!」スラッ

「我が名はヴォルケッタ!大賢者ヴォルガノンの孫娘にして、炎魔法を操るもの!」ドーン

 

「我が名は福ちゃん!福の神にして、神の祝福を授けるもの!」ニコー

 

「わ、わが名はマリオン!ハグレ王国の新入りにして、星を守護するもの!」アセ

 

「我が名はローズマリー!ハグレ王国の参謀にして、国王を補佐するもの」ピシッ

 

「我が名ははむ「以上がハグレ王国のメンバーです。」」

 

 ネズミが何か言いかけたようだが、ローズマリーがカットする。ハグレ王国の自己紹介は終わっている。

 

「お、お~!カズマ!この方達は紅魔族の流儀を完璧に理解されています!なんと素晴らしいことでしょう!これはついに紅魔族の時代が、もとい私が新たなる魔王として君臨する時代がきたのです!」

 ひとしきりの自己紹介が終わり、めぐみんが興奮して紅い眼をより一層紅く輝かせて物騒なことを言っている。

 

―――――

 

「俺達はこの森の調査に来たんだが、この乗り物?はともかく、こっちの爆発痕はなんだ?」

 

「そういえば私たち、ギルドの依頼で来たのでしたね。忘れることろでした。」

 

 お互いに自己紹介を終え、カズマは本題に入る。直径10数メートルにも及ぶクレーターは尋常ではない破壊行為があったことを物語っている。大方の予想は出来るが、ギルドからの依頼はこの件の調査である。

 

「あ~これはヴォルちんが・・・」

 

「し、仕方ないじゃない!ピンチだったんだから!」

「俺は悪くねえぞ!」

 

 話としてはこうだ。

シャトルごとこの世界に飛ばされた彼らが最初に感じたのは浮遊間。自分達が浮いてるかと錯覚した直後、それが落下していることに気付いた時にはもう手遅れだった。自由落下のまま地面に墜落したシャトル内では、誰も身構えることもままならず全員が大ダメージを受けていた。

 そこへ大きな音に気付いた野生モンスターが取り囲む。幸い死人はいなかったが、気を失っている者、怪我により動けない者が多く、ハグレ王国の面々は絶体絶命のピンチに陥っていた。

 そんな中で比較的怪我が軽く、立ち上がることができたのがヴォルケッタとニワカマッスルだけだった。

 まず、ニワカマッスルが前に出て『大防御』で瀕死の仲間を守る。そしてヴォルケッタが奥の手『大逆転フェニックス』を使う。それはデーリッチ、ヅッチー、ヴォルケッタの3人が瀕死の時にのみ使える秘技中の秘技。ヴォルケッタ自身を回復し、炎魔法力を超強化した上で超必殺技『爆星ヴォルケッタ』を解放する。

その威力は凄まじく、取り囲んでいたモンスターの半数以上を森の一角もろともぶっ飛ばした。残りのモンスターはあまりの威力に怯え、逃げ出し、危機を脱したという。

 その後、気が付いたデーリッチと福ちゃんのヒールで全員を回復し、夜明けを待って周辺の調査を始めていたところ、カズマ達と出会ったということである。

「これ程の魔法を一人で放ったってのか?めぐみんの爆裂魔法並みの威力だな・・・。」

 

 カズマがクレーターになっている森の一角を見ながら呟く。今まで幾度となく見てきためぐみんの爆裂魔法。最近益々威力が上がって手がつけられなくなってきているようだが、これ程の威力が出せる魔法がめぐみんの爆裂魔法以外にあったとは。

 と、カズマの呟きを聞いてムッとしためぐみんが対抗意識を燃やす。

 

「これは・・・、私の爆裂魔法に対する挑戦状ということですか。そうですか。いいでしょう!受けてたちましょう!」キラーン

 

「な、なんという威力!是非とも一度受けてみたい!」ハァハァ

 

 ついでにダクネスも興奮していた。

 

「お前らややこしくなるからちょっと黙ってろ!」

 

 ツッコミばかりしていては一向に話が進まない。カズマは問題児二人に大人しくしているよう、釘を刺す。

 

