この素晴らしいハグレ王国に祝福を!   作:ひまじんホーム

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お金稼ぎ回その1。


第4話 お金って大事

~カズマ邸~

 

「ただま~」

「あ、おかり~。」

「お邪魔してま~す。」

 

 ギルドへの報告を終えたカズマと合流した後は、今日はもう遅い時間なので屋敷に戻ることにした一行。

 目を醒ましたアクアとめぐみん、人手が必要だからとめぐみんに呼び出されたゆんゆんが出迎える。

 3人で食事の支度をしてくれていたらしく、テーブルには食器が並べられ、キッチンからはスープの食欲をそそる香りが漂う。

 

「人数が多いのであまり手の込んだものは用意できませんでしたが・・・。足りない椅子や食器はゆんゆんが来客用に買い揃えてから全く使われていなかったものを持ってきて貰いました。」

 

「ちょっとめぐみん!?それじゃ私の家を訪ねる人が一人もいないみたいな言い方じゃない!?」

 

 ゆんゆんはカズマパーティと共に魔王討伐に参加した冒険者の一人。めぐみんとは同郷の紅魔族で、自称ライバル関係である。

 ずっと安い宿屋や馬小屋で寝泊まりをしていたが、魔王討伐で得た多額の褒賞金で小さいながらも一軒家を購入した。が、相変わらずのボッチなので、訪ねてくる者もおらず、ウキウキで買い揃えた椅子や食器、寝具やら何やらの多くが未使用のままとなっていた。

 

「は?いないじゃないですか?」

 

「い、いるわよ!郵便屋さんとか、最近は訪問販売の人がよく来てくれるようになったんだから!ほら、この全自動卵割り機とか、お客さんが来て卵を沢山割らないといけないときに便利だって勧めてくれたんだからね!コレすっごいんだから!今日だってアクア様から大絶賛よ!」

 

「「「うわぁ・・・。」」」

「どんなけチョロいんですか、あなたは・・・。」ハァ

 

 自信満々にボッチ生活を告白するゆんゆんに一同がドン引きする。

 

「なぁめぐみん、ゆんゆんを独り暮らしさせるのって危なくないか?」コソッ

 

 カズマがわりと本気でゆんゆんを心配して、そのライバルに問いかける。

 高レベルで上級職のアークウィザード、めぐみんと違いバランス良く上級魔法だけでなくテレポートなどの補助魔法も習得し、更に短剣での近接戦闘もそこそこにこなせる万能タイプのゆんゆん。人見知りで他の冒険者に声をかけることが出来ないでいるうちにソロで依頼を受けることが多い。なまじ大抵の討伐依頼はソロでこなせてしまうが故にボッチ症状を更に進行させている。

 

「あぁ見えて自分で決めたことには頑固な娘ですからね。どっかで痛い目にあわないと分からないのでしょう。」

 

 そう言いながらも、自称ライバルの家に足しげく通い、「カズマのテレポートだと魔力切れが心配ですから」と言いながらゆんゆんを魔王城への一日一爆裂に同行させているのは、めぐみんなりに幼馴染みを心配してのことだろう。

 

「まぁ、そんなどうでもいいことは置いておいて、自己紹介くらいしたほうがよいのではないですか?」

 

「くっ、た、確かに・・・コホン。わ、我が名はゆんゆん!アークウィザードにして、いずれは一族の長になる者!」

 

「長って、めぐみんちゃんの村の?」

 

「ええ、ゆんゆんは紅魔族の長の一人娘なんですよ。」

 

「へぇ~、きっとめぐみんちゃんみたいな凄い魔法使いなんでちね。よろしくでち!ゆんゆんちゃん!」

 

 片足を上げた、鶴のポーズで紅魔族流の自己紹介をするゆんゆんに、握手を求めて手を差し出すデーリッチ。

 それに対して何故か半歩後退るゆんゆん。

 

「あ、握手だなんて・・・、私たち初対面なのに、そ、そういうのはもっとお互いを知ってからのほうが、その、いいの?」

 