「事情は大体分かった。まぁ神様連れてる上に、そのなりで悪人てこともないだろう。事故というのも本当の様だし、ギルドには魔道具の暴走事故による旅行者の遭難とでも報告しておくわ。」

 

「それは助かります。我々も揉め事を起こしたり、変に注目されては困りますので。ありがとうございます。」

 

 ローズマリーはカズマの機転の効いた対応に感心しつつ感謝の意を伝える。

「で、アンタらはこれからどうするんだ?帰るアテはあるのか?」

 

「それが、非常に困ったことになっていまして・・・。デーリッチ、キーオブパンドラを。」

 

「おうでち!」

 

 呼ばれたデーリッチがキーオブパンドラを掲げ、意識を集中する。鍵の先端がほんのり光るが、そこでデーリッチの集中は切れる。

 

「う~ん。やっぱり元の世界から遠すぎるのか、座標が特定できないでち。」

 

「その鍵は何なんだ?」

 

 武器にしても道具にしても異質な大きな鍵。小さな女の子が大きな鍵を振り回してるのは絵的にはファンシーで微笑ましいが、鍛冶スキルや盗賊スキルの応用で多少目利きの心得もあるカズマには、それが尋常ならざるものであるのはなんとなく分かったいた。

 

「キーオブパンドラといって、転送装置みたいなものです。任意の場所に瞬間移動したり、別の世界へ通じる穴を開けたり閉じたりする機能があります。しかし、ご覧頂いたように、これを使って戻ることはできない。あとは我々が乗ってきたシャトルを直せたらいいのですが・・・。」チラッ

 

 ローズマリーに促され、スペースシャトルの持ち主であるマリオンが代わって応える。

 

「シャトルの機能は完全に故障してしまっている。設備も材料もないこんな場所で修理することは不可能だ。」

 

 確かに、こんなファンタジー世界にスペースシャトルなんて持ち込まれても修理なんてしようもない。カズマがかつていた日本ですらようやくロケットを飛ばせるようになった程度の技術力だ。

 別の方法を考えたほうがよさそうだ。

 

「アクアやエリス様の力で異世界に送ることは出来ないのか?ほら、俺をこの世界に送ったように。」

 

 そういえば、とカズマは気絶しているアクアとそれを介抱するクリスの方へ向き直る。

 クリスは申し訳なさそうにしながら、口調を女神モードに変えて応える。

 

「私の力で送れるのは死者の魂だけなんです。これはアクア先輩でも同じで、死者を導く役目の女神では、魂を転生させることしかできません。おそらく、福の神様ですら生身の人間を異世界へ転送するのは難しいのではないかと・・・。」

 

「そうなんですか?」

 

「ええ。物体を異世界へ行き来させるには世界に穴を開け、繋ぎ、閉じる、という極めて特殊な能力が必要になります。おそらくは、天界の神々を見回してもその能力を持つ者がいるかどうか・・・。」

 

 よく考えたら、神様の力で帰れるなら、彼らは福の神様の力で帰れている。

 あ、でも生身がダメなら、とカズマが提案する。

 

「じゃあ、アンタら1回死んで、元の世界で転生するのは?」

 

 流石クズマさんの異名は伊達ではない。自分自身が何度も死んで生き返っているのもあるが、マトモな感性では思い付かないことをさらっと言ってのける。

 

「うわぁ・・・」

「鬼畜・・・」

「恐ろしい男じゃ・・・」

「クズマ・・・クズマだ・・・」

 

 その場にいる全員がカズマから1歩後ずさり、ドン引きしている。

 

「却下です!本当に何を考えているんですか!あなたは!」

 

 女神モードのクリスがカズマを叱りつける。本気で怒っている様子にさしものカズマも鬼畜案は取り下げる。

 

「つってもよー、神様でも無理なら打つ手ないぜ?」

 

 カズマがお手上げポーズをとる。何かと機転の効くカズマでもこの状況をどうにかする案は出せないようだ。

 そこへ、先程から何か考えていた様子の福ちゃんが口を開く。

 