「ねぇヅッチー、デーリッチ何か変なこと言ったでちか?」ヒソヒソ

「いや、何もおかしなことはなかったと思うぜ?」ヒソヒソ

「もしかしたらこの世界での握手は何か特別な意味があるのではなくて?」ヒソヒソ

 

 デーリッチ、ヅッチー、ヴォルケッタのかしまし3人娘がゆんゆんの奇行を分析する。

 そこへめぐみんが助け船を出す。

 

「本当に面倒くさい娘ですね。初対面だから握手するのでしょう。」

 

「ふぇ!?ほ、本当に、私なんかと握手してくれるの?もしかしてこの娘天使?」

 

 言いながらゆんゆんがおずおずと右手を伸ばすと、デーリッチがそれをガシッと掴み上下にブンブン振るう。ついでにヅッチーとヴォルケッタとも握手を交わす。

 

「これで、デーリッチたちとゆんゆんちゃんはお友達でち!」

 

「オトモダチ?おともだち・・・、お友達!?めぐみん、どうしよう!私にお友達ができたわ!」ズットモダョ!

 

「どうもしなくていいですから、さっさとご飯にしましょう。冷めてしまいます。」

 一人でブツブツ「友達・・・ズッ友・・・ウフフ」とか呟いてるゆんゆんをよそに、各々席について食事を始めた。

 

―ー――――

 

「さて、無事にみんな冒険者登録が終わって、明日から私たちも冒険者稼業を始めるわけだけど、一つ重大な問題がある。」

 

 食事が終わり、各々が解散する前にローズマリーが真剣な面持ちで話し始める。

 

「重大な問題?」

 カズマが聞き返す。

 

「そう。ヅッチー、ミアちん、キミ達はマナジャムの手持ちはあとどれくらいある?」

 

 元々頑丈なタイプではないにも関わらず無茶な魔法習得を行い、マナ欠乏症の持病を持つローズマリー、生命そのものがマナで構成されている妖精という種族のヅッチー、アンデッドとしての体を維持する為に定期的にマナの補充が必要なミアラージュ。

 彼女達はそれぞれの事情によりマナ不足が命に関わる者たちである。シノブが品種改良を施し、現在は妖精王国で栽培されているマナの実を煮詰めたマナジャムを定期的に摂取することで健康を維持している。

 

「あ~それは重要なことね。私は1ヶ月は大丈夫よ。」

 ゴトンッと鞄から取り出した大瓶をテーブルに出すミアラージュ。

 

「ヅッチーも10日分くらいは常備してるぞ!」ドヤッ

 

 コトッと小瓶を取り出してみせるヅッチー。

 

「「えっ!?」」

 

「なんだよー?ミアちんよりちょっと少ないだけだろー?」

 

「やはりそうか・・・。私は毎日マナジャムを補給する必要があるわけではないから緊急用にだけ備えているが、あまり多くは持ってない。ヅッチー、キミは私たちがこの世界に最低どのくらい滞在しなければならないか覚えている?」

 

「1ヶ月だろ?あっ・・・。」

 

「状況を飲み込めてくれたようだね。」

 

 女神エリスが天界へ救援を呼びに行くのに要する時間は少なくとも1ヶ月。場合によってはそれ以上かかる可能性もある。

 彼女達の生命活動維持に必要なマナジャムが不足しているのである。

 

「というわけで、私達はこの世界でお金を稼ぐだけでなく、マナの補給源を探さなければならない。カズマさん、この世界でのマナの補給方法を教えて頂けませんか?」

 

「う~ん。マナの補給源といえばマナタイトって鉱石が一般的だな。ただ、質の良いものはかなり高価だからおいそれと買えるもんじゃないな。あとは・・・、ローズマリーさん、ちょっと手を出してくれ。おいアクア、こっち来い。」コイコイ

 

 真面目な話に飽きて、数枚の台布巾を組み合わせてゼル帝そっくりな人形を創っていたアクア。女神アクアは水だけでなく芸術の象徴でもあるというのは本人の談だが、本当に無駄なところで神らしい能力を発揮する。

 カズマの手招きに応じてトテテと近づいてカズマの横に立つアクア。

 

「なによカズマ?私はゼル帝人形の創作に忙しい・・・って、ひゃああああ!?」

 

 カズマは右手でローズマリーの手を、左手でアクアの手を取りドレインタッチを発動させる。

 

「っ何すんのよ、こんのクソニート!」ゴッドブロゥ!