「エリスちゃんは、此処からなら天界に戻れるのよね?」

 

「はい。私の管轄する世界ですので。」

 

「そうしたら、天界のラヴァーズちゃんに救援を頼んでもらえないかしら?あまり気は進まないけど・・・、天界で顔の広いラヴァーズちゃんなら、なんとか出来るんじゃないかと思うの。」

「ラ、ラヴァーズ様にですか!?」アセ

 

「ええ。あの女たぬk・・・、もといラヴァーズちゃんとは旧知の仲なのよ。女神園で色んな女神を育てたりもしているから、変わった能力を持った神のことも詳しいはずよ。」

 

 愛の女神ラヴァーズ。人々の愛を司る神様。キューピッドを配下に持つ天界有数の実力者である。先日、冬の女神セドナの反乱を調停に導き、戦の神オーディンとの派閥争いにも勝利し、日の出の勢いで天界での影響力を拡大中の超大物女神である。

 

「し、承知致しました!行って参ります!」

 

 クリスは未だに気絶しているアクアをダクネスに預け、一足先に天界に戻った。「取り合えずはクリスさん、いや、エリス様に任せておけばいいのかな?」

 

 何とかなりそうな様子に、ローズマリーが少し安心した様子で問いかける。

 

「そうね。ちょっと時間はかかると思うけど・・・。」

 

「時間?」

 

「ラヴァーズちゃんはそれなりの立場の神だから簡単に話ができるわけではないの・・・。多分、1ヶ月くらいはかかるんじゃないかしら?」

 

「「「いっかげつ!?」」」

 

 その場の全員が驚く。天界上位の神様に会うのは大変なことらしい。

 

 

―――――

 

~カズマ邸~

 

 いつまでも森の中で立ち話するのもなんなので、一行は一度カズマ邸に戻り、これからの動きについて話し合うことにした。 家主であり、パーティリーダーのカズマとローズマリーが代表となり今後の方針について話し合っている。

「寝泊まりくらいならウチの空き部屋使ってもいいぞ?二人一部屋で使えるくらいの空きはあるし。」

 

 元貴族の別荘であるカズマ邸は無駄に広い。普段使わない部屋や、物置にしている部屋もあるが、少し掃除すれば仮宿としては充分過ぎるほどだ。

 

「それは願ってもいない申し出です。是非ともお願いします。しかし、1ヶ月もの間、ご迷惑かけっぱなしというわけにはいきません。我々も自活する為の生活基盤を整えようと思います。手っ取り早くお金を稼ぐなら、やはり冒険者が一番でしょうか・・・?」

 

 キチンと方向性を持ったローズマリーの返答にカズマは感心した。誰かに依存するわけでもはなく、自己満足でもなく、現実的にやれることをやろうとする姿勢に。

 流石は一国を築いた参謀である。

 

「まぁそうだな。ギルドで登録料払えば誰でも冒険者になれるし、冒険者カードは身分証明にもなるから、この世界で生活するには色々と便利だぜ。」

 

「登録料?あっ、お金がかかるんですか?うぅむ・・・。」

 

「大した金額じゃないし、そんくらい貸してやるよ。」

 

 別にあげてもてもいいのだが、奢ってやるよ、とならないのは相手にあまり気を使わせないようにしたカズマなりの気配りである。

 

「いいんですか!?何から何まで・・・、本当にありがとうございます!必ずお返ししますので。」

 

 礼を言いながらカズマの手をギュッと握るローズマリー。クール系美人に手を握られ、童貞卒業未遂のカズマは顔をちょっと赤くして照れている。

 一方で、ローズマリーはふと目線を感じ、チラと横に目を送るとめぐみんとダクネスがこっちを見ているのに気付いた。ちなみにアクアは未だに寝こけている。

 視線を感じたローズマリーは、なるほど、と手を離す。

 

「あっ、これは失礼。つい・・・。」

 

「いや、いいんだ。え~と、じゃあ、大体話も決まったし、ギルドへ行こうか。調査の報告もしなきゃならないからな。ついでに案内するぜ。」

 