 

 いきなりのドレインタッチに猛抗議し必殺の右拳を繰り出すアクア。それを回避スキルでひょいひょいとかわすカズマ。圧倒的な幸運値の差が為せる技である。

 一方でローズマリーはカズマの手から熱いエネルギーが流れ込むのを感じる。

 

「これは・・・、ミアラージュのソウルスティールのような特技ですね。あなたはアンデッド特有のスキルが使えるのですか?」

 

「これが冒険者クラスの唯一の強みさ。スキルポイントさえあれば見たことあるスキルは大抵習得できるんだ。で、こいつでマナの補充はできそうか?」

 

「そうですね・・・。いや、このスキルでは効果は薄いでしょう。」

 

「なんでだ?」

 

「今送られた魔力はアクアさんの魔力でした。これは魔力の質そのものがアクアさん固有の魔力だということです。他人の魔力では、魔法を放ったり傷を治したりはできますが、体に定着させることは出来ないのです。応急処置にはなるかも知れませんが・・・。」

「ふ~ん、そういうもんか。」

 

「紅魔族ローブが他人のものを使えないのと同じですね。」

 

 あまり魔法に明るくないカズマにめぐみんがフォローを入れる。

 

「あ~なるほど。」

 

 先天的に魔力が有り余る紅魔族は適度に魔力を発散しないと、体内に溜まった魔力が暴発してしまうことがある。紅魔族が皆着ているローブは余分な魔力を発散させて魔力の暴発を防ぐという重要な機能がある。

 以前、めぐみんが1着しかない紅魔族ローブを魔改造スライムに喰われたときは、めぐみんがいつ爆発するかわからない爆弾岩みたいになってたっけ。

 

「しかし、ドレインタッチがダメならマナタイトも使えないんじゃないのか?」

 

「それは大丈夫だと思います。マナタイトから吸収できるマナは、個人の魔力に変換される前のもの。誰が使用しても問題ないはずです。」

 

 この場で最も魔法に明るいめぐみんが解説する。

 

「マナタイトか・・・。ウィズの店にまだ売ってるかな?いや、売ってるんだろうなぁ・・・。あの悪魔が大量に仕入れてそうだ。」

 

「悪魔?」ピク

 

 悪魔と聞いてちょっと眉を吊り上げる福ちゃん。

 

「アクセルにはワケの分からん物ばかり品揃えしたがるポンコツ店主が経営する店があるんだが、そこで働いている悪魔が見通す悪魔って呼ばれててな。人の考えとか未来とか何でも見通せるらしい。」

 

「悪魔が店番とは中々物騒なお店ですね。」

 

「あんまり驚かないのな。まぁ、ギルドも存在は把握してるんだが、人を殺さないことをポリシーにしているから、人類に直接危害を与えるワケではないし、下手に手を出しても勝ち目がないから放置されてるんだ。まぁ、関わるとロクなことにならないから、普段はあまり遇いたくない相手には違いないが。」

 

「なるほど。ではその見通す悪魔がこの状況を予知して、既にマナタイトを準備していると。」

 

「まぁ、そういうこった。」

 

「では、明日はそのウィズさんという方のお店に行くことにします。私と、マナ不足の可能性があるヅッチー、ミアちん・・・、あと福ちゃんは依頼には参加せずに一緒に来てくれ。カズマさん、ご紹介お願いしてもよろしいでしょうか?」

「ああ、いいぞ。」

 

「では、明日は魔道具屋を訪ねるチームとギルドへ依頼を受けに行くチームに別れよう。ギルドチームはドリントルが指揮をとってくれ。」

 