「よろしくお願いします。」

 

 斯くして、一行はギルドへ向かうことにした。

 

―――――

 

~ギルドへの道中~

 

 めぐみんは気絶したままのアクアの面倒を看るため屋敷に残り、カズマ、ダクネス、ハグレ王国メンバー9人とはむすけでギルドへ向かった。

 平時でさえ街の名物パーティであるカズマパーティが、珍妙な格好をした面子を連れている様は、控え目に言って物凄く目立つ。大袈裟に言えば仮装パーティみたいになっている。

 

 ハグレ王国の面々も異世界情緒を堪能しようとキョロキョロ周りを見回していて落ち着きがない。

 そんな中でもローズマリーがテントで呼び込みをしてる集団を目に留める。

 

「髪の毛1本から出来る慈善活動にご協力を~!」

 

 もう日も傾き始める時間になるが、朝も目にした団体が未だに活動を続けていた。

 

「あれは何をやってるんですか?」

 

「あぁ、生き物から取り出したマナを活用する研究をしてる団体らしい。医療とか砂漠の緑化とかに役立てるんだとさ。」

 

 朝ダクネスから聞いた話をそのまま伝える。

 

「生き物からマナを、だって・・・?まるでバイオ召喚装置だ!」

 

「バイオ召喚装置?」

 

「我々の世界で、ハグレ王国を最大の危機に陥れた男が作った忌まわしき装置です。捕らえた人間の魔力を核として、無理矢理マナを取り出して巨大魔物の召喚に使っていました。魔物との戦いは大陸を巻き込んだ大規模な戦争になりましたが、帝都3王国連合軍が辛くも勝利し、すんでのところで核にされていた女性を助け出すことができました。」

 

「そんなことが・・・。」

 

 さしものカズマも驚愕するが、一方で納得もする。先程垣間見た、デーリッチとミアラージュ、どう見ても10歳程度の女の子が見せたあの戦闘力。きっと他にもいくつもの修羅場をくぐってきているに違いない。見た目はふざけているハグレ王国だが、実力は確かだ。

 

「彼らがそんなことを企んでいるとは思いませんが、我々もあまり良い印象がない技術です。ね、デーリッチ?あれ?デーリッチ?」

 

 くるっと振り返ると、さっきまですぐ後ろでヅッチーにオセロの再戦要求をしていたハズのデーリッチの姿がない。

 しまった!という様子で辺りを見回す国王の保護者ローズマリー。

 

「あ、いた!ちょっと、デーリッチ、ヅッチー!何してるの!?」

 

 先程のテントで熱心に話を聞いて紙に何か書いているデーリッチとヅッチー。ローズマリーが駆け足で呼びにいく。

 

「あ!ローズマリー!この人たちすごいんでちよ!髪の毛から取り出したマナを集めて難病治療に役立てるらしいでち!」

「すげーよな!」

 

 キラッキラの笑顔で応えるデーリッチとヅッチー。が、保護者ローズマリーはご立腹である。

 

「今大変な状況なんだから、勝手な行動で団体行動を乱さないように!ほら、行くよ!」

 

「「え~!」」

 

 ローズマリーに引き摺られて渋々団体に戻るデーリッチとヅッチー。

 今朝のやりとりがフラッシュバックしたカズマはローズマリーの肩に手を置いた。

「アンタも、苦労してるんだな。」

 

 カズマは、先程何となく、ローズマリーに好感を持てた理由が解った気がした。

 

―――――

 

~冒険者ギルド~

「じゃあ、俺は奥で依頼の報告をしてくるから、何か分からないことがあればダクネスに聞いてくれ。」

 

 と、言い残し、カズマはギルドの奥へ消えた。後を任されたダクネスは了解した、とハグレ王国の面々に向き直り、説明をする。

 

「えぇと、では、ハグレ王国の皆は受付で順番に冒険者登録を済ませてきてくれ。4つ窓口があるから適当に別れて並ぶといい。登録料として一人千エリスずつ渡しておこう。」

 

「「「は~い!」」」

 