「任されたわい。」

 

「では、議題は以上です。何か追加はありますか?」

 

「ひとつだけいいか?」

 

「カズマさん、どうぞ。」

 

「その、さん付けで呼ぶのやめてくれ。なんかムズムズする。敬語もナシで頼むわ。」

 

「え?いや、しかし・・・。」

 

「敬語を使うほうが失礼ということもある。」

 

 ここまで黙っていたダクネスが言う。つい今朝方、クリスとのやり取りを思い出しているようだ。

 

「なるほど。わかりました。改めてよろしく、カズマ。」」

 

「おう。」

 

「それでは、会議を終了とします。解散。」

 

「「「はい!」」」

 

 ハグレ王国の面々が乱れず返事をする。見た目はふざけてるとしか思えない連中だが、こういうところは妙に締まっている。

 

「お前らいつもこんな会議してんの?」

 

「ええ。王国会議は建国からの恒例で、全員で方向性を決めるようにしています。」

「ふ~ん。」

 

 個性溢れる面子。尖った資質。それをコントロールする参謀。カズマはハグレ王国に、どこか自分のパーティとよく似たものを見つけていた。

「何です?」

「いや、何でもない。」

 

 カズマはローズマリーも苦労してるんだろうなぁと、自然と憐れみの眼差しを向けていた。

 

―――――

 

~翌朝~

 

コッケコッコォォォオ!!!

 

 キングスフォード・ゼルトマン、通称ゼル帝、命名はアクア。希少なフェザードラゴン種(と、アクアが言い張っている鶏)であり、カズマの朝の目覚めに欠かせない存在。

 ゼル帝の時告げによりカズマパーティの1日は始まる。

 

「お~っす。」

「おはようございます。」

「おはよ~。」

「はよ~。」

 

 各々起きてきて、挨拶を交わす。

 朝食当番はダクネスとミアラージュ、ヴォルケッタが担当しており、皆より一足先に起きて用意をしていた。

 パンと野菜とスープだけの簡単な朝食だが、女性比率が高いのでそれで充分らしい。ニワカマッスルだけパンを多目に貰っている。

 

「じゃあ、昨日の話の通り別れて行動しようか。」

 

 朝食を食べ終え、一同は二手に別れる。ウィズ魔道具店チームにはカズマとアクアが、ギルド依頼チームにはめぐみんとダクネス、ゆんゆんが一緒についてきている。

―――――

 

~ウィズ魔道具店~

 

「ちわ~す。」

「いらっしゃいませ~!あらアクア様にカズマさん!」

 

「あれ?今日はバニルはいないのか?」

 

「はい・・・。何やら大事な用があるとかで、ここ数日姿を見せてくれないんです。あと、カズマさんが来たらコレを売り付けておけ、とだけ。」

 

 ウィズが出したのは大量のマナタイト鉱石。やはりというか、流石の見通す悪魔。こちらの事情は既に把握しているらしい。

 

「やっぱり用意してあったか。だけどウィズ、今日用があるのは俺たちじゃなくて、こいつらなんだ。」

 

「あら、変わったお友達ですね?妖精さんにアンデッドさんに・・・、えっ神様!?」

 

「こんにちは。ローズマリーと申します。こちらはミアラージュとヅッチー、あと福ちゃんです。」

 

「は、はわぁぁぁ!まさか福の神様が来るなんて!?わ、私、浄化されちゃうんですか!?」

 

「そうよ!あの寄生虫悪魔は察して逃げ出したみたいだけど、福の神様が来たからには今日こそ退治してやるわ!覚悟しなさい、このクソアンデッド・・・っていったぁい!」パコーン!

 

 アクアの後頭部を福ちゃんが打出の小槌で小突く。頭空っぽなせいか思いの外良い音がした。

 

「誰もそんなことしませんわ。害のある相手かどうかなんて見れば分かります。」ヤレヤレ

 

「は、はあ・・・。私はウィズ魔道具店店主のウィズです。」

 

 カズマからウィズに事情を伝える。異世界云々はぼかして、ハグレ王国のこと、彼女達の命の為マナタイトが必要であることを話す。

 

「そんなわけでマナタイトが必要なんだけど、コイツらもそんなに資金があるワケじゃないんだ。割安で売ってもらえないか?」

 

「ええ、構いませんよ。バニルさんからも「お得意様になるから親切にしろ」と言われてまして、是非他の商品も見ていってください!」

 

「サンキュー!助かるわ!」

「ありがとうございます!」

 

 ウィズの快諾に礼をする二人。

 そこへ、これまで黙っていたミアラージュがウィズに話しかける。

 

「あのぅ、ちょっといいかしら?」

 

「なんでしょう?」

 

「あなたもアンデッドなのよね?どうして私と同じ症状が出ないで生活できるのかしら?」

 

「え?そうですね・・・。私が自分に使ったのが不死の呪法だからでしょうか?元々肉体があったものを維持しているだけなので消耗が少ないのだと思います。ミアラージュさんに使われた反魂の呪法は一度失った肉体を再構成して魂を無理矢理に繋ぎ止めるものです。ですからマナの消費が段違いに多いのではないでしょうか。そもそも反魂の呪法で蘇った方が自我を保って生活が出来ているのが奇跡としか言いようがないことなのですが・・・。」

 

「そう、そうよね・・・。」

 

 古神降霊術の事故で一度失ったこの命。哀しんだ両親は禁忌を犯して自分を蘇らせた。そして血を求めて正気を無くした自分の為に生き物を殺し始め、それが家畜から人間になるのにそんなに時間はかからなかった。その蛮行を止めるために自分の手で愛する両親を殺して、挙げ句に可愛がっていた妹にこの忌まわしき体を討たせようとした。

 しかし、妹が引き連れてきたハグレ王国は自分に再び人として生きる道を与えてくれた。いや、その道を作らせてくれた。

 これからどんなに罪を償おうと両親を殺した十字架は背中のランドセルと供に背負い続ける覚悟だが、一方で失った人生をもう一度歩きたいと願う。

 なんだかウィズのぽわぽわした放っておけない雰囲気が妹とよく似てるのもあって、その生き方をどこか羨ましく思ってしまう欲深い自分の浅ましさを呪う。

 アンデッドとなってなお人として生きようとしているウィズに惹かれていたのもあるだろう。

 

「ねぇ、よかったらこのお店で働かせて頂けないかしら?」

 

 ミアラージュはもっとウィズと話がしたいと思った。より近い場所で。より深くその生き方を知りたいと思った。

 

「え?ええ。最近カズマさん考案のグッズが売れるようになってお客さんも増えていますし、丁度バニルさんがいなくて最近大変なので助かるには助かるのですけど・・・。あまりお給料をたくさん出せるわけではないですが、いいんですか?」

 

「構わないわ。どうせマナの消耗を避ける為にギルドの依頼をこなすことは出来ないし、ハグレ王国でも色々な魔道具を創っているからその知識でも役に立てるわよ。いいでしょ、ローズマリー?」

 

「うん。ウィズさんがよければ。」

 

「歓迎しますよ!」

 

「じゃあ、決まりね。今日からでもいかがかしら?」

 

「ええ、では早速、商品を知って頂くのに在庫確認をお願いします。」

 トントン拍子でミアラージュの就職が決まり、幸先の良いスタートである。

 

「では、私達はお金が用意でき次第、マナタイトを引き取りに伺います。ウィズさん、ミアラージュをよろしくお願いします。」

 

―――――

 

 ウィズ魔道具店を後にしたところで福ちゃんがローズマリーに訪ねる。

 

「あのぅ、ローズマリーさん。私がこちらのチームに入ったのには何か理由があります?」

 

「うん。私達もミアちんのようにお金を稼ぐ手段を得ないといけないんだけど、福ちゃんには以前のようにニコニコ福ちゃんチェックをしてもらいたくて。」

 

「あら、やっぱりそうですの。」

「なんだ?ニコニコ福ちゃんチェックって?」

 