 ダクネスから説明を受け、各自窓口に並んだ。何だか孤児院の子供たちを連れ添っている気分だ。

 最初に順番が回ってきたのはデーリッチだった。

「いらっしゃいませ~。えっ?冒険者登録ですか?あなたが?」

 

「ダメでちか?」

 

「えぇと、冒険者登録に年齢制限はございませんが・・・。」

 

 こういう反応になるのは予想できていたので、ダクネスがフォローに入る。

 

「あぁ、この子たちなら大丈夫だ。後見人が必要なら私がなろう。」

 

「えっ?ああ、いや、後見人を立てる必要はありません。ダクネスさんからのご紹介でしたら問題ありません。」

 

「すまない。よろしく頼む。」

 

「ありがとうでち!ダクネスおねえさん!」

 

 デーリッチがダクネスに満面の笑みでお礼を言う。普段無愛想なダクネスだが、つられて頬が緩むのを感じた。

 受付のルナが白紙の冒険者カードを差し出し、説明をする。

 

「えっと、では、こちらのカードに触れてください。それであなたの能力が分かりますので、能力に応じてなりたいクラスを選んでくださいね。選んだクラスによって、経験を積む事により様々なクラス専用のスキルを習得できる様になりますので、その辺りも踏まえてクラスを選んでください。」

 

「あ~なるほど。ここでデーリッチのとてつもない能力が明らかになってちょっとした騒ぎが起きるわけでちね?」

 

 実際、かなりの経験を積んでいるデーリッチは基本ステータスだけなら強者揃いのハグレ王国でも上位に位置する。

 デーリッチは鼻歌混じりに、自信満々でカードに触れた。

 

「・・・はい、けっこうです。デーリッチさん、ですね。能力は素早さと魔力がやや高いのと、知力は・・・残念、ですね。あれ?幸運値が非常に高いですね?サトウカズマさんより幸運値が高い方なんて、中々いらっしゃいませんよ。でも、どうしましょう。このステータスだと選択できる職業は基本職である冒険者しかないです。まぁ最近はサトウカズマさんの影響であえて冒険者を選ぶ方もいらっしゃいますが・・・、よろしいですか?」

 

「「えっ!?」」

 

 表示されたステータスに、ダクネスとデーリッチが声をあげる。

 

「そんなバカな!?そんなに低いステータスなわけがないだろう?そのカードが壊れているのではないか!?」

 

 直接見たわけではないが、デーリッチが一撃熊をあっさり倒したという話をカズマから聞いていたダクネスがカウンターから乗り出して抗議する。

 

「え、ええ?では、その、もう一度、こちらのカードを触ってみてください。」

 

 ルナから新しいカードを出され、デーリッチはカードに触れる。しかし、表示されるステータスは先程と変わらない数値だった。

 

「ま、まあ、レベルが上がればステータスも上がりますしね!そうすれば他の職業へ転職もできますし、冒険者だからって悪い事ばかりでは無いですよ?なにせ、全てのクラスのスキルを習得できますから!」

 

 どうやらルナは冒険者しか選べないことに納得出来ていない為の抗議だと思ったようだ。冒険者職のメリットを必死に説明している。

(どういうことだ?こんなステータスではマグレでも一撃熊にダメージなんて与えられないはず・・・。)

 

「あの~?」

 

「あ、あぁ。すまない。では、それで登録を頼む。デーリッチもよいか?」

 

「ん~・・・、まぁ仕方ないでち。冒険者でお願いします。」

 

 一悶着あったが、デーリッチが冒険者登録を終えると・・・

 

「おおっ!?体力筋力がかなり低いですが魔力知力はなかなかに高いです!これなら少しレベルが上がればアークウィザードにもなれますよ!」

 

 これはローズマリーへのコメント。

当のローズマリーはこんなものかな、と思ったが、ちょっと待てよ、元々体質が弱いとはいえ、今の自分が一般人に比べて体力が低いなんてことがあるだろうか?