「福の神としての福ちゃんの力で商売の先行きを占ってもらうんだ。ハグレ王国の立ち上げ当時にはとても助けられたんだ。」

 

 ハグレ王国立ち上げ当時、この場所には福がないからとハグレ王国に加入した福ちゃん。ハグレ王国が最初に始めた商売はハピ子が発案した福ちゃんの姿をあしらった福ちゃんキーホルダーの発売だった。これが大陸でヒット商品となり、得た資金でハグレ王国の礎が築かれたと言っても過言ではない。

 その後、Mドリンクの低人気や、サイキッカーでも曲げられないスプーンが売れないこと、こたつ喫茶ブームを予見するなど、福ちゃんはあらゆる商品の将来性をズバリ言い当て、ハグレ王国のご意見番として確固たる地位を築いている。

 

「つーことは、あんたらも何か商売を始めようとしてるってことか?」

 

「そう、薬屋を始めようと思っていたんだ。ヅッチーには交易でのノウハウを活かして材料の仕入れや配送を担当してもらおうと思っているんだ。」

 

「資金はどうするんだ?」

 

「店舗を持つと固定費がかかるから、販売方法はお店や病院への卸売りをメインにしようと思う。簡単な回復薬ならこの浮遊鍋で部屋で作れるしね。材料費は手持ちの不要な装備や素材を売って元手は作ろうと思っている。」

 

 ローズマリーは昨日の今日で既にプランを用意していたらしく、行動に迷いがない。

 今は貯金暮らしのカズマだが、将来は不労所得で安心快適な生活を目指している。今日はウィズの紹介だけして解散する予定だったが、一から商売を始めようというローズマリーに興味を持ち、同行してみることにした。

 

 

―――――

 

~武器屋~

 

「えっ、この杖が80,000エリスだって?冗談じゃない。他所に持っていかせてもらいます!」

 

「ま、待ってくれ。わかったよ90,000、いや95,000エリス出そう!」

 

「最初からその金額を言ってくださいよ。あとはこの剣ですが・・・。」

 

 ローズマリーは不要な装備と言っていたが、それらはなかなか質の高い物ばかりである。福ちゃんの目利きで一つ一つ相場価格を確認した上で、相場以上の値段を引き出す強気な交渉も相まって売却金額は最終的にはなんと1,200,000エリスにもなった。

 

「あんたすげぇな。」

 脇で見ていたカズマはローズマリーの交渉能力を素直に称賛する。

 

「いやいや、あれは昔デーリッチと放浪生活をしていたときに身に付いただけのものだよ。福ちゃんの目利きがあったから強気に出られただけだし。」

 

「お役に立てて何よりですわ。」ウフフ

 

 福を司る神様か、商売をする上ではマジでチートだな。パチンコで解放台だけを選んで回すみたいなもんだ。それに比べてウチの穀潰し借金駄目神は・・・。とか思いながらアクアに目をやりながらタメ息を吐くカズマ。

 

「なぁ~に~カズマさん?タメ息なんか吐いちゃって、もしかして私に見とれてた?」ウププ

 

 白い目でアクアを見ながら、もう一度大きくタメ息を吐くカズマであった。

 

 

 




 ちょっと中途半端ですが、文字数が行ったので今回はここまで。
 ミアちんはウィズとの死生感談義が書きたくてメインパーティに入れました。ウィズとヘルちんのキャラが似てたってのもあります。
 余談ですが、ざくアクとこのすばでポジションが被る人物は、好きなキャラでも敢えてパーティから外してます。エステル&メニャーニャとめぐみん&ゆんゆんがとか、アルなんとかさんとマツラギさんとか、ジュリア隊長とダクネスとか、こどらとゆんゆんとか、ヤエちゃんはまんま紅魔族だし、ポジションが似てるキャラって結構多いんですよね。
 あとは、マリーだけでも優秀すぎるのに、メニャーニャとプリシラまでいたら無敵過ぎてしまうというのもありました。
 まぁ、上に挙げたキャラも後で出てくるんですけどね。
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