 この表示されたステータスはまるで初めてデーリッチと出会った頃のイメージに近い。もしかして・・・。

 

―――――

 

全員が冒険者登録を終え、各自のステータスと選択した職業を確認し合う。

 

デーリッチ:冒険者

素早さと魔力がやや高い

幸運メチャクチャ高い

知力は残念です

 

ローズマリー:ウィザード

体力筋力が低い

魔力知力なかなか高い

 

福ちゃん:アークプリースト

全体的にそこそこ高い

素早さだけやや低い

魔力非常に高い

幸運メチャクチャ高い

 

ヅッチー:エレメンタルマスター

体力だけかなり低い

素早さ高い

魔力非常に高い

知力そこそこ

 

ヴォルケッタ:ウィザード

魔力知力なかなか高い

幸運がかなり低い

 

ドリントル:アーチャー

全体的にそこそこ高い

 

ミアラージュ:アークウィザード

体力かなり低い

魔力知力非常に高い

 

ニワカマッスル:戦士

体力筋力非常に高い

魔力知力は残念です

 

マリオン:ルーンナイト

全体的にかなり高い

幸運だけかなり低い

 

はむすけ:盗賊

筋力体力魔力が非常に低い

素早さ非常に高い

 

知力はまぁまぁ高い

幸運が非常に高い

 

 

「デ、デーリッチだけ冒険者とは・・・」ガーン

 

「まーそう落ち込むなって相棒。レベルが上がれば転職もできるんだろ?」

 

「はむすけですら職業につけたのに・・・。」

 

「というか、はむすけ登録できたのか・・・、ガバガバじゃのう、冒険者ギルド。」

 

「おいそこのドリル姫!僕に言いたいことがあるなら聞くぞ!」

 

「誰がドリル姫じゃ!」スパコーン!

 

「イタッ!スミマセンでした!(くそ~今に見てろよ~。)」

 

 カードを見せ合い、お互いのステータスに勝ったの負けたのと一喜一憂している面々をよそに、じっと考え込んでいたローズマリーがうん、やはりそうだ、と納得した様子で口を開く。

「デーリッチ、気にすることはないよ。このステータスは今の私たちのレベルを反映したものではないようだから。」

 

「ほぇ?」

 

 ちょっと泣きそうになっていたデーリッチがローズマリーへ向き直る。

 

「??どういうことだ?」

 

 先程から納得いかなかったダクネスが聞き返す。

 

「説明の前に少し確認させて頂きたいことがあります。ダクネスさん、この世界ではいわゆる『経験値』や『レベル』はどのようなものだと考えられていますか?」

 

「ふむ、私たちの世界では経験値とは魂の欠片だと言われている。あらゆる生物は魂に経験を蓄えていて、我々は敵を倒したり、生命力に溢れた野菜を食べたりすることで、他者の魂の欠片を経験値という形で得ることができる。経験値を一定以上蓄えるとレベルが上がり、急激な成長を遂げることができるな。」

 

「なるほど、その辺りの仕組み自体は我々の世界とそう変わらないようですね。では、魂について、『モールド』という言葉を聞いたことがありますか?」

 

「モールド・・・?いや、聞いたことがない。」

 

「そう、この『モールド』というものが重要なのです。モールドについて説明するにはまずは生命について説明しなければなりません。生物を構成する要素は、『肉体』と『魂』に分かれますが、実はそれぞれの活動は独立しています。肉体は物質で形成されているので普通は食事と適度な運動で安定して活動できますが、魂が活動するのに必要な『魂珀』は非物質であるマナを素としているので非常に不安定です。そこで、マナを魂珀という魂が使えるエネルギーに変換し、更に肉体と魂を繋ぎ合わせ安定させるのが『モールド』と、我々の世界では呼んでいます。」

 

「ふむ、つまり我々が普段取り込んでいる魂の欠片とは、魂のエネルギーである魂珀のことだということか?」

 

「そうです。そして、レベルアップとは取り込んだ魂珀を使ってモールドを再構成するということなんです。イメージとしては、エネルギーをより多く貯められるように器を大きくする、といったところでしょうか。」

 

「成程、異世界の知識とはとてつもなく進んでいるものなのだな。しかしそれが今回、ステータスが表示されないことと、どんな関係があるのだ?」

 

「このモールドというのは人によってその性質が異なることは想像できると思います。例えば性格は勿論、得意な魔法属性だったり、固有のスキルだったり、個人によって様々な特徴が現れます。では、誰でも同じスキルを習得できる、この冒険者カードとは、一体何なのでしょう?」

 

「冒険者カードとは?考えたこともなかったな。」

 

 ダクネスは自分の冒険者カードを取り出し、まじまじと見つめる。幼少の頃に父に持たされ、特に疑問を持つことなく今まで使ってきた。

 

「ここからは、私の想像も含まれますが、恐らくこの冒険者カードはその人が今まで得た魂珀を読み取り、モールドの形を数値化しているのでしょう。倒したモンスターが表示されるのもいわゆる経験値、『魂珀』を計算する為の機能だと思います。そして、モールドの再構成をスキル習得という形で成長の指向性をサポートしている。では、私たち異世界人のモールドを構成する魂珀は一体どこから得たものなのか?」

 

「それは、貴女方の世界で倒したモンスターや摂取した食物からだな。」

 

「そうです。では先程説明したように、モールドは個人でもその性質が異なります。この世界の生物のモールドを読み取る冒険者カードは、果たしてこの世界と全く繋がりがない異世界の生物のモールドを読み取ることができるだろうか?答えはノーです。冒険者カードのステータス表示には、私たちの世界で得た魂珀は読み取れなかった。と、いうことです。」

 

 これが異世界の知識か・・・。ダクネスは驚愕した。ただのステータスの表示に対する違和感からこれ程の仮説を導き出せるものなのか?この世界では生命を定義することもされていないというのに・・・。

 ダクネスは今、本当の意味で彼女らが異世界人であると認識できた。

 

「貴女方の世界の知識とはとてつもないものなのだな・・・。」

 

「??いやいや、この冒険者カードなんていうモノを造り出しているこの世界の技術の方がよっぽど驚嘆に値しますよ。」

 

「制限はあるとはいえ、モールドの成長を安全に人為的な操作ができるこのカードはトンでもない代物ですよ?誰もが無駄のない成長ができますし、ある一つの力に特化することもできる。成りたい自分になれるということですね。先程、私は肉体と魂の活動は別のモノだと言いましたが、極端なことを言えば、モールドを操作する技術は応用すれば魂だけを他人と入れ換えたりするようなことも可能になるのです。私たち世界ではそんな技術はありません。」

「なるほどな、何が優れているか比べても仕方のないということか。ご教授頂き感謝する。ローズマリー殿。」

 

「いえいえ、そんな大それたものではありません。それよりも・・・、デーリッチ!ほら!起きて!」

 

 ローズマリーは途中から眠りこけていた、デーリッチを起こす。

 

「あれ?魂珀プリンはどこ?」

 

「何を言ってるんだキミは。ほら、ヨダレを拭いて。」

 

「は!あぁ、デーリッチは寝てないでちよ!?魂珀プリンの器が大きくなってレベルが上がるってことでちよね!?」

 

「う~ん、所々聞いてはいたようだけど・・・。まぁつまり、このカードには異世界で得た経験値が反映されてないから、表示されるステータスが低いのは仕方ないってこと。だから気にする必要はないんだよ。」

 

 先程の説明の結論を二行にまとめてデーリッチに話す。

 

「なるほど!わかったでち!」

 

 頭の冠が落ちるほど大きく頷くデーリッチ。落ち込んだ様子は微塵もない。

 




 登場人数の問題で没になった妄想ネタ集②

◆こたつドラゴンからコタツカウンターのスキルを教わるカズマ。最強のこたつ無双伝説が今、始まる。

◆新魔王に造られたデストロイヤーX。立ち向かうのはメニャーニャの手により蘇った古代の超兵器ターンビーダンガル。パイロットはエステルさん。キメ台詞は「通るさ(ry」

◆カナヅチ大明神にサービスパープルの称号をつけられるウィズ。何かよくわからんうちに新サービス戦隊のメンバーを集める旅に出る羽目に。
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